クロアチア、アルゼンチンに3-2で勝利
3月1日、スイスのバーゼルでクロアチアはアルゼンチンと親善試合を戦いました。スイスにもクロアチア移民が多く住んでおり、観客は13138人ながら多くのクロアチア・サポーターが駆けつけました。またドルトムントから流れた日本の報道陣に加え、日本代表監督のジーコも視察に訪れました。
ディフェンスの要ロベルト・コバチが前日のトレーニングで左足の小指を痛めたため、リベロの位置には普段はボランチのトゥドールが入りました。空いたボランチのポジションにはこの試合が代表デビューとなる20歳のルカ・モドリッチが抜擢。また怪我のDFシムニッチの代わりにシミッチ、GKブティナの代わりにプレティコサが起用されました。4-2-3-1システムを採用する話もありましたが、いつもの3-4-1-2システムをクラニチャール監督は採用。またアルゼンチンは3-3-1-3システム。司令塔のリケルメの前にクレスポ、テベス、メッシという強力な3トップを揃えました。
いきなり試合は波乱の展開になります。3分にMFクラニチャールの左FKをGKアッボンダンシエリがキャッチミスをすると、こぼれ球をFWクラスニッチが押し込んでクロアチアが先制。これが逆に呼び水となり、1分後には「マラドーナ二世」ことFWメッシ(写真・左)が右サイドでリケルメのスルーパスを受けると、ファーサイドに走りこんだFWテベスへアウトサイドキックでラストパス。テベス(写真・右)はスライディングでシュートを決めて同点。更にその2分後にはFWトマスのパスミスをカットしたメッシがドリブルで切り裂き、最後は左足で丁寧なシュートを決めてアルゼンチンが逆戦に成功。前半はクロアチアの3バックがアルゼンチンの変幻自在な3トップに対応できず、とりわけメッシがドリブルをすると混乱に陥りました。
後半からクラニチャール監督はメッシに振り回されたトマスに変えてDFトキッチを投入。左アウトサイドのバビッチにもメッシのケアをさせ、前半は陰をひそめた右アウトサイドのスルナをより高いポジションへと配置。監督の指示がずばりと決まると、前半とは見違えるようなチームとなりました。アグレッシブかつ連携された守備でアルゼンチンの攻撃を食い止めると、一気に主導権を握ります。52分に左サイドをFWプルショがドリブルでマーカーを外し、クロスボールにプルショが狙い済ましてヘディングシュートを決めて同点。この試合で目立ったのは代表デビューとなるモドリッチ。ディナモ・ザグレブの司令塔は、柔らかいタッチからパス・アンド・ゴーを繰り返し、動きの重いクラニチャールに変わって中盤にリズムを作りました。試合はロスタイム92分、イヴァン・レコの左CKからDFシミッチが背中に当てたボールがアルゼンチン・ゴールに吸い込まれてクロアチアが逆転(写真は喜ぶ選手達)。3-2で金星を挙げました。
試合後にクラニチャール監督は
「非常にダイナミックで良い試合だった。アトラクティブなサッカーを見せられたと思う。偉大なアルゼンチンに逆転勝利できたことが嬉しいね。この素晴らしい結果は長く語られるものかもしれないが、試合の中ではミスもかなりあった。私たちにとっては前半に同点に追いつかなくて良かったのかもしれない。ハーフタイムによりハードにプレーするよう取り決めたことで、後半はミスが少なくなった。私たちは勝利に値したと思うよ。ミスを繰り返さないように試合分析をして、これからの親善試合はワールドカップのため正確性を求めていくつもりだ。」
とコメント。
またアルゼンチン代表監督のホセ・ペッケルマンはこうコメント。
「良い試合だった。5得点も見られたわけだし、観客にとっては間違いなく楽しかったことだろう。この試合で明らかになった欠点で眼が覚めたことを考えれば、私はまったく不満ではない。私たちが何をすべきかとはしっかり判っている。0-1で一度はリードされたとはいえ、前半の我々は良かったし、より危険な形を作っていた。時間が経つにつれ、忍耐力に欠け、不安定になった。クロアチアのハードでアグレッシブなプレーに対応できなくなってしまった。とりわけ相手のディフェンスにね。クロアチアの選手達は私の選手達を完全に固まらせてしまった。」
またスポルツケ・ノヴォスティ紙がマン・オブ・ザ・マッチにも選んだルカ・モドリッチは
「僕がプレーするなんて思ってもいなかった。もしロベルト・コバチが怪我してなかったら、僕はプレーしなかったことだろう。アルゼンチンには何人か素晴らしい選手がいる。メッシ、リケルメ、テベスは世界クラスの選手だ。僕がクロアチアのメッシだって? 分からないよ。この試合をきっかけでかつての自分より良くなるとは思わないし、代表の座が確定したとも思わない。」
と語り、クラニチャール監督はモドリッチに関して
「モドリッチが私の召集と信用に応えてくれてとても満足している。私には驚きではないよ。モドリッチ、クラニチャール、プルショ、クラスニッチ、そして他の全員も一人では何もできない。これはチームとしての集団の勝利だ。」
と語っています。
クロアチア 3-2 アルゼンチン
バーゼル/セント・ヤコヴ・パーク・スタジアム
観客:13138人
3' 1-0 クラスニッチ
4' 1-1 テベス
6' 1-2 メッシ
52' 2-2 スルナ
90' 3-2 シミッチ
クロアチア:(3-4-1-2)
GKプレティコサ-DFシミッチ、トゥドール、トマス(46分トキッチ)-MFスルナ、N.コヴァッチ(82分イェルコ・レコ)、モドリッチ(84分イヴァン・レコ)、バビッチ-クラニチャール(90分ブリャト)-FWプルショ(90分ペトリッチ)クラスニッチ(75分オリッチ)
アルゼンチン:(3-3-1-3)
GKアッボンダンシエリ-DFコロッチーニ(60分L.ゴンサレス)、サムエル、ブルディッソ-MFポンシオ、デミチェリス、カンビアッソ-リケルメ-FWメッシ、クレスポ(75分D.ミリート)、テベス(68分アイマール)
[スタッツ]
クロアチア:アルゼンチン
枠内シュート 4:3
枠外シュート 1:4
ファウル 22:20
コーナーキック 10:2
オフサイド 0:5
ボールキープ率 48%:52%
ちなみに私はテレビ取材の仕事でバーゼルへと行きましたが、クロアチア・サッカー協会のはからいで彼らのチャーター機でザグレブ~バーゼル間を移動させて貰いました。クロアチア人以外は私だけ。選手やジャーナリストの中には友人や知人がいるとはいえ、同行するとなるとさすがに緊張しましたね。帰りは試合後にそのまま深夜にザグレブに戻りましたが、喜びというよりはお疲れという感じでした。選手は1/3ほどが同乗。無理をせずにバーゼルに延泊して、翌日に自分のクラブに戻る選手が多かったようです。
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コメント
トマスは右DFの方がやっぱりよいですね苦笑。 モドリッチ巧かったです。期待通りの選手でした。クロアチアからいいプレーメーカーが出てきてくれることは本当にうれしいです。ニコ・クラニチャルもいいライバルができたことでもっと伸びるんじゃないでしょうか。
投稿: ボクシッチ | 2006年3月 4日 (土) 01時47分
いつも貴重な情報をありがとうございます。
協会関係者と移動とは凄いですね。
試合を観ましたが、バビッチ、モドリッチ、スルナの動きが良いなと思ってみていた反面、クラニチャールはどこにいるのかわからないくらい動いていないなという印象でした。
そして、オリッチの復帰はうれしい限りです。
個人的にとても気になったのは、現地クロアチアでのFW陣の評価はいかがなのでしょうか?
お時間のよろしい機会に教えてください。
投稿: ふぃ~ばぁ~。 | 2006年3月 4日 (土) 08時40分
初めまして。ジェフファンで、以前からこのサイトを楽しませてもらってます。クロアチア戦見ました。印象としてはトマスのCBは?なのとモドリッチがCMでもプレーできていた事です。プルソとクラスニッチは今更実力を聞くのは野暮ですし、コバチ兄の中盤での潰しっぷりも相変わらずでしたね。ところでクラニチャール。セットピースでは高精度のキックを見せましたが、流れの中ではナカムラ並に消えていましたね・・・・。パスで作るタイプの司令塔ではあると思いますが・・・。コバチ弟が戻ってくればモドリッチはベンチなのでしょうか?彼をスタメンで使った方がいいと思えますが、どう思われます?
投稿: abera | 2006年3月 5日 (日) 13時14分