オシムのグループ予想
11日付けのSportske Novosti紙は"この人に聞け!"とばかり、イヴィツァ・オシムのワールドカップのグループリーグ予想の記事が掲載されていました。いつものように翻訳紹介しましょう。
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-イヴィツァ・オシムは日本で働くが、ヨーロッパに生きている。2006年のワールドカップ抽選会は"日出づる国"では辛い時間帯になっていた。グループFのドローが決まったのが日本は朝の4時。しかし私達がオシムに電話を入れた時、既に彼は全てを知っていた。
「ヨーロッパとは辛い時間差があるにもかかわらず、日本全体が指で数えながら抽選結果を待ち望んでいたよ。」
-貴方はグループリーグをどう考える?
「良いとも悪いとも言える。どのような入り方をするかどうかだ。ブラジルはもちろん"NO.1"だ。クロアチアも異議なく"NO.2"となる。しかしその順序となるまでには非常に困難な道があるだろう。」
-クロアチアにとってブラジルと初戦をやるのはどれだけ良いことか?
「アウトサイダーを初戦に迎えて大会を勝利で発進する方が良いとはいえ、ワールドカップではアウトサイダーというようなチームはないからね。ブラジルとのスタートは悪く然るべきものではない。鍵となるのはブラジルがグループリーグの相手とどのように対戦していくかだ。もしブラジルが日本とオーストラリアを倒すことで一位に到達するものと見込んでいたならば、クラニチャール率いるチームとの初戦は非常に気楽なものとなる。しかしブラジルが計算することも知らなかったなら、いつでも勝利を求めに行くとしたならば災難だ。クロアチアは二位のポジションへの道を日本とオーストラリアとの対戦を通して追求していかねばならない。」
-貴方の千葉で誰か代表選手を指導しているのか?
「代表の可能性をもった選手が2人いるね。」
-日本はどうか?
「1998年ワールドカップ時の日本は直ぐに忘れる必要があるね。ドイツではまったく違うチームがプレーする。それは選手名ではなく、むしろプレーにおいてだよ。
それはクロアチアにも言えることだ。ヴァトレニ(98年代表チームの愛称)は個人としてもクオリティがより高く、現クロアチア代表よりずっと攻撃的だった。現クロアチア代表は非常にコレクティブで、どうやって効率的に結果をもたらすかを知っている。そして勝利のためにスペクタクルは必要ないという価値に国民が慣れてしまった。もし勝利を最も大事とするならば、だれがプレーに興味を持つというのだね。
現在の日本も違う。8年前のチームよりも経験を培った。疑いなくクロアチアの方が優勢だろうが、日本人にそう察しさせてはいけない。もし日本を過小評価したならば、彼らはとても危険だ。過小評価は彼らにとって、とんでもないモチベーションとなる。」
-何が日本人の最大の特徴か?
「日本人は規律があり、スピードがあり、テクニックも非常に優れている。そして持久力があり、相手を困難を与える能力がある。選手にプレーにおける自由を与えすぎている、と日本人がジーコ監督を批判しているのはとても興味深いね。」
-そのように自由を与えることはプラスかマイナスか?
「私が2年前にやって来た時から私はいつも日本人にこう強調している。象や馬、犬に対してもトレーナーがいるように、サッカーにおいても教師(監督)がいる。しかし選手と監督の関係はよく揺れる非常に細い糸のようなものだ。もし必要最低限のことが上手くいっているならば、相互理解が無秩序と変化し、労働から得るものはまったく無くなってしまう。規律がとりわけ強い特徴である日本のサッカーに対し、ジーコのやり方はそれを極限まで持っていくことなく、悪い結果をもたらす無秩序になることを日本人は恐れている。」
-もしズラトコ・クラニチャールが貴方に連絡し、日本の分析の助けをお願いしたならば、貴方は何をするのか?
「そのようなことが起こるとは信じてない。私が誰かに必要な存在かどうかは疑問だね。また誰かに対して説き勧めることは決して好きではない。もちろんクラニチャールにもそうしたくはない。それ以前に今日では何も遠くはない。日本もそうだ。クラニチャールは日本について全てを知っているに違いない。しかし、グループリーグには4つ目のチームも存在する。彼らに対しても非常に注意しなくてはならないね。」
-そのオーストラリアについては?
「彼らはグループFの秤の錘(おもり)となる存在と言えるだろう。全てのオーストラリア選手がヨーロッパでプレーし、フィジカルは素晴らしく準備されている。クロアチアのタレント性(チームに多くのクロアチア人がいるため)とオーストラリアの教育度が組み合い、彼らは本当の"破壊者"と言える。そして素晴らしい監督もいる。フース・ヒディングは注意しなければならない人物だ。」
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日本のスポーツ紙も断片的にクロアチア紙の選手のインタビューなどを切り取っては都合の良いように翻訳(意訳)しているみたいですね。こちらからウォッチングするとカラクリが分かります。ただ記事を面白くするために「クロアチアは日本を舐めてる」みたいに煽るのはどうかと思うのですが....。ここではなるべく公平性をもって、クロアチア・サッカーを紹介していく考えです。
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コメント
いつも貴重な情報をありがとうございます。
1998WCでクロアチアはスーケル・ボバン・プロシネツキ等を擁しオランダを倒して三位になりました。
グループリーグで対戦した日本は勝利の可能性のない1-0の敗戦でした。
現在の両国の力は当時よりは接近していると思いますが、間違いなくクロアチアが上回ると考えるべきだと思います。
失礼しました。
投稿: village | 2005年12月13日 (火) 10時53分
あ、わかりました。日本人選手の特長を生かしたいならもっと組織的にチームを作れということですね。自由を与え過ぎだと・・・ ほんと、読解力ないなー。
投稿: kazuu | 2005年12月14日 (水) 14時22分
再度すみません。↑の質問を「メディアで紹介されるクロアチア代表」のところにつけてしまいました。読解力不足の上にそそっかしいです(汗)
投稿: kazuu | 2005年12月14日 (水) 14時26分
こんにちは、
オシム監督に会ったら伝えて欲しいのですが、もし日本人の人間関係が摩擦とかで嫌になったらすぐ海外に帰るようにしたほうがいいと思います。
トルシエの時は良かったかもしれませんが、過去を見てジーコにも聞いてもらいたいのですが必ず海外に電話する環境でいてもらいたいです。私はイギリスに行ったり来たりしてます。ではお元気で。
投稿: | 2006年8月 8日 (火) 23時00分