インテル、ズヴェズダに完敗
8月11日、UEFAカップ予備戦2回戦第1戦が行われました。
インテル・ザプレシッチはホームでツルヴェナ・ズヴェズダ(レッドスター・ベオグラード)を迎えました。民族間の対立感情が強いクロアチアとセルビアのチームの対決ということもあって、300人のズヴェズダ・サポーター(デリエ)を迎えるのに1000人の警官隊を配備するという厳重な体制で行われました。午前中に強い雨が降り、試合前・試合中は雨と晴れが交互にやってくる不順な天候でありましたが、インテル史上初のヨーロッパ・カップ戦であり、戦後初めてズヴェズダがクロアチアにやってくるということでインテル・スタジアムは満員の約4000人が集まりました。
インテルは怪我のためMFクルズナールとDFヴィダクの二人のベテランが欠場。スタメン(3-4-1-2)はGKミシュコヴィッチ-DFペチェリ、ラデリッチ、スクリッチ-MFチェライ、チズメク、ヤニェトヴィッチ、ポロヴァネツ-ポリャーク-FWグーリッチ、ピシュコール。
ゼンガ新監督が率いるズヴェズダのスタメン(4-4-2)は、GKランヂェロヴィッチ-DFドゥディッチ、ヨクシモヴィッチ、ヂョルヂェヴィッチ、ルコヴィッチ-MFヤンコヴィッチ、トライコヴィッチ、ムドリニッチ、コヴァチェヴィッチ-FWパンテリッチ、ジギッチでした。
個々のタレントに勝るズヴェズダはボールを奪ってからのサイドの攻め上がりが速く、202cmのFWジギッチ(写真)にクロスを合わせ、彼の周囲をパンテリッチがサポートします。8分、ジギッチがヘディングでパンテリッチにボールを送り、パンテリッチの右斜めからのシュートはGKミシュコヴィッチがセーブ。しかし21分、左サイドを突破したSBルコヴィッチが速いクロスを上げると、ボールはDFとGKを通過してファーポストにいたジギッチが右足で合わせてズヴェズダが先制。34分にチズメクがチーム最初のシュートを放つまでは攻め手に欠けたインテルでしたが、前半終了が近づくにつれ、ズヴェズダのペースが落ちます。41分、ポリャークの右CKをニアポストのスクリッチがバックヘッドでつなぐと、ボールは正面フリーのペチェリに。元ズヴェズタの選手でもあるペチェリはシュートを決めてインテルが同点に追いつきます。
しかし後半50分、ドディッチの右アーリークロスにまたしてフリーにしてしまったジギッチがヘディングを決めてズヴェズダが2-1と勝ち越し。引き気味となったズヴェズダに対してインテルがイニシアティブを握るも決定機を作れず、69分にまたジギッチのヘディングシュートが襲い、これはわずかに枠をそれます。インテルDFがてこずったFWジギッチは75分に交代しますが、81分に右からのルコヴィッチのクロスをファーポストでフリーのパンテリッチがヘディングシュートを決めました。初戦アウェーでの3-1の勝利にズヴェズダは2回戦突破を現実的なものとしています。
試合後、インテルのスレチコ・ボグダン監督は「三度に渡ってファーサイドをカバーせずに得点されてしまうという基本的なミスを犯してしまった。とはいえ、ズヴェズダの三つのゴールは素晴らしいものだった。前半は良いプレーをしたが、後半は内容にも満足できなかった。ズヴェズダは良いチームだけに勝つことは非常に難しく、第2戦で奇跡が起こりえるとは思わないが、それに向けてしっかり準備するつもりだ」とコメントを残しています。
ズヴェズダのウォルター・ゼンガ監督は「(二試合を一試合とみたら)ようやく前半が終わったばかりだ。強いクロアチアリーグで2位となったインテルにはとりわけリスペクトしているし、第2戦でも過小評価するつもりはない」とコメントしています。
またドラガン・ストイコヴィッチ会長は「満足している。大きな緊張があったにもかかわらず、全てがフェアに終わったことが最も大事なことだ。ちょっとしたところで我々が良かったが、勝利には値しただろう」と語っています。
国境からクロアチア警察の車とヘリコプターでの警護を受けながら、4台のバスでやってきたズヴェズダ・サポーターのデリエ300人は出発が遅れたのと国境で2時間以上の検査を受けたため、試合開始から遅れること35分後にスタジアムに到着しました。ユニフォームやマフラーといった応援グッズ以外は持ち込み禁止で、2点目が入ったあとに発炎筒を炊いた一人がしょっ引かれた以外は大きな問題もなく、試合終了まで熱い応援を繰り返しました。クロアチア警察は事前にBBB(ディナモ・サポーター)のメンバーに接触して喧嘩のためにスタジアムに来ないように説得したわけですが、デリエの帰途を狙って3度に渡る襲撃がありました。瓶と石、ロケット花火などにより、3台のバスのうち6枚のガラスが破損。怪我人はなく、実行犯の5人が警官隊によって逮捕されています。
リエカはブルガリアのリテックス・ロヴェツとアウェーで対戦。リエカのスコーリア監督は昨年のUEFAカップで退場処分を受けたため、ベンチに座れませんでしたが、打ち合わせ通りに守備的な戦術を徹底。リティックスの攻撃を潰し、俊足のクルパンをワントップに置いたカウンターを狙います。前半終了間際にリテックスはカイエのFKがポストに当たり、跳ね返ったところをゴール前のハズロフがヘディングシュートするも、100%の決定機を外してしまいます。後半にリティックスが幾つかチャンスを迎えるも、GKジリッチが好セーブ。リエカも77分にクルパンが決定機を迎えましたが失敗。このまま0-0で終われば良かったものの、83分に左CKからヘディングでボールを繋げて最後はジェレフがヘディングシュートを決めて1-0でリテックスが勝利しました。共に第2戦は8月25日に予定されています。
シャフタール・ドネツク所属の代表GKスティペ・プレティコサをイングランド・プレミアリーグのフルハムがレンタル移籍での獲得を進めていたものの、労働ビザが下りずに断念となりました。かつては正GKであったプレティコサは怪我もあって代表では出場機会に恵まれず、ここ2年の代表公式戦の出場75%というイングランドの労働ビザ基準に達しませんでした。フルハム側は政府に事情を説明して労働ビザ取得に急いだものの、取得には余りにも時間が掛かるということで断念せざる得ませんでした。シャフタールでは新たなウクライナ・リーグの外国人枠制度もあってプレティコサはベンチに座ることすらなくなってしまい、今回の移籍不成立には失望しているようです。
ディナモ・ザグレブ所属の代表MF/FWイヴァン・ボシュニャクに、オランダのフェイエノールトが移籍金160万ユーロのオファーを提示したものの、クラブ側が拒否しています。エルウィン・クーマン監督は俊足のFWを探しており、ボシュニャクが第一候補だったそうですが、ディナモ側はボシュニャクの移籍金額はワールドカップ後に二倍に跳ね上がるものと考えているようです。
ディナモ・ザグレブの来季のメインスポンサーが韓国企業の大宇になると報じられています。昨季のヤスミン・アギッチの仁川ユナイテッド移籍が布石となり、韓国との接点が多くなったディナモでありますが、この度は韓国元代表DF金鉉洙を獲得。ディナモ副会長のズドラヴコ・マミッチが現在ザグレブ市内に建設中のビジネスビルに大宇の東欧支部をテナントとして入れる話し合いもついているそうで、9月には大宇の幹部をマミッチのクルーザーに迎えて話し合いを進めるとのことです。
NKザグレブのMFセルゲイ・ヤキロヴィッチ(29)がCSKAソフィアに移籍することが確実視されています。ヤキロヴィッチは様々なクラブを渡り歩き、昨季のザグレブで開花。192cmの長身でありながら、テクニックとパス能力の高いMFです。オーストリアのパスチングとドイツのカイザースラウテルンが今季になって獲得の意思を示していましたが、移籍金25万ユーロ、年俸30万ユーロの2年契約を提示したCSKAソフィアが獲得に成功する模様です。またヤキロヴィッチはザグレブのドラジェン・メディッチ会長と殴り合いの喧嘩をしていたことから、チーム側もあっさりと放出を決めました。ヤキロヴィッチはクロアチア代表歴はないものの、ヘルツェゴビナのモスタル出身ということから、8月17日の対エストニアとの親善試合で初めてボスニア・ヘルツェゴビナ代表に選出されています。
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