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2006年10月14日 (土)

クロアチア、イングランドに初勝利

Proslava 10月11日、ザグレブのマクシミール・スタジアムで欧州選手権予選「クロアチアvs.イングランド」戦が行われました。予選を通してクロアチアにとっては最も注目されたカードでありましたが、チケットの価格設定が通常の3倍近く引き上げられたため満員とまでいかず(観客33,000人)。とはいえ、この日のザグレブは特別なマッチデーの雰囲気で盛り上がりました。イングランドからも4000人のサポーターが集結。200人以上が警察に連行されたものの、心配されていた両サポーターの衝突はありませんでした。

クロアチア代表は先のアンドラ戦のスタメンを多少変更。怪我から復帰したラパイッチを右MFに入れ、エドゥアルドをFWのポジションに戻してペトリッチとのツートップを形成。長身のクラウチに合わせてシムニッチをセンターバックに入れるという事前情報がありましたが、シムニッチはアンドラ戦同様に左サイドバックを務めました。スタメン(4-4-2)は以下のよう。
GKプレティコサ-(右から)DFチョルルカ、シミッチ、コヴァチ弟、シムニッチ-MFラパイッチ、コヴァチ兄、モドリッチ、クラニチャール-FWエドゥアルド、ペトリッチ

イングランド代表は7日のマケドニア戦でスコアレスドロー。国内からの批判が高まる中、マクラーレン監督はシステムをいじることなく、3-5-2を採用。ジェラードが累積警告で欠場し、代わりにパーカーがスタメンで起用されました。
GKロビンソン-DFファーディナンド、テリー、キャラガー-MFネビル、パーカー、ランパード、キャリック、コール-FWクラウチ、ルーニー

クロアチアの守備課題は高さのあるクラウチをなるべくゴールから遠ざけること、かつ敏捷性のあるルーニーをケアすることでした。ビリッチ監督は最終ラインを高く上げさせ、センターバックには身長は高くないものの一対一に優れたシミッチとコヴァチ弟を揃えます。ラインをコンパクトにしてからボールを奪い、ツートップのエドゥアルドとペトリッチはDFがボールを持っている時点でプレスを掛けていくことでイングランドのミスを誘引。また右利きのクラニチャールを左に、左利きのラパイッチの右に置くことで、ゴール前での仕掛けが多彩になりました。選手個々の知名度では下回るとはいえ、クロアチアは戦術面、技術面、モチベーション面など多くの点でイングランドを上回りました。

Rapajic 最初のチャンスはクロアチア。7分にチョルルカからパスを受けたエドゥアルドが右サイドからDFをかわして放ったシュートはロビンソンの正面。15分にイングランドはコールがクラウチ目掛けてクロスを入れるも届かず、また続くアクションでもルーニーが決められません。24分にはランパードが右サイドからシュートしたものの、ボールは枠を遠く外してしまいました。
30分前後にはクロアチアが立て続けにビッグチャンスを迎えます。27分、ラパイッチ(写真)が右クロスをゴール前に入れると、飛び込んできたクラニチャールがボレーシュート。しかしGKロビンソンの好反応により防がれてしまいます。直後のラパイッチのFKもゴール右上隅を捉えましたが、ロビンソンが難なくキャッチ。31分、ラパイッチがゴールラインに沿って右から崩し中央へと折り返すと、ペトリッチは空振り。背後からクラニチャールがシュートを狙いましたが、DFの足に弾かれてしまいました。その後もクラニチャールはルーズボールを拾って、ドリブルを加えてから強烈なミドルシュートを放ちましたが、ロビンソンがパンチング。3度のチャンスを逃したクラニチャールはシュートを止められる度に悔しさをむき出しにしました。
前半の終わり15分間はイングランドが中盤でボールが回してピッチをコントロールするようになったものの、チャンスを生むことはありませんでした。

Gol ハーフタイムにビリッチ監督はコールとネビルを押し込むため、両サイドの選手に高い位置取りをするよう指示。後半開始直後、クラニチャールの左CKからファーポストのペトリッチがドンピシャでヘディングシュートしましたが、またしてロビンソンがセーブ。54分にはキャリックからボールを受けたルーニーがDFを振り切ってシュートするものの、クロアチアには幸運なことにボールはバーを越えていきました。
押し気味に試合を進めたクロアチアに報いが来たのは60分、左サイドに流れたコヴァチ兄がクロスボールを上げると、ゴール前でファーディナンドとコールに挟まれていたエドゥアルド(写真左)がヘディングでボールを合わせます。ボールはゴール左へふんわりと軌道を描き、逆方向に体重移動していたGKロビンソンが反応しように届くことはなく、クロアチアに先制点が生まれます。これまでロビンソンは6試合連続無失点記録を作っており、この試合を無失点で押さえればゴードン・バンクスのイングランド代表記録に届くものの、エドゥアルドのゴールで断ち切られてしまいました。
Robinson更にロビンソン(写真)は68分に歴史的なミスをやらかしてしまいます。ネビルのバックパスのボールを前線にフィードしようとした瞬間、ボールはイレギュラーで跳ねてしまい空振り。そのままネットに収まって2-0。実況では「マクシミールの"モグラ"のお陰」とジョークが飛びました。ちなみにカメラマンだった私は約3mほどの近距離で歴史的シーンを目の当たりにすることができました。
マクラーレン監督は72分にリチャードソン、ライト・フィリップス、デフォーの3人を同時に入れる荒治療に。しかし、大勢は既に決まっていました。クラニチャールのスルーパスからペトリッチが折り返し、モドリッチが狙ったシュートはロビンソンが好セーブ。イングランドもデフォーとルーニーがそれぞれ終了間際にチャンスを迎えましたがモノにすることはなく、クロアチアは2-0と初めてイングランド相手に勝利を収めました。シュート数はクロアチア16(枠内9)に対してイングランドが4(枠内1)。またボール支配率も52%と上回りました。
グループEはクロアチア、イングランド、イスラエル、マケドニアが勝点7で並びましたが、1試合少ない上にロシアとイングランドと戦ったクロアチアが一歩リード。次戦は11月15日、同じく1試合少ないイスラエルとアウェーのテルアビブで戦います。

Bilic_2 かつてウェストハムで一緒にプレーしたファーディナンドから試合直後にユニフォームを貰う約束をしていたビリッチ監督(写真)でしたが、ファーディナンドがドーピングコントロールを受けて遅れたことから、試合を終えて1時間経ってからようやくユニフォームを手にしたビリッチが会見場に現れました。ジャーナリスト陣に謝罪した上で以下のように試合を語りました。
「これは世界の強豪の一つを相手にしての大勝利だ。ライカールトは"私たち監督はピッチに送った選手で全てが評価される"と語ったが、それには同調するよ。つまり、この結果は選手によるものだ。10日間の準備期間、彼らは本当に素晴らしかった。だからこのような賞を手に入れたのだ。勝点3だけを取ったのではない。偉大な相手を倒したのだ。
規律と勇敢さを持って私たちは戦った。ボールを戻したり、時間を無駄に費やすことなく、ダイレクトに動かした。最後の20分間、2-0という結果にかかわらず相手からのプレッシャーを許さなかったことを誇りに思う。もしどちらかが次の得点を奪ったとしたら、それはクロアチアが奪っていたはずたよ。
試合後、ファーディナンドとテリーと話をしたが、ここ何ヶ月間、いやここ一年間のイングランドにおいて前半終了前の15分間が最も良いプレーをしたという私の意見に同調していた。その時間帯でクロアチアは浮いた状況となり、ハーフタイムが来ることは歓迎だったよ。ラパイッチとクラニチャールの二人がコールとネビルを押し込むため、システムを4-4-2から2-4-4に変えなければならないと私たちは結論づけた。相手チームで最も良い働きをしていた選手は不幸なロビンソンだったけどね。
イングランドはボールをキープしていたが、正確ではなかった。ペトリッチとエドゥアルドはファンタスティックに働き、彼らがファーディナンド、テリー、キャラガーにプレスを掛けるとパニックに陥っていた。クラウチにロングボールを当てざるを得ない状況にさせたわけだが、それでこちらがやられることはないと確信していたんだ。イングランドは強い相手だが、私たちはもっと強かった。」

イングランドのマクラーレン監督は以下のようにコメントしています。
「戦術面でやられたわけではなく、むしろ相手の決定力にやられた。私たちは勝ちに来たのだが、2点を奪われ、それ以上のゴールを挙げられなかった。イニシアティブも相手に譲ってしまったしね。クロアチアのようにどこでも(サッカーで)熱い国ではこのように戦うことが適切だと考えていたとはいえ、この失敗の責任は私にある。クロアチアは若くて非常に良いチームだ。」
と語っています。

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コメント

いつも貴重な情報をありがとうございます。

私はこの試合をテレビで観ましたが、本当に嬉しい試合でした。
このまま頑張ってもらいたいです。

投稿: ふぃ~ばぁ~。 | 2006年10月15日 (日) 12時05分

 こちらからは初めまして♪
 イングランドに初勝利、も、最高に嬉しいです!!
 と、こちらに記録&コメントとして残したくて
書いちゃいました。長束さんも、お疲れさまでした。
・・・という訳で、またすぐに~!!!

投稿: yuki | 2006年10月20日 (金) 02時35分

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