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2006年5月28日 (日)

クロアチア紙のジーコ・インタビュー

22日付のクロアチアの日刊紙ユタルニ・リスト紙に日本代表監督ジーコの独占インタビューが掲載されました。聞き手は東京在住のジャパン・タイムズ特派員で、サッカージャーナリストとして知られるジェレミー・ウォーカー氏です。
記事の訳を紹介しますが、英語→クロアチア語→日本語と二重の翻訳になるため、日本語でも文章を書かれるウォーカー氏のインタビュー内容とニュアンスが変わる可能性はご理解下さい。

ワールドカップまであと5週間ほどだが、日本は準備はできているか?
「もし今日に大会が始まったとしても、私たちは準備ができていることだろう。選手達は準備ができており、自信を持っている。私はそう確信している。どんなフォーメーションでプレーするかは関係なく、何をすべきか彼らは判っている。なぜならそのように練習をしてきたし、私たちはもう4年間に渡って発展をしてきた。ここ最近は数試合は考えられる全てのコンビネーションを試した。その数は少なくない。」

日本代表は2002年からどう変化したか?
「選手達が対戦国の名前や伝統にとらわれることなく、もう相手を恐れなくなったことが、この4年間で成し遂げた最大の進歩だと言いたい。多くの強豪と対戦したからね。ある相手には勝利したし、ある相手には引き分けた。どの試合からも自信となるような新たな刺激を得たよ。私たちは最後の一秒まであきらめず、自分達のプレーでどんな相手でも勝利できることを知った、とりわけ攻撃的なチームになった。」

自分のサッカー哲学についてはどう描写する?
「試合の最後の瞬間までは全てが決まっていないという考えを抱いている。それが私の哲学だ。我々は何回も結果をひっくり返すことに成功したという事実が、私の哲学をチームにもたらすことに成功したことを物語っている。リスクを犯して攻撃を仕掛ける時が大きな課題だ。同時に10人で攻撃できないわけだからね。選手の頭の中にはバランス感覚がなければならないが、闘争心は試合の最後まで維持しなくてはならない。0-1で負けているならば、私たちの目標は同点にしなければならないことだ。でも引き分けでも素晴らしい結果となるならば、全ての攻撃のカードを切ってしまうことは良くない。なぜなら0-1の代わりに0-2で負けることもあるんだから。かつての私たちにはそのようなことが起こったが、今は随分と稀になった。勝利への強い願望がまずあり、続いて負けたなくないという強い願望がある。またその願望は個人のものではなく、むしろ選手全員に一致したものだ。もしそうでなければ、どんな強い相手も私たちより多くのゴールを決めてくることだろう。」

ワールドカップでは世界に日本代表のどんなクオリティを見せられる?
「1974年ワールドカップのオランダのようなものを貴方たちが見るなんてことはないだろう。あのオランダはサッカー界において革命的で全く新しいものをもたらした。そんなことは日本にはできないし、現在のどの代表チームもできないことだ。私たちは望むような結果を勝ち取り、どれだけ闘争的なチームであるかを見せられることだろう。人々は常に最後の何分間での驚異的な逆転劇を語るが、もしそのようなことがしばしば起こるならば驚きでも偶然でもない。ワールドカップで日本はそんなチームとなるだろう。」

ドイツ大会ではどの代表選手に最も期待をしている?
「まずは中田英寿だ。彼は日本人として世界で活躍したことでシンボル的存在となった。それから中村俊輔だ。彼はもう一人の日本サッカーのシンボルだ。日本サッカーがヨーロッパで同等にプレーし、サポーターを歓喜させる選手を作り出すことができる証拠だよ。三番目はドイツのHSVでプレーする高原直泰だ。彼は前回のワールドカップでは病気のため出場しなかった。彼はアピールしたいという願望で燃えていると思う。とりわけ自分のクラブのサポーター達の前でね。」

ワールドカップで満足できる結果は?
「選手にとってはどんな瞬間も一試合のことを考えることが重要だ。オーストリア戦からスタートしたあとは、2004年の中国でのアジアカップで見せたようなスピリットでどの試合も戦う必要がある。どの試合もまるで最後のものであるかのように、まるで決勝であるかのように受け止めなければならない。もちろん最初の目標は決勝トーナメント進出だ。それが最も難しい課題だろう。その後は楽になる。なぜなら次のラウンドに進むためには一試合に勝つだけで十分だからだ。日本は準々決勝まで進めると思うが、どの試合も決勝であるかのように挑むつもりだ。」

同グループのライバルである、オーストラリア、クロアチア、ブラジルについてはどう評価している?
「最も難しいグループを引いたと私は考えている。ブラジルがグループの一位になるのが道理で、クロアチアとオーストラリア、日本が2位について同様のチャンスがある。しかしそれはセオリーだけで、本当に起こることは誰も予想はできない。誰もが成功し、誰もが失敗するような大きな戦いとなるだろう。」

クロアチアについては何を知っている?
「クロアチアは偉大なサッカー伝統国だ。現在の代表選手はかつてのボバンやシュケル、プロシネチュキのような個々のクオリティは持ってない。しかし、今でもクロアチア代表はとても強いチームだ。とりわけサイドの選手が危険だ。例えば右サイドのダリヨ・スルナだね。しかし、クロアチアは日本やオーストラリアと同様の問題を抱えている。代表選手が様々なリーグに散らばっており、彼らを集まることが難しいことだ。しかし、チームは毎回集まるごとに強くなっている。組織力から言ってもクロアチアはとても危険な相手だ。ユーゴスラビアは唯一、ヨーロッパでブラジルのサッカーをプレーするものとブラジルでは語られていたのを覚えている。しかしユーゴスラビアが崩壊し、スター選手達が新たな国家代表に散らばってしまった。けれども多くの若い選手達が進歩と何年間も待っていたアピールのチャンスを得てきたと私は考えている。政治的、社会的、万人的な意味合いでユーゴスラビアの崩壊が正しいことだったかを判断することはしたくない。しかしサッカーの意味合いではある優位性をもたらしたとだろう。若い選手達はチャンスを利用し、その結果がクロアチア・サッカーの現在の力だと考えている。」

ニコ・クラニチャルのような若い選手についてはどう思っているのか?
「彼は真のプレーメーカーだ。多くの攻撃の基点となっている。」

祖国ブラジルを相手にして日本ベンチに座ることはどう感じるだろうか?
「早かれ遅かれ、そのようなことが起こることは分っていた。しかし、ワールドカップのグループリーグでブラジルと対戦しなければならいということは望んでいなかった。けれども私はプロフェッショナルな日本の監督だ。どんな相手でも勝利しなければならない。実際のところ、私はこのような状況になった最初のブラジル人監督ではないからね。例えば、1958年と1962年にブラジルでワールドカップを制覇したジジは、1970年にペルーを率いてブラジルと対戦している。」

反スポーツ的なプレーやシミュレーション、PK判定のミスなどはしばしば現在のサッカーで見られている。かつてはそんなことが少なかったのでは?
「貴方が口にしたネガディブなこと以上にもっと私が心配していることは、そのネガティブなことを認識してしまっている可能性があることだ。審判には大きな責任があるが、審判にはファウルがあったかどうか見分けるのが時々難しくなっている。数少ないボールタッチで全速力で走れば、簡単にバランスを崩すことは元選手として私は分っているよ。選手に罪がないような状況で多くのカードが出されるのを見てきた。しかし、選手が意図的にペナルティエリアで倒れるのならば、退場させる必要がある。そのような選手はチームメートもサポーターも裏切ったことになるんだからね。」

そのような現象を止めるには?
「プロフェッショナルなサッカー選手は目標達成のためならば全てをやるだろう。重要なのはプレーにおいて何を承認するかを正確に決めることだ。かつては、しばしば選手がゴールラインで得点を手で阻んだケースがあった。今ではそれがなくなったのは、レッドカードという罰則が与えられるようになったからだ。PKを引き出すようなシミュレーションに関する問題にも同じような罰則をもたらす必要があるだろう。同様に、突破できるポジションでFWを手で止めた時にもレッドカードで罰則すべきだろう。逆にFWがカードを貰う場面を私は何度も見てきた。なぜならマークを外すために肘鉄を入れたとして審判にアピールされたからだ。」

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2006年5月25日 (木)

親善試合「オーストリアvs.クロアチア」

5月23日、ウィーンのエルンスト・ハッペル・スタジアムで「オーストリアvs.クロアチア」の親善試合が行われました。観客は22,000人。
クロアチアは合宿初日でDFヨシップ・シムニッチが膝の故障でリタイア。またGKトミスラフ・ブティナも調整不足のため欠場しました。スタメン(3-4-1-2)は以下のようです。
GKプレティコサ-(右から)DFシミッチ、コヴァチ弟、トマス-MFスルナ、トゥドール、コヴァチ兄、バビッチ-クラニチャル-FWプルショ、クラスニッチ
またヒッケルスベルガー新監督体制になって2試合となるオーストリアは代表初選出が5人、うち3人が先発出場しました。スタメン(4-3-2-1)は以下のようです。
GKパイヤー-DFシュタントフェスト、シュトランツル、シャーナー、イベルツベルガー-MFレクサ、アウフハウザー、プレーガー-ライトゲプ、イヴァンシッツ-FWヤンコ

Momcad序盤はバビッチを左SBの位置にした4バックでスタートしたクロアチアですが、ピッチをワイドに使いながらワンツーなどで最終ラインを崩しに掛かるオーストリアに苦戦します。オーストリア代表の主将でクロアチア系のイヴァンシッツが開始から2分間で2度に渡って最終ラインを突破しましたが、コヴァチ兄とシミッチが追いかけてクリアしました。中盤でのパスミスが目立つとはいえ、バビッチが左MFの位置へと上がることで次第にクロアチアが攻撃の主導権を握ります。11分、そのバビッチから左のスペースに走りこんだプルショへパスが出ると、プルショは最初のタッチで中央へと折り返します。ゴール前で待っていたのはクラスニッチ。ゴールを背にしながらマーカーのサイドとは逆に反転すると、蹴り込んだシュートはネット中央に突き刺さり、クロアチアが先制しました。しかし14分、イヴァンシッツが放った右CKは大きく弧を描き、ゴール左上へと鋭角に入ってきたところをGKプレティコサがキャッチミス。ボールはラインを割ったとしてオーストリアのゴールが認められます。25分、スルナのCKからコヴァチ兄がヘディングシュートをしますが、ポスト右に立っていたシュトランツルがクリア。その直後にはクラスニッチとのワンツーからプルショがシュートを放つものの、GKパイヤーがセーブします。しかし、35分にクラスニッチはプルショに一度ボールを当ててから中央突進。再びボールを貰ってから細かいボールタッチで3人のDFを次々とかわし、最後はGKまでもかわしてのシュート。愛称通りの「キラー」ぶりを発揮しました。ヴェルダー・ブレーメンではクローゼとのコンビネーションで活躍しているクラスニッチですが、これまでサイド攻撃中心の代表チームでは輝きを見せませんでした。しかしこの試合に来て、ようやくプルショとのコンビネーションが確立した感があります。

後半からクラスニッチを代えてオリッチ、プレティコサに代えてディドゥリツァを投入します。47分、アウフハウザーのシュートはGKディドゥリッァの正面。53分、シュトランツルがCKをクリアしたところをクラニチャールがミドルシュートを放ちますがGKの正面。3点目は55分でした。クラニチャールからボールを受けたバビッチが左サイドからコースを探ってのミドルシュート。ボールはDFシャーナーの背中に当たってコースが変り、ネット左に吸い込まれます。その後は完全にクロアチアがゲームを支配。60分にはスルナのCKからオリッチがヘディングシュート。地面に叩き付けられたボールはクロスバーを越えます。69分、途中交替で入ったバラバンが正面25mのFKを右に決め、4-1と更にリードを広げての完勝となりました。

試合後、ズラトコ・クラニチャル監督は会見にて以下のようにコメントしています。
「まず何より選手の試合への取組み方、プレーの組織ぶり、プロ意識に満足している。もちろんミスには気づいているし、それは練習で修正していくつもりだ。でもそれは細かい部分だよ。前半、オーストリアは攻撃的にプレーしたために、私たちが突破するのは楽ではなかった。組織的なプレーを通しながら、私たちは個人能力で全てを解決する可能性へと至った。活躍した選手としてはクラスニッチ、プルショ、オリッチ、バラバンの名前を強調したい。それはFWの選手選択を誤らなかったという証明だ。
唯一心配していたのは選手の疲れだ。5日間で10回のトレーニングをこなしただけに疲れてないかと心配した。けれども後半には控え組にも素晴らしいメンバーがいることを見せられたのは大きな収穫だ。途中交替した選手達はきちんと代わりを務められるたからね。
ゴールキーパーに関しては何の問題も発生していない。プレティコサは誰でも起こるようなミスからゴールを許してしまった。今の彼は落ち込んでないし、落ち込む必要もない。私の考えの中では何も変わらないし、プレティコサのステータスもあのゴールのあとで変わることはない。私たちには三人の優秀なゴールキーパーが揃っているから。
(ルカ・モドリッチが先発から外れたことについて)
彼はかなり疲れていることはトレーニングでも感じ取れた。モドリッチは途中交替で入ってから他の選手同様に良いプレーをした。私のチームは11人からではなく、ここにいる24人全員がなるチームだ。」

P1100674 このところ試合もテレビの仕事で行くことが多く、日本戦までは仕事が続くわけですが、今回だけは気楽にサポーターとして友人と観戦に行ってきました。ク ロアチアのサポーターは1万人近くいましたが、その殆どがオーストリアやその近辺に住むクロアチア移民。そのため客席もクロアチア語よりドイツ語が飛び交っていました。応援の仕方もクロアチアとは異なって幾つかはゲルマン化されているわけですが、そんな中で発炎筒の大量の投げ込みや国歌に対してのブーイング(その国で世話になっているくせして)などはクロアチア以上にマナーが悪く、苦笑いしてしまいました。

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2006年5月18日 (木)

オシムのW杯日本代表評+16年前のユーゴ代表評

5月16日のスポルツケ・ノヴォスティ紙に、ジェフ千葉監督のイヴィツァ・オシムがW杯日本代表メンバー発表に際して語ったコメントが掲載されていましたので翻訳紹介します。

-ジーコは久保を落としたことで、どれくらいを失った?
「久保はとてもクラスニッチに似た選手だ。非常に嫌な左利きで、予測不可能な選手だ。見た目は決してそんな風でないが、彼をマークするディフェンダーは眼を閉じることは許されない。」

-代表発表後にジェフでのトレーニングで起こったことについて
「トレーニングの前に私は巻に"練習する必要はない。代表リストに載ったのだから怪我なんてことが起こらないように"と言った。巻は驚いた顔をして私を見てこう言った。"しかし私は練習が好きです"とね。"ああ、それならば練習しろ"と答えたよ。巻は疲れを知らない選手だし、足を止めない選手だ。対戦相手との差を好む監督にとっては素晴らしい選択だよ。」

巻は千葉で唯一の代表選手だが、オシムはジーコを批判しなかった。
「フランス大会でのクロアチア戦に名を連ねた選手と日韓ワールドカップで良いプレーをした選手、そして新たな名前をジーコは組み合わせることに決めた。しかし、反応はいつでもあるものだ。"なぜエドゥアルド(・ダ・シルヴァ)が代表にいないんだ"という今のクロアチアの問題もそうではないのかね。もし彼が代表に名を連ね、ボシュニャクが外れたならば"なぜボシュニャクはいないのか"という問題になったはずだ。」

-日本は過小評価することは許されないが、クロアチアの方が良いチームなのでは?
「クロアチアが勝つだろう。」

-聞いたり読んだりする限りでは、日本人サポーターが欧州に行く準備をしているらしいが。
「そうだ。ヨーロッパへの航空券はこの先1ヶ月半はもうない。翼までも席が埋まっているよ。」

-ワールドカップのチケットは確保したのか?
「信じてくれるかどうかは知らないが、一枚も持っていない。もちろん希望は持っているけどね。とはいえ、テレビ観戦も悪い解決ではない。」

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Osim_1 今から16年前、ユーゴスラビア代表監督としてイヴィツァ・オシムはイタリア大会に参加し、ベスト8までユーゴラスビアを導いたわけですが、かつての家主がヴェチェルニ・リスト紙の大会特集号を形見に残してくれました。その冊子にオシムが大会前に残した話があります。当時を物語る資料として興味深いので、こちらも紹介しましょう。(似顔絵も冊子より)

「イタリア・ワールドカップ参加国の代表には多様性があることを考えれば、細かい分析をせずして対戦国との間に私たちがどんなアドバンテージがあるかを特定するのは難しい。チームに何かしっかりとしたカード(武器)があるかどうかが、試合を最も左右し、結果をもたらすことになるだろう。
私たちの選手、そして代表の特徴としては、まずプレーをする多くの選手が予測不可能な個人技を持っていることだろう。それは相手に対してのアドバンテージと考えることができる。予選や親善試合を振り返れば、一対一のプレーでそのことが証明されていた。ストイコヴィッチ、スシッチ、サヴィチェヴィッチ、また他の選手らは難しい状況にあっても、一人でたやすく試合を解決していた。ワールドカップ本大会でもそれが私たちにとって試合を決めるアドバンテージとなるはずだ。短い時間で全てを解決するような能力がある選手が何人もいることは望ましいクオリティだ。とりわけ本大会のような日程でプレーするならば、チームの一人の選手だけに全てを背負わす必要がないからね。
イタリアには経験ある選手を十分に連れていくとはいえ、"本当の"布陣に頼るタフネスさを考慮しておく必要があると確信している。それは長所の一つだ。ユーゴ代表の2/3の選手は年齢に関係なく、他人がうらやむほどの経験を持っていると断言できる。もちろん、まず何より私は国際舞台の試合と試練について考えているよ。だから、私たちが抱えている"子供のような病気"を現してしまうことは許されないだろう。それは大きな試合になると私たちはクオリティを見せながら、違う結果へと陥ってしまう病気だ。
試合の戦術についてはご存知の通り、余り話すつもりはない。しかし、それはアドバンテージを実現するためのスペースが存在するということだ。例としてスコットランド戦を挙げてみよう。誰もが私たちが引き、スコットランドが私たちを"包囲"することを許すと予想していた。しかし実際に起こったのは、私たちは前へと仕掛けるコンセプトで彼らを混乱させたことだ。様々な戦術に早く適応するような心の準備と可能性と一緒に、戦術プランにおいては驚きと呼ばれるようなカードも計算しておく機会が出てくることだろう。」

両方の記事で「nepredvidiv」(予測不可能な)という単語を使っているのが面白いですね。日本代表では"nepredvidiv"の久保が落選し、16年前のユーゴ代表では"nepredvidiv"な個人技を持った選手達がチームの特徴だとしています。

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2006年5月17日 (水)

W杯クロアチア代表メンバー発表とその反応

5月12日、ザグレブのホテル・シェラトンでワールドカップのクロアチア代表メンバー24人が発表されました。事前情報ではボシュニャクの落選が濃厚とされていましたが、前日になってシェーリッチ、ダ・シルヴァが新たな落選候補として名前が挙がり、最終的に落ちたのはダ・シルヴァでした。FIFAには23人でリストを送付しており、第1戦直前までに怪我人が出た場合に変更可能な24番目の選手としてMFブリャトが選出されています。

P1100457 記者会見でズラトコ・クラニチャール監督(写真)は
「23人のメンバーについては金曜の夜中を通して考えに考えた。簡単に扱うには余りにも大きなテーマだからね。予選の最後に"ワールドカップ予選を戦ったメンバーにアドバンテージがある"と私が言ったことに筋をしっかりと通した。不満な選手もいることだろう。しかし、これはエモーションもセンチメンタリズムもないプロフェッショナリズムだ。」
とコメント。またエドゥアルド・ダ・シルヴァの落選に関しては
「プルショ、オリッチ、クラスニッチ、バラバン、ボシュニャクがもっとやれるとの立場からだ。あれらは私が望んでいるようなプレーをこなしてくれる。だからといってエドゥアルドの価値を少しも下げるわけではない。彼はまだ若いし、将来が待っている」
と語りました。

メンバーは以下のようです。

:GK
トミスラフ・ブティナ (クラブ・ブルージュ[BEL])
スティペ・プレティコサ (ハイドゥク・スプリト[CRO])
ジョセフ・ディドゥリツァ (オーストリア・ウィーン[AUT])

:DF
ダリオ・シミッチ (ACミラン[ITA])
ロベルト・コヴァチ (ユベントス[ITA])
ヨシップ・シムニッチ (ヘルタ・ベルリン[GER])
スティエパン・トマス (ガラタサライ[TUR])
マリオ・トキッチ (オーストリア・ウィーン[AUT])

:MF
イゴール・トゥドール (シエーナ[ITA])
ダリヨ・スルナ (シャフタール・ドネツク[UKR])
マルコ・バビッチ (バイヤー・レバークーゼン[GER])
ニコ・コヴァチ (ヘルタ・ベルリン[GER])
ニコ・クラニチャル (ハイドゥク・スプリト[CRO])
イェルコ・レコ (ディナモ・キエフ[UKR])
イヴァン・レコ (クラブ・ブルージュ[BEL])
アンテ・シェーリッチ (パナシナイコス[GRE])
ユーリツァ・ヴラニェシュ (ヴェルダー・ブレーメン[GER])
ルカ・モドリッチ (ディナモ・ザグレブ[CRO])
マリヤン・ブリャト (ディナモ・ザグレブ[CRO])

:FW
ダド・プルショ (グラスゴー・レンジャース[SCO])
イヴィツァ・オリッチ (CSKAモスクワ[RUS])
イヴァン・クラスニッチ (ヴェルダー・ブレーメン[GER])
イヴァン・ボシュニャク (ディナモ・ザグレブ[CRO])
ボシュコ・バラバン (クラブ・ブルージュ[BEL])

Da_silva 今季リーグ得点ランク2位(20ゴール)、アシスト1位(11)、リーグMVPにも選出されているエドゥアルド・ダ・シルヴァ(写真)の落選は国内でも波紋を呼んでいます。国内ではとりわけ人気のある選手であり、ここ一年はU-21代表のエースでもありながらA代表にも定着していました。ダ・シルヴァは
「ショックだったし、大きな悲しみに襲われた。現時点では騙されたのかどうかは判らない。私はまだ若いし、きっとチャンスが来るだろう。どちらにしろクロアチア国籍を取ることになったはずだ。国籍を取ったことは残念ではないよ。ブラジル代表でプルーすることは決してなかっただろうしね。」
とコメントしています。
とりわけディナモ副会長のズドラヴコ・マミッチ氏がダ・シルヴァ落選に怒りを見せました。「今度はモドリッチに仕返しがあるだろうから批判はやめとけ」との周囲の声を聞かず、マミッチはダ・シルヴァ落選はニコ・クラニチャールを追い出したことへの復讐だとぶちまけ、ニコだけが代表で優遇されていることを批判しました。
また5月13日の国内リーグ最終節「ディナモ・ザグレブvs.ハイドゥク・スプリト」では、試合のVIPチケットを持っていたクラニチャール監督が来たとしてもスタジアムに入れないようマミッチが指示。一部のディナモ・サポーターがクラニチャール監督に対して「チィツォ(クラニチャール監督の愛称)、ペデル(ホモ野郎)」のシュプレヒコールが繰り返しました。
シュプレヒコールに対して、試合に出場したニコは「私の父親を侮辱したサポーターは恥を知って欲しい。父はディナモとクロアチア・サッカーに貢献したというのに...」と悲嘆に暮れ、クラニチャル監督も「ワールドカップに出場するチームの代表監督で、ナショナル・スタジアムで侮辱される人物はまだいるというのかね? 私以外誰もいないはずだ。」と怒りを見せています。
また代表正GKトミスラフ・ブティナと代表GKコーチのイヴコヴィッチに対して、個人練習としてディナモの練習場を使用することをディナモ側は許さず、これもダ・シルヴァ落選に対しての反応と見られています。

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2006年5月 8日 (月)

ディナモ・ザグレブ、3年ぶりのリーグ優勝

Dinamo 5月6日、クロアチア・リーグ第30節が行われ、オシエクに1-0と勝利したディナモ・ザグレブは3年ぶりのリーグ優勝を果たしました。1992年のクロアチア・リーグ創設以来8度目、ユーゴスラビア・リーグを含めると12度目のリーグ優勝となります。

残り3節で2位リエカと勝点差8と広げていたディナモは、このオシエク戦に勝ちか引き分けでリーグ優勝が決まります。春ならではの変わりやすい天候もあって、ザグレブのマクシミール・スタディオンの観客は10000人止まり。それでも北側スタンドに占めたディナモ・サポーター「バッド・ブルー・ボーイズ(BBB)」は熱い応援を重ねました。

ディナモ・ザグレブはいつもと違っての3トップを採用。中央にターゲットマンのアンデルソンを置き、左にダ・シルヴァ、右にボシュニャクを並べました。しかし選手間の距離が広がりすぎてパスが上手く繋がりません。17分、ブリャトの左からの直接FKはオシエクのGKスケンデルが好セーブ。34分にはマミッチがミドルシュートを放ちますが、ボールは左ゴールポストをわずかに逸れてしまいます。
怪我明けでコンデション不足のダ・シルヴァを後半頭から外し、中盤にMFチャゴを入れることで4-3-1-2のいつものフォーメーションに戻します。61分、DFミラルドヴィッチがロングボールの処理に失敗したところをボシュニャクがかっさらい対角線にシュート。ボールは一度ポストを叩きますが、そのままネットに吸い込まれてディナモが先制します。待望だったゴールをきっかけにディナモは幾分と吹っ切れ、厚みのある攻撃を繰り返しますが、最終面での集中に欠けて追加点は生まれません。80分にボシュニャクはGKスケンデルをドリブルでかわすものの、角度のないところからのシュートは失敗。またオシエクも途中交替で入ったFWトゥルコヴィッチ(元セレッソ)が右サイドを抜け、GKトゥリーナと1対1で放ったシュートは弾かれてしまいます。ロスタイム、2位リエカがカメン・イングラッドに負けたというアナウンスが入り、ベンチの選手が歓喜で飛び跳ねます。ホイッスルが鳴ると同時にグラウンドに選手とクジェ監督、スタッフが抱き合い、発炎筒を炊きながらサポーターと喜びを分かち合ったのち、選手達はディナモのエンブレムが描かれた巨大グラスでシャンパンを飲み回しました。クジェ監督にとっては25年の監督人生で初タイトル。BBBからは「ヨシップ・クジェ!」コールが起き、クジェは目に涙を溜めながら北スタンドに向かって深く頭を下げました。

【写真:クジェ監督(一番左)と
発炎筒を握るボシュニャク(一番右)】

Dinamo2_1
試合後のコメントを集めてみました。

ヨシップ・クジェ監督
「私たちは勝利でタイトルを確定させたかった。もう喜びを延期することはしたくなかったからね。そのような大きな願望のために神経質なプレーをしていた。もしかしたら少しの恐怖もあったかもしれない。選手達は結果を気にしすぎているのが目に見えたよ。3トップにした前半のプレーは非常に不安定だった。ピッチの中央を空っぽにしてしまったからね。ラッキーなことに私たちはゴールを決めることに成功し、祝杯の時を今こうして迎えるができた。分析はシーズン後となるだろう。」

イヴァン・ボシュニャク
「この成功を皆で祝うんだ。僕たちの成功に対して誰も決して批判できないと信じているよ。これが終われば相応しい休暇が待っている。とはいえ全員の頭の中はまだ(最終節の)ハイドゥク戦のことがあるけどね。」

ルカ・モドリッチ
「僕はハイドゥクとの試合を考えている。まだ試合まで一週間あるけど、僕たちしっかり準備をするつもりだし、今日よりもっと良くなるはずだ。多くのサポーターがやってくることを希望しているし、この成功したシーズンを最後は勝利でサポーターに感謝するつもりだ。今後の計画は? クラブに関していえば、ヨーロッパでの戦いだよ。」

エドゥアルド・ダ・シルヴァ
「チームメート、スタッフ、サポーター、そしてディナモを愛する全員に感謝しているし、おめでとうと言いたい。僕たちがUEFAカップに行ったとしても、春まで戦いに残り、良い結果を残せることができるだろう。ルーマニアのクラブができるのならば、僕たちにも可能なはずだ。チャンピオンズ・リーグ本選進出には多くの運が必要だろう。今は次の土曜日を待っている。もっと大きなお祝いとなるからね。」

マリャン・ブリャト
「僕たちが最高のチームだと証明したし、次はヨーロッパで何かを成し遂げに行くよ。」

シルビオ・マリッチ
「これまでリーグ制覇を経験してきたけど、今回は私のスポーツ人生において最も美しい感動の一つだよ。一年間、そのために頑張ってきたんだからね。タイトルは再びザグレブに戻ってきた。誇りだし、幸せだよ。BBBに感謝しているし、ハイドゥク戦にはBBBとディナモを愛する人々達を呼びたい。5月13日は全員でリーグ優勝の二度目のお祝いに来てくれ。」

エトー
「私は何も話したくないよ。(ビール瓶を持ちながら)多くのビールを飲んでるからね!」

私はクロアチアに初めて訪れてから9年、またザグレブに住んで5年となりますが、ディナモのリーグ優勝の場面に立ち会ったのは初めてであります(3年前はバスケ日本代表通訳のために日本にいました)。贔屓のクラブが優勝する喜びはなかなかなものですね。

[優勝決定リーグ]
Dinamo Zagreb - Osijek 1:0
1:0  61' Bosnjak

Kamen Ingrad - Rijeka 1:0
1:0  5' Sest

Hajduk Split - Varteks Varzdin 2:2
1:0 12' Bartulovic
2:0 40' Pokrivac(OG)
2:1 57' Ipsa
2:2 79' Safaric(PK)

[降格決定リーグ]
Medimurje - Zagreb 2:0
1:0  7' Bratkovic
2:0 14' Cicero Lima

Inter Zapresic - Slaven Belupo 1:2
0:1 10' Saranovic
0:2 62' Dodik
1:2 84' Gondzic

Pula Staro Cesko - Cibalia Vinkovci 0:2
0:1 59' Ratkovic
0:2 90' Keric

【順位】
[優勝決定リーグ]
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点70)、2位…リエカ(59)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(47)、4位…オシエク(41)、5位…カメン・イングラッド(38)、6位…ハイドゥク・スプリト(37)

[降格決定リーグ]
7位…プーラ・スターロ・チェシュコ(41)、8位…スラヴェン・ベルーポ(37)、9位…ザグレブ(37)、10位…チバリア・ヴィンコヴチ(34)、11位…インテル・ザプレシッチ(31)、12位…メヂムリエ(30)

【得点】
20ゴール…ボシュニャク(ディナモ)
18ゴール…ダ・シルヴァ(ディナモ)
15ゴール…ヴグリネツ(リエカ)
14ゴール…ベンコ(ヴァルテクス)、シャルビーニ(リエカ)

【アシスト】
11アシスト…ダ・シルヴァ(ディナモ)
9アシスト…モドリッチ(ディナモ)、ムムレク(スラヴェン・ベルーポ)
8アシスト…シャリッチ(リエカ)
7アシスト…ブリャト(ディナモ)、ノヴァコヴィッチ(リエカ)、ヴルチーナ(スラヴェン・ベルーポ)

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2006年5月 6日 (土)

クロアチア・カップは二年連続リエカが優勝/クロアチアリーグ第29節

Sunca 5月4日、クロアチア・カップ決勝第2戦が行われました。
一週間前の第1戦では、4-0とリエカがホームでヴァルテクス・ヴァラジディンを圧倒。優勝はリエカに間違いないとされていましたが、この試合ではドラマが待っていました。ヴァルテクス・スタディオンには7000人もの観客を集め、普段はあまりサッカーの場に姿を出さないスティエパン・メシッチ大統領も観戦しました。
コンパクトにして中盤を制圧し、サイド、中央のどの方向からも攻め上がってくるヴァルテクスにリエカが苦しめられます。23分、トリックプレーから30mの強烈なミドルシュートのDFルチッチを決めてヴァルテクスが先制。しかし、ベンコが決定機を逃し、ノヴィニッチもヘディングシュートをポストに当てて前半を1-0で折り返します。
後半54分、ベンコがペナルティエリアで相手のミスからボールを奪い、胸トラップから反転シュートを叩きこんで2-0。ヴァルテクスの押せ押せムードの中、試合を決めたのはまたヴグリネツでした。ペナルティエリアの左内側でボールを受けると、相手マークを背にしながらも最後は交わしてシュートを決めて2-1。ヴァルテクスは更に4点取らなくてはいけなくなりましたが、84分にハンドで得たPKをシャファリッチが決めて3-1。89分には右からのグラウンダーのクロスにノヴィニッチが合わせ、リエカGKジリッチが取り損ねたのを再びノヴィニッチが決めて4-1。ロスタイムにもノヴィニッチがGKジリッチのキャッチミスからヘディングシュートで5-1。残念ながらここでホイッスル。トータルスコア5-5、ヴグリネツのアウェーゴールの2倍計算でリエカが優勝。ナイーブアートの巨匠として知られるイヴァン・ラヴジンが制作した「ラヴジンの太陽」(写真)と呼ばれるカップを2年連続で手にしました。

遅れましたが、4月29日に行われたクロアチア・リーグ第29節の報告を。
この節のカードの目玉は首位ディナモと2位リエカの直接対決。ホームはリエカのカントリーダ・スタディオン。残り試合4で勝点差8をつけているディナモがこの試合に勝利すれば優勝が決まります。生憎の雨もあって観客は6000人止まり。それでもリエカ・サポーターのアルマダが2000人、ディナモ・サポーターのBBBが1500人ほど集まりました。
ホイッスルと同時に打ち合いとなりました。開始1分、ボシュニャクが左サイドを抜けるとロングクロスに待ち構えていたのはサイドプレーヤーとして先発起用されたトミッチ。ボレーシュートを決めてディナモが先制します。しかしリエカは6分、シャリッチとプリシュツのコンビネーションで崩すと最後はMFリニッチが決めて同点。13分にはノヴァコヴィッチの右クロスにFWシャルビーニがディナモ守備陣の隙間に飛び込んでシュートを決めて逆転します。ディナモはリエカの速いサイド攻撃と神出鬼没のヴグリネツに苦労させられますが、後半頭からトミッチに代えてFWアンデルソン、53分には怪我をしたボシュニャクに代えてMFマリッチを入れると主導権を奪い返します。71分、モドリッチがマリッチとのワンツーでリエカの最初の壁を破り、更にアンデルソンとのワンツーでフリーなったモドリッチが同点ゴールを叩きこみました。カップ戦のために連戦が続いているリエカには疲れもあり、そのまま2-2のドローで終了。ディナモのリーグ優勝が近づきました。

[優勝決定リーグ]
Rijeka - Dinamo Zagreb 2:2
0:1  1' Tomic1:1 
1:1  6' Linic
2:1 13' Sharbini
2:2 71' Modric

Varteks Varzdin - Kamen Ingrad 1:2
0:1 41' Papa
0:2 76' Lakic
1:2 89' Benko

Osijek - Hajduk Split 2:1
1:0 39' Milardovic
1:1 47' Hrgovic
2:1 79' Barisic

[降格決定リーグ]
Slaven Belupo - Medimurje 0:0

Zagreb - Pula Staro Cesko 1:0
1:0 19' Ibricic

Cibalia Vinkovci - Inter Zapresic 1:1
1:0 62' Krizanovic
1:1 79' Piskor

【順位】
[優勝決定リーグ]
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点67)、2位…リエカ(59)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(46)、4位…オシエク(41)、5位…ハイドゥク・スプリト(36)、6位…カメン・イングラッド(35)

[降格決定リーグ]
7位…プーラ・スターロ・チェシュコ(41)、8位…ザグレブ(37)、9位…スラヴェン・ベルーポ(34)、10位…チバリア・ヴィンコヴチ(31)、11位…インテル・ザプレシッチ(31)、12位…メヂムリエ(27)

【得点】
19ゴール…ボシュニャク(ディナモ)
18ゴール…ダ・シルヴァ(ディナモ)
15ゴール…ヴグリネツ(リエカ)
14ゴール…ベンコ(ヴァルテクス)、シャルビーニ(リエカ)

【アシスト】
11アシスト…ダ・シルヴァ(ディナモ)
9アシスト…モドリッチ(ディナモ)、ムムレク(スラヴェン・ベルーポ)
8アシスト…シャリッチ(リエカ)
7アシスト…ブリャト(ディナモ)、ノヴァコヴィッチ(リエカ)、ヴルチーナ(スラヴェン・ベルーポ)

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ブラジル戦の挑み方

ブラジル代表監督のパレイラがクロアチア戦でロナウジーニョ、カカー、ロナウド、アドリアーノを同時起用すると発表したことに対して(参考:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060503-00000045-kyodo-spo)、クロアチア代表監督のズラトコ・クラニチャールが4日のスポルツケ・ノヴォスティ紙で自らの方針を発表しました。

「私はまさしくそのような選択を望んでいたよ。ブラジルとクロアチアの監督は似ている。選手を入れ変えるのが嫌なところがね!」
クラニチャール監督はインタビューでこのように喜び、
「スウェーデン戦と違うのはトマスの代わりにシミッチ、クラスニッチの代わりにオリッチを使うことだ。トマスとモドリッチが控えの筆頭だよ。」
とスタメンを既に口にしています。クラニチャル監督がかねがね言明しているように本大会から4バックを採用するならば、スタメンは以下のようになります。
GKブティナ-(右から)DFシミッチ、R.コヴァチ、シムニッチ、バビッチ-MFスルナ、トゥドール、N.コヴァチ-クラニチャール-FWプルショ、オリッチ。

また戦術に関しては
「相手選手に厳しく当たりにいくつもりはない。私たちのエリアに入ったら相手選手にできるだけ近づいて速い攻撃を封じ、シュートゾーンに近づけないようにするつもりだ。また私たちの攻撃のコンセプトを探求していく。ブラジルを驚かせる能力は私たちにあると見ているよ。」
ロナウドとアドリアーノをどう止めるかに関しては
「彼らは世界的ブランドだ。とはいえ、私たちのストッパーのそのカテゴリーに入っている。スプリトでの親善試合では互角に戦ったし、同じく恐ろしいスウェーデンの攻撃陣相手でも決定的な場面を許さなかったからね。私はマンツーマンでのマークはさせないつもりだ。ゾーンディフェンスで対応する。ロナウジーニョに関しても守備的MF陣と右サイドの選手で連携しあって対応させる。」
とコメントしています。

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2006年5月 5日 (金)

移籍情報

Nkovac ヘルタ・ベルリンに所属する二人のクロアチア代表選手が揃って今季限りで退団することが濃厚となっています。
MFニコ・コヴァチ(写真)は34歳という年齢と推定年俸150万ユーロという金額の高さもあって、ヘルタ・ベルリンは契約延長しないことを決定。
「何を怒るっていうんだい。ベルリン生まれで、ここで28年間も生活しているから少しは残念だけどね。でも私はプロフェッショナルだから辛くはないよ。ヘルタは3500万ユーロの負債を抱えているからね。」
とコヴァチはコメントしています。今季を最後にコヴァチは自由契約選手となりますが、既にクロアチア国内ではディナモ・ザグレブ、またかつてのチームメートである元ドイツ代表FWフレディ・ボビッチが所属するリエカが関心を示していると報じられています。

また代表DFヨシップ・シムニッチ(28)も今季限りでヘルタとの契約が切れますが、代理人とクラブの契約延長に関する交渉が決裂。ヘルタは5年で1200ユーロという好条件を提示したものの、シムニッチ側の希望額とは離れていました。シムニッチに対してはギリシャの名門オリンピオコスのほか、DFの若返りを図るACミランが関心を示していると報じられています。

代表DFダリオ・シミッチ(30)がACミランとの契約を2009年まで延長しました。出場機会の少なさで退団を希望しており、フィオレンティーナから好条件のオファーが出ていたものの、ミランの副会長ガリアーニとスポーツ・ディレクターのブライデが残留を説得。再契約を結びました。シミッチは
「ガリアーニとアンチェロッティ監督とはかつてより話し合いをしていた。このような状況が続くのならばチームを去るとね。しかし彼らは聞く耳を持たなかった。契約を延長したということは私のことを信用し、勘定に入れているという証明だよ。もちろん満足している。」
とコメントしています。

今季でシュトゥットガルトを退団することとなった元代表MF/DFズボニミール・ソルド(38)ですが、現役続行の意思がある彼と二部のケルンが合意したと報じられています。しかし新たにロサンゼルス・ギャラクシーが好条件のオファーを出したことで、現在はケルンとロサンゼルスのどちらに行くか考えているそうです。

代表経歴のあるDFゴラン・サブリッチ(26)もディナモ・キエフと5年間の再契約を結びました。今季で契約が切れる彼は退団を希望していたために二軍に放り込まれていましたが、ここに来て年俸70万ドルという好条件を提示されたことと、オファーが残留争いをするようなチームばかりだったことが決断のきっかけとなりました。
「スルキス会長が私のにこう言ったんだ。"お金は準備している。ルーマニアに行ってステアウア・ブカレストのDFを買いに行く。君には残留するかの決定を3日間与えよう"とね。考えた末に残留を決めたんだ。」
と語っています。
またチームメートの代表MFイェルコ・レコ(26)も退団を希望。以前から報じられているようにASモナコ入りと条件面で折り合いがついており、入団が濃厚されています。

代表FWボシュコ・バラバン(27)が今季で契約の切れるクラブ・ブルージュと再契約を結ぶことになるそうです。クラブでも高給取りのバラバンは減給を受け入れた上での契約となるそうです。

ディナモ・ザグレブが今季でバイヤー・レバークーゼンを退団するDFイェンス・ノヴォトニー(32)にオファーを出し、現在交渉中であることが明らかになりました。ノヴォトニーにはフィオレンティーナもオファーを出しているのですが、ディナモのオファーに関しては
「ディナモとは話し合いをした。オファーを貰ったし、それを拒否はしていない。ザグレブに行くことは何ら抵抗はない。唯一の小さな問題は幾らか弱いリーグでプレーすることだ。」
とコメントしています。

ヴァルテクス・ヴァラジディンのFWレオン・ベンコ(22)が来季からブンデスリーガのニュルンベルグに移籍することになりました。カールスバーグカップで代表初召集されたベンコは、今季の公式戦(リーグ、カップ、インタートトカップ)で29ゴールを決めており、幾つかのドイツのクラブが関心を示していました。契約は3年間。既に仮契約を結んでいます。今季でヴァルテクスとの契約は切れるために移籍金は発生しないものの、23歳以下の選手であるためヴァルテクスは年間2万ユーロを請求する権利があるそうです。

今季はカップ二連覇と2位の座を確定したリエカの選手も随分と移籍話が挙がっています。リーグ戦で22試合15ゴールとチームの牽引役となっている元代表MFダヴォール・ヴグリネツ(31)にはディナモ・ザグレブが熱心に誘っており、右MFのイゴール・ノヴァコヴィッチ(27)にはトルコのアンカラシュポールとアンカラガチュ、ガジアンテップシュポールが関心を示しています。DFダリオ・クネジェヴィッチ(24)にはセリエBのボローニャとディナモ・キエフが狙っていると報じられています。

元セレッソ大阪のFWクルノ・ロヴレク(26)がギリシャ一部リーグのパニオニオスに移籍することが濃厚とされています。NKザグレブ、ハイドゥク、リエーセ(ベルギー)でもプレーした彼は今年になって二部リーグのクロアチア・セスベッテに入団していましたが、新たな移籍先を探していました。

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