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2005年11月28日 (月)

クロアチア・リーグ第17節

クロアチア・リーグ第17節が11月26日に行われました。今週はクロアチア全土に渡って天候が不順だったため、雪が積もる、もしくは雨で水溜りとなったピッチが多く見られました。

bosnjak 首位ディナモ・ザグレブは11位のスラヴェン・ベルーポとホームで対戦。寒い気候もあって観客は3000人止まり。私も今年最後のサッカー取材として試合撮影をしてきました。
スラヴェン・ベルーポの監督は今季途中からニコラ・ユルチェヴィッチが引き受け、彼は昨年までディナモの監督を務めて因縁があります。前半は一方的にディナモが攻め込みながら、18分に一発のカウンター攻撃でMFドゥンコヴィッチからラストパスが俊足のFWヴルチーナに渡り、右足でGKトゥリーナの頭上を突き刺すシュートを決めてスラヴェン・ベルーポが先制します。ディナモは何度もオフサイドに引っかかり、ラインズマンに対していらつく場面が目立ちました。
後半からMFトミッチを下げて長身FWリュボイェヴィッチをセンターに入れての3トップ(右ボシュニャク、左ダ・シルヴァ)の形を取ります。57分、ブリャトのセットプレーからのクロスボールにスラヴェンGKリシャクとディナモDFチョルルカが競り合い(写真)、GKリシャクはキャッチできずに倒れたところをダ・シルヴァがヘディングで押し込んで同点に追いつきます。するとその4分後に、マミッチのミドルシュートをGKリシャクが弾き、そのボールをボシュニャクが近距離から流し込んで逆転に成功します。69分にはモドリッチがドリブルで持ち込み、左サイドを走りこんだチャレへ。チャレは飛び込んだGKの脇を抜くシュートを決めて3-1。また88分にはブリャトの右CKからボシュニャクが右足でボレーで叩き込み、終わってみれば4-1と快勝しました。
(写真:2点目を取ってBBBに挨拶するボシュニャク[右]とエトー[左])

5位ハイドゥク・スプリトはアウェーで8位のチバリア・ヴィンコヴチと対戦。ハイドゥクはこの試合からユース統括長のペタール・ナドベザがイヴァン・グデリ監督のアドヴァイザーに就任。2004年にセレッソ大阪の監督に就任して来日する直前に心臓病で断念した彼は、一昨季にヴーリッチ監督がシーズン終了直前で解任されたあとを引き受け、ハイドゥクを逆転優勝させたことがあります。ナドベザはベンチに座ることなく客席からの観戦となりましたが、ナドベザ効果はなくハイドゥクはこの試合でも無様な姿を見せます。
前半からチバリアはハイドゥクという名前に臆することなくゲームを支配に掛かり、序盤30分でボール支配率は65%。しかしチバリアは決定機までは作れず、ハイドゥクは前半残り15分はイーブンの状況へと押し戻して幾度かシュートチャンスを作るものの得点は決められません。後半はハイドゥクの方が優勢で、53分にクラニチャールが左サイドから2人の相手選手をフェイントでかわし、左サイドでフリーのバルトゥロヴィッチにラストパスを送るもののシュートを失敗してしまいます。58分、右クロスからあっさりチバリアのFWジュゲラがヘディングシュートを決めて先制すると、62分にハイドゥクのMFマルチッチが二枚目のイエローで退場。すっかり落ち込んだハイドゥクはそのまま0-1で敗北、降格リーグ圏内の7位へと転落してしまいました。

chirashi 12月3日の第18節はウィンターリーグに入る前の最後の試合となります。この節は恒例としてディナモとハイドゥクの二強によるクロアチア・ダービーが行われるのですが(ホームはハイドゥク)、首位ディナモが勝点44に対して、ハイドゥクはその半分の22。昨季はディナモが22節を終わって7位となり、降格リーグへ回って惨めな思いをしたわけですが、今季はハイドゥクが低迷しているということで、おそらく過去最高のディナモ・サポーターのBBBが優越感に浸るためにポリュウド・スタディオンにやってくると言われています。アウェー席は1400しかないのですが、間違いなくその数は越えて、約数千ものサポーターが訪れるみたいです。
(写真:バスでのスプリト遠征を募るBBBのチラシ。BBBメンバーは往復約1600円、メンバー以外は約2000円)

全試合の結果はこちら。

Dinamo Zagreb - Slaven Belupo 4:1
0:1 18' Vrucina
1:1 57' Da Silva
2:1 61' Bosnjak
3:1 69' Cale
4:1 88' Bosnjak

Inter Zapresic - Osijek 2:3
0:1 19' Turkovic
0:2 21' Smoje
1:2 54' Strok
2:2 64' Jese(PK)
2:3 74' Balatinac

Rijeka - Varteks Varazdin 3:1
0:1 11' Benko
1:1 19' Novakovic
2:1 26' Ivancic
3:1 36' Vugrinec(PK)

Cibalia Vinkovci - Hajduk Split 1:0
1:0 58' Zgela

Pula Staro Cesko - Zagreb 2:0
1:0 78' Kontesic
2:0 84' Kontesic

Medimurje - Kamen Ingrad 0:3
0:1  9' Parmakovic
0:2 65' Sovonjic
0:3 83' Lakic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点44)、2位…リエカ(34)、3位…オシエク(26)、4位…カメン・イングラッド(25)、5位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(22)、6位…チバリア・ヴィンコヴチ(23)
7位…ハイドゥク・スプリト(22)、8位…ザグレブ(21)、9位…プーラ・スターロ・チェシュコ(19)、10位…メヂムリェ(19)、11位…スラヴェン・ベルーポ(15)、12位…インテル・ザプレシッチ(13)

【得点ランク】
1位…14得点 ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…10得点 ボシュニャク(ディナモ)
3位…9得点 ヨリッチ(ヴァルテクス)、シャルビーニ(リエカ)、ラキッチ(カメン・イングラッド)、ベンコ(ヴァルテクス)

【アシストランク】
1位…8アシスト ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…6アシスト モドリッチ(ディナモ)
3位…5アシスト ミトゥ(ディナモ)、シャリッチ(リエカ)、ブリャト(ディナモ)

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2005年11月27日 (日)

アブラモヴィッチ、ディナモ復帰か

abra ディナモ・ザグレブは新たな補強選手として、シロキ・ブリイェグFWドマゴイ・アブラモヴィッチ(24・写真)をリストアップしていると言われています。ディナモ・ユースで育ったアブラモヴィッチはユース最多ゴールを記録しながらもトップでの出場機会に恵まれず、レンタルを経て2003年にボスニア・ヘルツェゴビナのシロキ・ブリイェグに正式移籍しました。1年目は16得点で初優勝に貢献。そして3年目となる今季も現在10得点でリーグのトップスコアラーであり、チームも首位につけています。アブラモヴィッチはインタビューで
「ディナモへの帰還? もし彼らが本当に興味をもってくれているのなら本当に嬉しいよ。ディナモは僕のクラブだし、キャリアを始めたチームで自分を証明したい気持ちもある。完全に僕も成熟したので、今はそのような大きな挑戦もやれるはずだ」
と語っています。先週日曜日にシロキ・ブリイェグvs.サラエボの首位決戦があったのですが、ディナモの関係者が送り込まれたようで、アブラモヴィッチは2点目を叩き出し、2-1で勝利しています。また本人に直接聞いたところ、クラブとは今年に「10万ユーロ(約1400万円)の移籍金提示があれば、移籍が可能」という条件にサインしたそうで、ディナモにとっても受け入れやすい話のようです。
ちなみにアブラモヴィッチの応援サイトはこちら。
http://homepage2.nifty.com/hrvgo/abra/abraindex.htm

クロアチアはEU圏外国ということで西欧へのクラブ移籍が困難な状況だったのですが、このほどフランス・サッカー協会がボスマン・ルールの付帯であるマラヤ・ルール(ポーランドのバスケ女子選手がフランス・リーグを訴えたことで生まれたルール)というものを受け入れ、クロアチア国籍の選手もEU圏内同様の扱いを受けることとなりました。これでフランスへの移籍がしやすくなることになります。現在、マルセイユがディナモのDFチョルルカやリエカのFWシャルビーニ、またオーゼールがNKザグレブのMFペライッチに関心を持っているといわれています。

スタンダール・リエージュと揉めていた元代表MFミラン・ラパイッチですが、チームに復帰することになりました。昨季にスタンダールに移籍したラパイッチは、今年のオフに別のチームの移籍を希望し、チームとも移籍を認める約束をしていたものの、スタンダールが移籍の話を潰したことに怒ったラパイッチが退団してしまいました。スタンダールは契約が残るとして告訴の動きを示していたわけですが、このほど両者が歩み寄ったようです。

クロアチアが参加する香港でのカールスバーグ・カップ(1月29日~2月2日)の参加国が発表されています。クロアチア、香港のほかに韓国とパラグアイの計4ヶ国。この大会にはイタリア、ドイツ、ベルギーでプレーする選手は日程的に連れていけないだけに、様々な選手にチャンスを与えるようです。クラニチャール監督は十字靭帯の手術からリハビリ中のFWオリッチをこの大会で少なくとも10~15分は使いたいらしく、またリエカで活躍中のヴグリネツも試す考えのようです。
また中国からも大会の招待を受けており、1月20日~25日もしくは2月20日~25日のどちらかの日程で選べるとのこと。カールスバーグ・カップとの兼ね合いで1月20日~25日の日程で話を進める可能性があるようです。

ACミランがヘルタ・ベルリン所属の代表DFヨシップ・シムニッチに関心を示しており、スタムに代わるDFとしてこの冬に獲得する可能性があるとも報じられています。シムニッチはクロアチア代表選手の中でも推定移籍金が800万ユーロともっとも市場価値のある選手ですが、来年夏に契約が切れると共に移籍を希望しており、クラブ側としても移籍金が発生するうちに放出する可能性はありそうです。

代表の兼ね合いもあって変則的な日程でクロアチア・カップ準々決勝が行われました。
11月10日と15日にホーム&アウェーで、スラヴェン・ベルーポvs.カメン・イングラッド、ヴィノグラダール(2部)vs.リエカが対戦。カメン・イングラッドとリエカが一方的なトータルスコアで準決勝にコマを進めています。

Slaven Belupo - Kamen Ingrad 1:0
1:0 53' Dodik

Kamen Ingrad - Slaven Belupo 4:1
1:0  4' Brajkovic
2:0 19' Tomic
3:0 42' Parmakovic
4:0 43' Sivonjic
4:1 74' Dodik

Vinogradar - Rijeka 1:2
1:0 15' Buckovic
1:1 39' Zekic
1:2 42' Sharbini (PK)

Rijeka - Vinogradar 8:0
1:0  6' Linic
2:0  8' Novakovic
3:0 14' Linic
4:0 42' Linic
5:0 53' Linic
6:0 56' Linic
7:0 61' Sharbini
8:0 90' Novakovic

また11月23日にはヴァルテクス・ヴァラジディンvs.ナフタシュ・イヴァニッチ(2部)、オシエクvs.ハイドゥク・スプリトの第1戦が行われています。共に雪に覆われたピッチでの試合となりました。ディナモをくだしたナフタシュですが、ヴァルテクスに粉砕されました。またハイドゥクはクラニチャール一人が獅子奮迅の働きを見せたものの、またして勝ちきれずに終わっています。第2戦はナフタシュvs.ヴァルテクスが11月30日、ハイドゥクvs.オシエクが12月7日に予定しています。

Osijek - Hajduk Split 1-1
1:0 16' Vojnovic
1:1 40' Marcic

Varteks Varazdin - Naftas Ivanic 4:1
1:0  3' Jolic
2:0 23' Benko
3:0 27' Melnjak
4:0 47' Benko
4:1 90' Cingel

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クロアチア・リーグ第16節

クロアチア・リーグ第16節が11月19日・20日に行われました。

bosnjak首位ディナモ・ザグレブはアウェーにて3位ヴァルテクス・ヴァラジディンと対戦。アウェーでも6勝1敗と絶対的な強さを誇るディナモは、この試合でも破壊力を示しました。
開始3分、ブリャトの右サイドからのFKからゴール前でフリーとなったダ・シルヴァがヘディングシュートを決めてあつさり先制。9分にはダ・シルヴァがクロスボールを胸で落とし、そのボールを受けたブラジル人のエトーがドリブルを加えてからシュートを放って2-0。続く3点目もディナモのブラジル・パワーによるもの。30分、ブリャトのCKのボールにヴァルテクスのGKヴラニッチは不用意に飛び出し、ダ・シルヴァのシュートは一度は空っぽのゴールのポストに叩かれるものの、跳ね返りのボールをブリャトが再度センタリング。チョルルカが頭で繋いでダ・シルヴァが押し込んで3-0。U-21クロアチア代表GKとしてセルビア・モンテネグロ戦でポカを連発したヴラニッチではこの試合でもやらかしてしまいました。
後半に入ってもディナモの勢いは止まりません。65分、ブリャトからボールを受けたボシュニャク(写真)がまたして不用意なポジションに上がったGKヴラニッチの隙をついたループシュートを決めて4-0。ヴァルテクスも67分にベンコがGKトゥリーナがシュートを弾いたところを押し込んで1点を返しますが、86分、ボシュニャクが強烈なミドルシュートを決めて5-1。ロスタイムにポサヴェツがゴールを決めたものの5-2でディナモが完勝を果たしました。

ハイドゥク・スプリトはホームにプーラ・スターロ・チェシュコを迎えました。9分にクラニチャールが右サイドからドリブルで進入し、ラストパスを出す瞬間にDFパミッチが倒してしまいPKの判定。クラニチャールは左下隅にPKを決めてハイドゥクが先制します。ここ最近のハイドゥクは先制するとその1点を守りに消極的になり、追いつかれ更に逆転される試合が多かったわけですが、この試合ではその反省を活かして先制点後も攻めに行きます。しかし、ブラトニャクのFKがポストに当たるなどツキにも見放され、後半もチャンスを何度も無駄に。74分、スパルタ・ロッテルダムが関心を示しているプーラの俊足FWシェーヒッチがカウンターから左サイドを駆け抜け、DFヴチュコを振り切り、DFグラニッチをかわしてからシュートを決めて同点に追いつきます。この失点を跳ね返すように勢いはハイドゥクになく、1-1のドローに終わりました。
プーラはブラチュン新監督を迎えてから徹底的なカウンター戦術を敷くようになって6試合で3勝1分2敗、最下位から10位に浮上してきました。ハイドゥクはいまだに浮上の気配なく5位と低迷しています。

Inter Zapresic - Rijeka 0:2
0:1 42' Sharbini
0:2 63' Vugrinec

Osijek - Kamen Ingrad 1:0
1:0 60' Dinjar

Hajduk Split - Pula Staro Cesko 1:1
1:0  9' Kranjcar(PK)
1:1 74' Sehic

Zagreb - Medimurje 1:0
1:0 89' Mandzukic

Slaven Belupo - Cibalia Vinkovci 4:2
1:0 14' Karabogdan
1:1 23' Crnac(og)
2:1 35' Karabatic
2:2 39' Prijic
3:2 56' Dodik
4:2 83' Karabogdan

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点41)、2位…リエカ(30)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(25)、4位…オシエク(23)、5位…ハイドゥク・スプリト(22)、6位…カメン・イングラッド(22)
7位…ザグレブ(21)、8位…チバリア・ヴィンコヴチ(20)、9位…メヂムリェ(19)、10位…プーラ・スターロ・チェシュコ(16)、11位…スラヴェン・ベルーポ(15)、12位…インテル・ザプレシッチ(13)

【得点ランク】
1位…13得点 ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…9得点 ヨリッチ(ヴァルテクス)、シャルビーニ(リエカ)
4位…8得点 ラキッチ(カメン・イングラッド)、ベンコ(ヴァルテクス)、ボシュニャク(ディナモ)

【アシストランク】
1位…8アシスト ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…5アシスト ミトゥ(ディナモ)、シャリッチ(リエカ)

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2005年11月26日 (土)

U-21欧州選手権プレーオフ/クロアチア、セルビア・モンテネグロ相手に敗退

11月12日と16日、U-21欧州選手権プレーオフ「クロアチアvs.セルビア・モンテネグロ」戦が行われました。クロアチアは2試合ともセルビア・モンテネグロ相手に敗北。来年5月開催の本大会出場への道が閉ざされました。

P1090049 初戦は12日、舞台はベオグラードのマラカナ・スタジアム。試合のチケットの最低価格が1ユーロに設定されたこともあり、3万人の観客が訪れました。クロアチアも200人ほどのサポーターがベオグラードに向かったものの、試合前にクロアチア・サッカー協会とセルビア・モンテネグロ・サッカー協会の間でサポーターの行き来禁止を取り決めしたこともあって全員が国境で止められることに。戦争から既に10年が経過し、かつてほどの緊張感はないにしろ両国間の国民感情から特別な関心を集める対決となり、国内外から350人ほどのジャーナリスト申請があったそうです。

クロアチアU-21代表監督のスラヴェン・ビリッチは臀部のヘルニア手術後の経過が良くなく、クロアチアのベンチにはアシスタント・コーチのアリョーシャ・アサノヴィッチが座りました。クロアチアのスタメン(3-4-1-2)は、
GKヴラニッチ-DFヴチュコ、チョルルカ、ヴルドリャク-MFペライッチ、ヴコイェヴィッチ、マルチッチ、ボドルシッチ-モドリッチ-FWダ・シルヴァ、ラキッチ
またドラゴミール・オクカ率いるセルビア・モンテネグロU-21代表は、グループ予選の後にチームを離れることを声明したエースのラゾヴィッチを引き留めるのに成功し、前線にタレントを揃えた布陣(4-4-2)となりました。
GKストイコヴィッチ-DFバスタ、イヴァノヴィッチ、ビシェヴァッツ、トシッチ-MFクラシッチ、ミリヤシュ、ヤンコヴィッチ、ヴクチェヴィッチ-FWラゾヴィッチ、ヴチニッチ

modric試合が始まって3分、まだクロアチアDF陣が眠っている隙をついて、ヤンコヴィッチの右アーリークロスからレッチェ所属のFWヴチニッチがヘディングシュートを決めてセルビア・モンテネグロが先制します。とはいえ、前半はパスを繋げるクロアチアがボールを支配し、何度もチャンスを作り出します。8分にはダ・シルヴァが左サイドから攻め込み、ボールを繋いだラキッチがシュートを放 つもののGKストイコヴィッチがセーブ。17分、司令塔モドリッチ(写真)からエリア右に突進したヴコイェヴィッチにスルーパスを通すと、ボールは中央のダ・シルヴァへ。ダ・シルヴァは左へとシュートを決めて同点に追いつきます。その後もマルチッチやチョルルカがゴール機会を伺うなど、よりコレクティブなクロアチアのペースで試合が進みました。

しかし後半に入ると状況は一転します。空中分解したようにチームとしての力強さを失ったクロアチアに対して、セルビア・モンテネグロは素早いボール回しから鋭い攻撃を仕掛けていきます。ラゾヴィッチがタックルでボールを奪い、中央のクレシッチへ。クラシッチはDF2枚の裏へと抜けるヴチニッチへとパスを通し、これをあっさりと決めて2-1。アサノヴィッチ監督代行はラゾヴィッチのタックルがファウルだと抗議したため退場処分となります。しかしセルビア・モンテネグロも60分、ヤンコヴィッチが2枚目のイエローで退場。それでも69分、中央のクラシッチから右DFヴチュコの裏をついたロブが上がり、これをヴチニッチが胸トラップから左足でシュートを流し込んでハットトリック。75分にラゾヴィッチが2枚目のイエローで退場となり、クロアチアは11人対9人という数的優位に立つものの攻めあぐねてしまい、1-3でベオグラードを去ることとなりました。

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第2戦はザグレブ郊外のベリカ・ゴリツァで行われました。キャパシティの小さいスタジアムのため観客は4000人ほど。私もカメラマンとして取材してきました。40000人のキャパシティのあるスプリトのポリュウド・スタディオンも試合開催に立候補していたものの、予選を通して使い慣れたベリカ・ゴリツァを協会は選びました。結果論とマラカナの雰囲気と比較すれば、この判断は誤りだったといえましょう。

P1090019 クロアチアはマルコヴィッチ協会長とビリッチが話し合った上で、ニコ・クラニチャールを召集することを決定。クラニチャールは既にA代表のレギュラーなわけですが、第1戦の前からクラニチャール召集論が上がっており、本人もプレーを希望しておりました。しかしクラニチャールは現U-21代表のチームではプレーしておらず、彼を入れることでチームコンセプトを変えなくてはならないことと予選を戦ってきたチームの一体感を崩すということでビリッチ監督は召集しなかったわけです。しかし、追い詰められた状況で頼りになるのは"クラニチャール"ということになりました。ビリッチ監督はまだ退院できず、アサノヴィッチが前試合で退場処分となったため、U-19代表監督のイヴァン・グルニャが指揮することとなりました。
スタメン(3-4-2-1)は、
GKヴラニッチ-DFチョルルカ、ヴクマン、ヴチュコ-MFペライッチ、ヴコイェヴィッチ、マルチッチ、バルトゥロヴィッチ-クラニチャール、モドリッチ-FWダ・シルヴァ

セルビア・モンテネグロはラゾヴィッチ、クラシッチ、ヴクチェヴィッチ、ヤンコヴィッチといった前試合で活躍した攻撃陣がサスペンションで欠場。スタメン(4-4-2)は以下のようでした。
GKストイコヴィッチ-DFイヴァノヴィッチ、ステパノフ、ビシェヴァッツ、ロミッチ-MFバスタ、トドロヴィッチ、ミリヤシュ、トリショヴィッチ-FWプロヴィッチ、ヴチニッチ

P1080903開始5分、CKからの続きで前線に残っていたDFチョルルカが、エリア手前から空中のボールをコントロールしてゴール前のダ・シルヴァへ。ダ・シルヴァはトラップしてから欺くようなシュートを決めてクロアチアが先制します。2-0の結果でクロアチアは本大会へと進めることから、積極的な攻撃の姿勢を 見せます。14分には右のモドリッチから左のダ・シルヴァへボールが渡り、左足で放ったシュートはバーの上に。17分、モドリッチとのダブル司令塔を組んだクラニチャールからのロングパスが、前線を疾走するワントップのダ・シルヴァに届きます。ダ・シルヴァはエリア内でボールをキープすると二人のマーカーの中央を絶妙のボールコントロールで抜き、GKと1対1の形を作ろうとした時にDFロミッチが抱えて倒すもののフランス人主審ドゥハメルは笛を吹かず(写真)。これがこの試合の転換点となりました。
21分、セルビア・モンテネグロはミリヤシュが右CKを蹴り、二アサイドのステパノフが足で合わせたボールは空中に高く浮かび上がります。これにGKヴラニッチは中途半端なポジショニングでパンチングすることなく、チョルルカがヘディングでクリアしたボールはフリーのビシェヴァッツに。ボレーシュートは密集をかいくぐってネットに突き刺して1-1となります。24分、モドリッチが左サイドを崩して中央のダ・シルヴァに折り返すと、アウトサイドにかけたシュートはGKストイコヴィッチが飛びついてクリアしました。

vranjic 後半からFWラキッチ、MFパパのカメン・イングラッドのホットラインを入れて2トップの形に戻します。49分にラキッチとのパス交換でモドリッチが8mの距離からシュートするも、DFビシェバッツがスライディングでクリア。55分にはダ・シルヴァが5mの距離からシュートしましたが、またしてGKストイコヴィッチがセーブします。ゴール前を固めたセルビア・モンテネグロを崩そうにも、GKストイコヴィッチが立ちはだかります。残り20分はリズムが落ちたクロアチアをセルビア・モンテネグロが攻め込みます。86分、ミリヤシュが放った何でもないFKをGKヴラニッチ(写真)がポロリと落とし、これをステパノフに押し込まれて万事休す。2-1でセルビア・モンテネグロが連勝し、本大会進出を決めました。

プレーオフの試合では健康問題で指揮を取れなかったスラヴェン・ビリッチ監督は辞職を表明したものの、協会の説得にあって態度を保留しております。

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2005年11月24日 (木)

親善試合「ポルトガルvs.クロアチア」

niko-cl 11月12日、コインブラで親善試合「ポルトガルvs.クロアチア」が行われました。ワールドカップ予選後で最初の親善試合となるこの試合に、私も取材コーディネートも兼ねてカメラマンとして訪れました。冷たい雨が昼から降りしきったことから観客の伸びはなく、7000人ほどの寂しいスタンドとなりました。また遠いポルトガルまで駆けつけるようなクロアチアのサポーターグループもありませんでした。

クロアチアは足の怪我のためにMFトゥドールが欠場。またFWクラスニッチも盲腸の手術のため欠場しました。代わりにイェルコ・レコとバラバンが起用。スタメン(3-4-1-2)は以下のようでした。
GKブティナ-(右から)DFトマス、コヴァチ弟、シムニッチ-MFスルナ、トゥドール、コヴァチ兄、バビッチ-クラニチャール-FWプルショ、バラバン
一方のポルトガルもデコ、マニーチェ、シマオ、ヌーノ・ヴァレンテが怪我。フィーゴが休養のため召集されず、アンドラーデはコンデション不良のため欠場。スタメン(4-2-3-1)は、
GKリカルド-DFミゲル、カルバージョ、フェルナンド・メイラ、カネイラ-MFペティ、コスティーニャ-クリスティアーノ・ロナウド、ティアゴ、ボア・モルテ-FWパウレタ
でした。

pol ワールドカップ予選とは違って守備でピリッとしまいクロアチア相手に、ポルトガルは速いボール回しとドリブルで仕掛けていきます。とりわけC.ロナウドのマークの受け渡しに戸惑い、何度もドリブルで切り裂かれる場面がありました。2分にはオフサイドで取り消されたものの、C.ロナウドからパウレタにスルーパスが通ってシュートの形を作られます。クロアチアはプルショがポストとなって攻撃の形を作ろうとしますが、カルバージョが最後の壁となって決定的な形を作れません。26分にトマスからのロングボールをバラバンが競り合い、こぼれたボールからプルショが右クロスを上げますが、左でフリーのバビッチはボレーで打ち切れず。32分、コヴァチ弟がC.ロナウドを倒して得た正面30mの直接FKを、ベンフィカ所属MFのペティが壁を巻いての強烈な弾道でゴール右上に叩き込んでポルトガルが先制します。クロアチアも34分にスルナの右クロスからクラニチャールがオーバーヘッドキックを試みるも空振り、また36分には右CKからのクリアボールをバラバンが叩きつけるもボールはクロスバーに弾かれます。1-0でポルトガルのリードで前半を終えました。

petit 後半頭から怪我をしたスルナとコヴァチ弟に代えてボシュニャクとトキッチを投入。主力6人を欠いたポルトガルも本調子ではなかったのですが、パスワークの点でもクロアチアより上でした。60分にはミゲルの右クロスからゴールの左手前にいたパウレタがトラップしてシュートチャンスを迎えますがボールは左ネットに。しかし65分にC.ロナウドがカウンターから右のスペースへ走りこんだパウレタへパスを通し、パウレタはエリア内でのトキッチとの一対一をあっさりと縦にかわしてから右足でシュートを放って追加点を決めます。終了間際にはボア・モルテの右クロスを受けた途中交代のヌーノ・ゴメスが対角線にシュートを放つもののボールは左ポストを逸れ、13本とクロアチアより8本多いシュートを放ったポルトガルが2-0と勝利しています。

[写真]
上:ニコ・クラニチャールとクリスティアーノ・ロナウド
中:先制点を喜ぶポルトガル・イレブン
下:ニコ・クラニチャールとペティ

試合後、クラニチャール監督は
「コインブラで不満と共に去るなんてことはない。親善試合とはいえ、この試合は手堅くまたクオリティのあるものだった。ポルトガルは自らのチャンスをしっかり決め、我々はチャンスを見放してしまった。残念ではあるが心配はしていない。私のビジョン、私の考え、私の頭の中で何も変えることはない。ただこの試合で、ある質問の回答は得られた。試合前にスコラーリ監督はこの試合から彼とチームは何かを学ぶだろうと語った。私と私のチームも同様だ。つまり、クロアチアも学んだということだね。」
とコメントを残しています。
felipon またポルトガルのフェリペ・ルイス・スコラーリ監督(写真)は
「同意するよ。この試合は両チームにとって、ワールドカップ予選で浮かび上がった全ての課題を間違いなく解決することとなるだろう。友好的な試合であることは紛れもないが、戦いの要素も充分に見られた。これからのドイツでの準備に向けて必要なあらゆるものを見ることができたよ。フィジカル的に力強い相手とどのようにプレーするか学べた点で私にとってもチームにとっても非常に重要な試合だった。」
と語っております。

11月8日、マルタでUEFA総会があり、2012年欧州選手権の開催国に関する投票がありました。その時点で残った5候補はイタリア、トルコ、ギリシャ、ポーランド&ウクライナに加えてクロアチア&ハンガリーであり、12人のUEFA委員の投票によって3候補に絞られたたわけですが、下馬評では低かったクロアチア&ハンガリーが2位に食い込み、来年12月8日の決戦投票に残ることになりました。
投票結果は以下のようです。
イタリア          11ポイント
クロアチア&ハンガリー 9ポイント
ポーランド&ウクライナ 7ポイント
トルコ            6ポイント
ギリシャ          2ポイント

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2005年11月16日 (水)

クラニチャール監督のインタビューが放映されます

kranjcarサッカーの取材コーディネート・通訳の仕事でしばらくザグレブを離れておりました。行き先はポルトガル。親善試合「ポルトガルvs.クロアチア」の前日に、クロアチア代表監督ズラトコ・クラニチャールにインタビューをするためです。番組はテレビ朝日の「報道ステーション」、放送日は11月17日ですので宜しかったらご覧になって下さい。

クラニチャール監督、実にフレンドリーで気さくな方でした。インタビューを「もう一度カメラ目線」で、とお願いした時には「俳優にならなくてはならないね」なんて冗談を飛ばしていました。ちょっと顔が赤かったのは前日に飲んじゃっていたからかもしれません(笑)
ポルトガル国内のコーディネートを担当してくれたwaniさんのブログ(http://blog.livedoor.jp/wanibenfica/)にポルトガルでの取材の模様が書かれております。またクロアチア取材の模様はこちらにあります。http://app.blog.livedoor.jp/wanibenfica/tb.cgi/50217355

次の仕事の準備があるため、代表の試合のレポートは今日中に書けるかどうか...。しばらくお待ち下さい。

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2005年11月 8日 (火)

クロアチア・リーグ第15節/移籍情報

11月7日、クロアチア・リーグ第15節が行われました。

jese 首位ディナモ・ザグレブはホームに最下位のインテル・ザプレシッチを迎えました。ディナモはダ・シルヴァ、チャゴ、ブリャトが累積警告で欠場。とりわけ現在得点王でアシスト王のダ・シルヴァが欠けたディナモは決定力のなさに苦しみます。ディナモが一方的に攻めますが、インテルは元ディナモのDFイェシェ(写真)や元セレッソのラデリッチを中心したディフェンスで凌ぎきります。53分にはトミッチの左CKからボスナールがヘディングシュートするもMFクケツがゴールラインでクリア、また修了間際にはマリッチが左サイドから持ち込んでシュートしますが外してしまい、スコアレスドローに終わっています。

ハイドゥク・スプリトはアウェーでメヂムリェと対戦。5分に左サイドからバルトゥロヴィッチがアーリークロスを入れると、ブラトニャクがフリーでヘディングシュートを決めてハイドゥクが先制。しかし早い先制からハイドゥクは追加点を奪おうという姿勢が見られず、消極的なプレーに終始します。68分、クリヴィッチの左クロスにFWクレシンゲールがヘディングシュートを決めてメヂムリェが追いつき、それからハイドゥクが猛攻を仕掛けるものの、終了近くにクラニチャールが二度に渡るチャンスを決められず1-1のドローに終わっています。

エルビス・スコーリア監督が辞任したリエカは後任としてアシスタントコーチのドラガン・スコチッチ氏を監督に昇格させました。最初の試合となるのはオシエク戦(国営放送で生中継)。オシエクのミラルドヴィッチに先制されるものの、今季最大の発見とされるパレスチナ系シリア人の血を引くFWシャルビーニが23分に背後からのボールをボレーシュートしてリエカが追いつくと、69分にはシャルビーニがミドルシュートを決めて逆転。ヴグリネツの追加点などもあり、リエカが4-1と勝利。連敗を3で止めて2位に浮上しました。

全試合の結果はこちら。

Dinamo Zagreb - Inter Zapresic 0:0

Cibalia Vinkovci - Varteks Varazdin 1:0
1:0 78' Prijic

Rijeka - Osijek 4:1
0:1 14' Milardvic
1:1 23' Sharbini
2:1 69' Sharbini
3:1 82' Vugrinec
4:1 84' Novakovic

Pula Staro Cesko - Slaven Belupo
1:0 48' Sehic

Medimurje - Hajduk Split 1:1
0:1  5' Blatnjak
1:1 68' Kresinger

Kamen Ingrad - Zagreb 1:2
0:1 48' Custic
0:2 51' Brkljaca
1:2 67' Tomic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点38)、2位…リエカ(27)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(25)、4位…カメン・イングラッド(22)、5位…ハイドゥク・スプリト(21)、6位…チバリア・ヴィンコヴチ(20)、7位…オシエク(20)、8位…メヂムリェ(19)、9位…ザグレブ(18)、10位…プーラ・スターロ・チェシュコ(15)、11位…インテル・ザプレシッチ(13)、12位…スラヴェン・ベルーポ(12)

【得点ランク】
1位…11得点 ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…9得点 ヨリッチ(ヴァルテクス)
3位…8得点 ラキッチ(カメン・イングラッド)、シャルビーニ(リエカ)
5位…7得点 ベンコ(ヴァルテクス)

【アシストランク】
1位…7アシスト ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…5アシスト ミトゥ(ディナモ)、シャリッチ(リエカ)

klasnic 12日に親善試合のポルトガル戦を控えたクロアチア代表ですが、欠場する選手が出てきています。FWイヴァン・クラスニッチ(写真)は盲腸炎の手術を終えたばかりのため欠場、またMFイゴール・トゥドールは鼠蹊部を痛め、MFアンソニー・シェーリッチも先のチャンピオンズリーグで足を怪我してしまって欠場です。クラニチャール監督はシェーリッチの代わりとしてヘーレンフェーンのMFダニエル・プラニッチを代替召集しております。
一方でポルトガルも怪我などを理由にデコ、フィーゴ、マニーチェ、ヌーノ・ヴァレンテ、ウーゴ・ヴィアナといった主力が欠場だそうです。

バイエルン・ミュンヘンがシャフタール・ドネツク所属の代表MFダリヨ・スルナに関心を示しています。先のUEFAカップのシュトゥットガルトvs.シャフタール戦も視察しており、来夏にボスマン移籍でチームを去るサニョールに代わる右MF/DFとして期待を寄せているそうです。これまでリヴァプール、エバートン、ヴォルフスブルグが正式なオファーをシャフタールに送っており、リヴァプールは350万ユーロを提示したものの、シャフタールはこれを拒否し、スルナにこれまでの条件を2倍にした契約の延長を勧めております。

またハイドゥク・スプリト所属の代表MFニコ・クラニチャールの移籍先も様々なクラブの名前が挙がっています。バイエルン、トットナム、ローマなどが関心を示していると報じられ、750万ユーロを払う準備が出来ているというリヨンは、先のメヂムリェ戦でスポーツ・ディレクターのベルナール・ラコンブ氏を派遣。ただラコンブ氏は
「新聞はリヨンが触手を伸ばす選手の移籍に関してあれやこれやと書くが、新聞が書いているように関心ある全ての選手を獲得したとしたら、チームは20人ではなく70人ものプロ選手を抱えてしまう。それだけの選手は持つことはできないよね」
とコメントしております。

他の移籍話としては、ディナモの代表FWダ・シルヴァにフェネルバフチェが650万ユーロ、アストン・ヴィラが600万ユーロ、ボルトンが500万ユーロのオファーを提示。また代表MF/FWイヴァン・ボシュニャクにPSGが350万ユーロ、クラブ・ブルージュが250万ユーロのオファーがあるとされ、U-21代表DFヴェドラン・チョルルカにはマルセイユが200万ユーロの提示をしているそうです。ただ来季のヨーロッパ戦を据えたディナモは誰も売らない方針を持っています。

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2005年11月 7日 (月)

オシム、ナビスコ・カップ制覇直後のインタビュー

osim 11月5日のナビスコ・カップ決勝でガンバをPK戦で下し、日本での初タイトルを得た制したジェフ千葉のイヴィツァ・オシム監督(写真)ですが、クロアチアのスポーツ紙Sportske Novostiは試合が終わった直後でまだチームが優勝を祝っているところのオシム監督に電話インタビューを入れてます。その記事が11月6日の同紙に掲載されたので翻訳紹介します。

「PK戦になる前に我々が試合を決着することもできた。激しい戦いの中で我々は相手を走力で上回り、速いテンポで相手を潰し、手の中で操っていた。しかし最後は全てが(PKという)博打まで持ち込まれてしまった。」

-ナビスコ・カップはリーグカップだが、この優勝は日本でどれだけ価値があるものなのか?
「100万ドルの価値があるよ。つまり、勝利者にはそれだけのお金が入るということだ。」

-どれだけ関心が持たれているものなのか?
「決勝は中立地の東京で行われた。我々ジェフには8000人のサポーターが、ガンバ大阪には15000人のサポーターがやってきた。5万人収容のスタジアムは最上階まで満員となった。つまり27000人の中立なサポーターがやってきたというわけだ。リーグカップは日本で価値があるものだが、この決勝の関心ぶりが非日常的なものというわけではない。なぜなら日本人はサッカーを愛しているからね。お互いが攻め、戦術的にも退廃してないサッカーがとりわけ日本ではまだ行われるよ。」

-日本人はどのように祝っている?
「他の国と全てがまったく同じというわけではないね。喜びはあるが、それも非常に礼儀にかなっている。サポーターは試合後に我々のところへとやってきて、選手達と共にトロフィーの喜びを分かち合った。選手達の大きな満足ぶりを観察するのも興味深いよ。彼らはトロフィーを手にし、頂点に到達するためこれまでやってきた全てのことに価値があったことを証明しているね。」

-一つの頂点に立ったが、リーグ戦でも悪くない位置にいる。首位ガンバとは5節残して勝点5の差があるわけだが。
「その差は大きいよ。我々にも(優勝の)チャンスがあったが、それを手放してしまった。ガンバは間違いなく勝ち続けることだろう。そう、クロアチアに関しては何も聞かないのかね?」

-もちろん聞くつもりだが。
「まずはワールドカップの本大会を決めた全ての代表に対しては、床まで帽子を外して敬礼しなくてはならない。ビッグな本大会までやって来れた国だけが生き延び、他の敗退国は役に立たないスクラップにすぎない。まさに人生をかけた戦いだよ。クロアチアはワールドカップ出場を決め、クラニチャール監督は本大会までは少なくとも平穏があることだろう。そして欧州選手権の予選へと続く。ワールドカップでどのようになろうか関係なく、少なくとも2年間は本大会に出場したという事実と結果がサッカーをその国に引き止めることとなる。だから出場する国々には尊敬する必要があるのだよ。」

オシムは予選のクロアチアの全ての試合を見て、こう結論づけている。
「クロアチアは素晴らしいディフェンス力を持っている。ロベルト・コヴァチ、トゥドール、シムニッチ、トマスの布陣はどれだけ強い相手を迎えても耐えることは出来るたろう。」

オシムはクロアチア・サッカーに関しては全てをフォローしている。
「(昨季にカップを制し、今季もリーグ3位でありながらリエカの監督を辞任した)エルビス・スコーリア(34歳)を気の毒に思う。1年半の間、人々は彼を賞賛してきたにもかかわらず、監督の地位を代えさせられてしまった。教訓は明らかだ。人々が賞賛している時がもっとも危険である。もし賞賛されたら、直ぐに(チームから)逃げるべきだね。」

-この冬にヨーロッパに戻るつもりか? オーストリア・ウィーンが真剣に貴方を呼んでいる。
「ああ、その話に関してオシムは単なるかこつけに過ぎないよ。別の誰かが来ることだろう。」

-しかし貴方をウィーンに迎えるよう説得するために、フランツ・ブラニツキー元オーストリア首相まで登場すると聞いているが。
「フランツ・ブラニツキーは素晴らしい人物だし、彼が首相だった時も私とは素晴らしい関係を持っていた。しかし、それから更に一歩足を進めるつもりはないね。」

話が前後しますが、4日の新聞ではオーストリア・ウィーンがオシム招聘に関心を示していると報じています。現在はリーグ2位であるものの、リーグ一の戦力を持つオーストリア・ウィーンは現在の監督に不満を持っており、候補に挙がっているのがオシムと現ギリシャ代表監督のオットー・レーハーゲルの二人です。
オーストリアの新聞は「オシムがやってくる」「既にオーストリア・ウィーンの代表団が日本の彼のもとに訪れた」「この冬に監督職を引き受けることに合意している」「マンチェスター・ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督のようなマネージャー職になる」「彼の息子がウィーンに住んでいることから、ウィーンに来る目的がある」「オシムは近い友人に、ウィーンに来ると断言している」などと書きたてているそうです。

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2005年11月 3日 (木)

ポルトガル戦のクロアチア代表メンバー発表

cico 2日、クロアチア・サッカー協会で記者会見が行われ、ポルトガルとの親善試合(11月12日・コインブラ)の代表メンバー20名が発表されました。第3GKのディドゥリッツァと、U-21代表のダ・シルヴァが外れた以外は固定メンバーであります。
記者会見でズラトコ・クラニチャール監督(写真)は
「この試合は重要なテストとなるだろう。なぜなら我々は4-2-3-1のフォーメーションでプレーする代表とまだ対戦したことがないからだ。最強の布陣で我々は挑むために、プルショも召集してFW起用する。(膝の悪いため無理はできないが)プルショは試合に出られることを喜んでいると聞いている」
とコメントをしております。代表メンバーは以下のようです。

GK:
Tomislav Butina(Club Brugge), Stipe Pletikosa(Hajduk)
DF:
Robert Kovac(Juventus), Josip Simunic (Hertha Berlin), Stjepan Tomas(Galatasaray), Mario Tokic(Austria Wien), Dario Simic(Milan)
MF:
Niko Kovac(Hertha Berlin), Darijo Srna(Sahtar Donjecek), Igor Tudor(Siena), Ante Seric(Panathinaikos), Marko Babic(Bayer Leverkusen), Jerko Leko (Dynamo Kijev), Ivan Leko(Club Brugge), Niko Kranjcar(Hajduk), Jurica Vranjec(Werder Bremen)
FW:
Dado Prso(Glasgow Rangers), Ivan Klasnic(Werder Bremen), Bosko Balaban(Club Brugge), Ivan Bosnjak(Dinamo)

また上の選手に怪我があった場合に追加召集される選手は、GKジョエイ・ディドリツァ(オーストリア・ウィーン)、FWマリオ・バジーナ(グラーツAK)、MFダニエル・プラニッチ(ヘーレンフェーン)、FWムラデン・ペトリッチ(バーゼル)となっています。

asanoまた11月12日(ベオグラード)と16日(ベリカ・ゴリツァ)でセルビア・モンテネグロU-21代表とU-21欧州選手権プレーオフで対戦するクロアチアU-21代表メンバーも発表されています。現在、スラヴェン・ビリッチ監督がヘルニアの手術のため入院しており、アシスタントコーチのアリョーシャ・アサノヴィッチ(写真)がメンバーを発表しました。

GK:
Tomislav Vranjic(Varteks), Velimir Radman(Rijeka), Filip Loncaric(Dinamo)
DF:
Dario Bodrusic(Slaven), Luka Vucko(Hajduk), Vedran Corluka(Dinamo), Neven Vukman(Varteks), Ivica Vrdoljak(Zagreb), Hrvoje Cale (Dinamo)
MF
Mladen Pelaic(Zagreb), Goran Mujanovic(Lierse), Ante Tomic(Dinamo), Ognjen Vukojevic(Lierse), Filip Marcic(Hajduk), Mario Grgurovic(Hajduk), Luka Modric(Dinamo), Mladen Bartulovic(Hajduk)
FW:
Leon Benko(Varteks), Josip Tadi(Bayer Leverkusen), Karlo Primorac(Osijek), Tomislav Bucic(Hajduk), Eduardo da Silva(Dinamo) i Srdan Lakic(Kamen Ingrad)
補欠:
Tomislav Labudovic(Zagreb), Hrvoje Custic(Zagreb), Mario Brkljaca(Zagreb), Marko Maric(Egaleo), Stiven Rivic(Pula), Drago Papa(Kamen Ingrad)

所要で私もこの記者会見に出席したのですが、ジャーナリストと友好的なクラニチャール監督の姿が印象的でした。しかし、身近で見たアサノヴィッチは普通のオッサンにしか見えませんでした。日本にも「アサノ」さんがいっぱいいますよ、なんてネタで話しかけようと思いましたが、やっぱり恥ずかしいからやめました(苦笑)

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