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2006年10月29日 (日)

クロアチア・リーグ第12節

クロアチア・リーグ第12節が10月28日に行われました。

首位ディナモ・ザグレブはスラヴェン・ベルーポとアウェーで対戦。ベルーポはMFムムレク(34)、MFソピッチ(32)、FWドディク(32)といったベテランが中心となる一方で、監督は一昨年にリエカに初タイトルをもたらした若干35歳のスコーリエ監督。開幕直後はもたついたものの、カップ戦を含む公式戦ではここ7試合で6勝とチーム状況は上向きにあります。
Corluka_1 90分を通してディナモはゲームは支配するものの、ベルーポのコンパクトなゾーンプレスに苦しめられます。開始10分、20mの距離からベルーポFWヴルチーナが放った直接FKは壁に当たってネット右にボールが吸い込み、ベルーポが先制に成功します。ディナモはブリャト、ヴグリネツ、マミッチが中距離からシュートを狙うものの、不正確に終わります。
後半47分、ヴグリネツのFKがクロスバーを叩き、65分にはアンデルソンの近距離からのシュートがポストを叩きます。72分にはエドゥアルドのシュートをベルーポの守護神であるマケドニア代表GKニコロスキが弾きます。とうとうディナモにも土が着くと思われましたが、84分にモドリッチのFKからチョルルカ(写真)がヘディングシュートを決めて同点に追いつきました。ディナモは今季負けなしで来たものの、二度目の引分けを演じ、1試合少ないながらハイドゥクに首位の座を明け渡すことになりました。

2位ハイドゥク・スプリトはホームでメヂムリエと対戦。メヂムリエもリーグ4連勝と好調。クロアチア・テレビで生放送されましたが、メヂムリエの試合がテレビ放送されるのは初めてでありました。
ハイドゥクは前に行われたディナモの引分けを知っており、またサポーターの「トルツィダ」創立56周年の祝いも兼ねた試合だっただけにモチベーションを持って試合に入ります。31分、フルゴヴィッチの左クロスにFWブラトニャクがヘディングシュートを決めて先制。ブラトニャクはヴチュコの怪我で途中交替でピッチに入ってからわずか2分後の得点でありました。
今季ハイドゥクからディナモに移籍し、メヂムリエにレンタルされた司令塔グルグロヴィッチは古巣相手にチャンスを作ろうとするものの、安定したハイドゥク守備を崩すことはできず、51分にはバルトゥロヴィッチの左サイドからのアシストからムニョスが決めて2-0。10勝1敗1分、勝点31でハイドゥクが首位に立っています。

低迷中のリエカはU-21代表FWシャルビーニのハットトリックもあって、チバリア・ヴィンコヴチを4-1と一蹴。
Zagrebまたザグレブは水曜日のカップ戦に引き続き、カメン・イングラッドと対戦。74分にDFラブドヴィッチがレッドカードで退場、また85分にはDFミクリッチが負傷退場し、最後は9人で戦うハメになりましたが、40分にユレンディッチ(写真・右から二人目)、47分にブルクリャチァ(写真・一番左)のそれぞれのヘディングシュートで2-1と辛勝。4位へと浮上しています。

全試合の結果はこちら。

Slaven Belupo - Dinamo Zagreb 1:1
1:0 10' Vrucina
1:1 84' Corluka

Varteks Varazdin - Pula 0:0

Zagreb - Kamen Ingrad 2:1
1:0 41' Jurendic
2:0 47' Brkljaca
2:1 60' Simek

Osijek - Sibenik 1:1
0:1 52' Kartelo
1:1 62' Vitaic

Rijeka - Cibalia Vinkovci 4:1
0:1 22' Krizanovic
1:1 36' Ah.Sharbini
2:1 48' Tonito
3:1 54' Ah.Sharbini
4:1 90' Ah.Sharbini

Hajduk Spilit - Medimurje 2:0
1:0 31' Blatnjak
2:0 51' Munhoz 51

【順位】
1位…ハイドゥク・スプリト(31)、2位…ディナモ・ザグレブ(勝点29,-1試合)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(20)、4位…ザグレブ(19)、5位…メヂムリエ(18)、6位…スラヴェン・ベルーポ(16)、7位…シベニク(16)、8位…プーラ(15)、9位…オシエク(14)、10位…リエカ(13,-1試合)、11位…カメン・イングラッド(7)、12位…チバリア・ヴィンコヴチ(6)

【得点】
10ゴール…エドゥアルド(ディナモ)
9ゴール…シャルビーニ(リエカ)
8ゴール…ノヴィニッチ(ヴァルテクス)
7ゴール…ゼキッチ(チバリア)

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2006年10月27日 (金)

クロアチア・リーグ第11節/クロアチア・カップ二回戦

報告が遅れましたが、10月21日に行われたクロアチア・リーグ第11節を。

Drpic首位ディナモ・ザグレブはアウェーでオシエクと対戦。国内では敵無しのディナモでありますが、ヨシップ・クジェ監督の借金問題がクローズアップされたり、マミッチ副会長が次期監督にシュティマッツの名前を挙げたりと不穏な動きが出ております。一方、オシエクもシュシャク監督辞任のあと低迷している上、グラバシュ会長がクロアチア独立戦争でオシエク司令官を務めた際の罪を問われ、逮捕されるなど状況は芳しくありません。
試合はディナモの一方的な展開となりました。13分にセットプレーからモドリッチがゴール前に放り込むと、エドゥアルドがヘディングで合わせて先制ゴール。33分にはドルピッチ(写真)が25mの位置からFKで強烈な弾道のシュートを放つと、オシエクのクロアチア代表GKスケンデルは一度はボールに触れるものの、身体に跳ね返ってネットに収まり、2-0とディナモがリードを広げます。
後半は50分にモドリッチのサイドチェンジを受けたヴグリネツがゴール前に走り込んだツビタノヴィッチにお膳立て。ツビタノヴィッチがシュートを決めて3-0。更に68分、ヴグリネツの右クロスからドルピッチがヘディングシュートを決め、4-0とディナモが快勝しています。

2位ハイドゥク・スプリトはプーラをホームに迎えました。怪我人が続出しているとはいえ、13分、バルトゥロヴィッチがGKに倒されて得たPKをウルグアイ出身のムニョスが決めて先制。55分には左サイドでボールを受けたバルトゥロヴィッチがフェイントでマーカーをかわしたのち、18mの距離からシュートを決め、2-0と勝利を収めています。

開幕前は降格争いをすると見られたメヂムリエがアウェーでリエカに3-1で勝利して4連勝。4位へと浮上しています。またザグレブはチバリア相手の勝利で連敗を4でストップ。中位辺りは混戦となっています。

全試合の結果はこちら。

Zagreb - Cibalia Vinkovci 3:0
1:0 38' Ibricic
2:0 62' Lovrek
3:0 68' Cutura

Varteks Varazdin - Sibenik 2:1
1:0 45' Safaric (PK)
1:1 46' Budimir
2:1 59' Vukman

Kamen Ingrad - Slaven Belupo 1:3
1:0 30' Simek
1:1 44' Vrucina
1:2 47' Dodik
1:3 85' Mumlek (PK)

Rijeka - Medimurje 1:3
0:1 10' Grgurovic
1:1 35' Tkalcevic
1:2 64' Kresinger
1:3 90' Lima

Hajduk Split - Pula 2:0
1:0 12' Munhoz (PK)
2:0 55' Bartolovic

Osijek - Dinamo 0:4
0:1 13' Eduardo
0:2 33' Drpic
0:3 50' Cvitanovic
0:4 68' Drpic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点28,-1試合)、2位…ハイドゥク・スプリト(28)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(19)、4位…メヂムリエ(18)、5位…ザグレブ(16)、6位…スラヴェン・ベルーポ(15)、7位…シベニク(15)、8位…プーラ(14)、9位…オシエク(14)、10位…リエカ(10,-1試合)、11位…カメン・イングラッド(7)、12位…チバリア・ヴィンコヴチ(6)

【得点】
10ゴール…エドゥアルド(ディナモ)
8ゴール…ノヴィニッチ(ヴァルテクス)
7ゴール…ゼキッチ(チバリア)
6ゴール…シャルビーニ(リエカ)、ヴグリネツ(ディナモ)、ルカビナ(シベニク)

【アシスト】
5アシスト…エドゥアルド(ディナモ)、ムムレク(スラヴェン・ベルーポ)
4アシスト…パパ(カメン・イングラッド)、ディニャール(オシエク)、スティプコヴィッチ(カメン・イングラッド)

10月24日・25日にはクロアチア・カップ2回戦が行われました。一発勝負で行われ、準々決勝に進む8チームが決まっています。

Rukavina 昨季のディナモはこのラウンドで二部のナフタシュに敗北を喫したわけですが、今回はシベニクと対戦。今季一部に昇格したシベニクはディナモやハイドゥク、マルセイユが注目する20歳のFWアンテ・ルカビナ(写真)の活躍もあって、現在はリーグ7位とまずまずの成績。ルカビナがそのポテンシャルを魅せる場面もありましたが、ゴールをきちっと決めたのはリーグ得点王のエドゥアルドでした。14分にミドルシュートをズドンと決めると、90分にはトミッチのラストパスから2点目。また23分にはアンデルソンもゴールを決めており、3-0でディナモが勝利しています。

一方でライバルのハイドゥクは二部のベリシチェ相手にヒヤヒヤの勝利を収めています。1-2でリードされてのロスタイム4分、右クロスからヴチュコがヘディングシュートを決めて同点に追いつくことに成功。延長に3点を決めて5-2で勝利しています。
波乱としては、オシエクが二部のインテルに敗北。またリエカも二部のフルヴァツキ・ドラゴヴォリャッツ(監督は元セレッソのポボル氏)に120分を0-0で終えましたが、PKで何とか勝利を収めています。また一回戦でヴァルテクスを倒した三部のコナヴリャニンが、二回戦でも二部セゲスタに2-0に勝利しています。

Slaven Belupo - Hrvace 4:2
Zagreb - Kamen Ingrad 1:1 (PK 4:2)
Cibalia - Vukovar '91 2:0
Hajduk - Belisce 5:2(延長)
Inter Zapresic - Osijek 3:1.
Konavljanin - Segesta 2:0
Hrvatski dragovoljac - Rijeka 0:0 (PK 3:5)
Dinamo - Sibenik 3:0

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2006年10月15日 (日)

クロアチア・リーグ第10節

10月14日、クロアチア・リーグ第10節が行われました。

Proslava_penara_eduarda 首位ディナモ・ザグレブは3位ヴァルテクスと対戦。ディナモはDFチョルルカ、MFアギッチが累積警告、MFチャゴ、MFマミッチ、DFチャレ、DFノヴォトニー、GKトゥリーナが怪我。夏休みが2日間しかなく、働きっぱなしで疲れが見られるMFモドリッチを先発起用せざるえず、ベンチには4人のユース選手を入れなくてはならない状況でありました。
そんなディナモでもヴァルテクスをあっさり退けました。9分にヴグリネツが中央左寄り20mの距離から直接FKを決めて先制。27分にはエトーのクロスボールがメルニャクの手に当たってPK。エドゥアルド(写真左)が確実に決めて2-0とリードします。
先発機会を得たFWアンデルソンが何度もチャンスを外したのは相変わらずでしたが、この日はヴグリネツの動きが切れており、72分には右サイドからオーバーヘッドでエドゥアルドが折り返すと、ヴグリネツもオーバーヘッドシュートを決めて3-0。
ヴァルテクスも最後の20分間は共にMFイェルテツを中心にした速いカウンターからチャンスを作りましたが、19歳のGKロンチャリッチが好セーブ。76分、イェルテツのCKからノヴィニッチのヘディングシュートを許してしまいましたが、ロスタイムにブリャトの浮き球からエトーが右サイドを抜け、最後はヴグリネツにお膳立て。ヴグリネツはハットトリックを達成し、4-1でディナモが勝利しました。

2位ハイドゥク・スプリトはアウェーでシベニクと対戦。今季一部に復帰したシベニクは4位と上々の成績を残しており、4年ぶりのダルマチア・ダービーにチケットは売り切れ。シベニクのシュビチェヴァッツ・スタジアムには満員の8000人が集まりました。
前半はシベニクがチャンスを何度も作り出します。4分にゴール前の混戦からルカビナが先制点を挙げると、8分と15分にはGKバリッチに防がれるもののガブリエルがシュートチャンスを迎えました。
ハイドゥクも24分、ダムヤノヴィッチの右クロスからバラティナッツが近距離にシュートに同点に追いつき、流れは次第にハイドゥクへと傾きます。中盤を支配したハイドゥクは後半を優勢に住め、65分、ムサがFKを決めて逆転。2-1で勝利し、1試合ディナモより試合数が多いものの、勝点25で首位に並んでいます。

全試合の結果はこちら。

Sibenik - Hajduk Split 1:2
1:0  4' Rukavina
1:1 24' Balatinac
1:2 66' Musa

Slaven Belupo - Osijek 1:0
1:0 39' Dodik

Pula - Rijeka 2:3
0:1  8' Tonito
1:1 17' Raic-Sudar (PK)
1:2 30' Bule
2:2 47' Budicin
2:3 66' Tonito

Medimurje - Zagreb 2:0
1:0 70' Piskor
2:0 85' Stefancic

Cibalia Vinkvci - Kamen Ingrad 1:3
0:1 59' Brajkovic
0:2 65' Brkic
0:3 72' Simek
1:3 74' Blaskovic

Dinamo Zagreb - Varteks Varazdin 4:1
1:0  9' Vugrinec
2:0 27' Eduardo (PK)
3:0 72' Vugrinec
3:1 76' Novinic
4:1 90' Vugrinec

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点25,-1試合)、2位…ハイドゥク・スプリト(25)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(16)、4位…シベニク(15)、5位…メヂムリエ(15)、6位…プーラ(14)、7位…オシエク(13)、8位…ザグレブ(13)、9位…スラヴェン・ベルーポ(12)、10位…リエカ(10,-1試合)、11位…カメン・イングラッド(7)、12位…チバリア・ヴィンコヴチ(6)

【得点】
9ゴール…エドゥアルド(ディナモ)
8ゴール…ノヴィニッチ(ヴァルテクス)
7ゴール…ゼキッチ(チバリア)
6ゴール…シャルビーニ(リエカ)、ヴグリネツ(ディナモ)、ルカビナ(シベニク)

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2006年10月14日 (土)

クロアチア、イングランドに初勝利

Proslava 10月11日、ザグレブのマクシミール・スタジアムで欧州選手権予選「クロアチアvs.イングランド」戦が行われました。予選を通してクロアチアにとっては最も注目されたカードでありましたが、チケットの価格設定が通常の3倍近く引き上げられたため満員とまでいかず(観客33,000人)。とはいえ、この日のザグレブは特別なマッチデーの雰囲気で盛り上がりました。イングランドからも4000人のサポーターが集結。200人以上が警察に連行されたものの、心配されていた両サポーターの衝突はありませんでした。

クロアチア代表は先のアンドラ戦のスタメンを多少変更。怪我から復帰したラパイッチを右MFに入れ、エドゥアルドをFWのポジションに戻してペトリッチとのツートップを形成。長身のクラウチに合わせてシムニッチをセンターバックに入れるという事前情報がありましたが、シムニッチはアンドラ戦同様に左サイドバックを務めました。スタメン(4-4-2)は以下のよう。
GKプレティコサ-(右から)DFチョルルカ、シミッチ、コヴァチ弟、シムニッチ-MFラパイッチ、コヴァチ兄、モドリッチ、クラニチャール-FWエドゥアルド、ペトリッチ

イングランド代表は7日のマケドニア戦でスコアレスドロー。国内からの批判が高まる中、マクラーレン監督はシステムをいじることなく、3-5-2を採用。ジェラードが累積警告で欠場し、代わりにパーカーがスタメンで起用されました。
GKロビンソン-DFファーディナンド、テリー、キャラガー-MFネビル、パーカー、ランパード、キャリック、コール-FWクラウチ、ルーニー

クロアチアの守備課題は高さのあるクラウチをなるべくゴールから遠ざけること、かつ敏捷性のあるルーニーをケアすることでした。ビリッチ監督は最終ラインを高く上げさせ、センターバックには身長は高くないものの一対一に優れたシミッチとコヴァチ弟を揃えます。ラインをコンパクトにしてからボールを奪い、ツートップのエドゥアルドとペトリッチはDFがボールを持っている時点でプレスを掛けていくことでイングランドのミスを誘引。また右利きのクラニチャールを左に、左利きのラパイッチの右に置くことで、ゴール前での仕掛けが多彩になりました。選手個々の知名度では下回るとはいえ、クロアチアは戦術面、技術面、モチベーション面など多くの点でイングランドを上回りました。

Rapajic 最初のチャンスはクロアチア。7分にチョルルカからパスを受けたエドゥアルドが右サイドからDFをかわして放ったシュートはロビンソンの正面。15分にイングランドはコールがクラウチ目掛けてクロスを入れるも届かず、また続くアクションでもルーニーが決められません。24分にはランパードが右サイドからシュートしたものの、ボールは枠を遠く外してしまいました。
30分前後にはクロアチアが立て続けにビッグチャンスを迎えます。27分、ラパイッチ(写真)が右クロスをゴール前に入れると、飛び込んできたクラニチャールがボレーシュート。しかしGKロビンソンの好反応により防がれてしまいます。直後のラパイッチのFKもゴール右上隅を捉えましたが、ロビンソンが難なくキャッチ。31分、ラパイッチがゴールラインに沿って右から崩し中央へと折り返すと、ペトリッチは空振り。背後からクラニチャールがシュートを狙いましたが、DFの足に弾かれてしまいました。その後もクラニチャールはルーズボールを拾って、ドリブルを加えてから強烈なミドルシュートを放ちましたが、ロビンソンがパンチング。3度のチャンスを逃したクラニチャールはシュートを止められる度に悔しさをむき出しにしました。
前半の終わり15分間はイングランドが中盤でボールが回してピッチをコントロールするようになったものの、チャンスを生むことはありませんでした。

Gol ハーフタイムにビリッチ監督はコールとネビルを押し込むため、両サイドの選手に高い位置取りをするよう指示。後半開始直後、クラニチャールの左CKからファーポストのペトリッチがドンピシャでヘディングシュートしましたが、またしてロビンソンがセーブ。54分にはキャリックからボールを受けたルーニーがDFを振り切ってシュートするものの、クロアチアには幸運なことにボールはバーを越えていきました。
押し気味に試合を進めたクロアチアに報いが来たのは60分、左サイドに流れたコヴァチ兄がクロスボールを上げると、ゴール前でファーディナンドとコールに挟まれていたエドゥアルド(写真左)がヘディングでボールを合わせます。ボールはゴール左へふんわりと軌道を描き、逆方向に体重移動していたGKロビンソンが反応しように届くことはなく、クロアチアに先制点が生まれます。これまでロビンソンは6試合連続無失点記録を作っており、この試合を無失点で押さえればゴードン・バンクスのイングランド代表記録に届くものの、エドゥアルドのゴールで断ち切られてしまいました。
Robinson更にロビンソン(写真)は68分に歴史的なミスをやらかしてしまいます。ネビルのバックパスのボールを前線にフィードしようとした瞬間、ボールはイレギュラーで跳ねてしまい空振り。そのままネットに収まって2-0。実況では「マクシミールの"モグラ"のお陰」とジョークが飛びました。ちなみにカメラマンだった私は約3mほどの近距離で歴史的シーンを目の当たりにすることができました。
マクラーレン監督は72分にリチャードソン、ライト・フィリップス、デフォーの3人を同時に入れる荒治療に。しかし、大勢は既に決まっていました。クラニチャールのスルーパスからペトリッチが折り返し、モドリッチが狙ったシュートはロビンソンが好セーブ。イングランドもデフォーとルーニーがそれぞれ終了間際にチャンスを迎えましたがモノにすることはなく、クロアチアは2-0と初めてイングランド相手に勝利を収めました。シュート数はクロアチア16(枠内9)に対してイングランドが4(枠内1)。またボール支配率も52%と上回りました。
グループEはクロアチア、イングランド、イスラエル、マケドニアが勝点7で並びましたが、1試合少ない上にロシアとイングランドと戦ったクロアチアが一歩リード。次戦は11月15日、同じく1試合少ないイスラエルとアウェーのテルアビブで戦います。

Bilic_2 かつてウェストハムで一緒にプレーしたファーディナンドから試合直後にユニフォームを貰う約束をしていたビリッチ監督(写真)でしたが、ファーディナンドがドーピングコントロールを受けて遅れたことから、試合を終えて1時間経ってからようやくユニフォームを手にしたビリッチが会見場に現れました。ジャーナリスト陣に謝罪した上で以下のように試合を語りました。
「これは世界の強豪の一つを相手にしての大勝利だ。ライカールトは"私たち監督はピッチに送った選手で全てが評価される"と語ったが、それには同調するよ。つまり、この結果は選手によるものだ。10日間の準備期間、彼らは本当に素晴らしかった。だからこのような賞を手に入れたのだ。勝点3だけを取ったのではない。偉大な相手を倒したのだ。
規律と勇敢さを持って私たちは戦った。ボールを戻したり、時間を無駄に費やすことなく、ダイレクトに動かした。最後の20分間、2-0という結果にかかわらず相手からのプレッシャーを許さなかったことを誇りに思う。もしどちらかが次の得点を奪ったとしたら、それはクロアチアが奪っていたはずたよ。
試合後、ファーディナンドとテリーと話をしたが、ここ何ヶ月間、いやここ一年間のイングランドにおいて前半終了前の15分間が最も良いプレーをしたという私の意見に同調していた。その時間帯でクロアチアは浮いた状況となり、ハーフタイムが来ることは歓迎だったよ。ラパイッチとクラニチャールの二人がコールとネビルを押し込むため、システムを4-4-2から2-4-4に変えなければならないと私たちは結論づけた。相手チームで最も良い働きをしていた選手は不幸なロビンソンだったけどね。
イングランドはボールをキープしていたが、正確ではなかった。ペトリッチとエドゥアルドはファンタスティックに働き、彼らがファーディナンド、テリー、キャラガーにプレスを掛けるとパニックに陥っていた。クラウチにロングボールを当てざるを得ない状況にさせたわけだが、それでこちらがやられることはないと確信していたんだ。イングランドは強い相手だが、私たちはもっと強かった。」

イングランドのマクラーレン監督は以下のようにコメントしています。
「戦術面でやられたわけではなく、むしろ相手の決定力にやられた。私たちは勝ちに来たのだが、2点を奪われ、それ以上のゴールを挙げられなかった。イニシアティブも相手に譲ってしまったしね。クロアチアのようにどこでも(サッカーで)熱い国ではこのように戦うことが適切だと考えていたとはいえ、この失敗の責任は私にある。クロアチアは若くて非常に良いチームだ。」
と語っています。

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2006年10月 8日 (日)

アンドラ戦は7-0の大勝

10月7日、ザグレブのマクシミール・スタジアムで欧州選手権予選「クロアチアvs.アンドラ」戦が行われました。チケットの値段設定が10~30クーナ(200円~600円)と、11日のイングランド戦と比較して1/10以下に設定されたこともあって、相手を考えればまずまずの約1万5000人の観客が集まりました。

Elevenクロアチア代表はオリッチ、スルナ、サブリッチが怪我のため欠場。またラパイッチも足の怪我が完治せずベンチスタート。ビリッチ監督は"2-4-4に変化する"4-4-2システムを採用。ロシア戦では途中交替で右MFのポジションを務めたペトリッチをFWへと上げ、逆にロシア戦ではFWで出場したエドゥアルドを右MFへと下げました。スタメンは以下のよう。
GKプレティコサ-(右から)DFチョルルカ、シミッチ、コヴァチ弟、シムニッチ-MFエドゥアルド、コヴァチ兄、モドリッチ、クラニチャール-FWペトリッチ、クラスニッチ

一方のアンドラはFIFAランク160位、1994年のFIFA加盟以来の公式戦の成績が1勝2分39敗という弱小国。唯一の勝利は前回のワールドカップ予選でのマケドニア戦ですが、その時に得点を決めたFWベルナウスは所属のスペイン二部エルチェの試合に出場するために遠征に参加しませんでした。スタメン(5-4-1)は以下のよう。
GKアルヴァレス-DFアヤラ、エスクーラ、フェルナンデス、ソネイェー、ルビオ-MFガルシア、ヴィエイラ、プショール、シヴェラ-FWサンチェス

Petric この日の夜は"ペトリッチ・ショー"。所属バーゼルでも今季13得点とゴールマシンに化しているFWペトリッチ(写真)が、ゴール前を固めたアンドラを粉砕しました。
14分、コヴァチ兄の右クロスに対して、アンドラの最終ラインを上手く抜けたペトリッチがフリーでヘディングで合わせてクロアチアが先制します。その直後にも同じ形でクラニチャールのクロスからペトリッチがヘディングシュート、また19分にはエドゥアルドのクロスからペトリッチがボレーシュートを放ったものの共にポストを逸れてしまいました。
なかなか追加点を奪えない中、39分、ゴール前に浮かんだボールをシムニッチが左からヘディングで押し込み、ボールがファーポストに向かったところをペトリッチがヘディングで叩きこみ、2-0のリードで試合を折り返しました。

Modric_3 後半もペトリッチのゴールが続きます。47分、クラニチャールからの縦パスをペナルティエリア手前で受けたペトリッチは、反転しながら2人の選手をかわし、効き足の左足を振り抜くとボールは右のネットに収まり、ハットトリックを達成します。
その3分後にはクラニチャールが左サイドのクラスニッチに展開、グラウンダーで折り返したところに、またしてペトリッチが飛び込んでシュートを決めて4点目。
58分にはクラニチャールからモドリッチ(写真)にスルーパスが通ると、モドリッチは中央のクラスニッチへアシスト。クラスニッチはシュートし損ねたものの、器用にボールをネットへと送り込んで5-0。
61分、ペトリッチに途中交替が告げられると、スタンディングオベーションが起きました。ペトリッチに代わってピッチに入ったバラバンに対しては、ロシア戦前の「フォンタナ事件」(スルナ、オリッチ、バラバンが深夜に合宿を抜け出し、セルビア音楽のクラブから朝帰り。追放された事件)もあってスタンドから大ブーイング。しかし、わずか40秒でバラバンはチョルルカの右クロスからダイビングヘッドで6点目を決めます。
7点目は見事なコンビネーションからのゴールでした。83分、モドリッチが前方のバラバンにパス。バラバンはワンタッチのヒールでクラニチャールに渡すと、クラニチャールはフェイントを加えた短いドリブルで2人をかわし、背後から越えてきたモドリッチにスルーパス。フリーとなったモドリッチがきちっと決めて7点目。
公式戦では1995年のユーロ予選でエストニアに7-1で勝利したことがありますが、今回のは7-0は過去最高の得点差の勝利となりました。

Bilic_1 試合後、ビリッチ監督(写真)は
「私がここに来るよりも、2~3人の選手もしくはプレーした全員が来た方がいいのだろう。なぜなら彼らはそれに値するからだ。この大勝についてはまず彼ら選手達に感謝したい。また勝利に達するまでの道筋や、積極性、攻撃における責任を果たしたことについてもね。このような試合では2点取るまでは少し苦しむだろうと予想していた。2点取った時点でプレッシャーから解放され、あとは出来るだけの得点を決め、イングランド戦の前のルーティンワークへと変化した。
どんな相手でも7点取ることは楽ではない。私たちが大勝できることを証明しただけでなく、素晴らしい個々の選手がいることを証明した。しかし、まず何より私たちには素晴らしいチームがある。ペトリッチについては、彼のことを知らない人達だけが驚いているだけだ。毎日、ジャーナリスト達は練習を見学していることだろうから、ジャーナリスト達にとっては驚きではないと思っている。彼は素晴らしい選手だし、様々なポジションで起用できるポリバレントな選手だ。バーゼルにおける彼のゴールゲッターとしての調子を見て、FWに置くことを決めた。イタリア戦では私たちも少し彼に驚いたが、それ以来、彼には多くを期待するようになった。私たちはペトリッチ、クラスニッチ、バラバンから多くのゴールを期待してるし、彼らはそれを果たしてくれた。」
とコメントしています。

グループEは波乱が起こり、イングランドがホームでマケドニアとスコアレスドロー、またロシアもイスラエルと1-1で分けています。次は11日にザグレブのマクシミール・スタジアムで「クロアチアvs.イングランド」戦が行われます。

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2006年10月 7日 (土)

UEFAカップ/クロアチア・ダービー

ここのところ忙しく、更新がとどまってしまい申し訳ないです。遡ってニュースを掲載します。

9月28日、UEFAカップ一回戦「オーゼールvs.ディナモ・ザグレブ」の第2戦が行われました。ホームでの第1戦を1-2で落としたディナモは以下の布陣(3-5-2)で挑みました。
GKトゥリーナ-DFチョルルカ、マミッチ、ツヴィタノヴィッチ-MFドルピッチ、ヴコイェヴィッチ、モドリッチ、ヴグリネツ、カルロス-FWエドゥアルド、エトー

Oxe 怪我人もあって毎試合、システムとスタメンを替えているディナモには連携がなく、個人能力も構成力も上回るオーゼールがペースを握ります。36分、シェイルから右サイドでボールを受けたポーランド代表MFイェレンがゴールライン際をドリブルすると、マミッチを交わして角度のないところからシュートを決め、オーゼールが先制します。
42分にもアカレがドリブルでペナルティエリアに入り、そのまま中央のイェレンにサイドパス。マークすべきツビタノヴィッチが滑ってしまい、またしてイェレンにゴールを決められます。
61分、エドゥアルドがペナルティエリアで倒してPKを得て、彼が決めたことで1-2と追い上げるも、70分にカーレンベルグの右クロスからフリーでマティスにヘディングシュートを決められてジ・エンド。トータルスコア2-5でのUEFAカップ敗退となりました
。国内では無敵のディナモであるものの、欧州カップの舞台ではあっさりとミスでゴールを奪われる脆さを見せてしまいました。これでクロアチアのクラブは全滅となりました。

9月30日と10月1日、クロアチア・リーグ第9節が行われました。
クロアチアの二強対決「ハイドゥク・スプリトvs.ディナモ・ザグレブ」が注目カード。勝点が並んでいる状況だけに、スプリトのポリュウド・スタジアムは34,000人の観客を集めました。

ディナモはGKトゥリーナが怪我のため、19歳のロンチャリッチを起用。デビュー戦がいきなりハイドゥク戦となりました。また主将のマミッチとブリャトも怪我。ノヴォトニーの復帰も間に合わず、脆弱なDFラインで挑むこととなりました。スタメン(4-2-3-1)は以下のよう。
GKロンチャリッチ-DFチョルルカ、ドルピッチ、ツヴィタノヴィッチ、カルロス-MFヴコイェヴィッチ、アギッチ-エトー、モドリッチ、ヴグリネツ-FWエドゥアルド
ハイドゥクは怪我で3週間離脱していたMFムサが復帰。ベストメンバー(4-1-3-2)で挑みました。
GKバリッチ-DFミラディン、ガル、ジヴコヴィッチ、フルゴヴィッチ-MFダムヤノヴィッチ-ツァレヴィッチ、バラティナッツ、ムサ-FWイェラヴィッチ、バルトゥロヴィッチ

Diha 試合は50ものファウルが飛び交う荒れた試合となりました。18分にはチョルルカとツァレヴィッチがタックルを巡ってお互いに突き合い、両チームが揉み合います。25分には早紀にダムヤノヴィッチから荒いタックルを受けたモドリッチが、今度はツァレヴィッチを倒したことで両チームがまたして揉め合う始末。コヴァチッチ主審も試合をコントロールできず、カードとPKで試合が台無しとなりました。
まずは31分、バルトロヴィッチのロングクロスを受けたFWイェラヴィッチにDFツビタノヴィッチが手をかけてしまってペナルティエリアで倒します。倒れ方は不自然でありましたが、主審はPKの判定。これをツァレヴィッチが決めてハイドゥクが先制します。
しかし39分、エドゥアルドがドリブルでエリア内に侵入すると、ハイドゥクの選手に挟まれて倒されます。これもシミュレーションに近い倒れ方だったのですが、PKがディナモに与えられ、エドゥアルドが決めて追いつきます。
後半の57分、この試合で最も荒いプレーを見せていたツァレヴィッチが二枚目のイエローで退場。ディナモが攻撃に転じると、70分にモドリッチのスルーパスをDFラインから抜け出したカルロスが中央へ折り返し、ヴグリネツが決めて逆転に成功します。
しかし84分、ドルピッチが途中交替のFWヴチュコを意味なく倒してしまってPK。途中交替のムニョスが決めて2-2。終了間際にディナモのアンデルソンがヘディングシュートをクロスバーに当てるシーンがありましたが、結局はドローで終了しました。
1試合少ないディナモはハイドゥクと勝点で並んで首位をキープしています。
(写真はSport-netより)

リエカがホームでシベニクに1-3と惨敗。不振の責任を取らされたドラガン・スコチッチ監督が更迭。後任にミルヴォイ・ブラチュン氏が就任しています。

全試合の結果はこちら。

Rijeka - Sibenik 1:3
1:0  8' Ah.Sharbini
1:1 34' Caval
1:2 45' Kartelo
1:3 72' Caval

Varteks Varazdin - Osjek 3:1
1:0 51' Novinic
2:0 55' Safaric
3:0 56' Golik
3:1 65' Mostalic

Zagreb - Pula 0:3
0:1 16' Kalinic
0:2 36' Ivankovic (og)
0:3 83' Radas (PK)

Kamen Ingrad - Medimurje 0:2
0:1  9' Zurak
0:2 33' Piskor

Cibalia Vinkovci - Slaven Belupo 2:0
1:0 42' Zekic
2:0 60' Zekic

Hajduk Split - Dinamo Zagreb 2:2
1:0 31' Carevic (PK)
1:1 39' Eduardo (PK)
1:2 70' Vgrinec
2:2 84' Munhoz (PK)

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点22,-1試合)、2位…ハイドゥク・スプリト(22)、3位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(16)、4位…シベニク(15)、5位…プーラ(14)、6位…オシエク(13)、7位…ザグレブ(13)、8位…メヂムリエ(12)、9位…スラヴェン・ベルーポ(9)、10位…リエカ(7,-1試合)、11位…チバリア・ヴィンコヴチ(6)、12位…カメン・イングラッド(4)

【得点】
8ゴール…エドゥアルド(ディナモ)
7ゴール…ゼキッチ(チバリア)、ノヴィニッチ(ヴァルテクス)
6ゴール…シャルビーニ(リエカ)
5ゴール…ルカビナ(シベニク)

【アシスト】
4アシスト…エドゥアルド(ディナモ)、ムムレク(スラヴェン・ベルーポ)、パパ(カメン・イングラッド)、ディニャール(オシエク)

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