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2006年9月12日 (火)

欧州選手権予選/ロシアとスコアレスドロー

遅れてしまいましたが、欧州選手権予選のニュースを。

まずはロシア戦を前にしてクロアチア代表を揺るがす事件が起こりました。
MFスルナ、FWバラバン、FWオリッチの3人が2日の夜から3日に掛けてスロベニアの合宿地チャティジュを抜け出し、ザグレブ市内にあるセルビア音楽が売り物のクラブ「フォンタナ」へ遊びに行ってしまいました。同クラブで3日5時頃、発砲事件があったことで、3人がクラブに遊びに行っていたことが公に発覚(報道では5時45分に合宿地に戻ってきたと書き、本人達は翌日2時過ぎには戻ってきたと主張)。「クロアチア代表でなぜセルビア音楽が?」と疑問に思われるかもしれませんが、スルナやバラバンは親の片方がセルビア人で、オリッチは妻がセルビア人と言われています。
3日の夕方に3人の合宿地抜け出しの知らせを耳にしたスラヴェン・ビリッチ監督は、直ぐに3人を代表から追放。主将のニコ・コヴァチが選手を代表して3人の放免をビリッチ監督にお願いしたものの、規律を乱した罪は許すことができずに拒否。クロアチア・メディアは「裏切り者」として吊るし上げ、サッカー協会も翌日に尋問を行い、3選手にそれぞれ3万クーナ(約60万円)の罰金が言い渡されました。
ビリッチ監督は4日の記者会見で
「彼らは責任を払わなくてはならない愚行をやってしまった。ただ、彼らが"恥の柱"にこれからもくくりつけられるという意味ではない。若いだけにそこから教訓を引き出して貰いたい。」
と答えました。シミッチ、シムニッチがサスペンション、トゥドールとクネジェヴィッチ、更に3人が追放ということで厳しい状況に立たされたビリッチ監督は
「ハンディキャップは大きい。しかし、他の解決方法はないんだ。アリバイなんて作る気はないし、プランを変えるつもりもない。モスクワでの試合は現時点で最高の11人を並べるつもりだ。」
と語りました。

9月6日、欧州選手権予選「ロシアvs.クロアチア」の会場となるのはモスクワのロコモティーバ・スタディオン。3日前にU-20女子サッカー世界選手権決勝(中国vs.韓国)が雨の中で行われたことで、ピッチの状況は劣悪に。この日も雨が降ったため、ぬかるみだらけのピッチとなってしまいました。
選手の台所事情の厳しいクロアチアは4-4-2で以下のスタメンを敷きます。
GKプレティコサ-(右から)DFチョルルカ、サブリッチ、コヴァチ弟、シェーリッチ-MFラパイッチ、コヴァチ兄、モドリッチ、クラニチャール-FWクラスニッチ、エドゥアルド
一方のロシアもスメルティン、V.ベレズツキー、ケルジャコフが怪我、ジルコフとビストロフが累積警告で欠場。策士ヒディンク監督は3-4-2-1のシステムを敷きました。
GKアキンフェイェフ-DFコロディン、イグナシェヴィッチ、A.ベレズツキー-MFアニュコフ、アルドニン、セムショフ、ビリャレトディノフ-アルシャーヴィン、イスマイロフ-FWパヴリュチェンコ

前半開始からクロアチアは安定した最終ラインとボールコントロールに優れた中盤で主導権を握ります。3分にクラスニッチが放ったゴールは左ポストを外れ、7分にエドゥアルドのクロスにラパイッチがトラップからシュートを狙いますが、相手DFにブロックされてしまいます。ロシアはミドルシュートから打開を図るしかなく、13分にセムショフの25mのミドルシュートは枠を捉えられません。
それからは小康状態となりますが、31分、エドゥアルドが左からアーリー気味にグラウンダーでクロスを入れると、ボールはファーへ飛び込んだラパイッチに。けれどもボールコントロールにてこずりシュートまで行けません。その2分後にはエドゥアルドとのコンビネーションからモドリッチがシュートするもGK正面。ロシアも38分、カウンターからビリャレトディノフがエリア左からシュートするもボールはバーを越えます。43分、ラパイッチが左隅を狙って放ったミドルシュートもGKがキャッチしてしまいます。

前半はクロアチアに傾いたパワーバランスは後半頭も続きます。49分、ラパイッチの強烈なミドルシュートは再びGKアキンフェイェフがセーブし、その1分後には30mの直接FKをラパイッチが得意の弾道で蹴りこむもののクロスバーを叩き、跳ね返りをクラスニッチがフリーでボレーシュートを放ちましたが、ボールはポストを逸れてしまいます。52分にはクラニチャールが20mのミドルシュート。GKが弾いたところにエドゥアルドが反応しますが、先ほどのクラスニッチ同様にシュートが枠に収まりません。
ロシアは53分、FWポグレブニャクを投入。ロングボール主体の攻撃へと切り替えつつ、アルシャーヴィンとポグレブニャクが上手く絡みます。56分にポグレブニャクのお膳立てからアルシャーヴィンが放ったシュートは左ポストを逸れ、その1分後はモドリッチのミスパスからロシアのカウンター。アルシャーヴィンのラストパスからポグレブニャクがGKと一対一となりますが、シュートは不正確に終わります。61分にはクロアチアのエリア内の密集からセムショフが強烈なミドルを放つものの、GKプレティコサが素晴らしいセーブでかわします。64分にはアルシャーヴィンが巧妙なフェイントからDF二人のマークを抜け出すものの、力のないシュートはポストに叩かれます。
ロシアに押される展開でしたが、クロアチアも76分に途中交替のペトリッチがミドルシュート。ボールはエリア内でDFの手に当たりましたが、スペイン人のゴンザレス主審からPKの判定は取ってもらえず。87分、チョルルカの右クロスにクラスニッチがゴールを背にしてボレーを試みますが、ボールはわずかに右ポストを逸れてしまいました。試合はこのまま0-0のスコアレスドロー。勝利できるチャンスはあったとはいえ、アウェーで貴重な勝点1を取れたことは満足できる船出といえましょう。右サイドバックのチョルルカ、センターバックのサブリッチは安定した守備を見せて合格点。また左MFとして起用されたクラニチャールは最後バテバテになったとはいえ、左サイドでモドリッチとの優れたコンビネーションを見せました。問題といえるのは未だ代表で覚醒を見せないクラスニッチ。アシストを配給できるエドゥアルドとは良いコンビになれるでしょうが、覚醒にはまだ時間が必要なようです。

試合後、記者会見でビリッチ監督は
「ホームで長らく負けていなかった相手からポジティブな結果を達成できた。コンパクトさを維持し、チームとして本当にまとまっていた。全員で守ったし、多くの選手が攻撃参加した。モスクワでは楽じゃないとはいえ、サッカーをすることができた。勝利には近かったとはいえ、スポーツ運が欠けていたのも事実。ラパイッチとクラスニッチのゴールが決まっていたならばね。」
と答えました。オリッチとスルナ、バラバンのことを聞かれると、以下のように声を荒げています。
「またそれについて話さなくちゃいけないのか? 私はもう十分に話した! 彼らは過ちを犯した。だから罰せられたんだ。罪を認めておらり、早かれ遅かれチームに戻ることになるだろう。この先も外に追いやる理由がない。」
一方、ロシアのヒディンク監督は
「ホームで引分けという結果に幸せになれるわけがない。大きなプレッシャーを抱えることは難しかった。3人のレギュラー選手が欠けていたし、選手の選択幅は広くはない。とても複雑な試合だったよ。クロアチアは最初の20分間、ピッチを支配し、チャンスを作っていった。後から私たちもチャンスを作り、フィニッシュまではイニシアティブを握っていた。もちろん、これは私たちにとって大きな経験だ。クロアチアは希望を持てる組織されたチームであることを示した。だからこの結果は不成功ではない。」
とコメントを残しています。

ただし、ビリッチの受難は続いております。試合当日にクロアチアのタブロイド紙が、女性のテレビ司会者ミラ・ホルヴァトとの関係を書きたてことにビリッチは激怒。
「監督業は私にとってとても愛すべき仕事だ。全てを楽しんでいる。しかし、このような告発は耐えがたい。彼女とは一度もお茶もしたこともないし、唯一、私がゲストとして出演した番組に彼女も共演していただけだ。なのにこのような攻撃が私に値するというのかね?!

と翌日のザグレブでの記者会見で語り、辞任も辞さない態度を見せています。

U-21欧州選手権予選2試合が行われ、クロアチアU-21代表はグループリーグ最下位で敗退が決まっています。これまでの予選はA代表のグループリーグに沿って行われたいたものの、今大会はブルガリアとウクライナとの3チーム間における一発勝負で首位だけがプレーオフに抜けられます。既に初戦でブルガリアがアウェーでウクライナを3-0で一蹴しており、9月3日のソフィアにおけるブルガリアvs.クロアチア戦が鍵を握る試合となりました。
クラニチャール、モドリッチ、チョルルカはA代表に取られていることから、ラディッチ監督が組んだスタメン(4-2-3-1)は以下のとおり。
GKスバシッチ-DFイプシャ、ヴクマン、ヴチュコ、ムイジャ-MFブルクリャチャ、ポクリヴァッツ-グラビナ、イェルテツ、マンジュキッチ-FWブシッチ
一方のブルガリアU-21代表は1日前のA代表の対ルーマニア戦にも出場したFWボジノフが先発起用。前半は難なく抑えてきたものの、53分にディフェンスの隙をついたボジノフがシュートを決めてブルガリアが先制します。クロアチアも58分にブルクリャチャがPKを決めて同点に追いつきますが、83分にブルチーナがエリア内でヤンコフを倒してブルガリアがPK。ボジノフのシュートはGKスバシッチが一度止めたものの、跳ね返りをポポフに決められて1-2で敗北。この試合結果で予選突破が遮られてしまいました。

9月6日にはリエカでウクライナU-21代表との無観客試合が行われました。無観客となった理由は、昨年秋のU-21欧州選手権予選プレーオフ、対セルビア・モンテネグロ戦でサポーターが侮辱行動を繰り返したためです。スタメンは以下のようでした。
GKスバシッチ-DFムイジャ、イプシャ、ヴチュコ、バルトゥロヴィッチ-MFブルクリャチャ、ポクリヴァッツ-グラビナ、イェルテツ、マンジュキッチ-FWブシッチ
お互い本大会進出の道が閉ざされたとはいえ、多くの代理人が見ている中でダイナミックな戦いを見せていきます。しかし29分、ウクライナのフェシュチュクがループシュートを決めて先制すると、その後はウクライナのペース。61分に左クロスからブシッチがゴールを決めて同点に追いつくも、84分にコーナーからウクライナのロマンチェクが決め、またして1-2の敗北。グループリーグ最下位が決まり、この世代のチームは解散となりました。

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コメント

 お帰りなさい!! 長束様!!  旅行はどうでしたか?
こちらのページが更新されていない間、寂しくてたまりませんでした。 貴重なクロアチアサッカーの事を色々これからも教えてくださいね! スルナ、オリッチ、バラバン、行動力がありますね。
若い分当然ですかね。 男性の20代なら行きますよね。
本当はクロアチアの試合が見れるのが一番いいんですけどね。
毎日楽しく見ています。 これからもよろしくお願いします!!

投稿: Lucy | 2006年9月12日 (火) 20時33分

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