« クロアチア・リーグ第4節 その2 | トップページ | オリッチ、十字靭帯損傷で全治6ヶ月 »

2005年8月19日 (金)

親善試合「クロアチアvs.ブラジル」

RR 8月17日、スプリトのポリュウド・スタディオンで親善試合「クロアチアvs.ブラジル」戦が行われました。5度のワールドカップ王者「セレソン」がやってくるということで、国民の大関心事となる試合となったわけですが、チケットが非常に高い(メインで12000円)ということで満員には至らず、キャパシティの8割ほどの約32000人の入りとなりました。
しかしながらブラジル人気は予想以上であり、前日の公開練習では約10000人が集まりました。また当日の試合でもブラジルのユニフォームを着るクロアチア人も随分といまして、愛国心が異常に高い国民性を考えると例外中の例外といえましょう。これまでスプリトでは相性の悪さ(これまで一勝もせず)もあって代表の試合が避けられていたわけですが、スプリトはユネスコ世界遺産にも指定されているローマ帝国時代のディオクレティアヌス宮殿ができて1700年という記念年ということもあって、ブラジルを迎える舞台となりました。

ただブラジルはロナウジーニョがワールドカップ予選の次節の試合で出場停止ということもあってパレイラ監督は召集せず、またクロアチアも試合二日前になってダド・プルショが欠場を決定。プルショは膝の調子が完全ではなく、週末にはセルティックとの試合が、また一週間後にはチャンピオンズ・リーグ予備戦が控えているためにグラスゴー・レンジャースを優先しました。

両チームのスタメンは共に以下のようになりました。
クロアチア(3-4-1-2):GKブティナ-(右から)DFトマス、コヴァチ弟、シムニッチ-MFスルナ、コヴァチ兄、トゥドール、バビッチ-クラニチャール-FWクラスニッチ、オリッチ
ブラジル(4-4-2):GKジーダ-DFカフー、ルシオ、ジュアン、ロベルト・カルロス-MFエメルソン、リカルジーニョ、ゼ・ロベルト、カカ-FWアドリアーノ、ロナウド
キックオフ前にはクロアチアの主将コヴァチ兄が代表50試合目、またブラジルの主将カフーが代表140試合目ということで共に記念のクロアチアのユニフォームが渡されるというセレモニーがありました。

niko-lucio 試合前はこれまでにもなかったお祭り気分の雰囲気だったのですが、試合が始まると観客もゲームとクロアチアの応援に集中し始めます。試合開始当初のクロアチアはボールが足元に落ち着かず、クラッキの集まるセレソンが攻め込みます。6分にボールカットしてゴール前へとドリブルで切り込んだルシオがミドルシュートを放ちますが、これはブティナがセーブ。8分にはロベルト・カルロスが好位置からFKを蹴るものの壁に当たって難を逃れました。ディフェンス陣が粘り強い守りでブラジルの攻撃をコントロールし始めると、ボールキープでもブラジルと互角に渡ります。9分にバビッチが左サイドでカフーに競り勝ち、送ったクロスボールはファーに駆け込んだスルナに渡るも、スルナのシュートはポストの右外のネットに。14分、ゼ・ロベルトのスルーパスにロナウドが抜けて近距離から強烈なシュートを放ちますが、ブティナが右に飛びつきセーブします。28分はロベルト・カルロスがミドルシュートを試みますが、ブティナの正面に終わります。
32分、これまでチャンスを伺っていたクロアチアが均衡を破ります。何でもない状況でジーダが一番近いDFジュアンへ不用意にボールを送り、再びバックパスしたところをオリッチがスピードを活かしてボールカットし、角度のない位置からシュート。ボールはポストを叩くも、跳ね返ったところへクラニチャールが飛び込んで左足でシュートを決めて1-0。スプリトで最も愛される選手のゴールということでスタジアムは盛り上がります。39分、カカの横パスからリカルジーニョがグラウンダーのシュートを放ちますが、これはブティナの正面。しかし42分、トゥドールがカカを正面20mの位置で倒してFKを与えると、リカルジーニョが左足で左上隅に直接決めて同点に追いつきました。

niko-kaka 後半からブラジルはリカルジーニョに代えて、レアル・マドリッド入りしたロビーニョを投入。ロビーニョの変幻自在のドリブルに守備陣はてこずります。49分にはルシオと交錯したオリッチが負傷退場し、ブラジル人のクロアチア代表FWダ・シルヴァが投入されますが効果なし。後半はブラジルが常にボールを支配し、クロアチアはカウンター以外では攻撃の術を無くします。52分にはロビーニョが放ったシュートはブティナがセーブ、57分にはカカのパスからロナウドが決定機を思い切り外します。60分にはエメルソンがファーにクロスを上げますが、アドリアーノのヘディングシュートはバーの上。69分にはエメルソンがFKからの速いアクションからロビーニョへと渡り、ファーサイドのアドリアーノにパスを送るもアドリアーノは押し込むだけのシュートを枠に当てます。その直後にはトゥドールのロングパスにDFの背後へと入ったバビッチがシュートを狙うもボールに足が届かず。以後はそれぞれが交替選手を送り込み、ピッチを去るクロアチア、ブラジルそれぞれの選手に拍手が送られます。79分、クラニチャールが縦のスルーパスを通し、交替直後のバラバンが巧みなトラップで一対一の決定機を迎えますが、シュートは左へと逸れてしまいました。83分、現欧州No.1のFKの名手ジュニーニョ・ペルナンブカーノがFKの機会を得ますが、枠を捉えることなく逸れました。試合は1-1のドロー。この夏最大のイベントは、内容的にも結果的にも誰もが満足するものとなりました。

試合後、クロアチアのズラトコ・クラニチャール監督は「サッカー界にはこのコメントを残したい。クロアチア代表は世界最高の代表とも戦えるとね。我々には一体性があったし、チャンスもあった。ブラジルはとりわけ強いセレクションであったが、我々も組織プレーを失ってはなかった。戦術的な規律があったし、フィニッシュまで持ち込めたことで、(ワールドカップ予選の)アイスランド戦とマルタ戦に向けて良い印象を持てた。個人個人がもっと動きが良くなり、プルショが加わったならばもっと我々は強くなるだろう。」とコメント。
ブラジルのカルロス・アルベルト・パレイラ監督は「ブラジルは勝利したときだけが良い結果だと思っているが、今回はそれが出来なかった。しかし我々の7~8人の選手はまだリーグも始まらずに本調子ではないことを考えれば、この結果は受け入れることが出来る。真のリズムが欠けているように見受けられた。ボールキープをしていたとはいえ、中央のスペースを埋めようとしたことでサイド攻撃が出来なかったことが残念だ。ゼ・ロベルトは遅れて遠征に参加したし、カカは練習をしてまだ10日ほどだ。過去の試合を考えれば、いつものテンポがないことは明らかだったろう。ロナウドとアドリアーノのコンビが慣れてないことも一つの理由だ。これら全てを考えれば、結果は現実的だといえるだろう。クロアチアはスター選手がいないとはいえ弱点がない。選手はスピードがあるし、テクニックはしっかりしていて、チームに一体感がある。チームスピリットがクロアチアをワールドカップへと導くものだと確信している。」とコメントしています。

また先制弾を決めたニコ・クラニチャールは「この試合にプレーしたことで素晴らしい気分だ。私のことまでのキャリアで間違いなく最大のスペクタクルだろう。ブラジルは最高級の選手がそろい、言葉にし尽くせないわけだが、そんな彼らと戦えるということは特別なことだ。我々はそんな代表相手に一体性と集団性で相対することを示すことができた。一体性と集団性は我々の美徳であるからね。ゴールに関しては? 何と言えばいいだろう、おそらく誰でも世界チャンピオン相手に得点することは夢だろうね」と語っています。
ロナウドは「クロアチアはとりわけ堅い守備を持った強い相手だということを示し、彼らと対戦することは楽ではなかった。これは親善試合だったとはいえ、我々は勝ちたかったが、最後は運もなかった。私も100%決めなくてはならないチャンスを外してしまったからね。」と語り、カフーは「素晴らしい環境で、我々はしっかりとプレーした。クロアチアは非常に良いチームであることを示したし、対戦相手としては十分な相手であった」とコメントを残しています。

(写真は上から)
「ロナウドとアドリアーノ」
「クラニチャールとルシオ」
「カカとニコ・コヴァチ」

|

« クロアチア・リーグ第4節 その2 | トップページ | オリッチ、十字靭帯損傷で全治6ヶ月 »

コメント

試合のレポートありがとうございました。
試合の詳細を知りたくて、心待ちにしていました。
日本だと、どうもブラジルひいきの記事しか探せなくて困っていました。

さて、愛国心の強いクロアチアの方々にとっても、やはりブラジルは特別な存在なんだなって思いました。

クラニチャールがチームに適応してきた感がある一方、オリッチの重症にはショックです…。

次の代表戦が早く楽しみです。
そして、11月の日本戦を是非実現して欲しいです。

投稿: ふぃ~ばぁ~。 | 2005年8月20日 (土) 01時07分

ブラジルでは、「だるい」試合だと思っていました。
特に、後半ですけど、親善試合だから仕方ないですが。

投稿: Sao Paulo | 2005年8月21日 (日) 03時04分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/119316/5537177

この記事へのトラックバック一覧です: 親善試合「クロアチアvs.ブラジル」:

« クロアチア・リーグ第4節 その2 | トップページ | オリッチ、十字靭帯損傷で全治6ヶ月 »