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2006年8月30日 (水)

移籍情報

Niko_3 ハイドゥク・スプリトの代表MFニコ・クラニチャール(22)の移籍話の進展を。
28日にフランス・リーグのレンヌとの交渉が行われましたが、クラニチャール側が移籍金400万ユーロ、年俸70万ユーロ(税抜)の4年契約を希望するのに対し、レンヌは移籍金350万ユーロ、年俸60万ユーロ(税抜)しか提示したために物別れに終わりました。その後にレンヌは移籍金400万ユーロと上げたものの、話がまとまる見込みは高くないようです。
クラニチャールの代理人を務めるジュグール弁護士はスペインへと渡り、交渉を続けています。交渉先の一つはデポルティーボ・ラコルーニャであり、550万ユーロ辺りの移籍金で交渉しているようです。またウェストハムとポーツマスも関心を示していると言われていますが、移籍期限の8月31日までにまとまるかは微妙なところです。

その一方でハイドゥク・スプリトは補強を進めています。
クロアチア代表としても4試合の出場経験のあるFWユーリツァ・ヴチュコ(30)が自由契約選手としてハイドゥクに復帰が本決まり。ハイドゥクで37得点を決めたのち、2000年夏にアラベスに移籍。在籍途中にサマランカにレンタル、そしてここ2シーズンはスペイン二部のポリ・エイードでプレーしておりました。弟のDFルカ・ヴチュコも今季、ロシア・リーグのサトゥルンから古巣に戻ってきており、兄弟でのプレーとなります。
更にクロアチア代表として2002年ワールドカップと2004年ユーロに出場したDFボリス・ジヴコヴィッチ(31)もハイドゥク加入が濃厚です。シュトゥットガルトとは契約が残っているものの、構想外となっていることから契約を破棄した上でハイドゥクと契約する予定であります。
またシュトゥットガルトのMFマリオ・ツァレヴィッチ(24)もハイドゥクのレンタル移籍が決定。一ヶ月前から本人はレンタルによるハイドゥク復帰を希望していたものの、国内のクラブにレンタルさせたいシュトゥットガルトと対立しておりました。移籍期限が近づいたということで、シュトゥットガルトも折れた形になりました。

Jertec ディナモ・ザグレブがヴァルテクス・ヴァラジディンのU-21代表MFダリオ・イェルテツ(21・写真)にオファーを出し、29日、直交渉で後はサインのみという段階でイェルテツが最後のサインを拒否。移籍話が破談となりました。
移籍金70万ユーロ、年俸12万ユーロの5年契約という国内ではクラニチャールに次ぐ最高レベルの移籍劇となるはずだけに、今回の破談には疑問の声を上がっています。イェルテツ本人は
「全ては正確だったし、条件も素晴らしかった。けれども僕はサインをしなかった。なぜかって? 解らない、解らない....。全てが早いスピードで進み、10分間ほどで決心することができなかった。ディナモに来ることは大きな名誉だと解っているけど、しかし....。今は何を言えばいいか解らない。」
とコメント。その一方でディナモのズドラヴコ・マミッチ副会長は以下のように怒りを見せています。
「イェルテツには出せる全てを提供した。ヴァルテクスも移籍金の額には満足していた。あとはサインするだけだった。なのにイェルテツはまるで家族の誰かが亡くなったような風貌だった。それを見て私たちはサインを諦めた。
素晴らしい条件なのに喜びも見せない選手は私たちに必要ではない。
今日経験したようなことがまた起こるなんて考えることができない。こんな形で全てが破談になってしまって嬉しいよ。なぜならお金を無駄にすることもなかったし、クラブを守ることが出来たんだからね。」

最後にU-21代表正GKダニエル・スバシッチ(21)にまつわる事件を。
先のイタリアとのU-21代表の親善試合でも無失点に抑え、ハイドゥクやディナモも注目している選手なわけですが、彼が所属する2部リーグのザダールが契約延長を強要。チーム外協力者という肩書きながら、チームの影の実権を握り、サッカー・マフィアの一人であるレノ・シノヴチッチ氏に
「もしサインをしなかったらお前は終わりだ。ゴールキーパーとしても人間としてもお前を潰してやる。私は自分の前にある全てを潰してきた男だからな。」
と脅し、どんな内容が書かれているかも判らない書類にサインをさせられました。スバシッチの弁護士が後から書類の内容を見せるようクラブに申し入れるも拒否。またクラブに置いてきたサッカー用具の受け渡しも拒否しました。スバシッチ側は警察に被害届けを出し、強要されたサインが無効であるとして、また2万5000ユーロの給与未払いから契約破棄を訴えています。

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2006年8月28日 (月)

クロアチア・リーグ第5節

8月26日・27日にクロアチア・リーグ第5節が行われました。

開幕以来負けなしで来ているハイドゥク・スプリトはアウェーでリエカと対戦。通称「アドリア海ダービー」は、リエカがここ2年間ハイドゥク相手に負けなし。カントリーダ・スタディオンには約6000人の観客が訪れました。
オーストリア・リーグでの乱闘騒ぎによる長期サスペンションが解けたリエカのFWニーノ・ブーレ(元ガンバ)が今節から出場。新加入のスペイン人MFトニートはベンチスタートとなりました。
リエカは押し気味に試合を進めたものの、活躍したのは再びハイドゥクのクラニチャール。26分にドライブ回転をかけた30mのミドルシュートはポストに叩かれたものの、その3分後、左サイドで得たFKを低い弾道で蹴り込むと、ゴール前に群がる選手の隙間を抜けてネット右に突き刺さります。リエカも44分にミキッチ、45分にルビールのシュートが枠内を捉えますが、バリッチが素晴らしいセーブを見せました。
後半も守るハイドゥクに対して、ボスニア代表FWボリッチやトニートを投入。見せ場はロスタイム。リエカのCKとなり、身長197cmのGKジリッチがハイドゥクのゴール前まで上がります。CKからのジリッチのヘディングはハイドゥクDFに弾かれて再びCK。二度目もジリッチがヘディングシュートを叩きつけるものの、バリッチが驚異的な反応を見せてパンチング。そのままタイムアップとなりました。
リエカに2倍以上のシュートを打たれながらも5連勝を決めたハイドゥクのヴリッチ監督は
「我々にとってこの試合が最大の試練だった。このチームは使命というものがない。一試合一試合戦っていくだけだ。」
とコメントしています。
現在のハイドゥクにおいてもクラニチャールはトップ下ではなく、左MFとして才能を発揮。彼にはフランス・リーグのレンヌが関心を示しており、この試合でもスポーツディレクターのゲオルギゲス氏が視察してクラニチャールを賞賛。またボルトンやトットナム・ホットスパーも名乗りを上げており、8月31日の移籍期限までに話がまとまる可能性もあるようです。移籍金は400~450万ユーロほどと見られています。

同じく全勝で来ているディナモ・ザグレブはアウェーでチバリア・ヴィンコヴチと対戦。
クジェ監督がオーゼールの試合視察のため、アシスタントコーチのムステダナギッチ氏が指揮を取りました。エドゥアルド、アンデルソン、エトーのブラジル人3トップで挑んだものの、GKマリッチの好反応もあってシュートチャンスを逃します。59分にはモドリッチのアシストからアンデルソンのシュートが決まったかと思いきや、オフサイドの判定にディナモ関係者は怒り狂います。けれども79分、エドゥアルドがペナルティエリア手前でボールを持つと角度のあるシュートを決めて1-0。この1点を守りきり、ディナモも全勝を守りました。
ちなみにエドゥアルドにも幾つか国外からオファーが届いています。PSVアイントホーフェンから1000万ユーロの移籍金を提示されたものの、マミッチ副会長が拒否。またヴェスト・ブロムビッチ・アルビオンも750万ユーロを提示しましたが、これもマミッチ副会長が拒否しております。

Zv 私は今節、4位ザグレブと3位ヴァルテクスの対決を観戦取材してきました。
2003/04シーズンのヴァルテクスで一緒にベンチに座り、師弟関係にあるブラジェヴィッチ(ザグレブ)とダリッチ(ヴァルテクス)の対決です。この両チームは財政難からユース上がりの選手を育て上げるしかなく、現U-21代表にはザグレブか3人、ヴァルテクスが5人送り込んでいます。
ヴァルテクスはメルニャクとパパの両サイドが怪我、またベテランMFハリロヴィッチがスウェーデンのエルフスブルグに移籍の運びとあってベストメンバーを組めません。ここ5試合の対決で4度ヴァルテクスが勝っていたものの、今回はザグレブに軍配が上がりました。
まずは開始3分、ポクリヴァッツ(U-21代表)からボールを奪ったマンジュキッチ(U-21代表)がクロスボールを送ると、ゴール正面のロヴレク(元セレッソ)がボレーシュートを決めてザグレブが先制。51分にはロヴレクがエリア内でイプシャ(U-21代表)に倒されてPKを得ると、MFイブリチッチ(ボスニア代表)が決めて2-0。また58分にもブルクリャチャ(U-21代表)の右サイドの突破から折り返したところをイブリチッチがゴール。3-0でザグレブが完勝しました。
いつも見慣れたメインスタンドの汚い木造ベンチに全て椅子が取り付けられ、また木造で穴だらけだった通路も金属板で覆われるなど、オンボロだったクラニチェヴィッチ・スタディオンもリニューアルしました。ヤジ将軍のオッサンばっかりが見に来るスタジアムなのですが、ブラジェヴィッチ監督は野次にもしっかりと対応。「○○選手は使えねえから代えちまえ!」と野次が飛ぶと、ブラジェヴィッチはチラリと客席に目をやり納得したようにうなずき、客席は笑いと歓声。試合途中は何度も「チーロ(ブラジェヴィッチの愛称)、マイストーレ!」の合唱となりました。2500人ほどの観客しか集まりませんが(それでも多い方)、クロアチア・サッカーの醍醐味がここに集約されています。

全試合の結果はこちら。

Zagreb - Varteks Varazdin 3:0
1:0  3' Lovrek
2:0 50' Ibricic (PK)
3:0 58' Ibricic

Medimurje - Sibenik 2:1
1:0 62' Janjetovic
2:0 79' Piskor
2:1 86' Spalj (PK)

Pula - Slaven Belupo 2:1
0:1 51' Dodik
1:1 61' Halilovic
2:1 68' Ramadani

Kamen Ingrad - Osijek 1:1
1:0 11' Tomic
1:1 30' Smoje

Rijeka - Hajduk Split 0:1
0:1 29' Kranjcar

Cibalia Vinkovci - Dinamo Zagreb 0:1
0:1 79' Eduardo

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点15)、2位…ハイドゥク・スプリト(15)、3位…ザグレブ(12)、4位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(10)、5位…オシエク(8)、6位…リエカ(6)、7位…シベニク(6)、8位…メヂムリエ(5)、9位…プーラ(5)、10位…スラヴェン・ベルーポ(3)、11位…カメン・イングラッド(1)、12位…チバリア・ヴィンコヴチ(0)

【得点】
6ゴール…エドゥアルド(ディナモ)、ノヴィニッチ(ヴァルテクス)
4ゴール…ボリッチ(リエカ)、シャルビーニ(リエカ)、ルカビナ(シベニク)
3ゴール…ゼキッチ(チバリア)、リュボイェヴィッチ(ディナモ)、バルトゥロヴィッチ(ハイドゥク)、クラニチャール(ハイドゥク)

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2006年8月27日 (日)

ディナモの次の相手はオーゼール

8月25日にUEFAカップ一回戦(予選)の抽選会が行われ、ディナモ・ザグレブはフランスのオーゼールと対戦することが決まりました。第1戦は9月14日にザグレブで、第2戦は9月28日にオーゼールで行われます。
このオーゼールはディナモにとって因縁の相手であります。最初の公式戦での対決は1989年のUEFAカップ予備戦。アウェーでの初戦をシューケルのゴールで1-0と勝利したものの、オーゼールはその直後にベルギー史上最高のMFシーフォを獲得。ザグレブで1-3と蹴散らされ、敗退が決まりました。当時のディナモ監督は現監督であるヨシップ・クジェ。クジェは当時のことを
「当時の私は大きなミスをやらかした。第2戦の前にヴァルダル・スコピエと40度の熱さの中で対戦した。4-0で勝利したのだが、その試合のために私たちは疲れ果ててしまっていた。」
と回想しています。
次の対戦は1994年のカップ・ウィナーズ・カップ。初戦はホームでイェリチッチ、ソルド、パミッチのゴールで3-1と勝利しましたが、アウェーの第2戦でソルドが前半でイエロー二枚で退場すると、そのまま押し切られて0-3で敗北。この試合前にはサポーターのBBBが警官と市街戦を行い、試合中に発煙筒をピッチに投げ込んだため、ディナモは欧州カップ戦の出場を一年禁止されました。また当時のディナモ会長であり、監督であったミロスラフ・ブラジェヴィッチは試合中に審判を侮辱したために退場。10ヶ月のUEFA主催の大会出場を禁止され、クロアチア代表監督も兼任していた彼は欧州選手権予選のイタリア戦を指揮できませんでした。
またディナモとオーゼールは昨年、今年と夏の準備期間で練習試合をしており、昨年は1-1(あとのPK戦でディナモが勝利)、今年は2-1と勝利しています。

ロシア戦を控えたクロアチア代表の追加召集として、マリオ・ガリノヴィッチ(パナシナイコス所属)が初めて代表に呼ばれることとなりました。GKはプレティコサとルニェの2人が選ばれていますが、3人で練習をした方がベターという理由による召集です。
またビリッチ監督は他の代表の試合を視察するスカウティング役として、マリオ・スタニッチとズボニミール・ソルドを迎え入れることを口にしています。

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2006年8月24日 (木)

ディナモ・ザグレブ、アーセナルに逆転負け

8月23日、チャンピオンズ・リーグ予備戦3回戦の第2戦「アーセナルvs.ディナモ・ザグレブ」がエミレーツ・スタジアムで行われました(観客58,418人)。

Eduarホームで初戦を0-3で落としたディナモは背水の陣ながらも怪我人が続出。ノヴォトニー、ヴグリネツ、チャレ、チャゴといったレギュラー陣に加えて、ブリャトも怪我上がりのためスタメンを外れました。布陣は主将マミッチをリベロに置いた1-3-4-2。
GKトゥリーナ-DFマミッチ-ドルピッチ、チョルルカ、ツビタノヴィッチ-MFヴコイェヴィッチ、モドリッチ、アギッチ、カルロス-エドゥアルド、エトー
一方のアーセナルはプレミアシップ開幕戦でアストン・ヴィラとドロー。疲れのあるアンリをベンチに温存。また怪我をしているロシツキーも外れました。スタメン(4-4-2)は以下のよう。
GKアルムニア-DFエブエ、コロ・トゥーレ、ジュールー、ホイト-MFフラミニ、ファブリガス-フレブ、リュングベリ-FWアデバヨール、ファン・ペルジー

普段は右SBや右MFを担当するエトーをFWへと上げたクジェ監督の采配が当たります。1戦目とは違ってアグレッシブな立ち上がりを見せたディナモは12分、エドゥアルド(写真右)とのワンツーで左サイドを突破したエトーがペナルティエリア中央へと飛び込んだエドゥアルドへパス。コロ・トゥーレがスライディングでパスカットに入るものの、足に触れたボールがエドゥアルドの足元へ。エドゥアルドはそのまま左足を振り抜くと、GKアルムニア(写真左)がセーブできぬままボールは右ネットへと突き刺さり、ディナモが先制に成功します。
アーセナルは失点ののち直ぐに立て直し、速いパス交換でゲームをコントロール。23分、GKトゥリーナがCKの処理ミスでゴールを空にすると、ボールを拾ったファン・ペルジーがシュート。ボールはDFドゥルピッチに当たったのち、クロスバーに弾かれてしまいました。その3分後にもファン・ペルジーがペナルティエリア右で絶妙なフェイントを見せてGKと一対一。しかしトゥリーナが足一本でシュートを止めました。30分にもリュングベリがGKと一対一となるも、トゥリーナがセーブに成功します。
ディナモも32分、エドゥアルドとのコンビネーションでペナルティエリア手前からモドリッチがシュートするも、ボールはポストを逸れます。防戦一方は初戦と変わらないものの、エドゥアルド、モドリッチ、エトーは強豪相手でもやっていけるのを示しました。

後半最初のディナモはより積極的に仕掛けようとするものの、一人一人の技術に優れるアーセナルがゲームを支配。52分にペナルティエリアでマミッチが処理に失敗すると、ボールはフリーのアデバヨールに。しかし彼のシュートはクロスバーを大きく越えていきます。
Framini 65分、そのアデバヨールに代えてヴェンゲル監督はアンリを投入。それでもよく守っていたディナモ守備陣ですが、集中力が切れてきた78分、ファン・ペルジーの右サイドからのFKにリュングベリがヘディングで合わせて同点に追いつかれます。更にロスタイム、途中交替で入ったウォルコットが右サイドからグラウンダーのクロスボールを入れると、3人のDFは誰一人カットしようとせずファーサイドのフラミニに。フラミニ(写真中央)があっさりと決めてアーセナルが終了間際で2-1と逆転に成功しました。アーセナルの2勝、トータルスコア5-1で、ディナモのチャンピオンズ・リーグ敗退が決まりました。

試合後、ディナモのクジェ監督は
「トータルでポジティブな結果を実現するなんて幻想を抱かず、私たちはロンドンへとやってきた。ザグレブでの初戦の印象を修復しよう、攻撃的にプレーしようという意欲的な目標を持っていたんだ。立ち上がりは素晴らしく、1-0とリードできた。しかし後半は中盤にボールが繋がらず、個人技で打開を図ったり、結果を繋がらないロングボールに頼ってしまった。とはいえ、2点目も奪えるような瞬間もあったけどね。負けたとはいえ、私たちとっては素晴らしい経験となった。UEFAカップの予選でこの経験は助けとなるだろう。」
とコメントしています。
またアーセナルのヴェンゲル監督は
「思うにディナモは初戦で余りにも私たちをリスペクトしすぎていた。素晴らしいテクニックを持った良いチームだが、スピードが足らないね。あのように早いゴールを奪われると取り戻すのが難しい。けれども私たちはゲームをコントロールできたし、成功と勝利に値すると思う。」
と語っています。

ディナモ・ザグレブはUEFAカップに回ります。25日に予選の組み合わせが発表。9月14日・28日にホーム&アウェーで試合が行われ、予選を突破するとグループリーグに進めます。

リエカはスペイン人MFイェスス・ガルシア・ゴンザレス・トニート(29)と22日に一年契約を結びました。トニートはスポルティング・リスボンやボアヴィスタでプレー経験があり、昨季は古巣のスペイン二部テネリフェでプレー。リエカは昨季に活躍した右ウィンガーのイゴール・ノヴァコヴィッチをトムスク(ロシア・リーグ)に売却していただけに、右ウィンガーを最も得意とする選手。トニートは最適な補強となります。デビューは土曜日のハイドゥク・スプリト戦となる見込みです。

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2006年8月22日 (火)

対ロシア戦のクロアチア代表メンバー

8月22日、クロアチア・サッカー協会にて記者会見が行われ、9月6日の欧州選手権予選・対ロシア戦に向けたクロアチア代表メンバー24人が発表されました。うちシミッチとシムニッチは先のワールドカップのオーストラリア戦でレッドカードを貰っているため試合には出場できません。
イタリア戦から新たに選ばれたのはMFマリャン・ブリャト、MFダニエル・プラニッチ、DFフルヴォイエ・ヴェイッチの3人。またDFディドゥリッツァが足首の靭帯を損傷して10月までの離脱が決まったため、2ndキーパーにはヴェドラン・ルニェが選ばれています。

記者会見でスラヴェン・ビリッチ監督は
「シムニッチとシミッチは私たちと一緒にいたいと主張した。クラブが彼らを放してくれるよう望んでいるよ。怪我をしたトゥドールが私たちに欠けていることを考慮しなくてはならないが、更にチーム内の競争を厳しくするためにも新たな3人を召集した。ヴェイッチはクロアチア・リーグの時からよく知っている。プラニッチとブリャトはイタリア戦でも補欠に選んでいたからね。」
とコメント。現在のロシア代表の選手は国内リーグに在籍しており、ヴェイッチは現在ロシア・リーグ5位のトムスクのレギュラー。相手選手を熟知していることが今回選出の理由となりました。またプラニッチは昨季に移籍したヘーレンフェーンで左MFとして活躍。昨季は12アシストをマークしています。
DFスティエパン・トマスはオーストラリア戦の戦犯ということでメディアに吊し上げられてから日も浅いということで見送り。既にビリッチは電話でトマスと話合いをしており、いずれは個人的に彼のいるイスタンブールへと足を運ぶようです。

2位までが本大会に進める今回の予選で、ロシアはクロアチアにとって最大のライバルなわけですが、ビリッチ監督は
「ロシアはビッグな大会で長く成功を収めていないサッカー大国だ。大きな投資が国内リーグにもたらされ、代表の全選手員が国内リーグに在籍し、とりわけ三つのクラブでプレーしている。
ヒディンク監督は働いたどのチームにおいても改革に手をつけ、最後の最後には結果という成功をもたらしてきた。彼のことは世界の監督で3本から4本の指に入ると考えている。モチベーション付けが素晴らしく、戦術家であり働き者だ。しかし彼はマジシャンではない。だからこのような短い間で、ロシアのプレーに大きな改革を成し遂げるとは信じていないよ。」
とコメントしています。

代表メンバーは28日にザグレブで集合。スロベニアで合宿を張り、30日にクロアチア二部リーグのセスゲッテと練習試合をしたのち、9月5日にモスクワへ。9月6日の現地時間の19時半(日本時間7日0時30分)にロコモティブ・モスクワの本拠地で試合が行われます。

GK:
スティペ・プレティコサ (シャフタール・ドネツク)
ヴェドラン・ルニェ   (ベジクタシュ)
DF:
ダリオ・シミッチ     (ACミラン)
ロベルト・コヴァチ    (ユヴェントス)
ヨシップ・シムニッチ   (ヘルタ・ベルリン)
ダリオ・クネジェヴィッチ (リエカ)
アンテ・シェーリッチ   (パナシナイコス)
ゴラン・サブリッチ    (ディナモ・キエフ)
フルヴォイエ・ヴェイッチ (トムスク)
ヴェドラン・チョルルカ  (ディナモ・ザグレブ)
MF:
ニコ・コヴァチ     (レッドブル・ザルツブルク)
ミラン・ラパイッチ (スタンダール・リエージュ)
ダリヨ・スルナ     (シャフタール・ドネツク)
マルコ・バビッチ   (バイヤー・レバークーゼン)
イェルコ・レコ     (ASモナコ)
ニコ・クラニチャール (ハイデュク・スプリト)
ルカ・モドリッチ   (ディナモ・ザグレブ)
マリャン・ブリャト  (ディナモ・ザグレブ)
ダニエル・プラニッチ (ヘーレンフェーン)
FW:
イヴァン・クラスニッチ (ヴェルダー・ブレーメン)
ボシュコ・バラバン   (クラブ・ブルージュ)
イヴィツァ・オリッチ  (CSKAモスクワ)
ムラデン・ペトリッチ  (バーゼル)
エドゥアルド・ダ・シルヴァ (ディナモ・ザグレブ)

補欠:
マリオ・ガリノヴィッチ (パナシナイコス)
イヴァン・レコ     (クラブ・ブルージュ)
ユーリツァ・ヴラニェシュ(ヴェルダー・ブレーメン)
イヴァン・ボシュニャク (ヘンク)

またU-21代表監督のドラジェン・ラディッチも、9月2日のU-21欧州選手権予選・対ブルガリア戦(ソフィア)の代表メンバー21人を発表しました。DFチョルルカはA代表にも名を連ねていますが、ビリッチとラディッチは協力体制にあり、試合にチョルルカを貸し出すことを明言しています。
メンバーはこちら。

GK:
ダニエル・スバシッチ (ザダール)
マルコ・シミッチ   (クロアチア・セスベッテ)
DF:
メンスール・ムイジャ   (ザグレブ)
イゴール・ロゾ      (プーラ)
ルカ・ヴチュコ      (ハイドゥク・スプリト)
ユーリツァ・ブリャト   (ハイドゥク・スプリト)
クリスティアン・イプシャ (ヴァルテクス・ヴァラジディン)
ネヴェン・ヴクマン    (ヴァルテクス・ヴァラジディン)
ムラデン・バルトゥロヴィッチ(ドニプロ)
ヴェドラン・チョルルカ  (ディナモ・ザグレブ)
MF:
ダリオ・イェルテツ    (ヴァルテクス・ヴァラジディン)
ニコラ・ポクリヴァッツ  (ヴァルテクス・ヴァラジディン)
ドラガ・パパ       (ヴァルテクス・ヴァラジディン)
デニス・グラヴィーナ   (ドニプロ)
マリオ・ブルクリャチャ  (ザグレブ)
マルコ・ディニャール   (オシエク)
FW:
アーマド・シャルビーニ (リエカ)
ボヤン・ヴルチーナ   (スラヴェン・ベルーポ)
トミスラフ・ブシッチ  (ハイドゥク・スプリト)
スティヴェン・リビッチ (エネルギー・コットブス)
マリオ・マンジュキッチ (ザグレブ)

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クロアチア・リーグ第4節

8月19日、クロアチア・リーグ第4節が行われました。

注目カードは共に無敗同士のハイドゥク・スプリトvs.ザグレブ。
この対決の中心人物は選手ではなく、98年のワールドカップでクロアチア代表を3位に導いたブラジェヴィッチ。今季からザグレブの監督でありますが、昨季はハイドゥクの監督をシーズン途中で解任。解任の恨みは根強く、かねがねハイドゥクのグルギッチ会長をボロクソにこき下ろしています。「復讐」宣言した対決だけあって、スプリトのポリュウド・スタジアムには2万人が集まりました。
Bal しかしブラジェヴィッチの執念も甲斐なく、試合を決めたのは今季ザグレブからハイドゥクに移籍したボスニア代表FWムラデン・バルトゥロヴィッチ(写真・Sport-netより)でした。30分、クラニチャールがマーカーを外してペナルティエリアに侵入し、対角線からシュート。GKストイキッチがキャッチミスしたところをバルトゥロヴィッチが押し込んでハイドゥクが先制。37分にはバラティナッツからパスを受けたバルトゥロヴィッチがGKとの一対一を決めて2-0とリード。これで試合は決まりました。
後半はハイドゥクがペースを落とし、ザグレブはロヴレクとマンジュキッチがチャンスを迎えるものの決められず。ブラジェヴィッチは後半からグルギッチの甥っ子であるMFマルコ・グルギッチをデビューさせるなど(彼もハイドゥクを追われた若手選手)、彼らしい手は打つものの効果なく終わりました。
試合後にブラジェヴィッチ監督は
「バルトゥロヴィッチは私たちの"死刑執行人"だった。しかし、あのゴールは防ぐことができたんだ。想像してくれ。キャンプでバルトゥロヴィッチは私たちと共に過ごし、そしてハイドゥクへと去り、今は私たちに勝利したということを。」
と悔しさを込めて語っています。

同じく無敗のディナモ・ザグレブはメヂムリエをホームに迎えました。
ディナモの勝利が磐石とされていたものの、9分にメヂムリエがCKにおいてディナモ守備陣の不注意をつき、シュテファンチッチが先制ゴールを込めます。メヂムリエの固い守備からのカウンターに苦しんだディナモでしたが、44分にマミッチのクロスボールからリュボイェヴィッチがヘディングで決めて同点に追いつきます。
後半53分、エドゥアルドが自ら倒されて得たPKを決めると、63分にはモドリッチが突破力を活かして右サイドを完全に切り崩し、ペナルティエリアでエドゥアルドにマイナス方向のパス。フリーのエドゥアルドが確実に決めて3-1とします。84分にはエトゥーがDFのボールを奪い、ゴール前のリュボイェヴィッチへ送り、3点目と同じ形でゴールが決まって4-1。終わってみれば圧勝でありました。
Now ただ、この試合でドイツ代表DFノヴォトニー(写真・左)が膝の負傷で70分に退場。水曜日のスウェーデンとの親善試合でドイツ代表としてフル出場していたノヴォトニーでしたが、メヂムリエ戦にも出場意欲を見せたことからクジェ監督はピッチに送りました。20分の時点、また前半終了時点でクジェ監督は疲れを考慮してノヴォトニーを下げようと考えたものの、本人の希望で続行。そして最後には右足の膝が悲鳴を上げてしまいました。これまでノヴォトニーは4度に渡って左右の膝の手術しており、最終診断の結果、半月板損傷で6週間の離脱。手術も既に行われました。クジェ監督を始めとするディナモ首脳陣はノヴォトニーの離脱に大きなショックを受けています。

ヴァルテクスは21歳のFWノヴィニッチのハットトリックで、カメン・イングラッドに3-0の快勝。スラヴェン・ベルーポはスコーリア監督が昨季指揮をしていたリエカ相手に3-2と振り切っています。
全試合結果はこちら。

Slaven Belupo - Rijeka 3:2
1:0 38' Bozac
2:0 73' Vrucina
2:1 80' Sharbini (PK)
2:2 82' Sharbini
3:2 88' Mumlek (PK)

Dinamo Zagreb - Medimurje 4:1
0:1  9' Stefancic
1:1 43' Ljubojevic
2:1 53' Eduardo (PK)
3:1 63' Eduardo
4:1 84' Ljubojevic

Varteks Varazdin - Kamen Ingrad 3:0
1:0 33' Novinic
2:0 69' Novinic
3:0 90' Novinic

Osijek - Cibalia Vinkovci 3:1
1:0 27' Mostarlic
2:0 30' Milardovic
2:1 36' Zekic (PK)
3:1 90' Barisic

Sibenik - Pula 1:0
1:0 67' Rukavina

Hajduk Split - Zagreb 2:0
1:0 30' Bartolovic
2:0 37' Bartolovic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点12)、2位…ハイドゥク・スプリト(12)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(10)、4位…ザグレブ(9)、5位…オシエク(7)、6位…リエカ(6)、7位…シベニク(6)、8位…スラヴェン・ベルーポ(3)、9位…メヂムリエ(3)、10位…プーラ(2)、11位…チバリア・ヴィンコヴチ(0)、12位…カメン・イングラッド(0)

【得点】
6ゴール…ノヴィニッチ(ヴァルテクス)
5ゴール…エドゥアルド(ディナモ)
4ゴール…ボリッチ(リエカ)、シャルビーニ(リエカ)、ルカビナ(シベニク)
3ゴール…ゼキッチ(チバリア)、リュボイェヴィッチ(ディナモ)、バルトゥロヴィッチ(ハイドゥク)

【アシスト】
3アシスト…クラニチャール(ハイドゥク)、エドゥアルド(ディナモ)、クリジャノヴィッチ(チバリア)、シヴォニッチ(カメン・イングラッド)

先のクロアチアvs.イタリア戦にまつわる騒動を二つ。

クロアチア・サポーターは左翼が強いことで知られるリボルノにおいて、試合中にナチスの逆十字で一文字を作り、またナチス敬礼をしました。これに対してFIFAの規律委員会がクロアチア・サッカー協会に罰金、もしくは無観客試合の制裁を与える動きが出ています。
FIFA規定の中には「民族差別主義のスローガンが書かれた横断幕が掲げられた際には、最低で3万フランの罰金と一試合の無観客試合」と明記されているものの、今回のケースがどう処理されるかはまだ判らないようです。クロアチア・サッカー協会のマルコヴィッチ会長は、今回のサポーターの動きに責任を負わないことを主張しながら、イタリアのサポーターも旧ユーゴラスビアの国旗を掲げていたことを批判。しかし、2012年の欧州選手権開催の誘致レースの影響を危惧しています。

ロシア・リーグのゼニト・サンクトペテルブルグで活躍しているDFイヴィツァ・クリジャナッツ(27)がビリッチ代表監督を公然と批判。ビリッチ監督は今後一切、クリジャナッツを代表召集しないことを決めました。
事の始まりは相次ぐDFの怪我とサスペンションで苦しい台所事情の中、召集を期待していたクリジャナッツがイタリア戦の代表メンバーから漏れたためです。クリジャナッツは昨季のUEFAカップで快進撃を続けたゼニトの主力ストッパー。落選直後のインタビューでクロアチア・リーグから選ばれたクネジェヴィッチ(リエカ)とチャレ(ディナモ)の悪口を言ったことに、ビリッチは憤慨してしまいました。代表の門戸を閉ざされたクリジャナッツも負けずと次のインタビューで
「私がレアル・マドリッドのトップチームでプレーしたとしても、彼の代表には呼ばれないだろうね。本当のことを言わねばならなかったのは残念だ。けれども、監督は明らかに奇妙な人物だ。どうやってスプリト大学法律学部を卒業できたか解らないね。私を代表に呼ばないという発言は憂鬱にさせたけど、代表召集に期待していたことは意味がなかったということだろう。
もし私が代表召集を受けたならば、ビリッチのためではなくクロアチア国民400万人のため心からプレーする。ただ、自分を売ってまで代表に呼ばれようとは思わない。誰も侮辱はしているとは思わないが、心にあることを言うことは可能だと考えている。ビリッチは本当に奇妙だ。ギタリストになりたかったはずが、ハイドゥク監督、ハイドゥクのスポーツ・ディレクター、代理人、U-21代表監督、そして今はA代表監督だ。恐らく次はクロアチア大統領の候補に名乗りを挙げるだろう。」
と皮肉っています。

またDF不足に繋がるもう一つの話も。
ゼニトと同様に昨季のUEFAカップで活躍、今季はキエーボに2-0と初戦に勝利してチャンピオンズ・リーグ本戦にリーチを賭けているレフスキ・ソフィアに、イゴール・トマシッチ(29)というクロアチア人ストッパーがいます。彼にブルガリア国籍が与えられ、18日のウェールズ戦でブルガリア代表としてデビューしました。ブルガリアは現在2人の代表DFが怪我していることもあって、トマシッチは90分フル出場。活躍が認められ、28日からの合宿にも呼ばれることとなっています。

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2006年8月17日 (木)

クロアチア、イタリアとの親善試合に勝利

8月16日、イタリアのリボルノで親善試合「イタリアvs.クロアチア」が行われました。
クロアチアはスラヴェン・ビリッチ、イタリアはロベルト・ドナドーニが新監督に就任して初めての指揮となります。(写真はJutarnji.comより)

ビリッチ監督が採用したシステムは4-3-3。センターバックを組ませるロベルト・コヴァチとトゥドールが揃って足首の怪我。また次の欧州選手権予選・対ロシア戦でシムニッチとシミッチがサスペンションということもあり、ディフェンダーの組み合わせに苦心することになりました。
最終的にはロシア戦では使えないシムニッチをセンターバックにし、リエカのクネジェヴィッチとコンビを組ませました。ディナモ・キエフではリベロを務めるサブリッチが右サイドバック。またバビッチが左サイドバックでの起用を拒否しているために、追加召集のシェーリッチが左サイドバックに入りました。
中盤はセントラルMFにニコ・コヴァチ。左がモドリッチで右がスルナ。この左右は状況次第でポジションを繰り返してました。
前線は3トップ。左にラパイッチ、右がエドゥアルド。そして真ん中がクラスニッチ。こちらもラパイッチが右へ、エドゥアルドが左へと途中からポジションチェンジをしております。二人とも守備参加には積極的でありました。
GKプレティコサ-(右から)DFサブリッチ、クネジェヴィッチ、シムニッチ、シェーリッチ-MFスルナ、ニコ・コヴァチ、モドリッチ-FWエドゥアルド、クラスニッチ、ラパイッチ

一方のイタリアはワールドカップ優勝メンバーが遅れた休暇を貰っていたことから、第3GKのアメリア以外はごそっと抜けました。実質はサードチームといって過言ないチームでありました。スタメン(4-3-3)は以下のようです。
GKアメリア-DFゼノーニ、ファルコーネ、テルリッツィ、キエッリーニ-MFデルヴェッキオ、リヴェラーニ、アンブロジーニ-FWロッキ、ルカレッリ、エスポジト

Modric_1 クロアチアはFWからDFまで間延びしたことで選手間の距離が随分と広く、個人で仕掛けていくスタイルは変わりないわけですが、チームの完成度の低さはイタリアにも言えること。ピッチも悪く、ファウルも目立つ荒い試合となったとはいえ、クロアチアは急増ディフェンスラインとGKプレティコサがよく守りました。
11分、中央のリベラーニからラインが崩れた左のロッキへとスルーパス。1対1になりますが、GKプレティコサがシュートをセーブ。13分にもリベラーニが縦に放り込んだところをロッキがボレーシュートを放つものの、ボールはバーを越えていきます。
コンビネーション不足でパスが続かないクロアチアではありましたが、中盤でモドリッチ(写真)とスルナが運動量をもってして攻撃に絡みます。18分にはエドゥアルドから折り返したボールをモドリッチがミドルシュート。ボールはバーを越えます。19分、バイタルエリアでの混戦からパスがロッキに通るものの、またしてロッキのシュートはGKプレティコサがセーブしました。
試合が動いたのは27分。エドゥアルドが中央をドリブルし、左サイドのスペースへ流れたモドリッチにボールを送ると、モドリッチはボールに追いつくと同時に後ろへヒールキック。そこを背後から上がってきたシェーリッチがフリーでクロス。ファルコーネとテルリッツィに挟まれながらエドゥアルドはピタリと頭で打点を合わせ、ボールはゴール左へと吸い込まれクロアチアが先制します。
34分、デルベッキオが荒いタックルをモドリッチにかますと、怒ったスルナとコヴァチが二人でデルベッキオを背後から削りに。それをきっかけに両チームの選手達がもみ合いになります。リベラーニがスルナを叩き、続いてコヴァチがリベラーニを叩き、その後にテルリッツィにど突かれたラパイッチが興奮。最後はスルナとテルリッツィ、リベラーニがイエローカードを貰いました。
40分、イタリアはパス交換からアンブロジーニがグラウンダーのミドルシュートを放つものの、プレティコサがキャッチ。その2分後、右でドリブルでゴールの方向へと向いたラパイッチが30mの距離からミドルシュート。ボールは回転せずに落ちたため、右へと飛びついたGKアメリアはキャッチミス。こぼれたところをモドリッチが詰めてシュートを決め、クロアチアが2-0と突き放します。

後半頭からクロアチア3人の選手を投入。ビリッチ監督はクラニチャールを"彼はトップ下の選手ではない。相手を背にしてボールを貰うのは不得手で、前へ向いた状況から仕掛けるタイプの選手だ。ポジションは右MFもしくは左MFの選手"と評価しており、スルナとの交替で左MFに入りました(モドリッチが右へ)。コヴァチの代わりにイェルコ・レコ。また最終ラインはチョルルカがシェーリッチに代わってセンターバックに。空いた左SBにシムニッチがずれます。シムニッチの左SB起用はトゥドールとロベルト・コヴァチが戻った時のオプションともいえましょう。
後半のイタリアは前半以上に前掛りになるものの、ゴール前での決定力とアイデアに欠けます。53分、リベラーニからDF陣を頭を越すパスがセミオリに届くものの、シュートは力なくGKプレティコサの正面。
61分にはエドゥアルドがドリブルから併走したクラスニッチへパスを通すと、ヒールでの折り返しからエドゥアルドが近距離でシュート。しかし、これはテルリッツィがスライディングでクリアします。62分にはペナルティエリアのパス交換から途中交替のペトリッチがシュートするも、ボールはバーの上に。68分にはペナルティエリアで二人のDFをフェイントで交わしたモドリッチがゴール左上に狙いすましてシュートを放ちましたが、GKアメリアがワンタッチで逃れます。
イタリアは79分、左クロスからディ・ミケーレがオーバーヘッドシュートを試みたものの、ボールは右ポストを逸れていきます。88分にもディ・ミケーレが巻いてのミドルシュートを放ちましたが、ボールは同じく右ポストの外へ。その直後にバラバンがペトリッチの戻しからミドルシュートを狙うものの、GKアメリアが好反応でセーブ。続いてオリッチのマイナスの折り返しにバラバンがシュートするも、ボールはDFの足に触れてからポスト脇へと逸れていきました。
試合はこのままタイムアップ。チャンスを活かしたクロアチアと、活かせずに終わったイタリアの差が出てしまいました。イタリアはこれで戦後のクロアチア相手に2分3敗(1942年のクロアチア独立国相手に1勝のみ)。クロアチアにとっては相性の良さもあったかしもしれません。クロアチアとしてはロシア戦のディフェンス陣にクネジェヴィッチとチョルルカが計算できる働きを見せたこと、またモドリッチがチームの中核になることが明確になった試合でありました。ラパイッチもアクセントになっていましたし、エドゥアルドもまずまず。ただ、クラスニッチが相変わらずチームと絡めないのは変化ありません。クラニチャールはいつも以上に走っていたとはいえ、プレーのムラは見られました。これから個々の特徴をどのように一つのチームに束ねていくか、ビリッチの手腕に期待したいところです。

また15日にはU-21の親善試合「イタリアvs.クロアチア」がイタリア・グロセットで行われています。ビリッチに代わってU-21代表監督に就いたドラジェン・ラディッチは、以下のスタメン(4-2-3-1)で試合に挑みました。
GKスバシッチ-DFムイジャ、イプシャ、ヴチュコ、バルトゥロヴィッチ-MFブルクリャツァ、ポクリヴァツ-リヴィッチ、ディニャール、イェルテツ-FWブシッチ
かつてインテルで活躍したピエールルイジ・カシラギがアッズリーニ(イタリアU-21代表)の新監督に就任。アッズリーニは過去2度、U-21欧州チャンピオンになっていますが、クロアチアは互角の戦いを見せました。結果を言ってしまえば0-0でありましたが、テクニックと戦術面がしっかり整っていたとのこと。とりわけ前半が良かったようです。
ラディッチ監督は
「前半の殆どは明確なプレーができていたし、私たちが望んでいることが実現できていた。試合を通して相手と互角に渡りあった。前半のような戦いをソフィア(ブルガリア戦)で見せなくてならない。布陣も良かったし、動きも正確だった。とはいえ、ゲームの入り方やパスプレーに関しての批判を私は持っている。もしかしたら私が余りに批判めいているかもしれないけどね。振る舞いと義務をきちんと果たした選手達にはおめでとうと言いたい。引分けは私たちにとって素晴らしい結果だ。なぜならイタリアは親善試合の意味合いを抜きにしても"ネコの咳"(楽な相手)ではないからだ。」
とコメントしています。

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2006年8月14日 (月)

クロアチア・リーグ第3節

8月12日、クロアチア・リーグ第3節6試合が行われました。

ディナモ・ザグレブはプーラとアウェーで対戦。リーグ戦ではウニャニク・スタジアムでディナモは勝利したことがなく、プーラは分の悪い相手。
けれども、21分にツビタノヴィッチの縦へのロングボールを、ゴール前へと走り込んだエドゥアルドが落下に合わせて右足で方向を変えてディナモが先制。57分にはエドゥアルドの右クロスにリュボイエヴィッチがヘディングを決めて2-0と勝利。ディナモはリーグ戦3連勝、どの試合もエドゥアルドがマン・オブ・ザ・マッチに選ばれています。

Niko_2 開幕2連勝を果たしているハイドゥク・スプリトはアウェーでカメン・イングラッドと対戦。この試合で活躍したのはニコ・クラニチャール(写真)でした。ワールドカップ後は父親ズラトコがメディアに叩かれたことから、現在はメディアに対して沈黙を続けているクラニチャールですが、運動量の少なさは大きく改善されていないとはいえ効果的な仕事をしています。
この試合でも26分にスルーパスを通してバルトロヴィッチのゴールをお膳立てすると、同点に追いつかれた後の52分にムサの右CKからクラニチャールがヘディングシュートを決めて2-1。その4分後にブライコヴィッチのゴールからまた追いつかれましたが、73分にアウトステップでクラニチャールが前線のムニョスへとパスを通し、そのムニョスがゴールを決めてハイドゥクが3-2で勝利。得失点差で首位につけています。

ブラジェヴィッチ率いるザグレブも好調です。開幕2連勝同士の対決となったホームでのリエカ戦では、54分にU-21代表MFのブルクリャチャが左サイドから一人で持ち込み、最後はシュートを決めて1-0の勝利。開幕3連勝を果たし、次節は昨季にブラジェヴィッチが監督を務めた首位ハイドゥクと対戦します。

全試合の結果はこちら。

Pula - Dinamo Zagreb
0:1 - Eduardo (21.)
0:2 - Ljubojevic (57.)

Zagreb - Rijeka 1:0
1:0 - Brkljaca (58.)

Cibalia Vinkvci - Varteks Varazdin 1:2
0:1 - Melnjak (44.)
0:2 - Novinic (55.)
1:2 - Zekic (62.-PK)

Medimurje - Osijek 2:0
1:0 - Vitas (40.)
2:0 - Kresinger (82.)

Sibenik - Slaven Belupo 2:1
1:0 - Kartelo (34.)
2:0 - Rukavina (37.)
2:1 - Somoci (58.)

Kamen Ingrad - Hajduk Split 2:3
0:1 - Bartolovic (27.)
1:1 - Sivonjic (34.)
1:2 - Kranjcar (52.)
2:2 - Brajkovic (56.)
2:3 - Munhoz (73.)

【順位】
1位…ハイドゥク・スプリト(勝点9)、2位…ザグレブ(9)、3位…ディナモ・ザグレブ(9)、4位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(7)、5位…リエカ(6)、6位…オシエク(4)、7位…シベニク(3)、8位…メヂムリエ(3)、9位…プーラ(2)、10位…スラヴェン・ベルーポ(0)、11位…チバリア・ヴィンコヴチ(0)、12位…カメン・イングラッド(0)

【得点】
4ゴール…ボリッチ(リエカ)
3ゴール…ルカビナ(シベニク)、ノヴィニッチ(ヴァルテクス)、エドゥアルド(ディナモ)

【第2節】
報告が遅れてしまいましたが、8月5日・6日とクロアチア・リーグ第2節が行われています。
ディナモは雨中の中、シベニクと対戦。ディフェンスが安定せず、シベニクの20歳の新星ルカビナに2ゴールを決められるなど3失点。それでも持ち前の攻撃力で4-3と昇格してきたシベニクを振り切っています。
リエカはボスニア代表FWボリッチのハットトリックもあって、カメン・イングラッドに4-2の勝利。またハイドゥクも2試合連続無失点でチバリア・ヴィンコヴチに2-0と勝利しています。

Dinamo Zagreb - Sibenik 4:3
1:0 - Etto (26.)
1:1 - Rukavina(34.)
2:1 - Eduardo (53.)
3:1 - Modric (61.)
3:2 - Rukavina (67.)
4:2 - Eduardo (85.)
4:3 - Gabriel (87.)

Slaven Belupo - Zagreb 0:1
0:1 - Mandzukic (43.)

Hajduk Split - Cibalia Vinkovci 2:0
1:0 - Kranjcar (47.-PK)
1:0 - Musa (89.)

Varteks Varazdin - Medimurje 3:1
1:0 - Basic (23.)
2:0 - Novinic (50.)
3:0 - Novonic (58.)
3:1 - Rat (90.)

Osijek - Pula 0:0

Rijeka - Kamen Ingrad 4:2
0:1 - Saric (13.)
1:1 - Bolic (21.)
1:2 - Brajkovic (30.)
2:2 - Bolic (34.)
3:2 - Bolic (50.)
4:2 - Sharbini (84.)

クロアチアA代表は日曜日に召集。ユベントスのDFロベルト・コヴァチとフルヴォイエ・チェレが足首の負傷のために欠場が決定。DF不足が浮き彫りになりつつあります。アンテ・シェーリッチが追加召集されています。

クロアチアU-17代表監督に元クロアチア代表MFのロベルト・ヤルニが就任することとなりました。これまでU-17代表監督を務めたイヴァン・グデリは、U-19代表監督へと昇格するのが濃厚です。

8月11日にU-21代表監督のドラジェン・ラディッチが、15日にイタリアU-21代表と対戦するメンバーを21名を発表しています。ニコ・クラニチャール、ルカ・モドリッチ、ヴェドラン・チョルルカ、フルヴォイエ・チャレの4人はA代表に召集されているため、このカテゴリーから外れています。試合はイタリアのグロセットで行われます。
GK:
ダニエル・スバシッチ (ザダール)
マルコ・シミッチ   (クロアチア・セスベッテ)
DF:
メンスール・ムイジャ   (ザグレブ)
トミスラフ・ラブドヴィッチ(ザグレブ)
イゴール・ロゾ      (プーラ)
ルカ・ヴチュコ      (ハイドゥク・スプリト)
クリスティアン・イプシャ (ヴァルテクス・ヴァラジディン)
ニコラ・ポクリヴァッツ  (ヴァルテクス・ヴァラジディン)
MF:
ダヴォール・バガリッチ   (チバリア・ヴィンコヴチ)
ムラデン・バルトゥロヴィッチ(ドニプロ)
ダリオ・イェルテツ     (ヴァルテクス・ヴァラジディン)
フィリップ・マルチッチ   (ハイドゥク・スプリト)
マリオ・ブルクリャチャ   (ザグレブ)
マルコ・ディニャール    (オシエク)
FW:
アーマド・シャルビーニ (リエカ)
ボヤン・ヴルチーナ   (スラヴェン・ベルーポ)
トミスラフ・ブシッチ  (ハイドゥク・スプリト)
スティヴェン・リビッチ (エネルギー・コットブス)
マリオ・マンジュキッチ (ザグレブ)
ヨシップ・タディッチ  (バイヤー・レバークーゼン)

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2006年8月10日 (木)

ルニェとチョルルカが代表召集

Corluka 8月16日にスラヴェン・ビリッチ新監督率いるクロアチア代表がイタリアとの親善試合を戦いますが、2人の選手変更が発表されています。
GKジョエイ・ディドゥリッツァはAZアルクマールの監督ルイス・ファン・ハールが派遣を拒否。代わりにヴェドラン・ルニェ(ベジクタシュ)が召集となりました。
またDFイゴール・トゥドール(ユベントス)が練習試合で右足首をまたして負傷してしまい1ヶ月の離脱。欧州選手権予選のロシア戦も無理とされ、シムニッチとシミッチを警告で欠くクロアチアにとっては厳しい離脱です。トゥドールの代わりにはヴェドラン・チョルルカ(ディナモ・ザグレブ・写真左)が初めて召集されています。

U-21クロアチア代表監督にドラジェン・ラディッチ(43)が指名されました。ラディッチは90年代のクロアチア代表のGKを務め、フランスW杯でも活躍した選手。オットー・バリッチが代表監督を務めた2002~04年にGKキーパーコーチを務めた以外はコーチ経験も監督経験もないため、いきなりの抜擢となります。前U-21代表監督のビリッチからの引継ぎは済ませたとはいえ、これまではサッカーではなくゴルフに明け暮れる毎日を過ごしておりました。アシスタントコーチはズラトコ・ダリッチ(ヴァルテクス監督)とヴァトロスラフ・ミハチッチ(前代表コンデショニングコーチ)
今回からU-21欧州選手権予選は簡素化され、クロアチアはブルガリアとウクライナと同組。9月にそれぞれと対戦し(ホーム&アウェーではなく1試合のみ)、グループリーグ1位だけがプレーオフへと進めます。

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ディナモ、アーセナルに完敗

8月8日、チャンピオンズ・リーグ予備戦3回戦の第1戦「ディナモ・ザグレブvs.アーセナル」がマクシミール・スタディオンで行われました。ディナモは予備戦2回戦でエクラナス(リトアニア)に4-1(A)、5-2(H)と圧勝。続く3回戦は強豪との対戦ということでチケットは直ぐにソールドアウト。警備員のスペース以外は立錐の余地もない35000人満員でした。私も今季初となるカメラマンとして試合に足を運びました。

ディナモのスタメン(3-4-2-1)はベストメンバーで挑みました。
GKトゥリーナ-DFチョルルカ、ノヴォトニー、ツビタノヴィッチ-MFエトー、ブリャト、マミッチ、チャレ-ヴグリネツ、モドリッチ-FWエドゥアルド。
一方のアーセナル(4-4-2)はアンリが調整不足、レーマンがサスペンション、リュングベリとセンデロスは怪我のため欠場。新加入のロシツキーがスタメンに入りました。
GKアルムニア-DFエブエ、コロ・トゥーレ、ジュールー、ホイト-MFジウベルト・シルヴァ、ファブリガス-フレブ、ロシツキー-FWアデバヨール、ファン・ペルジー。

1967試合開始に合わせて北側のバッド・ブルー・ボーイズは「1967」というディナモがフェアーズ・カップ(現在のUEFAカップ)優勝の年にちなむ人文字を作り、その後は試合を通して熱い応援を繰り返しました。その雰囲気に押されながら、ノヴォトニーを中心にした組織的なディフェンスでディナモはアーセナルの猛攻を凌ぎます。両アウトサイドのチャレとエトーも最終ラインに加わり、5バックのような形になりました。

Modricrosicky ディナモの攻撃で気を吐いたのはモドリッチ(写真右)。軽妙なボールタッチとスピードを活かし、8分にディナモの最初のシュートを放ちます。20分にはモドリッチのパスからブリャトがミドルシュートを放ちますが、アルムニアの正面に。アーセナルも22分、ロシツキー(写真左)がミドルシュートを狙うもののGKトゥリーナがセーブ。その直後にはブリャトとのワンツーで抜けたモドリッチがペナルティエリア右からシュートを放つも角度がなくて枠を捕らえきれません。
27分、怪我をしたヴグリネツに代わってアギッチがピッチへ。その後は次第にアーセナルが速いホルダーチェックとパススピードでゲームを支配します。ディナモはカウンターを試みますがフィニッシュに正確性がなく、一方のアーセナルも攻め切れずに前半は0-0で終わります。

Modricfabrigas後半 49分、ディナモはブリャトの好クロスにアギッチがヘディングで飛び込むものの体勢が悪くて決められず。その直後にもモドリッチ(写真左)がDFの背後を狙ったロングパスを出し、エドゥアルドがトゥーレと競り合いながらミドルシュートを放つものの、ボールは枠を捕らえ切れません。ディナモの抵抗はここまででした。
63分、右サイドからフレブがペナルティエリア中央のファン・ペルシーにパスを通すと、右のスペースへと上がったファブリガス(写真右)へとボールをはたきます。ファブリガスは斜めに低い弾道でシュートを決めてアーセナルが先制点をもぎ取ります。その2分後、再びフレブが縦へのロングパスをファン・ペルシーに通すと、ファン・ペルシーはマーカーのツビタノヴィッチを振り切って対角線上にシュートを決めて2-0とリードを広げます。
圧巻は79分。ワンタッチでのパス回しで"鳥かご"状態にすると、急に縦への攻撃スピードを上げます。またしてフレブから20mのパスが渡ったファブリガスは、次々とディナモの守備陣をかわしてペナルティエリアに突入し、先制点と同じく斜めのシュートを突き刺して3-0。89分にも途中交替のフラミニが決定機を向かえましたが、これはトゥリーナが好判断で防ぎ、傷は3点で済みました。しかし、ホームの初戦でチャンピオンズ・リーグ出場の道はほぼ閉ざされてしまっています。

Wenger 試合後の記者会見で、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督(写真)は
「この勝利は予選突破の大きな一歩となったが、仕事は最後まで終わらさねばならない。ディナモは最初、5バックに1トップというスタイルで私たちを驚かせた。けれども私たちは良いプレーをしていたし、フィジカルの準備もできていた。重要なことは、得点の奪えなかった前半の後も精神的に落ちなかったことだ。後半も苦しむものと予想していたが、前半に良い仕事をこなしたことが後半、楽にさせたのだろう。
モドリッチのプレーは印象深かったよ。質の高い決断力を持っており、また90分間走り通せる体力にも驚かされた。私にとっては大きな驚きだよ。でも彼を購入するものと今は結論づけないでくれ。」
と語りました。
一方、ディナモのヨシップ・クジェ監督は
「最初の50~60分間は満足できるレベルでプレーしたけど、最後の結果というものが全体の印象を決定づけてしまう。けれども現実を考えればアーセナルは単純に我々を上回るチームで、このような結果に値するチームだ。もしリードすることに成功したならば、もう少ししっかりと戦えただろうし、動きも良くなっただろう。選手達が集中力が落ちたところをアーセナルに利用されたことに文句を言えるとはいえ、これが現実的な力関係だ。」
と述べています。

第2戦は8月23日、ロンドンのエミレーツ・スタジアムで行われます。

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2006年8月 8日 (火)

クロアチア新代表メンバー発表

8月2日、新監督スラヴェン・ビリッチが、8月16日のイタリアとの親善試合に出場する22名の代表メンバーと5人の補欠選手を発表しました。
注目はクラニチャール前監督の元では干されていたMFミラン・ラパイッチ(写真)の復帰です。会見でビリッチは
Rapaic「ラパイッチは年齢的(33歳)にもサッカーで最高の時期にある。モチベーションも高く、強い意思も持っている。彼に連絡を入れた時、"Da(イエス)"と言う準備もできていた。彼はクオリティが高い選手であるし、相手との差を作ることができる選手だ。彼の体力面や昨季のプレーぶりも知っている。ラパイッチはレベルの高いベルギー・リーグでとてもよいプレーをしていた。だから代表でもプレーを導く一人として私は期待しているよ。けれども、なぜラパイッチがワールドカップ予選のメンバーでなかったのかが私には理解できない。」
とコメントしています。
またスティエパン・トマスが外れたことに対しては
「トマスは質のある選手だが、オーストラリア戦で小さなトラブル(二度に渡るハンド)を経験してしまった。だから埃が巻き上がっている間は彼をセーブすることに決めたんだ。トマスも代表選手だよ。」
ディナモで活躍しているダヴォール・ヴグリネツが外れたことに関しては
「ヴグリネツはワールドカップ代表メンバーに選ばれるべきだと私も語っていた。なぜなら昨季のリーグ最高選手だったからね。イタリア戦の選手リストを見た時、リスト上には歳を取りすぎている選手や若すぎる選手がいるかもしれない。けれども私には年齢は重要なことではない。ヴグリネツは候補の一人だが、今の我々には他の選手がより特別だから。」
と説明しました。

ビリッチは監督就任後、積極的に選手の元へと渡り歩いています。ワールドカップではチームに派閥ができてしまい、それが不和の原因の一つとされているため、実際に選手から意見などを聞きに回っているようです。既にオーストリア、イタリア、ウクライナと渡り、グラスゴーでも代表引退をしたプルショと話を済ませました。
またチームスタッフも確定。第一アシスタントコーチがアリョーシャ・アサノヴィッチ、第二アシスタントコーチがニコラ・ユルチェヴィッチ、GKコーチがマリヤン・ムルミッチ。またロベルト・プロシネツキはスカウトというポジションに就任しました。本来はディレクターの地位に就けたかったものの、協会のサッカーアカデミーに通っていないプロシネツキをスタッフに入れることに協会が猛反発。ビリッチが懸命に説得を図り、何度も交渉を重ねた上で、全ての代表カテゴリーにおけるスカウトという肩書きで入閣に成功しました。また同時にサッカーアカデミーにも通うことを決めたそうです。

代表メンバーはこちら。

GK:
スティペ・プレティコサ (シャフタール・ドネツク)
ジョセフ・ディドゥリツァ (AZアルクマール)
DF:
ダリオ・シミッチ  (ACミラン)
ロベルト・コヴァチ (ユヴェントス)
イゴール・トゥドール (ユヴェントス)
ヨシップ・シムニッチ (ヘルタ・ベルリン)
ダリオ・クネジェヴィッチ (リエカ)
フルヴォイエ・チャレ  (ディナモ・ザグレブ)
ゴラン・サブリッチ  (ディナモ・キエフ)
MF:
ニコ・コヴァチ     (レッドブル・ザルツブルク)
ミラン・ラパイッチ (スタンダール・リエージュ)
ダリヨ・スルナ     (シャフタール・ドネツク)
ユーリツァ・ヴラニェシュ (ヴェルダー・ブレーメン)
マルコ・バビッチ   (バイヤー・レバークーゼン)
イェルコ・レコ     (ASモナコ)
ニコ・クラニチャール (ハイデュク・スプリト)
ルカ・モドリッチ     (ディナモ・ザグレブ)
FW:
イヴァン・クラスニッチ (ヴェルダー・ブレーメン)
ボシュコ・バラバン   (クラブ・ブルージュ)
イヴィツァ・オリッチ  (CSKAモスクワ)
ムラデン・ペトリッチ  (バーゼル)
エドゥアルド・ダ・シルヴァ (ディナモ・ザグレブ)

補欠:
ダニエル・プラニッチ (ヘーレンフェーン)
ヴェドラン・ルニェ  (ベジクタシュ)
アンテ・シェーリッチ (パナシナイコス)
イヴァン・レコ    (クラブ・ブルージュ)
マリャン・ブリャト  (ディナモ・ザグレブ)

代表に復帰したミラン・ラパイッチはインタビューで
「幸せかって? もちろん! 幸せすぎるほどだよ。いつも私は代表でプレーをしたかった。しかし、私には監督が呼ぼうにも運がなかったからね。イタリアで狂ったようなプレーを見せていた時も、どこからも声が掛からなかったし、注目も浴びなかった。自分にこう言い聞かせたよ。"ミキ(彼の愛称)、そんなものさ。カリカリするだけ無駄だ"ってね。
クラニチャールが呼ばなかったのは、彼に別のアイデアがあったからだろう。それは尊重しなくてはならない。ビリッチが私を呼んだのは、彼にとって私が必要だと評価してくれたからさ。召集には喜んでいるが、それに周囲に認めさせなくてはならないよ。」
と語っています。
今年春にリエージュでラパイッチにインタビューをしたのですが、彼は並々ならぬ代表への意欲を語っていました。
「クラニチャールが私を呼ばないならば、次の監督が来るのを待つだけさ。」
なんて言っていたのですが、当時はクラニチャールの長期政権になると思ってただけに彼の代表復帰はもうないかと思っていました。
「現役を長く続けたいからタバコも半年前に止めたんだよ。」
と語ったラパイッチ。ベルギー・リーグは走力が要求されるリーグだそうでして、昨季のリエージュでは足に痛み止めの注射を打ちながらも攻撃の中心として活躍していました。

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2006年8月 1日 (火)

クロアチア・リーグ開幕

クロアチア・リーグが開幕し、7月29・30日に第1節が行われました。
昨年までは二回戦総当り→優勝決定リーグと降格決定リーグに別れて二回戦総当りの32節で行われましたが、モチベーションの低い消化試合が発生することへの批判が多く、今季は三回戦総当りの33節で行われます。22節までの結果をベースに23~33節の日程が組まれ、22節まで1~6位のチームは1試合多くホームで試合を行うことができます。

Novotny 昨季のリーグ王者、ディナモ・ザグレブはスラヴェン・ベルーポと対戦。ドイツ代表DFノヴォトニー(写真)がディナモの一員としてデビューするとあって観客増が期待されたものの、バカンス・シーズンとテレビ放映が重なって約8000人に留まりました。
ゴール前を固めるベルーポに対してディナモは攻めあぐね、16分にはカウンターからベルーポのヴルチーナがポストにシュートを当てるというピンチすら迎えます。37分、ペナルティエリア右でキープするDFクリスティッチからFWエドゥアルドがボールをカットし、センタリングからヴグリネツが押し込んでようやくディナモが先制します。
普段ならば右サイドでSBエトーとMFブリャトのコンビネーションを多用するのですが、ノヴォトニーがセンターバックに入ったことでチョルルカが右SBへ、エトーが右MF、ブリャトが左MFとポジションチェンジしたことが機能しない一因でありました。後半もいつもの厚い攻撃は鳴りをひそめ、無得点のまま1-0で終わっております。

ゾラン・ヴリッチが再び指揮官に就任したハイドゥク・スプリトは、アウェーでメジュムリエと対戦。昨季は5位と低迷したハイドゥクはバラティナッツ(←オシエク)、ムサ(←ベルーポ)の獲得で中盤を強化。また移籍先が決まらないクラニチャールも出場しました。
この試合で活躍したのは36歳のハイドゥクGKバリッチ。23本のシュート(うち枠内12本)を浴びながら無失点で守りきり、ハイドゥクはたった2本の枠内シュートを共に決めました。8分にクラニチャールから右スペースへ走り込んだバルトロヴィッチにパスを通し、折り返しをイェラヴィッチが決めて先制。また68分にはバラティナッツがゴール前に放り込んだボールをブシッチが器用に叩きこんでいます。

スーパーカップ敗北、UEFAカップ予備戦敗退と苦しいスタートとなったリエカは、チバリアに前半で1-3とリードされながら後半に大逆転に成功。4点目を決めたのが元湘南のルビールでした。
またチーロ・ブラジェヴィッチ率いるザグレブもカメン・イングラッド相手に勝利発進。カメン・イングラッドは元市原のムイチンが負傷退場したことで流れを失ってしまいました。ザグレブで活躍したのは元セレッソで古巣に戻ったばかりのロヴレク。2点目を叩きこみ、Sportske Novostiでは今節の最優秀選手に選ばれています。

Medimurje - Hajduk 0:2
0:1 - Jelavic (8.)
0:2 - Busic (69.)

Sibenik - Osijek 1:2
0:1 - Smoje (20.)
1:1 - Guc (33.-PK)
1:2 - Barisic (62.)

Kamen Ingrad - Zagreb 1:3
0:1 - Mandzukic (31.)
0:2 - Lovrek (67.)
1:2 - Sivonjic (69.)
1:3 - Jurendic (88.)

Dinamo - Slaven Belupo 1:0
1:0 - Vugrinec (37.)

Cibalia - Rijeka 3:4
0:1 - Bolic (7.)
1:1 - Zekic (12.-PK)
2:1 - Jukan (35.)
3:1 - Bagari? (39.)
3:2 - Tkalcevic (53.)
3:3 - Ah.Sharbini (84.)
3:4 - Rubil (85.)

Pula - Varteks 1:1
1:0 - Kopric (9.-OG)
1:1 - Vukman (14.)

Butina_1 クロアチア代表GKのトミスラフ・ブティナ(32・写真)が代表チームからの引退を表明しました。
「国家のユニフォームにおける私のミッションは終わったよ。クロアチアに私が与えるものはないと結論づけたんだ。私が助けることはないと見ているしね。代わりは簡単に見つけるだろう。」
とコメント。プルショに続いての代表引退にサッカー協会会長マルコヴィッチもブティナを説得したものの、
「会長のことは評価している。説得するために全てを出してくれた。努力には感謝している。でも私はサッカー選手としても人としてもアピールすることに成功しなかったんだから。私はチームに欠かせないダド・プルショのような存在ではない。事実、私はもう必要ではないんだよ。プレティコサ以外にも、ディドゥリッツァ、トゥリーナ、ルニェ、ガリノヴィッチがいる。ラパイッチ、モルナル、ロッソといった私と同世代の選手達がチームにいないことは、代表引退するにしても幾分と楽だよ。ただ、ルームメイトのオリッチやコヴァチ兄弟、シムニッチといった素晴らしい仲間と集まることがないのは残念だけど....」
と語っています。ブティナは日韓ワールドカップ、ユーロ・ポルトガル大会、ドイツ・ワールドカップで代表メンバーとして名を連ね、28試合に出場。今季にクラブ・ブルージュからオリンピアコスに移籍しています。

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