ニコ・クラニチャール、ポーツマスに移籍
移籍期限の最終日である8月31日に移籍話が続々と伝わっています。
まずは代表MFニコ・クラニチャール(22・写真)。レンヌを拒否したのち、プレミアシップのポーツマスがオファーを提示。移籍金450万ユーロ、4年契約で年俸100万ユーロ(税抜)の提示にクラニチャール側は移籍を決断、サインを済ませました。
ポーツマスとクラニチャールが合意した背景には幾つかあります。まずはクラニチャールのハイドゥク移籍に一役噛んでいるイゴール・シュティマッツが、ウェストハム在籍時代に現ポーツマス監督のハリー・レドナップの下でプレーしていたこと。またポーツマスは移籍金1000万ポンドでベンフィカのFWマヌエル・フェルナンデスの獲得をこじつけたものの、メディカル・チェックで右膝の故障が見つかったこと、またセルティックのMFスティリアン・ペトロフの獲得に失敗(アストン・ヴィラへ)したため新たな補強選手を見つけなくてはならなかったことです。
2005年1月のハイドゥク移籍には280万ユーロの費用が掛かっていますが、投資した富豪のパシャリッチ氏(140万ユーロ)、シュティマッツ(10万ユーロ)、ハイドゥク(30万ユーロ)、故・ポクロヴァッツ代理人の家族などにその280万ユーロが戻され、残る170万ユーロを65:35で分配。クラニチャールへ110万5000ユーロ。投資家に59万5000ユーロが渡ることになっています。
またハイドゥクのサポーター「トルツィダ」はクラニチャールを引き留めるべく、一人20クーナ(400円)、大人100クーナ(2000円)を基準とする募金活動をしましたが、移籍話が決定的となったことで止めてしまっています。
シャフタール・ドネツク所属のクロアチア代表GKスティペ・プレティコサ(27)が、一年間フルハムへのレンタル移籍で合意、メディカルチェックも通っていたものの、ワークパーミットが下りず流れてしまいました。
出場機会に恵まれないプレティコサはシャフタールからの移籍を常に希望。昨季はハイドゥクにレンタル移籍して試合感を取り戻し、ワールドカップで活躍できたわけですが、300万ユーロの移籍金がネックとなり新たなクラブに移籍できずにいました。それでスタンダール・リエージュの移籍話が破綻、フルハムにレンタルという形がまとまったわけです。しかし、ワークパーミットが下りるにはこの2年で70%の代表公式戦に出なくてはならないという規定が壁となってしまいました。
リエカの代表DFダリオ・クネジェヴィッチ(24)がセリエAのリボルノに移籍することが決まりました。
これまでヘルタ・ベルリンやHSV、ラツィオといったクラブが注目していましたが、リボルノで行われた8月16日のイタリアとの親善試合で90分フル出場したのをきっかけに当地のクラブ幹部が目をつけ、交渉をまとめました。移籍金は47万5000ユーロ、年俸50万ユーロの3年契約とされています。
またリボルノはザグレブ所属のU-21MFマリオ・ブルクリャチャ(21)に移籍金60万ユーロで打診したものの、ザグレブ側が拒否しています。ちなみにブルクリャチャには以前よりレッジーナが関心を示しています。
ハイドゥク・スプリトは3選手との契約を済ませることに成功しました。
DFボリス・ジヴコヴィッチ(31)は3年契約、FWユーリツァ・ヴチュコ(30)は2年契約、MFマリオ・ツァレヴィッチ(24)は一年のレンタル契約です。クラニチャール移籍の痛手は大きいものの、今季彼がプレーしていた左MFはツァレヴィッチが得意とするポジションであり、またFWとDFは経験ある選手が少ないポジションであることからジヴコヴィッチとヴチュコの獲得はプラスに働くことでしょう。
ディナモ・ザグレブのFWゴラン・リュボイェヴィッチ(23)がベルギー・リーグのヘンクに移籍、3年契約を結びました。
今季はそれなりに出場機会があり、てリーグで3得点、チャンピオンズ・リーグ予選で3得点と格好の滑り出しでしたが、レギュラーを確約されていないことからリュボイェヴィッチは移籍願望が強くありました。デンマークのブロンビーからのオファーもありましたが、昨季のチームメートであるFWイヴァン・ボシュニャク、オシエクでのチームメートMFトミスラフ・ミクリッチがプレーするヘンクを選んでおります。
ディナモ・ザグレブはヴァルテクス・ヴァラジディン所属の元U-21代表GKトミスラフ・ヴラニッチ(23)と5年契約を結びました。
ヴラニッチは2期に渡ってU-21代表正GKに就くほど期待されていた選手でしたが、昨年のU-21欧州選手権プレーオフのセルビア・モンテネグロ戦で2度に渡るポカを繰り返して自信を喪失。その後もヴァルテクスでポカを繰り返し、チームの信用を失っていました。ディナモの正GKイヴァン・トゥリーナは今季不調で安定性に欠け、控えのマルコ・シャルリヤも怪我でリハビリ中ということもあり、ディナモは新たなGKを必要としていました。
8月30日、クロアチア代表が地元クラブのセゲスタと親善試合を行っています。セゲスタは今年でクラブ創立100周年というクロアチア最古のクラブ。かつてはクロアチア・リーグ一部に所属していましたが、現在は3部リーグのクラブであります。GKプレティコサとDFシェーリッチがウィルス性の病気に掛かり、DFクネジェヴィッチが右足甲を痛めていることからスタメンは以下のようになりました。
GKルニェ-(右から)DFサブリッチ、コヴァチ弟、ヴェイッチ、バビッチ-MFコヴァチ兄、モドリッチ、クラニチャール-FWラパイッチ、オリッチ、エドゥアルド。 連携を高める以外は無勝手な攻撃でありましたが、右ウィンガーに入ったラパイッチからのクロスボール、もしくは左サイドからクラニチャールとモドリッチ、バビッチのコンビネーションが攻撃の軸となりました。11分にオリッチの左クロスからエドゥアルドがヘディングで先制ゴールを上げると、19分にはオリッチとラパイッチがそれぞれシュートを防がれたもののエドゥアルドが跳ね返ったボールを流し込んで2-0。31分にはモドリッチのアシストをヒールで流したエドゥアルドがハットトリックを完成。
後半は以下のスタメンでした。
GKガリノヴィッチ-(右から)DFブリャト、チョルルカ、ヴェイッチ、プラニッチ-MFモドリッチ、レコ、バビッチ-FWペトリッチ、クラスニッチ、バラバン。
48分にセゲスタのデロニッチがDFを振り切ってループシュートを決められましたが、55分にブリャトの右クロスをクラスニッチがボールの落ち際を叩き込み、60分には右サイドで右足でシュートを打つと見せかけ、フェイントから左足に持ち替えたモドリッチが決めて5-1。62分にはクラスニッチのパス交換でバラバンがゴール。83分にセゲスタのシャニヤにゴールを決められましたが、6-2で試合を終えています。
また31日にビリッチ代表監督の記者会見を行い、A代表とU-21代表の両方に名前を連ねるDFヴェドラン・チョルルカをU-21代表へ派遣しないことを明らかにしています。クネジェヴィッチが怪我、またサブリッチも怪我をしたため、A代表は更に深刻なDF不足になっております。「おそらくチョルルカはロシア戦に出場することになるだろう」とビリッチ監督はコメントしています。
このニュースサイトは9月初旬、遅れた夏休みを取らせて頂きます。旅先から戻り次第、また再開します。
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コメント
ニコ、プレミアのポーツマスに移籍なんですね。個人的にはセルタに行って欲しかったのですが、ポーツマスならばスカパーでニコのプレーが見られるからいいかなと。
あと名古屋の中京大中京に通う高校生の伊藤翔くんがアーセナルの入団テストを受け、入団が内定した模様です。労働ビザが発給されるどうかわかりませんが、いつかプレミアの舞台でニコと伊藤くんのマッチアップが見ることができたら面白いかもしれないですね。
投稿: みさ | 2006年9月 1日 (金) 22時58分
スルナ選手とオリッチ選手とバラバン選手が、ロシア戦代表からはずされたそうですね・・・。
残念です。
投稿: 夕星 | 2006年9月 5日 (火) 16時00分
こんにちは、はじめまして。
ブレーメン好きとドイツW杯がきっかけでクロアチア代表をチェックしている者です。
こちらは楽しくROMさせてもらっています。
さて、3選手の離脱の件ですが、昨日Vecernji list紙オンラインを見てびっくりしました。クロアチア語は読めないので詳細はわかりませんが、写真つきでかなり大きくすっぱ抜かれてましたから言い訳できませんねぇ。(頭にhttpつけてください)
://www.vecernji-list.hr/newsroom/sports/football/623405/index.do
この事件は今日になってUEFA公式日本語版にも出ました。
一応アドレス載せておきますので参考まで。
://jp.uefa.com/competitions/EURO/news/Kind=1/newsId=452636.html
ビリッチ監督、頭痛いでしょうね・・・よりによってその3人、オリッチ選手の離脱は特に痛いです。
スルナ選手はチャンピオンズリーグ予備選に出てなくて、ちょっと前の同紙の代表ニュース記事でスルナとドクターが何とかという記述を見つけたのでクロアチア語は読めませんがおそらくは怪我しててロシア戦に連れて行けるかどうか微妙だったように思います。
この3人、反省して10月の予選に呼んでもらえるんでしょうか?ちょっと心配ですね。
ではお邪魔しました。
投稿: 赤白アザラシ(仮HN) | 2006年9月 5日 (火) 19時00分
試合は引き分けました。
クラスニッチがチャンスを決め切れなかったそうで、終盤シュートがポストに当たったとか。
Uefa公式のマッチキャストによればボール支配率はロシア:クロアチアで70:30だったようですね。
その割にはシュート数はクロアチアのほうが多かったようです。
攻めても攻めきれずに終わったというところでしょうか。
投稿: 赤白アザラシ(仮HN) | 2006年9月 7日 (木) 02時39分