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2006年2月25日 (土)

宮本のディナモ移籍話の真実とは?

日ごろニュースを追われている方は、日本の幾つかのスポーツ紙が「ディナモ・ザグレブが宮本獲りへ」と報道しているのをご存知でしょう。実はこれにはウラがあります。以前に"記事は一人歩きする"という話を書きましたが(その1その2)、今回は新たなパターンでありますので真実をお伝えしましょう。

P1010157 ことの発端は2月21日です。テレビの取材コーディネートの仕事で私はディナモ・ザグレブのスタジアム隣接の事務所を訪れました。ある選手のインタビューをするために事務所のカフェで待っていたところ、ディナモの実権を握るズドラヴコ・マミッチ副会長とスポルツケ・ノヴォスティ紙のオリヴァーリ記者が前節の疑惑のPKに関して話し合っていました。マミッチ氏とは4年前の取材から面識があり、私を見つけるやいなや笑顔で「宮本を獲得するとどうなるかい?」と聞いてきました。
2月7日にアンタルヤでジェフユナイテッド千葉とディナモ・ザグレブが練習試合で対戦した夜、マミッチ氏とイヴィツァ・オシムとヨシップ・クジェの両監督が同席。二人は日本代表のキャプテンである宮本の実力の高さを副会長に説明し、ディナモが関心を示したのは2月11日のブログでも紹介しています。
私はマミッチ氏に「きっと移籍金は高いですよ。でも宮本を獲得したらファンの日本女性がいっぱい来るだろうし、ユニフォームは売れるでしょうね」と返事をしておきました。マミッチ氏は「クロアチア語が判るお前も一緒に加わって、このビジネスを成功させようか」なんて冗談っぽい口調で肩を叩いて去っていきました。
この遣り取りを聞いていたオリヴァーリ記者は翌日の22日のスポルツケ・ノヴォスティ紙に「ディナモが宮本を狙っている」との記事(写真)を書きます。私たちが事務所を去った時に、マミッチ氏は記者に対して「宮本は私たちのヨシップ・クジェが開花させた。素晴らしいサッカー選手であると聞いている。移籍期間の夏に彼を獲得する可能性はある。ヨーロッパに行きたがっているからね」と語ったなんて記事が掲載されました。またその中では「日本のジャーナリストが"宮本獲得は素晴らしい考えだ。彼の選手のクオリティだけでなく、サッカー狂の日本人達が多くクロアチアを訪れ、マーケティング面でも観光面でもいいだろう"と言った」と膨らまされて書かれてしまいました....。その記事をある日本のスポーツ紙のクロアチア通信員が翻訳し、日本でも報道されることとなりました。

更に続きます。23日のスポルツケ・ノヴォスティ紙は宮本獲得に関して、ガンバの元チームメートのFWニーノ・ブーレのインタビューを掲載しました。
「日本人獲得に関してはいつもマーケティング面の話は出てくる。もちろんディナモでの宮本もそうだろう。日本人がスタジアムに訪れ、彼の名前の入ったユニフォームがたくさん売れるはずだ。しかし宮本はマーケティング・ブランドだけに終わらない。彼は本当に素晴らしいティフェンダーだ。何年間も日本代表のキャプテンを務めているのは偶然ではないからね。また彼は素晴らしい青年だし、本当の友人だ。ガンバで初起用したクゼ監督も彼のクオリティは良く知っている。」
とコメント。これも今度は別の日本のスポーツ紙のクロアチア通信員が記事だけ読んで翻訳し、また日本で報道されてしまいます。

ことは更にエスカレート。24日のスポルツケ・ノヴォスティ紙は宮本本人に英語で電話インタビューに成功します。ワールドカップ抽選会後に、ブーレから電話番号を聞いた同紙のダソヴィッチ記者が彼に質問をしました。
「インターネットでその記事(ディナモが獲得の意向)を読んだよ。驚いたかって? いや。誰がディナモの監督か知っているしね。ヨシップ・クジェは私のことを良く知っているから....。
私にとっては可能な話だよ。なぜならヨーロッパに行きたいからね。しかしガンバとはまだ一年の契約が残っているし、両クラブが話し合わなければならない。私に関していえば喜んでディナモに行くよ。ディナモについては少しか知らないが、クロアチアで最高のクラブだとみている。また私がディナモで最初の日本人でないことは知っている。なぜなら三浦知良選手がいたからね。」
との記事が掲載されました。これもどこかの通信員が事情を知らずに翻訳して日本で報道されるかは今日のスポーツ紙を開いて下さい。ガンバ側はインタビューの存在を否定したようですけど、クロアチアでは選手への電話インタビューはよくあることです。

ちなみに25日のスポルツケ・ノヴォスティ紙には宮本の記事は掲載されていませんでした。クロアチアでの記事の一人歩きはここでストップ。果たして宮本は本当にディナモに来るのでしょうか???

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2006年2月17日 (金)

対アルゼンチン戦のクロアチア代表メンバー発表

15日、クロアチア・サッカー協会で記者会見が行われ、3月1日にバーゼル(セント・ヤコブ・パーク/試合開始20時15分)で行われる対アルゼンチン戦のクロアチア代表メンバー21人が発表されました。

P1090453 ズラトコ・クラニチャール監督(写真)は
「満足感をもって今回のメンバーを発表する。全員が喜ぶようなリストだ。アルゼンチン戦は大きな試合だし、予選を終えてからの選手達の状況をチェックできる。今回選んだメンバーはモチベーションと能力がある選手達だ」
と語っています。

代表初召集としては先日のハイドゥク・スプリト戦で決勝ゴールを決めたディナモ・ザグレブの司令塔ルカ・モドリッチ(20)、また右MFのバックアップとしてマリヤン・ブリャト(24)の二人が選出されました。モドリッチはニコ・クラニチャールとポジションが被るために父親は召集しないかと思われてましたが、国内リーグではクラニチャール以上の活躍を見せており、2008年のユーロ予選も視野に入れた選出となりました。
また昨年8月のブラジル戦で左足十字靭帯を断裂してから、手術とリハビリを続けていたFWイヴィツァ・オリッチ(26)が復帰。クラニチャル監督の構想でオリッチはプルショとツートップを組むFWであり、回復状況を見ながらの起用となります。

メンバーは以下のようです。

GK
トミスラフ・ブティナ(クラブ・ブルージュ)
スティペ・プレティコサ(ハイドゥク・スプリト)

DF
ロベルト・コヴァチ(ユベントス)
スティエパン・トマス(ガラタサライ)
ダリオ・シミッチ(ACミラン)
マリオ・トキッチ(オーストリア・ウィーン)
ヨシップ・シムニッチ(ヘルタ・ベルリン)
MF
イゴール・トゥドール(シエーナ)
イェルコ・レコ(ディナモ・キエフ)
ニコ・コヴァチ(ヘルタ・ベルリン)
マルコ・バビッチ(バイヤー・レバークーゼン)
ダリヨ・スルナ(シャフタール・ドネツク)
マリヤン・ブリャト(ディナモ・ザグレブ)
イヴァン・レコ(クラブ・ブルージュ)
ルカ・モドリッチ(ディナモ・キエフ)
ニコ・クラニチャール(ハイドゥク・スプリト)

FW
ダド・プルショ(グラスゴー・レンジャース)
イヴァン・クラスニッチ(ヴェルダー・ブレーメン)
エドゥアルド・ダ・シルヴァ(ディナモ・ザグレブ)
ボシュコ・バラバン(クラブ・ブルージュ)
イヴィツァ・オリッチ(CSKAモスクワ)

予備召集
GK ジョセフ・ディドリツァ(オーストリア・ウィーン)
MF ユーリツァ・ヴラニェシュ(ヴェルダー・ブレーメン)
MF アンソニー・シェーリッチ(パナシナイコス)
FW イヴァン・ボシュニャク(ディナモ・ザグレブ)
FW ムラデン・ペトリッチ(バーゼル)

既に水曜日のUEFAカップの試合でGKブティナが負傷し、ディドリツァが代替召集されることが決まっております。

また同日にアルゼンチン代表も発表されています。メンバーは以下となっています。
Leonardo Franco, Maximiliano Rodriguez (Athletico Madrid)
Juan Pablo Sorin, Juan Roman Riquelme (Villarreal)
Pablo Aimar (Valencia)
Diego  Gabriel Militol, Leonardo Ponzio (Zaragoza)
Fabricio Coloccini (Sport Corunna)
Lionel Messi (Barcelona)
Walter Samuel, Esteban Cambiasso, Nicholas Burdisso (Inter)
Luis Gonzalez (Carry)
Hernan Crespo (Chelsea)
Lionel Scaloni (West Ham United)
Martin Demichelis (Bayern Munich)
Carlos Tevez (Corinthians)

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2006年2月14日 (火)

クロアチア・ダービーはディナモが制す

133回目となる「クロアチア・ダービー」、ハイドゥク・スプリト対ディナモ・ザグレブが12日、スプリトのポリュウド・スタジアムで行われました。この試合は昨年12月3日に予定されていたものですが、大雨によるピッチコンデション不良で試合直前に延期が決定。ハイドゥクとディナモのサポーターの対立が激しく、セキュリティ面の再準備には時間を要することから、2ヶ月余りのウィンターブレーク空けに仕切り直しとなってました。私もカメラマンとしてこの試合を撮影してきました。

この日は冷たい山風が吹き荒れる悪天候だったため、2万人の観客に留まりましたが、ディナモ・サポーターも警察の同伴のもと約2000人がザグレブから遠征してやってきました。常にフーリガニズムが問題となるこの試合ですが、今回も例に漏れず、約150人が警察に連行、70人前後が逮捕されています。

nikoこのダービーはスプリトで実に14ヶ月ぶり。またハイドゥクの司令塔のニコ・クラニチャール(写真・右)が初めてスプリトで古巣ディナモとの対決となります。まだ移籍劇を根に持つBBBは「デブな豚」という彼への中傷のコールを試合でも繰り返しました。

開始からアウェーのディナモがゲームを支配。2分には左サイドでフリーとなったダ・シルバがシュートチャンスを迎えるもタイミングが合わず。10分にはモドリッチがドライブを掛けたミドルシュートを放つが、代表GKのプレティコサがパンチングで逃れます。ハイドゥクはクラニチャールを中心に攻撃をしかけたいものの、新加入のFWエルツェグとチミロティッチはヘディングを得意とする選手であり、パッサーのクラニチャールとは今ひとつかみ合わないません。クラニチャール本人も動きが重く、ディナモ守備陣の執拗なマークにいらつきました。一方的にディナモが攻め込む中、前半は0-0で終了します。

stadiona 後半に入るとハイドゥクのサポーターが100本以上の発炎筒を炊き(写真)、試合は9分の中断。まだ煙が残る61分、ディナモのダ・シルバが左サイドでロングパスを受けると、マーカーを外して角度のないところから意外性のあるループシュートを放ちます。GKプレティコサは何とか指先でボールを弾きますが、こぼれ球をモドリッチが胸トラップしたのちにボレーシュートを叩き込んで先制します。ハイドゥクは66分にレジッチのFKがディナモの壁に当たってゴールに向かうもGKトゥリーナがキャッチ。これが唯一枠を捉えたハイドゥクのシュートでした。ハイドゥクは打つ手なく1-0でホイッスル。ディナモにとってはアウェースプリトの地で5年ぶりの勝利を収めました。

18節を終わって首位ディナモが勝点47。8位のハイドゥクはディナモから25点も引き離され、いよいよ降格リーグに回される可能性が現実味を帯びてきました。この試合ののち、ハイドゥクのイヴァン・グデリ監督が更迭。後任にルカ・ボナチッチが就任することが発表されています。

試合後にニコ・クラニチャールは
「ディナモが勝利に値していたよ。彼らはゲームを支配し、チャンスをモノにした。素晴らしい攻撃を繰り出したしね。次のリエカ戦では上位6チームに入るため、自分の全ての力を出す必要がある。」
とコメント。

modric またディナモの司令塔で、決勝点を挙げたルカ・モドリッチ(写真)は、"視察に来たクラニチャール代表監督の目に止まったのでは?"との質問に
「それは僕への質問ではなく、むしろ監督への質問だ。僕の夢はクロアチア代表でプレーすることであり、その夢は間もなく実現することを望んでいるよ。もし監督が私を代表に呼んだならば、僕は世界で最も幸せな人間となるだろうね。もしそうでなくともU-21代表でプレーする機会が残っているよ。クラニチャルとの間でも1-0の結果だって? 何て言えばいいか判らないけど、聞こえは良いよね。でも最も重要なのはディナモが勝利したことであって、今はリーグタイトルにぐっと近づいたよ。」
と答えています。

試合結果はこちらです。

ハイドゥク・スプリト - ディナモ・ザグレブ 0-1
0-1 61' モドリッチ

ハイドゥク・スプリト(1-3-3-1-2)
GKプレティコサ-DFジリッチ-ジョロンガ、ガル(73' カリニッチ)、クラレフスキ-MFマルチッチ(23' レジッチ)、フルゴヴィッチ、ミラディン-クラニチャール-FWエルツェグ、チミロティッチ(88'イェラヴィッチ)

ディナモ・ザグレブ(4-3-1-2)
GKトゥリーナ-DFチャレ、チョルルカ、ドルピッチ、エトー-MFマミッチ、チャゴ、ブリャト-モドリッチ(90' シャリッチ)-FWボシュニャク(90' アンデルソン)、ダ・シルバ(89' マリッチ)

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2006年2月11日 (土)

クロアチア・リーグ再開/クジェの日本評

クロアチア・リーグが2月12日のハイドゥク・スプリトvs.ディナモ・ザグレブ戦をもって再開されます。「クロアチア・ダービー」と呼ばれるこの試合は昨年12月3日に行われるはずでしたが、大雨でピッチが洪水状態となり、キックオフ直前で中止が決められました。セキュリティやテレビ放映の問題で翌日開催とまでいかず、今回の日付の開催となりました。

首位を独走し、来季のチャンピオンズリーグ参戦を視野に入れているディナモはこのオフに選手を整備。バスコ・ダ・ガマから獲得したFWコスタ・アンデルソン、サンパウロからDFカルロスを新たに加えた一方で、将来性あるFWテオ・カルドゥム、前U-21代表DFマリオ・ルチッチをヴァルテクス・ヴァラジディンに無償で放出。またクラブ幹部と衝突した元オーストラリア代表DFエディ・ボスナールもリエカに無償で放出。更にFWゴラン・リュボイェヴィッチがスイス一部のザンクト・ガレンにレンタル、ルーマニア人MFドゥミトル・ミトゥが祖国のクルーイに移籍しています。

暫定8位と低迷しているハイドゥク・スプリトはFWトミスラフ・エルチェグやスロベニア元代表FWセバスチャン・チミロティッチといったベテランを加えて攻撃を強化。ヴォルフスブルグのMFミルコ・フルゴヴィッチで左サイドを解決するつもりです。またハイドゥクに加入するはずの元セレッソ大阪のDFイヴァン・ラデリッチは契約期間を巡って交渉がこじれ、スラヴェン・ベルーポへと移籍しました。またMFフラネ・チャチッチ、FWズボニミール・デラニャ、FWパオロ・ムニョズ、MFダニエル・フルマンなどが自由契約となっています。

このオフの目玉となる移籍はリエカへ移った元ドイツ代表FWフレディ・ボビッチ。契約期間は今季いっぱいで、一年の延長オプションつき。背番号は9。ボビッチはシュトゥットガルト、ボルシア・ドルトムント、ハノーファー96、ヘルタ・ベルリンなどで活躍したフォワード。ドイツ代表として37試合出場10得点、ブンデスリーガでは285試合109得点。1995/96シーズンにはシュトゥットガルトで得点王になりました。また2002年にはボルトン・ワンダラーズにも在籍しています(15試合4得点)。ボビッチはスロベニアのマリボルに生まれ、父がスロベニア人、母がクロアチ人というハーフ。記者会見では、
「父はいつもクロアチア・リーグの試合を衛星放送で見ているよ。元チームメートのクロアチア人であるソルドやニコ・コヴァチ、シムニッチらとも良く話し合った。誰もがなぜブンデスリーガのクラブに行かないのか聞いてきたけど、もう10年以上ドイツでやってきたからね。私のハートを掴んだのが今回のオファーだった。母がクロアチア人だから。それをドイツ人に言うと、私の移籍を理解してくれるよ。」
ボビッチは昨シーズンにヘルタを退団後、所属クラブを決めずにサッカーを続けるか続けないか考えていましたが、今回のオファーで現役続行を決意しました。2人の娘はドイツの学校に通っているため、単身赴任でのリエカでのプレーとなります。

kuze 少し前になるのですが、1月22日付のスポルツケ・ノヴォスティ紙のインタビューで、ディナモ・ザグレブ監督ヨシップ・クジェ(写真)が日本に対して警戒するよう促しています。クジェは1996年から1997年途中までガンバ大阪の監督を務めておりました。
「間違いなく代表スタッフはどの相手の詳細まで分析するだろう。私の助けは必要ないと思う。しかしもし助言を求められるのならば、喜んで助けるよ。」
と語るクジェは以下のように続けています。
「ドイツ大会で日本を恐れる必要はあるよ! 恐れることは決して悪いことではなく、そこから最大限の対策が練られるのだから。日本人はワールドカップに続けて出場しているし、彼らはいつも経験から学ぶ国民だ。完全主義者であるし、いつも進歩することを望んでいる。2002年の代表チームは1998年のチームよりもずっと良かったから、今のチームは更に良くなっていて危険なチームであるだろう。」
ガンバでも多くの選手を指導したクジェは日本代表の状況をいつも追っており、日本選手のことをこう回想しています。
「現日本代表には私の教え子がいる。宮本と稲本だ。宮本は彼が16歳の時に私がトップチームに引き上げた。稲本もそうで、のちにヨーロッパのクラブが彼を奪い合った。最初はアーセナルが獲得し、それからフルハムでプレー、今はWBAだ。最も危険な選手を挙げるとしたら、それはこの先も中田英寿だろう。鈴木や中村も危険な選手に挙げられる。私はフェイエノールトにいた小野も好きだけどね。」
フランス大会同様、日本戦は日中の暑さの下での戦いになることにクジェはこう助言しています。
「そのような時間帯での試合は日本に有利に働くだろうが、私達は攻撃に転じなくてはならない。日本はコレクティブな戦術を完璧に遂行するとはいえ、プレスをかけられるとかなり弱い反応を見せる。そのような状況でミスを犯し、ゴールを食らってしまうことがある。それと日本のGKは最高レベルにはないからね。ただ日本が高さに劣るという意見には騙されてるかもしれないよ。日本人は身長が低いとはいえ、ファンタスティックに空を舞う。彼らは本当に素晴らしい跳躍力を持っているよ。」
また現日本代表監督のジーコに関しては、
「ジーコは偉大なサッカー選手だが、日本代表監督としては選手に相応しくないことをしていると思う。例えば彼は組織や規律、プレーにおける義務を選手達に強調することはない。選手達には自由を与えすぎているが、日本人はそのようなプレーに適応しないと私は思う。けれども、それに騙されてはいけない。日本の選手達はスピードと機敏性があり、どうプレーするかを知っている。とりわけ危険な存在となるだろう。」
あと日本はオーストラリアより弱いのかと聞かれて、クジェはこう答えています。
「それは比較することはできない。オーストラリアの選手達はヨーロッパのクラブでの経験を通して大きなクオリティを培っている。また世界で5本の指に入る監督を持っている。フース・ヒディンクはチームに恐るべき影響を与えていることが重要だ。」
最後にクジェはこのように締めくくりました。
「ディナモのチームに日本選手が欲しいかって? もちろん。日本選手を持てたらいいんだけどね。」

それを受けるかのように、2月7日付のクロアチアのポータルサイト、インデックス・フルではディナモ・ザグレブが、日本代表DF宮本恒靖に関心を示しているとが報じています。実現性はかなり低いとはいえ、以下のような経緯で話が出ています。
7日にアンタルヤでジェフユナイテッド千葉とディナモ・ザグレブが練習試合で対戦しましたが、その夜にディナモの実権を握るズララヴコ・マミッチ副会長とイヴィツァ・オシムとヨシップ・クジェの両監督が同席。二人は日本代表のキャプテンである宮本の実力の高さを副会長に説明したといいます。
ディナモの広報担当であるシニーシャ・ヤゴディッチは
「宮本獲得に関して現時点では良いアイデアの一つに留まっている。オシムは彼のことを褒めちぎった。クジェはガンバ大阪時代から彼のことを覚えているからね。」
とコメント。また宮本はクロアチア紙のインタビューでクジェのことを
「僕を見出してくれたことは忘れない。彼は偉大な監督であるし、クロアチアで素晴らしい仕事をしていることも知っている」
と答えております。

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2006年2月 9日 (木)

ディナモ、ジェフ千葉に完勝

bosnjak 2月7日、トルコのアンタルヤでジェフ千葉とディナモ・ザグレブの練習試合が行われ、ディナモが4-0と圧倒しました。12日にハイドゥク・スプリトとの国内リーグ対決を控え、合宿の最終戦を最高の形で終えることとなりました。
前半17分、ブリャトのクロスボールにDFチョルルカがヘディングシュートを決めてディナモが先制。その2分後にはFWダ・シルバがドリブルで切り裂き、FWボシュニャク(写真)にパスを送るとボシュニャクはMFチャゴにゴールをお膳立てして2-0。36分にはMFエトーがペナルティエリアで倒され、それで得たPKをボシュニャクが決めて前半だけで3-0とリードしました。後半もディナモのペースで試合が進み、98年W杯で日本戦にも出場したMFマリッチが90分に得点を決めて4-0と完勝。
後半のディナモは100%の決定機を幾つか外しており、点差は更に広がる可能性はあったといわれています。ディナモは15回に渡る決定機がある中で、ジェフは2回しか決定機が作れませんでした。
試合後、ジェフ監督のイヴィツァ・オシムは
「このように頬をぶたれることは我々にとって歓迎すべきことだ。選手達は多くのことを学ぶことができたからね。ディナモは調子が良く、また大きなポテンシャルを持っているように見える。彼らのフォワード(ボシュニャク、ダ・シルバ)はとても危険な選手だ。まるで生きた炎のよう。モドリッチはボールを少しこねりすぎるとはいえ、非常に才能ある選手。中盤のマミッチはドイツの典型のようなしっかりとしたプレーをする。最終ラインは多くの経験を持っているかのように動く。チームは賢いプレーをし、いつ相手にプレッシャーを掛けるかが解っている。けれども、ディナモは何も無い状況からゴールを決められるが、決定機となると失敗していたね。それでもディナモはとても良いチームだ。」
と語りました。
またガンバ大阪で監督経験のあるディナモのヨシップ・クゼ監督はこうコメントしています。
「結果には大変満足しているよ。選手には二つの課題を出した。まずはボールをきちんとキープすること。ハイドゥク戦を前にし、個人そしてチームとしての自信が持つためにそれが必要だった。続いて私が要求したのは勝利することを学ばねばならないことだ。ジェフはCSKAソフィアを相手に印象深い試合をしていた。しかし私はできる限りの得点を決めるよう選手から望んだ。なぜならハイドゥクから点を奪わねばならないからだ。チームは疲れているとはいえ、よく走ってくれた。」

試合結果はこちら。
ディナモ・ザグレブ - ジェフユナイテッド千葉 4-0
アンタルヤ/スポーツ・センター  観客50人
主審 ゼキ・ガカル(トルコ)
得点
1-0 17' チョルルカ
2-0 19' チャゴ
3-0 36' ボシュニャク(PK)
4-0 90' マリッチ

ディナモ・ザクレブ(4-3-1-2)
GKトゥリーナ-DFブリャト(83'ロヴレン)、ドルピッチ、チョルルカ、チャレ(77'カルロス)-MFエトー(66'シャリッチ)、マミッチ(77'ヴコイェヴィッチ)、チャゴ(77'トミッチ)-モドリッチ(77'マリッチ)-FWボシュニャク(66'アンデルソン)、ダ・シルバ(66'ザホーラ)

ジェフユナイテッド千葉
立石、 結城、齋藤、ストヤノフ、坂本、佐藤、クルプニコヴィッチ、中島、山岸、楽山、ハース
(途中交代:櫛野、要田、工藤、水本、水野)

一方のハイドゥク・スプリトは練習試合でもなかなか勝利できません。2月5日には地元スプリトでボスニア・ヘルツェゴビナのプレミエル・リーガ首位のシロキ・ブリイェグと対戦。67分にDFジョロンガの処理ミスを現在リーガ得点王のFWドマゴイ・アブラモヴィッチ(彼について詳しくはこちら)がかっさらい、シュートを決めて1-0とシロキが勝利しています。

Klasnic 2月7日付のスポルツケ・ノヴォスティ紙にヴェルダー・ブレーメンで活躍中のクロアチア代表FWイヴァン・クラスニッチ(写真)のインタビューが掲載されています。その破壊力から「キラー」と呼ばれるクラスニッチは2シーズン続けてブンデス・リーガで2桁得点。彼は昨年11月に盲腸炎を患ったためブンデスリーガ19節のうち12試合しか出場できていませんが、それでも9得点6アシストと好成績を残しています。
「病気は過去のものだ。長く怪我もしてないしね。しっかりと呼吸もできる。ようやく調子が戻ってきたよ。数字にはこだわっていない。重要なのはいかにチームにフィットするかどうかだ。チャンピオンズ・リーグでユベントスとの対決を楽しみにしているよ。ユベントスとの二試合はブレーメン、そして私の調子のテストとなるだろう。ロベルト・コバチとマッチアップしてみたいよ。とりわけ正確なファイターだからね。でも彼が僕をやっつけるとは信じていないよ。」
相棒のドイツ代表FWミロスラフ・クローゼを怪我で欠くブレーメンですが、土曜日の試合では前半13分までにマインツに0-2とリードされながらクラスニッチは45分に逆転ゴールを叩き込み、4-2と勝利しました。盲腸炎以降は調子を落としていた彼にとって復活ゴールとなります
クロアチア代表ではレギュラー争いでオリッチに一歩リードされているクラスニッチですが、3月1日のアルゼンチンとの親善試合(バーゼル)に関しては
「試合結果は重要だけど、仮想ブラジルとして慣れる方がもっと重要だ。アルゼンチン戦は夢に描いた対決だし、ブラジル戦に向けての素晴らしい序曲となるだろう。ただ僕がスタメンを構成するわけではないし、そこで問題を作る気はない。本大会に向けて準備はできている。ドイツのピッチは良く知っているし、ワールドカップは特別な経験となるだろう。監督は最高のメンバーを選ぶはずだ。もし僕が信用に値するのならば、レギュラーを必ず勝ち取ってみせる。代表であることは僕にとって大きな名誉だし、いつもその名誉を楽しんでいるよ。」
とコメントしています。

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2006年2月 7日 (火)

トルコ合宿中のオシム・インタビュー

osim クロアチアのユタルニ電子版にトルコのアンタルヤに現在合宿中であるジェフ千葉のイヴィツァ・オシム(写真は同サイトより)のインタビューが掲載されました。ワールドカップのグループFについてコメントをしているので掲載します。

「日本ではクロアチアそのものについては多く書かれてないね。もっぱらクラニチャル親子の話ばかりが取り上げられている。クロアチア戦が決勝トーナメント進出を賭けた戦いになることは日本人も解っている。連戦となるテストマッチで彼らは準備し、アメリカ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、インド、ドイツらと対戦する。クロアチアはFIFAランキングに関係なく、予選突破の本命という立場から逃れられないだろう。それは最大の敵は自分自身にあるという意味だ。しかし、日本人は劣勢な立場の方が力を発揮する。もし日本が勝ったとしたら、日本に気分良いサプライズとなるだろうね。」

オシムは日本サッカーをこう描写する。
「ブラジルと近いね。ブラジル人コーチ達の影響が非常に大きいよ。しかしそのような最高の教師達がいるとはいえ、日本の選手は一つのことだけ学ぶことができない。(ピッチで)誰も責任を引き受けたがらないのだ。疫病から逃れるかのように、彼らは責任から逃れようとする。」

同グループの監督であるヒディンク、パレイラ、ジーコ、クラニチャルを比較すると?
「ウルグアイ戦では幸運があったとはいえ、ヒディンクは世界的なサッカーの権威だ。彼のイメージがオーストラリアを変えさせた。
クラニチャルは信用できる選手達を持ち、また選手達もクラニチャルを信用している。結果的に不成功であっても選手達が監督を侮辱することはしないと私は確信している。(選手が監督を侮辱することは)サッカー界で頻繁に起こるものだけど。
パレイラ? もし優勝しないのならばブラジルの監督であることは最悪だ。でも彼はブラジル監督を長く務めているし、一度は世界王者に導いているよね。
ジーコはブラジル学校みたいな存在だ。サッカーを愛しているし、選手も好みから選んでいる。ある代表選手は所属クラブでは不安定なプレーをしていても、彼の下では代表でプレーする。中田と中村のせいでジーコは苦しむことだろう。彼らはクラニチャルのように走らず(ボールを)待っている。ジーコのマイナスは余りにも攻撃的にプレーし、守りを固めないことだ。そのことはセットプレーでとりわけハンディキャップになるだろう。クラニチャルのチームはどんな相手も潰すことができる。彼らの最大の武器は守備だ。クロアチアは易々とゴールを奪われはしない。あとはプルショ、オリッチ、クラニチャールのような個人技が土台となっているわけだけど...」

ブラジルはアンタッチャブルな存在か?
「いや決して、そんなことはない。誰でも彼らと相対することはできるよ。」

でもブラジルにはロナウジーニョがいるわけだが。
「ロナウジーニョがいることは貴方達が書いているほどのアドバンテージではない。彼は最もアトラクティブな選手であり、観客を楽しませることができる特別なステータスを持った選手だ。しかしパリ(・サンジェルマン)でも彼は同様に才能ある選手だったが、バルセロナのようなプレーはできなかった。つまり彼は他のチームメート次第ということだ。」

ペレ、マラドーナ、クライフ、プラティニ、ジダン、ロナウジーニョのうち最高の選手を選ぶと?
「ロナウジーニョは最もアトラクティブだが、他の選手はよりプロフェッショナルだ。ロナウジーニョと最も似ているのはマラドーナだ。しかし彼はもっと責任を持ち、より真剣な選手だった。クライフに関しては話す必要はないよ。」

まもなくロナウジーニョは世界最強の布陣を持つチェルシーとの対決で見られるが。
「抽選はふざけているね。ここで対戦するのは早すぎる。バルセロナはエレガントなサッカーをする。しかしチェルシーは機械のようでエレガントさはない。ロッベンですらエレガントに働くことがないし。ランパードもまるで木こりのようだ。けれどもチェフ、テリー、カルバージョという最強の守備トリオを持っているよ。」

マウリーニョはポルトガルもしくはある国の代表監督ならば、ワールドカップで優勝することはできるか? 奇跡の人のように言われるが。
「ああ、アブラモヴィッチの資金を持った奇跡の人ならばね。ポルトガルはヨーロッパのチャンピオンにはなれるだろう。興味深いチームだ。」

どこの国がブラジルと対抗できるか?
「ドイツだよ! クリンスマンはドイツ的なサッカーの視点でラジカルな変化を与えた。ビジョンを持ち、偉大な選手なしでアグレッシブなチームを作ったよ。ドイツ人は日本人のようにファナティックで諦めることを知らない。選手達はアスリートの身体を持った本物の剣闘士だ。ホームでプレーすることで、観客はこれまでのドイツ代表にはなかったほどの応援することだろう。(オランダの)ファン・バステンのディフェンスも気に入っている。見るのが楽しいね。イタリアについては誰も話さないけど、あの世代の選手は最高の外国人達とプレーし、非常に経験のあるチームだ。アルゼンチンは最も汚いチームだけどね....」

更にどの代表がサプライズを起こせる?
「クロアチア、チェコ、スウェーデンだ。どの相手でも一発勝負ならば勝つことが可能だ。しかし彼らは勝利に長く喜びすぎては、それを繰り返すことは出来ないからね。」

クロアチアではニコ・クラニチャルについて最も議論されている。ある者は試合を決定づける選手であると断言し、ある者は"彼から得るものは全くない"と予想するが。
「彼は非常にタレントのある選手だ。しかし対戦相手の監督達が彼を攻略するのではと私は心配している。父がそれを解決できるかどうかだ。ニコがボールまで辿りつくのは難しい。彼はもっと走らなくてはならないね。例えばバルセロナのロナウジーニョには周囲の6人が彼のために真面目に働く。ニコはそんな気楽な状況にないし、周囲にそんな選手達を持つことは難しいだろう。クロアチアの最終ラインはコンクリートのようだ。しかし残りは個人技に頼るしかない。ボールを長く持ちすぎ、プレーに流れがない。クロアチアで最もコレクティブな選手であるクラスニッチがチームで活きない問題はそこにある。」

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2006年2月 5日 (日)

カールスバーグ・カップ大会後の統括

carlsbergcup2006 カールスバーグ・カップに出場したクロアチア代表一向が木曜日22時半に首都ザグレブへと帰還しました。結果はご存知の通り、韓国には0-2で敗れ、3位決定戦は香港に4-0と勝利しました。
27人もの選手が遠征参加を拒否する中で唯一レギュラー組でプレーした司令塔のニコ・クラニチャールは
「良かったよ。ピッチでの条件も良かったしね。大会には満足しているし、一つの新たな経験としても満足している。2戦目(香港)は1戦目(韓国)よりも僕自身はずっといいプレーができた。もっとやれたとは解っているけどね。」とザグレブ空港でのインタビューで語っています。
また父のズラトコ・クラニチャール監督は
「若い選手達にとって大会参加は良い経験となった。我々と同様にフル代表ではなかったとはいえ、デンマークと韓国の二つの良い代表チームも参加した国際大会でプレーしたことは何を意味するか選手達も感じ取ってるはずだ。韓国はワールドカップにも出てくるんだからね。このような大会はもっと必要だ。とりわけ21歳から23歳の選手達のためにね。
でも結果には満足してないよ。もっと私は良い結果を期待していたし、選手達ももう少し力が出せるものだと考えていた。客観的には初めて一緒にプレーするメンバーだったし、状況も状況だったからね。7時間の時差があるのが最大の原因の一つだよ。参加した選手達もリーグ中断期間で調整中だったので、試合感覚が欠けていたことも忘れてはいけないい。少なくとも7日間一緒にトレーニングしていたならば、もっと良い結果になったはずだろう。」

またクラニチャール監督は、本来の力は鳴りを潜めたものの香港戦で代表初ゴールを決めたブラジル生まれのFWダ・シルバについてこうコメントしています。
「予選で活躍したFWは私達にはたくさんいるけど、もし彼らの調子が悪くてダ・シルバがトップフォームだったら彼に出場機会を与える。私達が彼に目をつむることは絶対にないよ。彼のクオリティはU-21代表やクラブでの活躍ぶりで解っているし、A代表でも力を見せてくれた。ダ・シルバは良いキャリアを築く選手だし、近いうちにはA代表のレギュラーとなることだろう。」
あと彼は香港にて親切な対応とメディアの注目を浴びたと地元記者に監督は語っています。私も香港で取材の仕事をこなしてきましたが、クラニチャール監督はチームの行事参加をキャンセルしてまでインタビューに対応してくれ、悪かったですと謝ると「メディアには特別にきちんと対応するのが私の主義だからね」とさらりとかわしてくれました。

クロアチア代表の正GKトミスラフ・ブティナ(31)が、来季からギリシャの強豪オリンピアコスに移籍することが明らかになりました。ブティナは今季でベルギーのクラブ・ブルージュとの契約が終了。移籍金なしでの移籍となります。年俸は40万ユーロ、契約期間は3年間。オリンピアコスの監督トロント・ソリードは昨季までブルージュの監督をしており、クラブに彼の獲得を進言してました。オリンピアコスのライバル、パナシナイコスの正GKもクロアチア人のマリオ・ガリノビッチのため、来季からダービーはクロアチア人GK対決となります。

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