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2006年11月16日 (木)

クロアチア、敵地イスラエルで4-3の勝利

11月15日、テルアビブのラーマト・ガン・スタジアムで欧州選手権予選「イスラエルvs.クロアチア」戦が行われました。
クロアチア代表のスラヴェン・ビリッチ監督はかねてよりアウェーのイスラエル戦が"予選で最難関となる試合"と発言しているように、イスラエルは公式戦13試合負けなし、ホームでは7年間負けなしという記録を続けています。クロアチアも予選16試合負けなし。また昨年2月にテルアビブでイスラエルと親善試合が行われた時は3-3のゴールの打ち合い。それだけに好試合が期待できました。

クロアチア代表はMFラパイッチが左太股を負傷。右MFのポジションにはスルナが入りました。またGKプレティコサも胃腸を細菌にやられた上に熱が下がらず、ザグレブに残ることに。控えGKとしてオシエクのスケンデルを召集し、この試合でゴールを守るのはこの試合が代表デビューとなるルニェ。布陣(4-4-2)は以下のようになりました。
GKルニェ-(右から)DFチョルルカ、シミッチ、コヴァチ弟、シムニッチ-スルナ、コヴァチ兄、モドリッチ、クラニチャール-ペトリッチ、エドゥアルド
また病気のFWクラスニッチに代わって初召集されたFWブダンですが、月曜日昼にはザグレブに到着して午後の練習に加わるはずが、ミラノ空港が霧のために予定の飛行機が飛ばずに夕刻過ぎにブダペストを経由してザグレブに到着。首脳陣も練習で彼をチェックする機会がなく、試合ではベンチに座ることもできませんでした。

一方のイスラエル代表は、司令塔であるベナヨン(ウェストハム所属)が膝の半月板を痛めているもののキャプテンマークをつけて先発出場。またベナヨンと共にウェストハムに在籍したことのあるFWカタン(マッカビ・ハイファ所属)は、以前に怪我を理由に代表参加よりクラブ残留を優先したことからカシュタン監督に追放されております。布陣(4-4-1-1)は以下のようです。
GKアワト-DFケイシ、ベンハイム、ベンヨセフ、アフェク-MFタル、バディール、ザンドベルグ、アルベルマン-ベナヨン-FWコッラウティ

Dasilva_5 ピッチでは五分五分の大勢になるかと思いきや、個々の能力で上回るクロアチアがチームとしての完成度を見せます。もっぱらクロアチアがボールを持って相手陣内に攻め込み、イスラエルはFWコッラウティを前線に残すだけでゴール前を10人で守ります。そんな状況下、5分にモドリッチがドリブルで中央突破を図り、次々に相手をかわして最後はGKと一対一になりましたが、アウトサイドキックでのシュートは枠を逸れてしまいます。
しかしながら先制点は思わぬ形でイスラエルに生まれます。中央でボールを持ったベナヨンがエリア内へと突入するコッラウティにパスを通し、チョルルカとシムニッチが同時にコッラウティをブロックしに行くものの、何を思ったのかシムニッチがゴール方向にボールをちょこんと蹴り込んでしまいます。ボールは飛び出したGKルニェの脇を通り、最後はコッラウティが押し込んで1-0となりました。
失点を取り戻そうと相手を押し込むものの、ゴール前を固めたイスラエルをなかなか破れません。23分にスルナが右サイドを突破、斜めにグラウンダーでクロスを通し、エドゥアルド(写真)が中央フリーのクラニチャールに折り返したものの、ボールはクラニチャールの背後に行ってしまいました。31分にはコヴァチ兄がペトリッチのワンツーがミドルシュートを狙うものの、GKアワトが好セーブを見せます。
けれども34分、最終ラインでボールを持ったDFベンヨセフにペトリッチがプレッシャーを掛けると、ベンヨセフはGKアワトに中途半端なバックパス。これをペトリッチがカットし、GKアワトを避けようとしたところでアワトがペトリッチの足を引っ掛けてしまってPK。PKを任されるのはワールドカップの日本戦で川口に止められてしまったスルナ。緊張感が走りましたが、スルナは思い切り中央に蹴り込んで同点に追いつきます。
続く39分、今度は左サイドでボールを持ったクラニチャールがマーカーを引きつけながら得意のスルーパスを縦に通すと、抜け出したエドゥアルドが左からエリア内をドリブルで突進し、最後は冷静にシュートを右下隅に流し込んで逆転に成功します。

後半頭からクロアチアは右MFだったスルナを左サイドを置き、エドゥアルドを右サイドへ。クラニチャールがトップ下に入る4-2-3-1の形を取ります。ビリッチ監督はサイドのMFに関して右利きを左に、左利きを右に置いて内へと攻撃させる傾向があるのですが、前半は右利きのスルナが右のサイドラインに張り付いたことにより、チョルルカがイングランド戦のようにオーバーラップできなかったのが要因だといえましょう。一方、イスラエルはアフリカ系のMFタムズを投入。身体能力に優れたタムズがクロアチアの右サイドを突破するケースが出てきました。
イスラエルも前半とは違って前掛かりになってきたものの、55分、クラニチャールが中央から左サイドのスルナにボールを送ると右足でクロス。エドゥアルドのヘディングシュートはGKアワトが一度は止めるものの、エドゥアルドは倒れながら足元に落ちたボールを蹴り込んで3-1とリードを広げます。
しかしゲームはまだまだ動きます。68分、イスラエルはエリア右でサイドチェンジのボールを受けたケイシが中央に折り返すと、ベナヨンがダイビングボレーを決めて3-2。
クロアチアは72分、途中交替で入ったバビッチが左クロスを入れるとエドゥアルドは絶妙なトラップでマーカーを外し、そのままボールを叩き込んでハットトリック。4-2と再びリードを広げます。
気が緩んだクロアチアに対し、イスラエルは鋭いカウンターを仕掛けていきます。イスラエル人女性と結婚したことでこの夏にアルゼンチンから帰化したコッラウティ(マッカビ・ハイファ)は得点能力の高いアグレッシブなFWであり、クロアチアDF陣は彼をとりわけ要注意していたものの、89分、ベンシュシャンからの縦パスに反応したコッラウティが斜め方向にシュートを決め、1点差まで縮められます。
イスラエルの勢いでロスタイム3分間はひやひやでありましたが、時間稼ぎで何とか逃げ切って4-3でクロアチアが貴重な勝利を収めています。

ビリッチ監督は試合放送後のテレビインタビューで
「素晴らしい試合だった。とりわけ観客にとっては最高のレベル、最高のリズムのサッカーを見られたことだろう。私たちは勝利に値したと思うし、選手全員そしてサポーターにおめでとうといいたい。ただ、強調したいのはイスラエルが7年間ホームで負けなかったのは偶然ではないということだ。
これは大きな勝利だが、ここで他のチームが勝つことは難しいだろう。私たちはゲームを支配し、彼らの長所を上手く消すことができた。しかし、多くの不運もあった。3点を奪われたということは、普通ならばディフェンスを褒めることはできない。しかし私はディフェンスのプレーに不満だと言うことはできないよ。3つのミスから3点奪われたとはいえね。
別の見方をすれば、選手のクラスの違いが明らかだから支配したともいえる。これは本当に大きな勝利だ。良い状況に私たちは置かれている。これまでの成果を自慢することができるよ。」
とコメントしています。

Staff_1 この勝利でクロアチアは勝点10となり単独首位。2位にはマケドニアをアウェーで0-2で下したロシアが勝点8、続いて勝点7でイングランド、イスラエル、マケドニアが並んでおります。
サスペンションや合宿脱走事件、怪我人・病人などで常にベストメンバーが組めないビリッチ監督ですが、新旧の選手を組み合わせた上にキャラクターと新たな戦術を持ち込んだ素晴らしいチームを形成しております。追放劇で見られたような強い意思と名選手としてのカリスマを持っており、また前職がU-21代表監督であることからクロアチア・リーグの若い選手をきちんと評価しております。彼をサポートする"ヴァトレニ"世代のチームスタッフと一緒に毎節クロアチア・リーグの様々なカードを視察しているところも評価できます。
(写真は左からプロシネツキ、ムルミッチ、ユルチェヴィッチ、アサノヴィッチ、ビリッチ)
またクリーンなサッカーをしている証拠としてファウルも少なく、これまでの4試合でイエローカードは1枚のみ。また新生ツートップのペトリッチ、エドゥアルドはそれぞれ4ゴールを決めております。
ちなみにイスラエル戦でハットトリックを達成したエドゥアルドに関してビリッチ監督は
「エドゥアルドがビッグマッチ向きの選手ではないという話をいちいち否定することに私は疲れているよ。」
と語っています。

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コメント

イスラエルにアウェーで勝つとは、お見事と言うべきですね!
まさかこんな打ち合いのスコアになるとは思いませんでしたが、そういう試合でも勝てることを証明したのは意味のあることだと思う。
エドアルド・ダ・シルバはハットトリックですか。。。
イングランド戦のゴールといい、彼が結果を出せるようになったのは、チームにとっては大きなプラスですね。
ここ近年、予選だけは調子のいいクロアチアですが、重要なのは本戦に出て良い結果を残すこと。
そのためにも、今の時点から慢心することなく、淡々と予選を戦ってほしいですね。

投稿: ファンタジスタ待望論者 | 2006年11月16日 (木) 12時56分

こんにちは。いつも情報ありがとうございます!新生クロアチアの船出は順調ですが、しかし、このまますんなりとうまくいくとは思えません。すごく厳しい戦いがまだまだ待っていますので何とか予選を突破してほしいです。
ところでディドゥリツァが召集されないのは何故でしょうか?また何かトラブルがあったと思うのですが…。ビシュチャン、クリジャナツと同じような事だけは避けてほしいのですが…。

投稿: ボクシッチ | 2006年11月18日 (土) 15時05分

ディドゥリッツァは今年8月のイタリア戦の召集の際に、AZアルクマールのファンハール監督が"控えGKとして行くならば時間の無駄"として拒否したことと、彼自身も移籍したばかりということで代表を見送りました。
また先日のアヤックス戦でオーストラリア代表のチュリーナの近距離のシュートが顔に直撃してしまって脳震盪を起こしたため、今は安静中です。クリスマスまでに戻れればという話です。ちなみにチュリーナはディドゥリツァと大親友らしく、インタビューを読むとチュリーナ自身もかなり反省しているようです。

投稿: 長束恭行 | 2006年11月18日 (土) 22時53分

すいません。ありがとうございました。少し安心しました。笑

投稿: ボクシッチ | 2006年11月18日 (土) 23時54分

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