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2005年12月31日 (土)

ご挨拶

2005年も今日で終わります。「クロアチア・サッカーニュース」ならびに「クロアチアに行こう!!」に訪れて頂いた皆様に感謝致します。一年間どうも有難うございました。
来年はワールドカップ・イヤーということで、ますますクロアチアがクローズアップされると思いますが、マイナーなこの国のサッカー事情が世に広まるならば嬉しく思います。

ワールドカップで日本とクロアチアの対戦が決まった時、私は非常に複雑な感情を覚えました。海外生活が4年となり、日本人としてのアイデンティティ、そして愛国心に既に目覚めているからです。"日本人としての誇り"なくして海外生活などやっていけません。クロアチアでは日本、そして日本人は尊敬される存在です。このような印象を持ってもらえるのも日本を築いた先人達のお陰だと思っております。
もちろん10年近くに渡って追ってきたクロアチア・サッカーへの愛着もあります。しかし8年前のフランス・ワールドカップのようなクロアチアへの感情移入はできない状況です。

また抽選会のあと直ぐに心配していたのは、このブログが心無い人達によって荒らされてしまうのではないかということでした。しかしながら、これまで一度も荒らされることがなかったことが本当に嬉しく、皆様に感謝致します。

なるべくニュートラルな立場でクロアチア・サッカー事情を引き続き、このページでお伝えしていきます。2006年も何卒宜しくお願いします。ワールドカップを楽しみましょう!

p.s.
2006年1月1日にテレビ朝日系列で放映される『お正月やべっちSP ~祝 W杯イヤー!日本代表“超”応援宣言~』にVTR出演します。宜しかったらご覧になって下さい。

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このように煽り記事は一人歩きします:続編

早速、Sportske Novosti紙から働く友人からズラトコ・クラニチャール監督の記事を取り寄せることに成功しました。この記事は12月27日の2面と3面(それぞれ写真)に掲載されています。ちなみに見出しは「イタリアを越えて準々決勝へ(Preko Italije u cetvrtfinale na SP)」です。

結論からいえば、クラニチャール監督は"韓国は日本より良い"とは言っています。ただ、インタビューの前後を読まなくてはなりません。ここだけ取り上げてはアンフェアでしょう。ですからここで全インタビューを掲載します。

1dio 2dio 

「祝日をザグレブで過ごし、それからスリイェメ山で休養するよ」
-これが最近のズラトコ・クラニチャールのシナリオだ。
「家族と過ごすのが最高だね。冬休みに関していえば、イタリアの温泉で過ごすことは諦めたよ。私にとってはトミスラヴァッツ(スリイェメ山のホテル)でも何一つ不満はないからね。ウィーン滞在中に突然ウィルスにやられてしまったため、血色と失った3kgを取り戻すことが私には大事だよ。」-A代表監督は語る。

-チィツォ(クラニチャールの愛称)は3月1日にバーゼルでのアルゼンチンとの親善試合がまとまったことに興奮し、また6月7日にはパリでフランスと対戦する可能性もある(これは話が消滅)。多くの人が対戦相手の力を恐れるかもしれないわけだが。
「クロアチアも強くないというのかね? 私は何も恐れていない。逆にこの試合で我々がどの位置にして、どれぐらいなのか示すことが出来るだろう。特別なモチベーションをもってその試合に挑むものと私は確信している。11人だけが出場するわけではなく、私も対戦相手の監督も選手を替えるだろう。結果は重要ではない。ワールドカップにおいてどう挑むかが、もっと重要なことだ。」

-もしかしたらバーゼルにビロシュ(※)も出場するのでは?
(ルベン・ビロシュ…ボカ・ジュニオルスに所属。クロアチアの移民3世で長きに渡ってクロアチア・サッカー協会が代表に召集したものの、先日にアルゼンチン代表に召集されたFW/MF)
「それは私の最大関心事ではない。私は彼を望んでいたが、彼はアルゼンチンを選択した。したがって我々にとっては終わった話だ。残念だけどね。ビロシュにとらわれることはない。クレスポ、リケルメ、メッシー、サネッティ....などもね。(アルゼンチンとは)素晴らしい試合になることを信じているし、私の選手にとっても挑戦となるだろう。非常に似たサッカーを我々はやるね。タフな上に戦術はスマートだ。アルゼンチンは我々を評価しているし、もしかしたらワールドカップでセルビア・モンテネグロと対戦する彼らにとって我々は重要な存在かもしれない。」

-フランスはブラジルとのビッグマッチ前の最後のテストとなるのか?
「フランス相手にプレーで上回れば、5度の世界王者(ブラジル)に準備できたことになるだろう。とはいえ、ブラジルではスプリトで親善試合で対戦した90分間が有益なはずだ。勝点を争う戦いと親善試合に違いがあることは解っているし、ブラジルが今大会の本命であることも意識している。それでもセンセーショナルはいつも可能だ。ベルリンでのブラジルとの対決が引き分けなら素晴らしいだろう。6月18日のニュルンベルグとの日本戦が左右することは全くもって明らかだ。」

-もしバーゼル(アルゼンチン戦)とパリ(フランス戦)がイバラの道を裸足で通るようなこととなったら?
「喜んでそのようなリスクを受け入れるつもりだ。ホームの親善試合でルクセンブルグを倒したところで、そこから何が得られるというのかい? 対決が我々にインスピレーションをもたらすだろうし、選手達はモチベーションを持って最大限の力を発揮しようとすることは間違いない。リスペクトは存在するが恐れはない。リスペクトはお互いにあっても、リスペクトに我々がとらわれることはない。手頃な結果が我々に自信を満たすことととなるだろう。最大の危険は、失敗で選手が揺らぐ以上に、成功することで選手が自惚れてしまうことだ。もし二試合とも負けたとしてもフラストレーションの理由とはならないだろう。選手達は証明されたプロフェッナルだし、どんなショックにも耐えることができるよ。」

-先立って1月29日と2月1日に新ヴァトレニ(クロアチア代表)が香港に出場する。メンバーは"カラフル"となるのか?
「レギュラーメンバーの全てを招集したが、ドイツ、イタリア、ベルギー、スコットランドでプレーする選手達抜きで遠征にいかなくてならないことは予想していた。だからウクライナ、オーストリア、そしてとりわけクロアチアでメンバーを構成する方針にある。組み合わせに関係なく、私は責任から逃れるつもりはない。充分な力を見せつけるつもりだ。」

-韓国はたやすく一飲みできない相手か?
「もちろん。我々の親愛なる日本人を侮辱するわけではないが、韓国は日本よりも良い。」

-クジェ(現ディナモ・ザグレブ監督、元ガンバ大阪監督)は、香港遠征がディナモの(シーズン再開の)準備を壊してしまうものだと批判している。
「もちろん感傷などはなく、ディナモとハイドゥクから中心選手を連れて行くつもりだ。代表選手を持つことがクラブにとっても喜ぶべきである。(遠征の)5日間で何かを失うという考えは正しくない。得るものばかりで、クラブにももたらすような刺激と活気で選手が満たされることだろう。」

-誰が監督にとって今年の最優秀選手か?
「プルショかスルナだ。ダド(プルショ)は代表とグラスゴー・レンジャースで輝いた。ダリヨ(スルナ)はワールドカップ予選で秀でていた。」

-ドイツ大会の代表候補30名を定めることをまたして否定した。
「計画はしているものの、まだ何も定まっていない。私は名前を挙げるつもりはないから、貴方たちメディアで名前を挙げてくれ....。」

-ワールドカップの目標は何? ベスト16入りか?
「もちろん。そうなったら良いだろうが、非常に良いというわけではないね。」

-非常に良いというのは準々決勝進出か?
「そうだ。イタリアが(一回戦で)対戦相手になって欲しい。例えばチェコと比べればイタリアはより手頃な相手だ。」

-(マリヤン・)ヴラクはスロバキアのチームに行ったが、彼は偵察役を続けるのか?
「そう希望しているよ。」

-デュッセルドルフで行われたチャリティ・マッチにおけるスルナとニコ・クラニチャールの活躍に満足しているのか?
「スルナは素晴らしかったし、クラニチャールはソリッドだったね。」

バッド・ブリュケナウでのキャンプ地は素晴らしいと聞いているが。
「(第一候補の)ヴェレンを越えるのは難しいが、バッド・ブリュケナウも充分だ。ニュルンベルグ(日本戦)とシュトゥットガルト(オーストラリア戦)はバスで移動することができる。もう私は楽しんでいるよ。2006年はファンタスティックな年になる!」
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現在、香港でのカールスバーグ・カップの遠征にディナモ・ザグレブとハイドゥク・スプリトが選手を代表に放出することに反対しています。西欧でプレーする選手が拘束できない以上、クロアチア国内に派遣する選手を求めなくてはなりません。クラニチャール監督が既に23人の代表メンバーすら固定している状況で、スペインとトルコでの合宿でチームを強化したいディナモは本大会に呼ばれないメンバーまで遠征に送ることは"チーム作りを壊すことになる"と否定的。とりわけディナモのマミッチ副会長とクラニチャール監督は犬猿の仲にあります。またハイドゥクは既に代表メンバー入りが確定しているニコ・クラニチャールを送る必要はないとの姿勢です(GKのレギュラー争いをするプレティコサは送る方向)。

香港遠征は金が欲しさでクロアチア・サッカー協会が決めたものですが、現在は非協力的な国内クラブvs.クロアチア・サッカー協会の対立が一大テーマになっています。香港遠征の軽視論が渦巻く中、最初の対戦相手となる韓国をクラニチャール監督は「韓国は弱い相手だから遠征は重要ではない」と言える立場ではありません。ついつい強気になって日本を引き合いに出したと思われますが、もしかしたら日本と韓国の対立感情は理解してなかったのかもしれませんね。ただ日本のマスコミとしては前後関係や事情に関係なくこの一文だけを取り上げれば、一連の"日本を舐めたクロアチア"の格好のネタとなってしまいます。これは世論誘導でしょう。
現在「オシムの言葉」を読んでいるのですが、「新聞記者は戦争を始めることができる。意図を持てば世の中を危険な方向に導けるのだから。ユーゴの戦争だってそこから始まった部分がある」というオシムの言葉があります。私も報知スポーツのクロアチアを担当することになりましたが、文章は"てにをは"一つとってもニュアンスを変えることができてしまうため、訳一つでも細心の注意を払いたいと思っております。

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2005年12月29日 (木)

このように煽り記事は一人歩きします

クロアチアのニュース・サイト"Index.hr"に「クラニチャール監督(愛称Cico)が"日本が韓国"より弱いと言ったことで日本人が怒っている」という見出しで記事が掲載されています。
http://www.index.hr/clanak.aspx?id=298453

Index.hrは朝鮮日報(!?)からのソースで記事を作成しており、このように記しています(直訳です)。
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クロアチア代表監督ズラトコ・クラニチャールは大阪のスポーツニッポン紙に"韓国代表は日本代表よりもずっと良い"というコメントが掲載されたため、日本のジャーナリストとサッカーファンを怒らせてしまった。日本とクロアチアは2006年ワールドカップで対戦する。

ポータルサイト"chosun.com"(朝鮮日報)によると、クラニチャールはスポーツニッポン紙に"日本人を逆なでしたくはないが、韓国人の技術は日本人のそれよりも素晴らしいのは本当だ"と言った。スポーツニッポン紙はクラニチャールのインタビューを"日本は韓国より格下だ"と報じた。

Chosun.comはクロアチアのことをヨーロッパで最も強いチームの一つであり、抽選の結果、グループFでブラジル、オーストラリア、日本と同組となったと語った。サイト(朝鮮日報)では、クラニチャール監督が抽選会のあと大きな問題なく日本とオーストラリアを倒す必要があると断言したことに触れている。

サイト(朝鮮日報)はクロアチアの主将ニコ・コヴァチのコメントを引用しており、"我々にとって日本戦は得点差を稼ぐための試合となるだろう"と断言したと書いている。(Index.hrはコヴァチがこのようなコメントをしたことを全く覚えてないと注記)

テキストの中ではイラン代表監督であるクロアチア人ブランコ・イヴァンコヴィッチの"ワールドカップで同国人を助ける"との言葉も引用している。イヴァンコヴィッチはイラン対日本戦のクラニチャールに試合録画を送り、日本に対して最良の戦い方を教えるだろうと書いている。

日本とクロアチアの心理戦は既に始まった、とChosun.comは結論づけている。」
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ちなみにスポーツニッポンの記事はこちら。
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2005/12/28/10.html
荒れた2chのページはこちら。
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1135720053/
朝鮮日報の記事はこちら。
http://english.chosun.com/w21data/html/news/200512/200512280006.html

現在私は日本に帰省しているため、普段から愛読しているSportske Novosti紙に目が通せません。既にIndex.hrの記事になる前にスポーツニッポン紙の記事を知り、疑いを持った私は発言と訳が本物なのか、友人であるSportske Novosti紙のカメラマンに本文を問い合わせているところです。
クラニチャール監督とは面識がありますが、彼は「日本は韓国より下」と口にするようなタイプではなく、明らかに日本のスポーツ紙が記事内容を面白くするために拡大解釈、もしくは煽っている魂胆が見えます。ちなみに私はスポーツニッポンからあった通信員の申し出を断っています。
抽選が決まってからこのような"クロアチアが日本を舐めている"ような記事を目にしますが、日本人の読者に届くまでにフィルターが掛かっていることを理解して頂ければ幸いです。煽られて怒っている日本人を傍目に韓国を持ち上げられたことにご満悦で、更に勝手な解釈しているオトボケ朝鮮日報に関してはノーコメントです(苦笑)

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親善試合情報/ラデリッチ、ハイドゥクへ

carlsbergcup2006クロアチア代表の2006年の親善試合の日程を。
クロアチアは1月29日~2月1日まで香港で開催されるカールスバーグ・カップに出場します。参加国はホスト国の香港、クロアチアのほか韓国とデンマークです。
1月29日にクロアチアvs.韓国、香港vs.デンマークで初戦が行われ、2月1日にそれぞれの勝者による決勝戦と、敗者による3位決定戦が行われます。この時期は国際マッチデイではなく、西側の欧州リーグでプレーする選手はクラブが放出しないだけでなく、国内リーグのクラブも選手提供に非協力的なため、クラニチャール監督はチーム作りに四苦八苦することになりそうです。

また3月1日にはスイスのバーゼルで、アルゼンチンとの親善試合が行われます。
あと5月21日にはオーストリア戦、5月28日にはルーマニア戦も予定されています。

Ladiric 2004年にセレッソ大阪でプレーし、昨年はインテル・ザプレシッチでプレーしたDFイヴァン・ラデリッチ(写真・25)が2006年よりハイドゥク・スプリトに移籍することが決まりました。ラデリッチは1999~2003年までハイドゥクに籍を置いており(1年シベニクにレンタル)、彼にとっては古巣に戻ることとなります。既にインテルとの契約も切れており、移籍金は発生しません。
ハイドゥクは同じく補強選手として元サンフレッツェ広島のFWトミスラフ・エルツェグ(34)と合意に至り、エルツェグは所属するドイツ2部Greuther Fuerthaとの契約解除の話し合いに向かっています。すんなりいけば1月5日からのハイドゥクの始動から参加することとなります。
ハイドゥクのグルギッチ会長は
「リベロとFWが今季最も問題だった二つのポジションだったが、この二人の選手が加入することで強化できた。ラデリッチがディフェンスに加わることでスピードとクオリティを得ることになると確信している。彼は我々のユース出身の選手であり、経験と質を伴ってチームへと戻ってきた。
エルツェグの復帰がどれだけ我々に意味があるか説明する必要はないだろう。エルツェグは証明されたストライカーであるし、彼の経験というものは若いFW陣に大きな貢献を果たすだろう。彼はキャリアの最後にゴールを決めるだけでなく、ブシッチやマカリン、カリニッチといった若い選手達のポテンシャルを発展させることを助ける準備が出来ているはずだ。」
とコメントしています。
インテルはラデリッチを失う代わりに、ザグレブでプレーするベテランのリベロ、スティペ・ブルナスを引き戻す予定です。

ディナモ・ザグレブを戦力外となった前U-21代表FWゴラン・リュボイェヴィッチ(22)が残りのシーズンを古巣のオシエクでプレーすることとなりました。代理人のダンコ・ジキッチ氏が移籍先を探し、一時は移籍金40万ユーロでハンブルガーSVとの契約が濃厚とされましたが結局はまとまらず、最終的にはオシエクへと戻ることとなりました。

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2005年12月21日 (水)

ここ最近のニュース

ognjen ディナモ・ザグレブはコロンビア代表FWウーゴ・ロダジェガ(20)の獲得を発表してましたが、ロダジェガの渡航予定前日に話が破綻してしまいました。移籍金150万ユーロとされるクロアチア・リーグ史上過去最高の移籍は、クラブ間では合意していたものの、ロダジェガ本人にはまったく知らされておらず、本人が拒否してしまいました。デポルティーボ・カリに所属するロダジェガは今年のU-20南米選手権で11ゴールで得点王となり、決勝のブラジル戦でも得点を決めてチームを優勝に導いた選手であり、今年の南米最優秀若手選手をアルゼンチンのメッシー(バルセロナ)を差し置いて受賞したという逸材でした。
その代わり、ディナモはベルギーのリエーセからクロアチアU-21代表MFオグニェン・ヴコイェヴィッチ(22歳・写真)を獲得しておます。契約は2011年までで背番号は20。この夏、スラヴェン・ベルーポからリエーセに移籍したものの、リエーセの財政状況が苦しいために放出が決定。ディナモとハイドゥクの間で争われた上に、ディナモが獲得に成功しました。ポジションはボランチで、U-21欧州選手権予選ではクロアチアのレギュラーでありました。

ディナモ・ザグレブに所属するFW/MFイヴァン・ボシュニャクに対して、イングランドのウェストハムとポーツマスが関心を示しています。ディナモ側が希望する移籍金は300万ユーロであるのですが、価格を200万ユーロに下げる準備も出来ているとされ、ある筋からは既に話に合意していると報じられています。

dovorana 12月、クロアチア一部リーグ12チームが参加して初めての室内サッカー選手権が行われました。8日と9日が二組に分かれての予選、そしてそれぞれの上位3チームが18日と19日に総当りで戦いました。
電話会社のT-COMがスポンサーとなり、遠くからのチームにもザグレブでの滞在費を負担。また優勝チームにはユース育成目的で20万クーナ(約400万円)が送られるというもの。しかしハイドゥクなどは主力を送り込まず予選で敗退することになりました。
結果はザグレブが3勝1敗1分で優勝。2位は勝点と得失点差でザグレブと並んだものの、得点数で2点低かったインテル・ザプレシッチ。そして3位はザグレブに唯一土をつけたディナモ・ザグレブが入りました。最優秀選手にはザグレブのFWマリオ・マンジュキッチ、得点王にはスラヴェン・ベルーポのボヤン・ヴルチーナ(8点)が輝いています。

また室内サッカー選手権の会場でクロアチア・リーグの準決勝の組み合わせが決まりました。
ハイドゥク・スプリト-リエカ
ヴァルテクス・ヴァラジディン-カメン・イングラッド
初戦は3月29日、第2戦は4月5日を予定しています。

ハイドゥク・スプリトの新たな戦力としてFWのトミスラフ・エルチェグ(34)が復帰することが決まりました。サンフレッチェ広島でもプレーしたエルチェグは17クラブ、8ヶ国を渡り歩き、またハイドゥクへの復帰は実に6度目。今季はドイツ2部のGreuther Furthに所属しており、監督からの引き留めもあったのですが、キャリアの最後を最愛のクラブで過ごすことに決めたそうです。
またハイドゥクはインテル・ザプレシッチ所属で元セレッソ大阪のDFイヴァン・ラデリッチ(25)を獲得する方向にあります。ラデリッチはインテルとの契約が切れ、現在はハイドゥクとベルギー・リーグのリエーセからオファーがあるとのことです。

NKザグレブの新監督にスロベニア人のミロシュ・ルス氏(43)が就任することとなりました。契約は4年間です。18節終了後にミレ・ペトコヴィッチが監督を辞任したことで後任を探していたのですが、クロアチア人ではスロベニア人に白羽の矢を立てました。クロアチア・リーグでは初のスロベニア人監督となります。ルス氏はこれまでスロベニアのU-19代表監督を務めており、オーストリアや日本でも働いた経験があるそうです。

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2005年12月17日 (土)

クラニチャール監督の日本メディアへの応答

cico 15日にクロアチア・サッカー協会で定例の記者会見がありました。
ワールドカップ抽選会後、イタリアの温泉で休暇を取っていたズラトコ・クラニチャール代表監督も記者会見に参加。会見には日本メディアが多く押し寄せ、彼への質問が飛び交いました。ある新聞では「日本人がサッカー協会を占領した」との見出しをつけたほどです。

日本の報道陣を前にしたクラニチャールの質問の遣り取りを紹介すると、

-日本代表に関してはどう考えているのか?
「日本とオーストラリアはグループリーグ2位のポジションを戦う世界的な対戦相手として充分に評価している。1位のポジションはブラジルに予約されたと予想されているからね。私は誰も過小評価してないし、(自分の)クロアチアさえも過小評価していない。クロアチアが決勝トーナメントへ進むと希望する"権利"を私は持っているよ。
もちろん日本も決勝トーナメントへ勝ち進むクオリティを持っているから、(我々が脱落したとしても)ショックではない。ワールドカップの出場を勝ち取ったことが日本のクオリティを充分に示しているよ。日本と二度戦ったイランのイヴァンコヴィッチ監督の情報を利用することになるだろう。ジーコの選手達は素早く、スタミナがあり、テクニックを備えていることは知っている。また外国人監督が率いるようになってから戦術的にも進歩している。」

-日本とオーストラリアのどちらがクロアチアにとって危険か?
「同様に非常に危険だ。クロアチアの調子が悪かったらならば、更に危険となるだろう。とはいえ、予選を通して戦ってきた私の選手達は本大会でも大丈夫だと分かっている。潜在する危険性は自分達の内側だけにあるだろう。我々はスプリトでブラジルとも拮抗した戦いをしたし(1-1)、日本とオーストリアを恐れる必要はない。サッカーはしばしば弱いチームが強いチームに勝つのは本当だ。しかし我々はその弱いチームの方ではないし、"時々"ではなく"頻繁"に勝利をしているからね。」

-現在、誰が日本では最高のサッカー選手か?
「今まではさほど日本選手を追っていなかった。1月までに彼らを調べることになるだろう。中田は尊敬している。まだ彼は代表チームだよね? ディナモでプレーした三浦は覚えているけど...。」

-貴方を満足させるワールドカップの結果は?
「決勝進出だよ! でもまずはグループリーグを突破しなくてはならない。」

クラニチャール監督は楽観視した発言をしばしばしますが、これは選手への心理面への効果を与えるためであります。同じく楽観主義者で選手のモチベーションを上げるのを得意としたブラジェヴィッチ元代表監督と相通じるところがありますが、実際のクラニチャール監督はスタッフらとともに綿密に計画を練るタイプであります。しかしながら、クリスマスと年末年始は家族と水入らずの生活を送るそうですよ。

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2005年12月15日 (木)

トミスラフ・マリッチのインタビュー

前回のパナディッチに続き、Jリーグにちなんだ選手のインタビューを紹介しましょう。

Tomy 12日付のJutarnji-list紙には浦和レッズの元代表FWトミスラフ・マリッチ(写真・左)のインタビューが掲載されていました。彼はユーロ2004予選でレギュラーを張っていた時期もありましたが、2003年の原因不明の呼吸困難を患って以来、代表から離れてしまいました。ドイツ生まれということもあって、彼にとっても特別なワールドカップのようです。

-日本代表について
「日本代表はテクニックが素晴らしく、体力的にも非常にスタミナがある。守備は堅く、攻撃も妥協しない。ジーコが率いた試合としてはアンゴラ戦(1-0)とイラン戦(2-1)を見たことがあり、チームにはソリッドな印象を抱いた。ところが日本を恐れる必要性はない。もし我々が自信を持って試合に挑むならば、日本から勝利を期待するのは現実的なことだ。いばり散らすことをしなければ、結果はついてくるだろう。」

-日本代表に足らないことは何だと見ている?
「彼らの欠点について思い違いをしてはならない。日本は10年前のように戦術的にナイーブなチームではないね。とはいえ、彼らは試合の終盤になると集中力が失せてきて、随分とゴールの機会が出てくることが言えるかもしれない。日本の選手は一対一の時でも、よりアグレッシブとなった方が賢明だろう。」

-どの日本代表選手を注目している?
「私は日本のミッドフィルダーの選手達が気に入っているよ。とりわけセルティックに加入した中村俊輔だ。それから鹿嶋アントラーズの小笠原満男もね。」

-日本国籍を取得した三都主アレサンドロについては?
「私と一緒に浦和でプレーしており、彼は間違いなくワールドカップへと行くことだろう。またチームメートの一人であるDFの坪井も同じくね。」

-日本の滞在中に貴方はジーコと知り合ったのか?
「今まで彼と会う機会なんてなかったよ。」

-クラブでのステータスは?
「まもなく6ヶ月契約が切れ、日本でのシーズンが終わる。継続について話し合ったが、外国人枠の問題が出てきてしまった。同時に3人の外国人がプレーできるのだが、浦和は新シーズンのために新しいブラジル人選手を購入した。ヨーロッパへの復帰について考えているよ。幾つかオファーもあるしね。」

-クラニチャール監督の貴方の招集は期待しているのか?
「もしクラニチャールがストライカーとしての私を必要とするならば、まったく代表から諦めてはなかったよ。浦和で私はここ13試合で10得点を決めている。この数字からならば飛行機(代表)に座れるのかもしれない。クロアチア代表は私にとっていつでも聖なるものだからね。」

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2005年12月14日 (水)

パナディッチのインタビュー

PANA昨日、元名古屋グランパスDFのアンドレイ・パナディッチにインタビューする機会があり、ワールドカップの日本vs.クロアチア戦の彼の考えを聞きました。1990年にはユーゴ代表の一員としてワールドカップに出場。また1993年にクロアチア代表の一員としてジーコが所属した鹿嶋アントラーズと対戦し、それから2003~2004年とJリーグでプレーした経験から 日本サッカーの発展を身を持って知っている人物であります。

-まず日本とクロアチアが一緒になったグループFについて
「この抽選結果はクロアチア、日本、オーストラリアいずれにとっても難しいものとなった。選手のクオリティの面では、多くが有名クラブに所属するクロアチアに分があるが、忘れてはならないのはワールドカップというのは特別なモチベーションがある大会だ。誰もがサプライズを起こせる。私は日本サッカーのクオリティを知っており、日本はこのような大会での適応力を持っている国だろう。」

-Jリーグでのプレーから、日本サッカーの変化は感じたか?
「あらゆる面で間違いなく進歩を遂げた。テクニック、戦術、個人技といったね。93年は鹿嶋に大差で勝利したが(結果は8-1)、もし今やったら難しい試合となっただろう。あのような大差にはならないはずだ。それだけ日本サッカーは発展しているよ。」

-今の日本代表については?
「98年ワールドカップで日本とクロアチアは対戦したが、ナントでの暑い条件でクロアチアは問題を抱え、シュケルのゴールでかろうじて勝利した。今の日本は中村、稲本、高原そして中田といった個人能力の高い選手がおり、またカリスマのあるジーコ監督がいる。危険性? 彼らはフィジカル面も進歩しており、日本の走力はクロアチアだけでなくブラジル、オーストラリアもてこずらせるだろう。日本はサプライズを起こせるチームだ。日韓ワールドカップでもポジティブな印象を与えており、実力が伸びているのは間違いないよ。」

-実際に日本に滞在して、日本人選手の印象は?
「彼らは早く学ぶし、そして学ぼうという姿勢がある国民だ。外国から経験ある指導者がそれに磨きを掛けている。グランパスに在籍している時にオランダ人コーチが指導するユースチームの子供たちを見たが、日本にはタレントを持った多くの子達がいた。全ては思い出せないが、ガンバにもユース出身の素晴らしい選手がいたし、どのクラブにも優秀な選手を育てているはずだろう。日本サッカーの将来性は明るく、努力を重ねれば更に上へと行くはずだ。」

-現在のクロアチア代表についての印象は?
「クオリティが高く、安定性のあるチームだ。膝の問題は抱えているとはいえ、グラスゴー・レンジャースのFWプルショがキーマンだろう。これだけよく動くFWは現代サッカーに必要だ。彼はキープ力に長け、彼が前線でボールをキープしている間に他の選手が攻撃参加することが可能となる。そして右サイドで突破力のあるスルナ。GKのブティナはきちんと任させた仕事をこなせる。まだまだコヴァチ兄弟、クラニチャール、シムニッチといった多くの好選手がいる。私はDFの選手だからいうわけではないけど、クロアチアのチームの安定性はDF陣にあるよ。そしてこれが必要となれば、そのプレーができるチームだ。」

-成功を収めた1998年のクロアチア代表、また貴方のいた1990年のユーゴ代表と比較すると?
「世代交代をしたとはいえトレーニング方法の変化もあって、今の選手達はスピードやテクニック、戦術面などに長けている。また、今のクロアチア代表は相手によって戦術を変えるのではなく、戦術が一貫して相手に合わせさせるチームだ。かつてのユーゴ代表に関してはいえば、あらゆる才能が集結した最高にクオリティのあるチームだった。しかしそれは1990年に通じたクオリティであり、現代表は2005年に通じるクオリティを持っていると思うよ。」

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2005年12月12日 (月)

オシムのグループ予想

11日付けのSportske Novosti紙は"この人に聞け!"とばかり、イヴィツァ・オシムのワールドカップのグループリーグ予想の記事が掲載されていました。いつものように翻訳紹介しましょう。

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-イヴィツァ・オシムは日本で働くが、ヨーロッパに生きている。2006年のワールドカップ抽選会は"日出づる国"では辛い時間帯になっていた。グループFのドローが決まったのが日本は朝の4時。しかし私達がオシムに電話を入れた時、既に彼は全てを知っていた。
「ヨーロッパとは辛い時間差があるにもかかわらず、日本全体が指で数えながら抽選結果を待ち望んでいたよ。」

-貴方はグループリーグをどう考える?
「良いとも悪いとも言える。どのような入り方をするかどうかだ。ブラジルはもちろん"NO.1"だ。クロアチアも異議なく"NO.2"となる。しかしその順序となるまでには非常に困難な道があるだろう。」

-クロアチアにとってブラジルと初戦をやるのはどれだけ良いことか?
「アウトサイダーを初戦に迎えて大会を勝利で発進する方が良いとはいえ、ワールドカップではアウトサイダーというようなチームはないからね。ブラジルとのスタートは悪く然るべきものではない。鍵となるのはブラジルがグループリーグの相手とどのように対戦していくかだ。もしブラジルが日本とオーストラリアを倒すことで一位に到達するものと見込んでいたならば、クラニチャール率いるチームとの初戦は非常に気楽なものとなる。しかしブラジルが計算することも知らなかったなら、いつでも勝利を求めに行くとしたならば災難だ。クロアチアは二位のポジションへの道を日本とオーストラリアとの対戦を通して追求していかねばならない。」

-貴方の千葉で誰か代表選手を指導しているのか?
「代表の可能性をもった選手が2人いるね。」

-日本はどうか?
「1998年ワールドカップ時の日本は直ぐに忘れる必要があるね。ドイツではまったく違うチームがプレーする。それは選手名ではなく、むしろプレーにおいてだよ。
それはクロアチアにも言えることだ。ヴァトレニ(98年代表チームの愛称)は個人としてもクオリティがより高く、現クロアチア代表よりずっと攻撃的だった。現クロアチア代表は非常にコレクティブで、どうやって効率的に結果をもたらすかを知っている。そして勝利のためにスペクタクルは必要ないという価値に国民が慣れてしまった。もし勝利を最も大事とするならば、だれがプレーに興味を持つというのだね。
現在の日本も違う。8年前のチームよりも経験を培った。疑いなくクロアチアの方が優勢だろうが、日本人にそう察しさせてはいけない。もし日本を過小評価したならば、彼らはとても危険だ。過小評価は彼らにとって、とんでもないモチベーションとなる。」

-何が日本人の最大の特徴か?
「日本人は規律があり、スピードがあり、テクニックも非常に優れている。そして持久力があり、相手を困難を与える能力がある。選手にプレーにおける自由を与えすぎている、と日本人がジーコ監督を批判しているのはとても興味深いね。」

-そのように自由を与えることはプラスかマイナスか?
「私が2年前にやって来た時から私はいつも日本人にこう強調している。象や馬、犬に対してもトレーナーがいるように、サッカーにおいても教師(監督)がいる。しかし選手と監督の関係はよく揺れる非常に細い糸のようなものだ。もし必要最低限のことが上手くいっているならば、相互理解が無秩序と変化し、労働から得るものはまったく無くなってしまう。規律がとりわけ強い特徴である日本のサッカーに対し、ジーコのやり方はそれを極限まで持っていくことなく、悪い結果をもたらす無秩序になることを日本人は恐れている。」

-もしズラトコ・クラニチャールが貴方に連絡し、日本の分析の助けをお願いしたならば、貴方は何をするのか?
「そのようなことが起こるとは信じてない。私が誰かに必要な存在かどうかは疑問だね。また誰かに対して説き勧めることは決して好きではない。もちろんクラニチャールにもそうしたくはない。それ以前に今日では何も遠くはない。日本もそうだ。クラニチャールは日本について全てを知っているに違いない。しかし、グループリーグには4つ目のチームも存在する。彼らに対しても非常に注意しなくてはならないね。」

-そのオーストラリアについては?
「彼らはグループFの秤の錘(おもり)となる存在と言えるだろう。全てのオーストラリア選手がヨーロッパでプレーし、フィジカルは素晴らしく準備されている。クロアチアのタレント性(チームに多くのクロアチア人がいるため)とオーストラリアの教育度が組み合い、彼らは本当の"破壊者"と言える。そして素晴らしい監督もいる。フース・ヒディングは注意しなければならない人物だ。」

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日本のスポーツ紙も断片的にクロアチア紙の選手のインタビューなどを切り取っては都合の良いように翻訳(意訳)しているみたいですね。こちらからウォッチングするとカラクリが分かります。ただ記事を面白くするために「クロアチアは日本を舐めてる」みたいに煽るのはどうかと思うのですが....。ここではなるべく公平性をもって、クロアチア・サッカーを紹介していく考えです。

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2005年12月11日 (日)

メディアで紹介されるクロアチア代表

クロアチアがワールドカップで日本と対戦するということで多忙になりつつあります。

12月12日に発売される「ワールドサッカーダイジェストEXTRA」では、ニコ・クラニチャールのストーリーとクロアチア代表の守備についての記事を書いております。

関心がある方はご覧になって下さいね。

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2005年12月10日 (土)

ワールドカップの対戦相手決定

9日、ドイツのライプチヒにて06'ワールドカップ抽選会が行われました。
クロアチアはグループFでブラジル、オーストラリア、そして日本と対戦することとなりました。

P1080272 抽選会後にクロアチア代表のズラトコ・クラニチャール監督(写真)は国営放送のインタビューで
「グループに不満ということはない。充分に良いグループだと思っている。
グループには一つの本命が入ってくるものと予想されたが、それは紛れもなくブラジルだ。ブラジルとは親善試合(8/17、結果は1-1)で彼らと対戦したことがきっと役立つことだろう。オーストラリアはプレーオフを通過してきた国であり、日本とはフランス大会の時に対戦している。不満になる必要性はないだろうし、私は個人的に満足している。」
と周囲の"厳しいグループに入った"という考えとは違った楽観的な意見を述べました。

更にクラニチャール監督はこのように語っています。
「我々が予選でスウェーデンやブルガリアよりも上位になったことを考えれば、本大会で決勝トーナメントに進める権利があるといえるだろう。満足しているよ、なぜなら強いグループに入ったからね。ベルリンでのブラジル戦は一大スペクタクルになるだろうし、このような偉大な相手と初戦で対決する以上の満足感などはないよ。選手、サポーター、モチベーションを信じている。楽なグループなどはないとはいえ、私はこのグループに満足しているよ。
もしオーストラリアを恐れる必要があるのならば、こちらに何か問題がある時だ。オーストラリア代表に多くのクロアチア人がプレーすることを抜きにしても、クロアチアの方がオーストラリアより強いだろう。我々はオプチミストだ。我々が自分のプレーに徹したならば、オーストラリアの方が我々についてしっかり考えなければならないと私は思っている。
日本も対戦相手としてはOKだ。しかし日本戦が鍵となる試合になってはならないが、(オーストラリア戦と日本戦の)二試合が我々にとって決勝トーナメントへの門戸を開くこととなるだろう。」

グループリーグの試合は以下のようになっています。
6月13日 ブラジル (ベルリン)
6月18日 日本   (ニュルンベルグ)
6月22日 オーストラリア (シュトゥットガルト)

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2005年12月 7日 (水)

もう一つ、ボスニア国内紙のオシムのインタビュー

P1010007 サラエボでの通訳仕事を終えてザグレブへと戻ってきたわけですが、今度は12月5日付けのボスニアの日刊紙「AVAZ」にイヴィツァ・オシムの記事が掲載されていたのを発見しました(写真)。地元サラエボの人に聞くとジェフユナイテッド千葉の結果は常に新聞に掲載されているものの、インタビューはそう頻繁に載るものではないようです。彼のコメントよりも記者の前置きが長いですが、それも合わせて翻訳紹介しましょう。

-勝点1の差でリーグ優勝したガンバに引き離され、ジェフユナイテッドはシーズンを終えた。イヴィツァ・オシムが指揮するチームはクラブの歴史で最も成功したシーズンを送った。ジェフはナビスコカップを制して100万ドルを手に、天皇杯ではベスト16に残り、シーズンは2位の浦和と同じ勝点の4位で終わっている。オシムのチームのクオリティは、王者ガンバにリーグで二度に渡って倒し、またナビスコカップの決勝ではPKで勝利したというデータが語る。

「フットボールのためにも、ガンバがチャンピオンになった方がずっと良い。ゴールを量産する攻撃的なフットボールをしていたのがセレッソとの違いだ。ガンバは得点差を82:58で終え、セレッソは48:40で終えている。それが全てを物語っているね。
セレッソはホームでFC東京から最後の1分で失点を食らった。FC東京にとっては全くもってこの試合は意味がないというのにだ。それは大きな事象である。ヨーロッパのリーグのほとんどで、このようなカードがあるならば非常に疑わしきことが起こるんだけどね。」

-オシムはもっと良い結果になったと考えるとはいえ、今季のジェフは成功以上のものを収めた。ナビスコ・カップのあとのリーグの2試合で、チームは磐田に引き分け、FC東京に負けたことで勝ち点1しか拾えなかった。もしどちらかに勝利していたらリーグタイトルも取れたことだろう。

「クラブでは誰もが満足している。結果は素晴らしかったわけだが、私はもっとやれたものと思っている。もしかしたらリーグタイトルもね。シーズンに入っても本命となるような戦いができず、常に5位から6位の辺りをうろうろとしていた。もしかしたら対戦相手は私達を少し過小評価していたかもしれない。でもそれがいつもアドバンテージとなった。来季は本命の一つとして見られるだろうから、もっと難しいシーズンとなるだろう。」

-イヴィツァ・オシムは昨シーズンの終わりにジェフの雇い主を驚かせた。チーム最高のストライカーである韓国人のチェ・ヨンスの売却を要求したのだ。我々の専門家(オシム)は32歳になったチェ・ヨンスを売却時期だと見極めた。移籍期間では投資した以上に売却で利益を上げ、最後は昨年よりも良い結果を残した。

「今季は違ったチームでシーズンに突入した。もしかしたらクオリティは失ったかもしれないが、安定性を得ることは出来ただろう。」

-オシムのサッカー哲学は常に同じだ。計算を抜きにした攻撃的なもので、なるべく多くのゴールを生み出すことだ。我々最大の専門家はチェルシーよりもバルセロナを愛し、マウリーニョよりライカールトを好む。

「私が思うに、世界の誰もがバルセロナのようにチームを好むだろう。多くのリスクを伴ってプレーし、ほとんど全ての選手が攻撃に参加する。あっさりとゴールを割られることにはなるんだけどね。その一方でマウリーニョのチェルシーは、彼がかつて指揮していたポルトのようにいかなるリスクを伴わずにプレーをし、テンポと力で相手を打ち砕く。カルバージョやフェレイラのような選手に多くのお金を払って連れてきたわけだが、彼らはおそらくこのような強いクラブでプレーするチャンスもこれだけのお金を稼げるチャンスも無かったはずだ。彼ら全員がピッチの上でマウリーニョのために犠牲になるだろう。
彼(マウリーニョ)はインテリジェンスに長け、一緒に働いたロブソンやファン・ハールから多くのことを吸収した。結果も残しているし、タイトルも獲得している。それは尊重しなくてはならない。リバプールのラファ・ベニテスも似たような監督だ。でも私はチェルシーやリバプールよりもずっとバルセロナやアーセナルのプレースタイルを好むね。」

P1090422 -日本でイヴィツァ・オシムは監督が望む全てのものを手にしている。素晴らしい労働条件、素晴らしい給与、プロフェッショナルに組織されたクラブだ。とはいえ、シュヴァボ(オシムの愛称)は喜んで家へと帰るだろう。もう何年間も渡って親愛なる友人や家族はサラエボにいる。もしサラエボでまともな環境で彼が働くことができるのならば、直ぐにでも生まれ故郷に戻ってくるという印象を私達は話をしている中で感じた。

「人生を通して私は働くし、仕事がないと私は何をやればいいか分からない。日本に関しては何一つも不満はない。ただ遠い、本当に遠い。」

(2枚目の写真は、ジェリェズニチャールにちなむサラエボ市内のチェバブ(肉団子)屋「Zeljo 2」の壁に張られているもの)

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クロアチア・リーグ第18節/クロアチア・ダービーは延期

12月3日、ウィンターブレーク前では最後の試合となるクロアチア・リーグ第18節が行われました。

poljudo 毎年恒例のクロアチア・ダービー「ハイドゥク・スプリトvs.ディナモ・ザグレブ」は、スプリトのポリュウド・スタディオンで行われる予定でしたが、前日からの大雨で水捌けの悪いピッチは洪水状態となります。10cmほどの深さの水溜りすらできており、また「ユーゴ」と呼ばれるこの地域特有の海風も強く吹きました。審判団はボールの跳ね具合を調査したあと中止を決定。翌日に開催しようにもクロアチア全土からセキュリティのための警官隊を再び集めることは難しく、また約1500人ものBBB(ディナモ・サポーター)を町に野放しできないため、結局は来年の2月12日に延期されることか決まりました。
試合中止が決まったのち、鬱憤を晴らせないトルツィダ(ハイドゥク・サポーター)は警官隊と衝突し、またザグレブ・ナンバーの車を破壊するなどし、50人以上もの人物が逮捕されています。
[写真:試合中止が決まり、サポーターに挨拶にいくハイドゥクの選手]

全試合の結果はこちら。

Hajduk Split - Dinamo Zagreb (延期→来年2月12日)

Osijek - Medimurje 1:1
0:1 15' Mostarlic
1:1 23' Andre(og)

Kamen Ingrad - Pula Staro Cesko 2:1
1:0 36' Tomic
1:1 44' Starcevic
2:1 50' Sivonjic

Zagreb - Cibalia Vinkvci
1:0 89' Ivankovic

Slaven Belupo - Rijeka 1:3
0:1 24' Novakovic
1:1 47' Dodik
1:2 77' Linic
1:3 84' Linic

Varteks Varazdin - Inter Zapresic 2:0
1:0 45' Benko
2:0 68' Jolic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点44 [-1試合])、2位…リエカ(36)、3位…カメン・イングラッド(28)、4位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(28)、5位…オシエク(27)、6位…ザグレブ(24)
7位…チバリア・ヴィンコヴチ(24)、8位…ハイドゥク・スプリト(22 [-1試合])、9位…メヂムリェ(20)、10位…プーラ・スターロ・チェシュコ(19)、11位…スラヴェン・ベルーポ(15)、12位…インテル・ザプレシッチ(13)

【得点ランク】
1位…14得点 ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…10得点 ボシュニャク(ディナモ)、ヨリッチ(ヴァルテクス)、ベンコ(ヴァルテクス)
3位…9得点 シャルビーニ(リエカ)、ラキッチ(カメン・イングラッド)

【アシストランク】
1位…8アシスト ダ・シルヴァ(ディナモ)
2位…6アシスト モドリッチ(ディナモ)、シャリッチ(リエカ)

リーグ再開はハイドゥクvs.ディナモ戦を除けば、来年2月18日を予定しております。

昨季は3位と躍進したNKザグレブですが、今季は序盤は低迷したものの最後は6位まで上げてきました。しかしながら、監督のミレ・ペトコヴィッチが辞表を提出。これまで何度も提出していましたが、今回はクラブ側も受理することとなりました

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2005年12月 5日 (月)

オシムの地元紙インタビュー

現在、仕事の関係でサラエボに来ております。4日にボスニアのスポーツ紙「Sport」を購入したら、ジェフ千葉のイヴィツァ・オシムのインタビューが掲載されていました。いつも翻訳掲載するクロアチアのSportske Novosti紙とは違った地元紙のインタビューもまた興味深いものです。翻訳紹介します。

「優勝チームが4位とわずか勝点差1なんて稀なことだ。それはこのリーグがどんなものなのかを表している。最後の何分間で(結果が)決まってしまったが、全ては高潔に解決した。疑いの跡などは全くなく、人が(結果に)信用しないなんてこともない。」

-貴方は順位に満足しているのか?
「もっと良い順位は可能だったと言えるだろう。客観的には、タイトルを争ったクラブの中で我々が最も小さなチャンスしか持ってなかった。ずっと以前に勝点を落としてしまったために、それを埋め合わせることは難しかった。しかし我々は降格争いをするようなチームだったが、今は頂点にいる。名古屋や前王者の横浜といった幾つものビッグクラブより上のね。」

-ユナイテッドでは最後の指揮となるのか?
「このチームは来年、少しの補強を伴って更に一歩踏み出せることが可能だろう。もしかしたら今季の我々はアウトサイダーのポジションから前に進んだ方が楽だったかもしれないね。」

-しかし大きな進歩を成し遂げたのでは?
「もちろん。それは来季にとっても義務があるということだ。クラブ幹部は満足している。本拠地は移ったたし、新しいスタジアムも手にした....」

-貴方は日本に残ることを計画しているかのようだが?
「何も計画はしていない。一年一年を働き、どんな契約も交わしていない。」

-シーズンは終わったのか?
「いや、まだ天皇杯が残っている。ベスト16まで我々は進出し、全てはJ1のクラブが残っている。セレッソを相手に中立地で戦うよ。」

-タイトルと賞金100万ドルを手にしたナビスコカップのようなものか?
「似ていると言えるだろう。しかし私の選手は疲れているし、休暇を望んでいる。ここでは選手達は手を緩めることはないので、ピッチの上で苦しんでいる。モチベーションだけが問題となるだろう。」

-賞金100万ドルは充分なモチベーションとならないのか?
「モチベーションとなるかもしれないが、リーグタイトルをかけた戦いでの雰囲気とプレッシャーを考えれば、少しリラックスする可能性もあるね。」

-我々の地方(サラエボ)へと帰る計画は?
「天皇杯で負けたら計画するよ。グラダッツ(クロアチア南部の海岸の町)でちょっとした用事があるので、まずそちらに先に行く。それからサラエボへと戻るよ。」

一昨日は通訳として、ある団体に対しての新聞インタビューを手伝ったわけですが、ボスニアの記者からは最後に「オシムを知っているか?」との質問を受けました。この町でオシムというのは特別な存在であります。
またサラエボの旧市街バシュチャルシャには、オシムが現役時代にプレーしていたジェリェズニチャールにちなむ「ジェーリョ(Zeljo)」というチェバプチチ(肉団子)のレストラン(1号店と2号店)があるのですが、それぞれにオシムの写真が壁に掲載されております。2年前に2号店、今年は1号店に行ったのですが、どっちも炭火でしっかり肉が焼けてて美味しかったです。

あとキオスクの店員とサッカー話になったのですが、セレッソに一昨年所属したアルヴィン・ペラックが現在はFKサラエボでかなりの活躍を見せているとのこと。親父さんが最高裁判所の判事だそうで、かつてよりサラエボでも有名なボンボンだったなんて裏話を聞きました。

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