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2005年9月13日 (火)

ディナモvs.ハイドゥクはスコアレスドロー、リーグ第7節

土日にクロアチア・リーグ第7節が行われました。

stadion 9月11日、ザグレブのマクシミール・スタディオンでディナモ・ザグレブvs.ハイドゥク・スプリト戦が行われました。「Hrvatski Derbi(クロアチア・ダービー)」とも呼ばれるこの対決は旧ユーゴリーグから数えて132試合目。今回はディナモから移籍して以来初めてニコ・クラニチャールがハイドゥクのユニフォームを着てマクシミールでプレーすることと、これまでディナモの会長と監督を務めてきたミロスラフ・"チーロ"・ブラジェヴィッチが初めてハイドゥクを率いて登場ということで、クロアチア・リーグが独立して以来最大の注目カードとなりました。マクシミール・スタジアムは北スタンドのゴール裏の死角と、相手サポーター"トルツィダ"にあてがわれた南スタンドの1/3を除けば満員の35,000人の観客が訪れました。私もカメラマンとして、ちょっと早めにスタジアムに行ってきました。

ディナモはチームに怪我人もなくベストな状態。ただDFツェサールがマルセイユに移籍したため、これまでの3バックから4バックに切り替えました。スタメン(4-4-2)はGKトゥリーナ-(右から)DFブリャト、チョルルカ、ドルピッチ、チャレ-MFモドリッチ、マミッチ、チャゴ、ミトゥ-FWボシュニャク、ダ・シルヴァ。
一方のハイドゥクはまだ怪我人が5人いるものの、代表GKプレティコサがシャフタール・ドネツクからレンタル移籍で加わり、開幕以来怪我で欠場していたU-21代表DFヴチュコと新加入のマケドニア代表DFクラレヴスキが最終ラインを構成しました。スタメン(4-2-3-1)はGKプレティコサ-DFミラディン、グラニッチ、ブチュコ、クラレヴスキ-MFダムヤノヴィッチ、マルチッチ-バルトゥロヴィッチ、クラニチャール、ムニョス-FWブラトニャク。

hajduk これまで守備陣の崩壊に苦しんでいたハイドゥクですが、国際代表試合における2週間のリーグ中断にブラジェヴィッチはボスニア合宿を組みました。そこで生まれた新たな4バックの守備陣(写真)は、ディナモのボシュニャクとダ・シルヴァのスピードあるA代表コンビの攻撃を見事に食い止めます。彼らにスペースを与えず、また中盤のダムヤノヴィッチとマルチッチはスライディングタックルで司令塔のモドリッチを削りにかかります。ただ攻撃となるとクラニチャール頼み。クラニチャールは元同僚から手荒いタックルが繰り返されました。主審のシリッチもあまりカードを出さないタイプのため、ピッチ上は激しくなる一方で互いに決定機を作れない時間帯が続きました。
9分にクラニチャールがエリア左から直接FKでGKの右脇を狙いますが、これはGKトゥリーナがパンチング。17分にはBBBが多くの発炎筒を投げ入れて試合は5分間の中断。ディナモは35分にチャゴの折り返しからマミッチが地を這うミドルシュートを放つも、DFクラレヴスキが差し出して足にボールが当たって枠は逸れていきます。44分、モドリッチは右サイドでフリーのチャゴへ綺麗なロングパスを通し、チャゴが胸トラップからシュートしますが、ボールはポストの左に。結局、前半のディナモは一本のシュートが枠内にいきませんでした。

niko2 後半も前半と変わらないガチガチな展開に。51分にクラニチャール(写真)がフェイントでマーカーを外してミドルシュートを利き足とは逆の左足から放ちますが枠の外へと逸れます。52分にディナモは疲れの見えるモドリッチに代えてマリッチを投入。しかしこれも効果なく、ディナモがセットプレーを得たとしても高さのあるハイドゥクDF陣にことごとくクリアされます。この試合の最大の山場は75分、ハイドゥクはカウンターを仕掛け、ボールを貰ってエリアに突っ込んできたクラニチャールは3人の選手に囲まれるもののフェイント一発で全員をかわして左へと流れ、フリーとなった時点で左足で強烈なシュート。GKトゥリーナは一歩も動けませんでしたが、ボールはクロスバーを叩き、空へと高く上がってしまいました。ディナモは86分に長身FWのリュボイェウィッチを投入しますが時は既に遅く、試合はスコアレスドローに終わりました。ちなみに両チーム合わせてシュートが9本(枠内6)、ファウルは54(イエローは1枚のみ)でした。

試合後、ハイドゥクのブラジェヴィッチ監督は
「満足すべき理由がたくさんある。なぜなら我々より強いディナモに抵抗することに成功したからだ。騎士のように規律高く戦った選手達を祝福したい。こうもしなければディナモを止めることは出来なかった。ディナモは意欲の極限をもってしてゲームに挑んだが、ハイドゥクが負けなかったことはサッカーのため、リーグのためにもラッキーだったろう。観客のためにもこのダービーはゴールだけが欠けていたね。ニコは精神的にも辛い条件下にあったが、彼が世界的なクラスの選手であることを示してくれた。100%のチャンスを二度に渡って一人だけで作ったわけだから」
とコメント。またディナモのヨシップ・クジェ監督は
「ハイドゥクは勝点1に値した。彼らはディフェンス面でとりわけクオリティが高く、我々が前へと進む解決方法を見つけることができなかった。あまりにもこの試合の重要性を意識しすぎたかもしれない。唯一の勝利手段は質ある攻撃なわけだが、我々は積極的ではなかったし、ゆっくりと攻撃を組み立てられるようなボールポゼッションも高くなかった。サポーターに勝利を与えられなかったことには失望している。しかし客観的になればこれは現実的な結果であり、スポーツ的には失望はしていない。」
と語っています。

niko 試合前からマクシミールにハイドゥクの一員として戻ってきたクラニチャールに対して罵倒が繰り返され、これまでにない異様な雰囲気のスタジアムでしたが、警官隊と警備員が1400人近く配置されたこともあって大きなトラブルはありませんでした。BBBが準備していたクラニチャールを侮辱する人文字も事前に取りやめさせられ、また一般の横断幕の類も持ち込み禁止。東側スタンドに「デブのブタ」の文字にハイドゥク・ユニフォームを着たブタの旗が掲げらたのみでした。更にクラニチャールがBBBの多い北側スタンドと東側スタンドへセットプレーで近づくと、彼に向けて発炎筒や爆竹が投げつけられ、9分には彼の間近を発炎筒が横切る危険な場面(写真)がありました。それでもメディアがマン・オブ・ザ・マッチに選ぶ活躍をみせたクラニチャールは試合後、
「悪い試合だったし、悪いダービーマッチだった。サッカー以外の全てがここに存在した。バーに当たった私のシュートがゴールに吸い込まれることがなかったのが残念だ。しかしこの勝点1は今後のリーグ戦で自信をもたらしたことだろう。私に向けられた醜いコールに関していえば、サポーターは私がディナモにいた時から叫んでいたことから、まったく恐れるものではなかった。ディナモはメディアが書いているように恐ろしいチームではないね」
とコメントを残しています。

10日にもインテル・ザプレシッチvs.ヴァルテクス・ヴァラジディンの撮影取材に行ってきました。移籍期限ぎりぎりにインテルはディナモからMFフルヴォイエ・シュトロクとDFヴェドラン・イェシェをレンタルで獲得。またディナモを出て自由契約選手になっていたFWヴェルディン・カーリッチも加入し、この3人が揃って先発起用されました。一方でヴァルテクスはMFゴラン・ムヤノヴィッチがベルギーのリエーセへ、同じくMFのマケドニア代表イゴール・ヤンチェフスキもトルコのディヤルバクルに移籍しました。
benko しかしながら試合感の鈍い3人を含んだインテルはまとまりに欠け、開幕から若手中心でチームが出来上がってきているヴァルテクスが開始早々から先制します。10分に左サイドのメルニャクがファーポストに速いクロスを上げると、FWハリロヴィッチがヘディングで合わせて1-0。後半は多少インテルがボール支配をするも、60分にヤニェトヴィッチが中央でボールを奪われるとカウンターから右サイドでマークの緩いFWベンコ(写真)にボールが渡り、縦へ叩くボールコントロールから右足で対角線でシュートを流し込んで0-2。81分、オフサイドトラップをかい潜ったインテルFWのグーリッチが1点返すもののヴァルテクスが勝利。ディナモとは勝点差1で2位につけております。

またリエカvs.スラヴェン・ベルーポでは、リエカに新加入した元代表FW/MFダヴォール・ヴグリネツがトップ下で初起用。試合前は怪我での出場が心配されていたのですが、デビュー早々にシャルビーニのグラウンダーのクロスに滑り込んでシュートを決めると、2-2に追いつかれた1分後の40分に25mのFKを決めて勝ち越し。ヴグリネツの活躍もあってリエカは4-2と勝利し、3位の好ポジションを保っています。

全試合の結果はこちら。

Inter Zapresic - Varteks Varazdin 1:2
0:1 10' Halilovic
0:2 60' Benko
1:2 81' Gulic

Cibalia Vinkovci - Zagreb 1:1
0:1  3' Cutura
1:1 78' Krizanovic

Rijeka - Slaven Belupo 4:2
1:0  9' Vugrinec
2:0 23' Kurilic (own goal)
2:1 25' Karabogdan
2:2 39' Musa (PK)
3:2 40' Vugrinec
4:2 87' Ah.Sharbini

Medjumrje - Osijek 1:0
1:0 51' Guvo

Pula Staro Cesko - Kemen Ingrad 1:2
0:1  3' Lakic
1:1 41' Pamic
1:2 45' Mujcin

Dinamo Zagreb - Hajduk Split 0;0

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点16)、2位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(12)、3位…リエカ(14)、4位…ハイドゥク・スプリト(11)、5位…カメン・イングラッド(11)、6位…ザグレブ(11)、7位…オシエク(9)、8位…メヂムリェ(7)、9位…チバリア・ヴィンコヴチ(8)、10位…インテル・ザプレシッチ(8)、11位…プーラ・スターロ・チェシュコ(5)、12位…スラヴェン・ベルーポ(2)

【得点ランク】
1位…5得点 ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…4得点 クラニチャール(ハイドゥク)、シャファリッチ(ヴァルテクス)、ヨリッチ(ヴァルテクス)、ボシュニャク(ディナモ)、クルパン(リエカ)、シャルビーニ(リエカ)、ラキッチ(カメン・イングラッド)
3位…3得点、ブシッチ(ハイドゥク)、プルピッチ(リエカ)、ヨリッチ(ヴァルテクス)、

【アシストランク】
5アシスト…ミトゥ(ディナモ)
3アシスト…シャリッチ(リエカ)、バルトゥロヴィッチ(ハイドゥク)、ポサヴェツ(ヴァルテクス)、ダ・シルヴァ(ディナモ)、ブライコヴィッチ(カメン・イングラッド)

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コメント

おひさしぶりです。長束さんいつも詳しい情報をありがとうございます。
 ちょっと前の話ですがマルタにドローはかなり痛恨ですよねえ・・・。慢心はクロアチアにとって最大の課題かもしれませんね。
 遂にダービーがありましたね。お互い一歩も譲らなかったようですが、観客がたくさん入ったことやニコが良いプレーをしたことはうれしいです。
 今期はBBBかなり気合が入ってるようですね。それもディナモに対する期待からでしょうか。僕が訪れた「ディナモ対ザグレブ」とでは雲泥の差ですね(泣笑)

投稿: サンティ | 2005年9月15日 (木) 17時03分

今日から仙台カップが開催されています。
http://www.sendaicup.com/

ユースのクロアチア代表はディナモ・ザグレブから多く選出されてますね。
初日の今日は日本代表と対戦していますが、今現在(後半32分)、0-3で負けています。
ゴッツェとの縁もありますし、土曜・月曜は仙台スタジアムで応援したいと思います。

投稿: 仙台より | 2005年9月15日 (木) 17時33分

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