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2006年2月 7日 (火)

トルコ合宿中のオシム・インタビュー

osim クロアチアのユタルニ電子版にトルコのアンタルヤに現在合宿中であるジェフ千葉のイヴィツァ・オシム(写真は同サイトより)のインタビューが掲載されました。ワールドカップのグループFについてコメントをしているので掲載します。

「日本ではクロアチアそのものについては多く書かれてないね。もっぱらクラニチャル親子の話ばかりが取り上げられている。クロアチア戦が決勝トーナメント進出を賭けた戦いになることは日本人も解っている。連戦となるテストマッチで彼らは準備し、アメリカ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、インド、ドイツらと対戦する。クロアチアはFIFAランキングに関係なく、予選突破の本命という立場から逃れられないだろう。それは最大の敵は自分自身にあるという意味だ。しかし、日本人は劣勢な立場の方が力を発揮する。もし日本が勝ったとしたら、日本に気分良いサプライズとなるだろうね。」

オシムは日本サッカーをこう描写する。
「ブラジルと近いね。ブラジル人コーチ達の影響が非常に大きいよ。しかしそのような最高の教師達がいるとはいえ、日本の選手は一つのことだけ学ぶことができない。(ピッチで)誰も責任を引き受けたがらないのだ。疫病から逃れるかのように、彼らは責任から逃れようとする。」

同グループの監督であるヒディンク、パレイラ、ジーコ、クラニチャルを比較すると?
「ウルグアイ戦では幸運があったとはいえ、ヒディンクは世界的なサッカーの権威だ。彼のイメージがオーストラリアを変えさせた。
クラニチャルは信用できる選手達を持ち、また選手達もクラニチャルを信用している。結果的に不成功であっても選手達が監督を侮辱することはしないと私は確信している。(選手が監督を侮辱することは)サッカー界で頻繁に起こるものだけど。
パレイラ? もし優勝しないのならばブラジルの監督であることは最悪だ。でも彼はブラジル監督を長く務めているし、一度は世界王者に導いているよね。
ジーコはブラジル学校みたいな存在だ。サッカーを愛しているし、選手も好みから選んでいる。ある代表選手は所属クラブでは不安定なプレーをしていても、彼の下では代表でプレーする。中田と中村のせいでジーコは苦しむことだろう。彼らはクラニチャルのように走らず(ボールを)待っている。ジーコのマイナスは余りにも攻撃的にプレーし、守りを固めないことだ。そのことはセットプレーでとりわけハンディキャップになるだろう。クラニチャルのチームはどんな相手も潰すことができる。彼らの最大の武器は守備だ。クロアチアは易々とゴールを奪われはしない。あとはプルショ、オリッチ、クラニチャールのような個人技が土台となっているわけだけど...」

ブラジルはアンタッチャブルな存在か?
「いや決して、そんなことはない。誰でも彼らと相対することはできるよ。」

でもブラジルにはロナウジーニョがいるわけだが。
「ロナウジーニョがいることは貴方達が書いているほどのアドバンテージではない。彼は最もアトラクティブな選手であり、観客を楽しませることができる特別なステータスを持った選手だ。しかしパリ(・サンジェルマン)でも彼は同様に才能ある選手だったが、バルセロナのようなプレーはできなかった。つまり彼は他のチームメート次第ということだ。」

ペレ、マラドーナ、クライフ、プラティニ、ジダン、ロナウジーニョのうち最高の選手を選ぶと?
「ロナウジーニョは最もアトラクティブだが、他の選手はよりプロフェッショナルだ。ロナウジーニョと最も似ているのはマラドーナだ。しかし彼はもっと責任を持ち、より真剣な選手だった。クライフに関しては話す必要はないよ。」

まもなくロナウジーニョは世界最強の布陣を持つチェルシーとの対決で見られるが。
「抽選はふざけているね。ここで対戦するのは早すぎる。バルセロナはエレガントなサッカーをする。しかしチェルシーは機械のようでエレガントさはない。ロッベンですらエレガントに働くことがないし。ランパードもまるで木こりのようだ。けれどもチェフ、テリー、カルバージョという最強の守備トリオを持っているよ。」

マウリーニョはポルトガルもしくはある国の代表監督ならば、ワールドカップで優勝することはできるか? 奇跡の人のように言われるが。
「ああ、アブラモヴィッチの資金を持った奇跡の人ならばね。ポルトガルはヨーロッパのチャンピオンにはなれるだろう。興味深いチームだ。」

どこの国がブラジルと対抗できるか?
「ドイツだよ! クリンスマンはドイツ的なサッカーの視点でラジカルな変化を与えた。ビジョンを持ち、偉大な選手なしでアグレッシブなチームを作ったよ。ドイツ人は日本人のようにファナティックで諦めることを知らない。選手達はアスリートの身体を持った本物の剣闘士だ。ホームでプレーすることで、観客はこれまでのドイツ代表にはなかったほどの応援することだろう。(オランダの)ファン・バステンのディフェンスも気に入っている。見るのが楽しいね。イタリアについては誰も話さないけど、あの世代の選手は最高の外国人達とプレーし、非常に経験のあるチームだ。アルゼンチンは最も汚いチームだけどね....」

更にどの代表がサプライズを起こせる?
「クロアチア、チェコ、スウェーデンだ。どの相手でも一発勝負ならば勝つことが可能だ。しかし彼らは勝利に長く喜びすぎては、それを繰り返すことは出来ないからね。」

クロアチアではニコ・クラニチャルについて最も議論されている。ある者は試合を決定づける選手であると断言し、ある者は"彼から得るものは全くない"と予想するが。
「彼は非常にタレントのある選手だ。しかし対戦相手の監督達が彼を攻略するのではと私は心配している。父がそれを解決できるかどうかだ。ニコがボールまで辿りつくのは難しい。彼はもっと走らなくてはならないね。例えばバルセロナのロナウジーニョには周囲の6人が彼のために真面目に働く。ニコはそんな気楽な状況にないし、周囲にそんな選手達を持つことは難しいだろう。クロアチアの最終ラインはコンクリートのようだ。しかし残りは個人技に頼るしかない。ボールを長く持ちすぎ、プレーに流れがない。クロアチアで最もコレクティブな選手であるクラスニッチがチームで活きない問題はそこにある。」

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コメント

いつも貴重な情報をありがとうございます。
オシムは日本でのクロアチアの取り上げ方とかまで本当によく見てますよね。
インタビューを読むと、オシムの好みがよくわかって非常に面白いです。
日本でも代表に対してこういう意見を言ってくれるヒトがいると本当に素晴らしいんですけど。
クロアチアがうらやましいくらいです。

投稿: kame_cave | 2006年2月 7日 (火) 08時01分

いつも情報ありがとうございます。
彼の選んだ、日本代表というのがあれば見てみたいですね。
聞き出すのは難しそうですが。

クラスニッチも、代表で活躍して世界的に評価される選手になって欲しいですね。

投稿: alena | 2006年2月 7日 (火) 22時00分

いつも貴重な情報をありがとうございます。
オシムさんの分析力には本当に感心します。
これで日本協会に聞く耳があれば・・・。

投稿: J.D. | 2006年2月 7日 (火) 22時39分

はじめまして。いつも楽しく読ませてもらっています。
今回のオシムの記事ですが…うーん。
自分としては「さすがにオシムも日本代表にはそれほど興味がないのかな?」という感想ですね。
アジア予選を全て見てるとしたなら、さすがに
>ジーコのマイナスは余りにも攻撃的にプレーし
と言う言葉は出てこないでしょう。
中田・中村に対する言葉も、
中村はともかく、中田に対する言葉としては
「うん?」と思ってしまいますしね。
オシムとはいえ、日本代表に関する物は少し割り引いて聞いておいたほうがいいのかな?とも思います。

ただ、やはりクラニツァルの弱点を的確に指摘している点はさすが、と思います。

投稿: コロンバス | 2006年2月 9日 (木) 10時36分

長束さんはじめまして!いつも貴重なニュースありがとうございます。サッカーに魅せられて外国語を習得して活躍するなんてホントすごいですよね!
さて、長束さんに質問があります。この記事は色々なところで取り上げられているわけですが(特にこの一部)、
>中田と中村のせいでジーコは苦しむことだろう。彼らはクラニチャルのように走らず(ボールを)待っている。
→スポーツ報知では「ボールを持っている」
→このサイトでは「ボールを待っている」
なんです。どちらが正解なんでしょう?正規に寄稿なさった報知でしょうか。お時間あったら教えてください。

オシム監督は64歳にしてすっごい情熱家なので、いつ寝てるのかわからないくらい世界中のサッカーを見てます。明らかにコンフェデのギリシャ戦も見てましたし。
中田と中村に関しては運度量よりもオシムの好みが多分に反映されていると思います。たしかに中田はスタミナがあって献身的な守備もしますが、攻撃時に「釣る」動きをすることが代表では少ないですから。それはオシムの好むスタイルじゃないのではないかと思います。

また、面白い記事を期待しています!
失礼しました。

投稿: BB | 2006年2月13日 (月) 21時56分

>BBさん
はじめまして。質問の件ですが、原文はこちらを使用しています。
http://www.jutarnji.hr/sport/nogomet/vijesti/clanak/art-2006,2,5,,9969.jl
取り上げている原文はこちらです。
"Najvise ce trpjeti zbog Nakate i Nakamure. Oni, poput Kranjcara, ne trce, vec cekaju."
単語を辞書と照らし合わせての直訳をするならば
「もっとも中田と中村のために(ジーコは)苦しむだろう。彼らはクラニチャールのように走らずに待っている」
となります。ただこの文章が世に出るまで、まず最初に現地の新聞記者のフィルターが掛かり、そして翻訳の私のフィルターが掛かり、また寄稿すると編集者のフィルターが掛かります。何重のフィルターが掛かりながらもオシムの発言として一人歩きしてしまうのを実感してしまいます。これもオシムの影響力なのでしょう。私はなるべく直訳を心がけていますが、ライターによっては自分の頭から生まれたオシムの言葉を作っちゃう人もいると思いますよ。訳してても「てにをは」一つで読者を誘導することが可能だとすら思えてきますし....。
ちなみにオシムの専属通訳の間瀬さんは私のかつてのルームメートです。彼の翻訳能力、アウトプットの巧みさというのは本当に素晴らしいです。しかしながら間瀬さんからアウトプットされた日本語を、ライターやジャーナリストが独自の解釈で自分の「オシムの言葉」を作ってしまうというのはよく見られますよね。

投稿: 長束恭行 | 2006年2月14日 (火) 07時30分

ちなみに「クラニチャールのように」がまた誤解を生んでいるようですが、「クラニチャールと同様に」ということです。
なんか別の解釈をされちゃっているケースもあるみたいで、翻訳をやってて怖いと思いますよ。

投稿: 長束恭行 | 2006年2月14日 (火) 07時38分

早速ご丁寧なご説明ありがとうございました!今回のことについて背景を説明します。

私がここで指摘したウラには、この記事が
⇒(紙面のみで)スポーツ報知に掲載され
⇒関連のDAILY YOMIURI:webで英語化され
⇒日本在住英国人サッカー記者のjeremy walker氏が『FC JAPAN』というサイトで取り上げたからです。

DAILY YOMIURIの英語原文を引用しているから仕方ないですけど、「あれ?長束さんの
サイト内容と違うなー」と思ったわけです。まぁオシム監督は「走り」に関して世界のどの選手に対してもなかなかほめない方ですよね。ただこのコラムは新聞記事とは違い、ストックされていつまでも残るので、細かいですけど確かめたくなったんです。なるほど、ニコも中田ももっと走らなければいけない、というニュアンスなんですね。納得しました。
ご参考までにリンク貼っておきます。

http://www.yomiuri.co.jp/dy/sports/20060208TDY24004.htm
http://www.fcjapan.co.jp/jeremy/

一般の方のブログ等でオシムのコメントを「違う意味で解釈してる?」と思っても私も間違ってる可能性大きいし(!)気にしないのですが、ネットの世界は英語に訳されると世界中を駆けめぐるので、失礼を承知で長束さんにご質問しました。よかったです。ひとまず安心しました。

それにしても通訳の間瀬さんとルームメートってすごいですね!何がすごいってクロア
チアサッカーに魅せられて言語習得に励んだ日本人が、2人も同時にいたということに
感銘をうけます。英語のみならず第二外国語ですら、とっとと挫折した自分からは外国
語を習得できる方は偉人の領域に思えます。

これからも、サイト更新・やっべっちFCへのご出演での貴重な情報提供を楽しみにして
います。長文失礼しました。

投稿: BB | 2006年2月14日 (火) 22時32分

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