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2005年12月31日 (土)

このように煽り記事は一人歩きします:続編

早速、Sportske Novosti紙から働く友人からズラトコ・クラニチャール監督の記事を取り寄せることに成功しました。この記事は12月27日の2面と3面(それぞれ写真)に掲載されています。ちなみに見出しは「イタリアを越えて準々決勝へ(Preko Italije u cetvrtfinale na SP)」です。

結論からいえば、クラニチャール監督は"韓国は日本より良い"とは言っています。ただ、インタビューの前後を読まなくてはなりません。ここだけ取り上げてはアンフェアでしょう。ですからここで全インタビューを掲載します。

1dio 2dio 

「祝日をザグレブで過ごし、それからスリイェメ山で休養するよ」
-これが最近のズラトコ・クラニチャールのシナリオだ。
「家族と過ごすのが最高だね。冬休みに関していえば、イタリアの温泉で過ごすことは諦めたよ。私にとってはトミスラヴァッツ(スリイェメ山のホテル)でも何一つ不満はないからね。ウィーン滞在中に突然ウィルスにやられてしまったため、血色と失った3kgを取り戻すことが私には大事だよ。」-A代表監督は語る。

-チィツォ(クラニチャールの愛称)は3月1日にバーゼルでのアルゼンチンとの親善試合がまとまったことに興奮し、また6月7日にはパリでフランスと対戦する可能性もある(これは話が消滅)。多くの人が対戦相手の力を恐れるかもしれないわけだが。
「クロアチアも強くないというのかね? 私は何も恐れていない。逆にこの試合で我々がどの位置にして、どれぐらいなのか示すことが出来るだろう。特別なモチベーションをもってその試合に挑むものと私は確信している。11人だけが出場するわけではなく、私も対戦相手の監督も選手を替えるだろう。結果は重要ではない。ワールドカップにおいてどう挑むかが、もっと重要なことだ。」

-もしかしたらバーゼルにビロシュ(※)も出場するのでは?
(ルベン・ビロシュ…ボカ・ジュニオルスに所属。クロアチアの移民3世で長きに渡ってクロアチア・サッカー協会が代表に召集したものの、先日にアルゼンチン代表に召集されたFW/MF)
「それは私の最大関心事ではない。私は彼を望んでいたが、彼はアルゼンチンを選択した。したがって我々にとっては終わった話だ。残念だけどね。ビロシュにとらわれることはない。クレスポ、リケルメ、メッシー、サネッティ....などもね。(アルゼンチンとは)素晴らしい試合になることを信じているし、私の選手にとっても挑戦となるだろう。非常に似たサッカーを我々はやるね。タフな上に戦術はスマートだ。アルゼンチンは我々を評価しているし、もしかしたらワールドカップでセルビア・モンテネグロと対戦する彼らにとって我々は重要な存在かもしれない。」

-フランスはブラジルとのビッグマッチ前の最後のテストとなるのか?
「フランス相手にプレーで上回れば、5度の世界王者(ブラジル)に準備できたことになるだろう。とはいえ、ブラジルではスプリトで親善試合で対戦した90分間が有益なはずだ。勝点を争う戦いと親善試合に違いがあることは解っているし、ブラジルが今大会の本命であることも意識している。それでもセンセーショナルはいつも可能だ。ベルリンでのブラジルとの対決が引き分けなら素晴らしいだろう。6月18日のニュルンベルグとの日本戦が左右することは全くもって明らかだ。」

-もしバーゼル(アルゼンチン戦)とパリ(フランス戦)がイバラの道を裸足で通るようなこととなったら?
「喜んでそのようなリスクを受け入れるつもりだ。ホームの親善試合でルクセンブルグを倒したところで、そこから何が得られるというのかい? 対決が我々にインスピレーションをもたらすだろうし、選手達はモチベーションを持って最大限の力を発揮しようとすることは間違いない。リスペクトは存在するが恐れはない。リスペクトはお互いにあっても、リスペクトに我々がとらわれることはない。手頃な結果が我々に自信を満たすことととなるだろう。最大の危険は、失敗で選手が揺らぐ以上に、成功することで選手が自惚れてしまうことだ。もし二試合とも負けたとしてもフラストレーションの理由とはならないだろう。選手達は証明されたプロフェッナルだし、どんなショックにも耐えることができるよ。」

-先立って1月29日と2月1日に新ヴァトレニ(クロアチア代表)が香港に出場する。メンバーは"カラフル"となるのか?
「レギュラーメンバーの全てを招集したが、ドイツ、イタリア、ベルギー、スコットランドでプレーする選手達抜きで遠征にいかなくてならないことは予想していた。だからウクライナ、オーストリア、そしてとりわけクロアチアでメンバーを構成する方針にある。組み合わせに関係なく、私は責任から逃れるつもりはない。充分な力を見せつけるつもりだ。」

-韓国はたやすく一飲みできない相手か?
「もちろん。我々の親愛なる日本人を侮辱するわけではないが、韓国は日本よりも良い。」

-クジェ(現ディナモ・ザグレブ監督、元ガンバ大阪監督)は、香港遠征がディナモの(シーズン再開の)準備を壊してしまうものだと批判している。
「もちろん感傷などはなく、ディナモとハイドゥクから中心選手を連れて行くつもりだ。代表選手を持つことがクラブにとっても喜ぶべきである。(遠征の)5日間で何かを失うという考えは正しくない。得るものばかりで、クラブにももたらすような刺激と活気で選手が満たされることだろう。」

-誰が監督にとって今年の最優秀選手か?
「プルショかスルナだ。ダド(プルショ)は代表とグラスゴー・レンジャースで輝いた。ダリヨ(スルナ)はワールドカップ予選で秀でていた。」

-ドイツ大会の代表候補30名を定めることをまたして否定した。
「計画はしているものの、まだ何も定まっていない。私は名前を挙げるつもりはないから、貴方たちメディアで名前を挙げてくれ....。」

-ワールドカップの目標は何? ベスト16入りか?
「もちろん。そうなったら良いだろうが、非常に良いというわけではないね。」

-非常に良いというのは準々決勝進出か?
「そうだ。イタリアが(一回戦で)対戦相手になって欲しい。例えばチェコと比べればイタリアはより手頃な相手だ。」

-(マリヤン・)ヴラクはスロバキアのチームに行ったが、彼は偵察役を続けるのか?
「そう希望しているよ。」

-デュッセルドルフで行われたチャリティ・マッチにおけるスルナとニコ・クラニチャールの活躍に満足しているのか?
「スルナは素晴らしかったし、クラニチャールはソリッドだったね。」

バッド・ブリュケナウでのキャンプ地は素晴らしいと聞いているが。
「(第一候補の)ヴェレンを越えるのは難しいが、バッド・ブリュケナウも充分だ。ニュルンベルグ(日本戦)とシュトゥットガルト(オーストラリア戦)はバスで移動することができる。もう私は楽しんでいるよ。2006年はファンタスティックな年になる!」
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現在、香港でのカールスバーグ・カップの遠征にディナモ・ザグレブとハイドゥク・スプリトが選手を代表に放出することに反対しています。西欧でプレーする選手が拘束できない以上、クロアチア国内に派遣する選手を求めなくてはなりません。クラニチャール監督が既に23人の代表メンバーすら固定している状況で、スペインとトルコでの合宿でチームを強化したいディナモは本大会に呼ばれないメンバーまで遠征に送ることは"チーム作りを壊すことになる"と否定的。とりわけディナモのマミッチ副会長とクラニチャール監督は犬猿の仲にあります。またハイドゥクは既に代表メンバー入りが確定しているニコ・クラニチャールを送る必要はないとの姿勢です(GKのレギュラー争いをするプレティコサは送る方向)。

香港遠征は金が欲しさでクロアチア・サッカー協会が決めたものですが、現在は非協力的な国内クラブvs.クロアチア・サッカー協会の対立が一大テーマになっています。香港遠征の軽視論が渦巻く中、最初の対戦相手となる韓国をクラニチャール監督は「韓国は弱い相手だから遠征は重要ではない」と言える立場ではありません。ついつい強気になって日本を引き合いに出したと思われますが、もしかしたら日本と韓国の対立感情は理解してなかったのかもしれませんね。ただ日本のマスコミとしては前後関係や事情に関係なくこの一文だけを取り上げれば、一連の"日本を舐めたクロアチア"の格好のネタとなってしまいます。これは世論誘導でしょう。
現在「オシムの言葉」を読んでいるのですが、「新聞記者は戦争を始めることができる。意図を持てば世の中を危険な方向に導けるのだから。ユーゴの戦争だってそこから始まった部分がある」というオシムの言葉があります。私も報知スポーツのクロアチアを担当することになりましたが、文章は"てにをは"一つとってもニュアンスを変えることができてしまうため、訳一つでも細心の注意を払いたいと思っております。

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コメント

とんでもない捏造かと注視していたのですが、日本マスコミの表現もあながち間違いではないような気がします。確かに背景事情等は解釈の余地を残しますが、発せられた言葉は明確ですのでより重要だろうと思うからです(日本との比較を問われてないのに自発的に発言しているように読めますし)
ともあれ、クロアチアの現地情報に触れることができ感謝しております。これからも頑張って下さい。

投稿: L | 2005年12月31日 (土) 13時34分

>Lさん
レス、有難うございます。
ご指摘通り、この流れでクラニチャール監督がこう言ってしまったのは失敗でしたね。
Sportske Novosti紙で記事を担当したのがBranko Stipkovicというこれまた煽り好きな記者であるため(98年W杯ではネガティブキャンペーンを張り、選手達と大喧嘩してます)、彼が流れでそう言わせたのかもしれません。テープに取らず、メモで記事を書く方ですし、クロアチアの記者というのもまた一つのフィルターですからね。
やはり、ここはクラニチャール監督に真偽のほどを問い合わせてみなくては! 仕事で何度か会うことがあるでしょうから、いずれ直接聞いて見ますね。
これからもこのHPを宜しくお願いします。

投稿: | 2005年12月31日 (土) 14時46分

長束さん、インタビュー記事の翻訳ありがとうございます。記事を読んで思ったのですが、
これは単純に韓国と日本を比較しているだけであって、決して日本を安全パイと言っているわけではないですよね。実際に日本戦が重要となるとも言っているわけですし、日本人を侮辱する意図はないとも言っているわけです。

まあ、このコメントを聞いて悦に入っている韓国のメディアというのがかえっておめでたいくらいです。フランスだけでなく、スイスやトーゴだって相当強いでっせ!楽観的に考えてると自分らが手痛いしっぺ返しを食うかもよ。

投稿: ヤオミン | 2006年1月 1日 (日) 23時48分

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