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2006年12月31日 (日)

御挨拶

今日で2006年が終わります。
今年はワールドカップイヤー、それも日本とグループリーグで対戦ということで、クロアチア・サッカーが注目されたことを嬉しく思います。個人的には随分とメディア取材の仕事をさせてもらったので、激動ながらも本当に印象深い一年でした。

元来、クロアチア・サッカーというのは超マイナーな世界でありますので(笑)、これからもスタジアムに足を運んで取材を続けながらひっそりと情報を提供していければと思います。
このサイトを御愛好して頂いた皆様、今年一年有難うございました。来年も宜しくお願い致します。

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2006年12月27日 (水)

ハイドゥク、トゥドールと移籍交渉

冬の補強レースではディナモに遅れているハイドゥク・スプリトがここにきて積極的な活動をしております。
Tudor_1 ユベントス所属のDF/MFイゴール・トゥドール(28)が、クリスマスイブにハイドゥクのグルギッチ会長とスプリトにて話合いをしました。トゥドールは祖国に戻り、古巣ハイドゥクでプレーしてもいいと以前より答えております。ただトゥドールはシーズン前に足の間接がバクテリアに冒され、まだ完全に回復しておりません。
またスタンダール・リエージュ所属のミラン・ラパイッチ(33)ともグルギッチ会長は交渉していることを明らかにしています。

そのスタンダール・リエージュに所属する前U-21代表の右MFムラデン・ペライッチ(23)が、ハイドゥク・スプリトと3年半契約を結んでいます。ペライッチはユースから育ったNKザグレブでレギュラーとしてプレーしたのち、昨年にスタンダールに移籍しておりましたが、出場機会に恵まれませんでした。移籍金は20万ユーロとされています。
その一方で、ハイドゥクのキャプテンであり、右MFのダルコ・ミラディン(27)がギリシャ・リーグのOFIクレタに移籍することが決まっています。

リヨンから1000万ユーロという破格のオファーが届いたと言われているシベニクFWアンテ・ルカビナ(20)ですが、既にシベニクとハイドゥクの間で移籍に合意しているため、3チーム間で幾らか揉めているようです。ルカビナは急いで国外移籍するよりも国内でプレーすることを希望しており、この冬にはハイドゥクへ移籍、それからリヨンへという道筋が強いようです。
ルカビナは26日、ヴェチェルニ・リスト紙が選定する最優秀新人選手「アンジェルコ・ヘリャノヴィッチ賞」を受賞。またサッカーの最優秀選手にはエドゥアルド・ダ・シルヴァが選ばれています。

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2006年12月22日 (金)

12月のニュース

しばらくニュースが途絶えてしまい、申し訳ありません。遡って紹介します。

12月9日、延期されていたクロアチア・リーグ第15節メヂムリエvs.ディナモ・ザグレブ戦が行われました。
前半11分、初めてスタメン起用されたマケドニアU-21代表FWパンデフがエドゥアルドの左クロスに飛び込んで公式戦初ゴールを決めてディナモが先制すると、40分にはワンツーで縦に飛び出したヴグリネツがお膳立てしたボールをエドゥアルドがゴール。ディナモがあっさりと2点のリードを得ます。
主力4人を欠いたメヂムリエでしたが、後半になってディナモを苦しめました。44分、ダルモピルの右クロスにシュテファンチッチがヘディングで決めて1点差。更に69分、シュテファンチッチの右CKからブラトコヴィッチがヘディングで決めて同点に追いつきます。
勝越し点が欲しいディナモは長身DFのチョルルカを前線に置くスクランブル体勢。これが功を奏したのはロスタイム、エドゥアルドの前線へのロングボールをチョルルカがトラップすると、そのまま叩き込む決勝弾。ディナモが3-2で辛勝しました。これでディナモはハイドゥクとの勝点差を3へと伸ばし、単独首位でウィンターブレークを迎えることができました。

最終順位はこちら。

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点47)、2位…ハイドゥク・スプリト(44)、3位…ザグレブ(31)、4位…シベニク(30)、5位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(27)、6位…メヂムリエ(25試合)、7位…リエカ(23)、8位…スラヴェン・ベルーポ(23)、9位…オシエク(22)、10位…プーラ(18)、11位…チバリア・ヴィンコヴチ(11)、12位…カメン・イングラッド(7)

また12月12日から17日にかけて、クロアチア一部リーグ12チームが参加する室内選手権が行われました。
Zagreb_1 今年で2回目なのですが、サッカー協会は各クラブがベストメンバーでプレーするよう義務づけました。ルールは1チーム6人、12分ハーフで行われます。
2グループに分けた1次グループで勝ちあがったのはシベニク、ディナモ、ハイドゥク、スラヴェン・ベルーポ、チバリア、ザグレブの6チーム。
そこから更に6チームによる2次グループで、まだ対戦してない相手と戦い、上位4チーム(ザグレブ、ディナモ、チバリア、シベニク)が勝ちあがります。
準決勝はザグレブvs.シベニク、ディナモvs.チバリアのカード。ザグレブは5-1、ディナモは5-2で圧勝したことで、決勝はザグレブ・ダービーとなりました。昨年の覇者であるザグレブは13分にマンジュキッチのゴールで先制するものの、3分後にマミッチがミドルシュートを決めて同点。勝敗はPKにゆだねられます。ディナモはブリャトとチャレがGKスケンデルに止められ、1本外したのみのザグレブが4-3で勝利。大会二連覇を果たしました。
優勝賞金20万クーナ(約420万円)はユースチーム育成のために使われるよう義務づけられています。
(写真はSport-net)

12月16日、クロアチア・サッカー協会で総会が行われ、ヴラトコ・マルコヴィッチ(69)が3期目の会長職に選出されました。立候補者は彼のみで、総会に参加した49人全員が彼に投票。1998年に会長に就任したマルコヴィッチは更に4年間、その職務につくことになります。

ヴァルテクス・ヴァラジディン所属のU-21代表コンビ、MFダリオ・イェルテツ(21)とDFニコラ・ポクリヴァチュ(21)の2人が来年からディナモに加入することがほぼ確実となりました。
Jertec_1イェルテツ(写真)はこのオフにフランス・リーグのルマンを訪れて交渉につき、移籍金+3年契約で総額200万ユーロのオファーを得たものの、本人はクロアチアに残ることを決心。またディナモとは今年8月、契約直前まで行きながらも本人がサインをためらったことで話 が流れてました。ハイドゥクが彼を熱心に誘っていたものの、故郷のヴァラジディンから遠く南に行く気にはならず、結局はディナモに加入することになりそうです。イェルテツはスピードとテクニックを併せ持ったMFで、将来性を高く評価されています。
またポクリヴァチュもハイドゥクが積極的に獲得を狙っていましたが、意思がまだはっきりしないところをディナモがさらっていく形になりました。ポクリヴァチュはDFだけでなくボランチもできるユーティリティな選手です。
現在のディナモ監督のイヴァンコヴィッチ氏はヴァラジディン出身で、クロアチア独立後にチームとしてのヴァルテクスの土台を作った人物でもあることも、2人がディナモ移籍に承諾した理由といえます。
またディナモはバイヤー・レバークーゼン所属のFWヨシップ・タディッチ(19)の獲得も明らかにしています。17歳の時にオシエクから移籍したタディッチは出場機会の少なさに不満を持っていました。移籍金は28万ユーロ、年俸は7万ユーロほどで合意したと報じられています。

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2006年12月 3日 (日)

クロアチア・リーグ第18節/「秋の王者」はディナモ・ザグレブ

12月2日、クロアチア・リーグ第18節が行われました。
欧州選手権予選の兼合いで12月9日に延期となっているメヂュムリエvs.ディナモ・ザグレブ戦を残せば、ウィンターブレーク前の最後の節となります。

首位ディナモ・ザグレブは3位ザグレブとホームでのナイトマッチ。12月に入り、急に冷え込んだこともあって「ザグレブ・ダービー」の観客は3000人余りでありました。
ディナモはイヴァンコヴィッチ監督体勢になって6連勝中であるものの、内容的には乏しい戦いをしております。一方、ブラジェヴィッチ率いるザグレブは司令塔イブリチッチが怪我で長期離脱とはいえ、ユース育ちの若手とベテランの噛み合ったテンポのある好チームであります。
ちなみにブラジェヴィッチがクロアチア代表、イラン代表監督を務めた際にイヴァンコヴィッチがアシスタントコーチを務めており、二人は師弟関係にあります。
前半はザグレブが運動量で上回り、ディナモの選手からボールを奪うと速攻でフィニッシュの形を作ります。最初の決定機は9分、ロヴレクが放ったシュートは右ポストを逸れます。
ディナモも17分にチョルルカの右サイド突破から折り返すも、ヴグリネツのシュートはポストの左へ流れます。
23分、ノヴォトニーをあっさり抜き去ったザグレブFWマンジュキッチでしたが、シュートはGKロンチャリッチがセーブ。30分にはムイジャの右FKからラブドヴィッチがボレーシュートを放つものの、クロスバーに直撃しました。
Pandev ハーフタイム終了後、とうとう動きの鈍かったノヴォトニーをベンチへ。3年契約・年俸7000ユーロというディナモにとって破格の契約を結んだドイツ代表DFでしたが、現時点で判断すれば彼の獲得は失敗でありました。ノヴォトニーに代えてブラジル人のカルロスを初めてセンターバックに起用。また右MFチャレもベンチに送り、マケドニアU-21代表FWサシュコ・パンデフ(写真、ラツィオのマルコ・パンデフの弟)を投入。この采配がずばりと当たります。
60分、パンデフが左サイドでモドリッチにボールを預けると、モドリッチはドリブルで運んだのち背後から追い越したパンデフにスルーパス。パンデフは左足で強烈なシュートを放ち、GKストイキッチがパンチングしたところにエドゥアルドがヘディングで押し込んでディナモが先制します。
72分にもパンデフが左からシュートを放ちますが、今度はストイキッチがセービング。ザグレブは更に二人FWをピッチに送り込んだものの、85分、パンデフの左クロスをザグレブDFがクリアし損ねたボールをモドリッチが拾い、丁寧に右下隅にシュートを決めて2-0。
ロスタイムにザグレブもマンジュキッチがディナモDF2人をフェイントでかわした上でシュートを決め、最終結果は2-1。一試合を残しながらディナモは14勝2分1敗(得失点差31)で「秋の王者」(ウィンターブレーク前の首位)をほぼ確定させました。

ディナモと首位争いをするハイドゥク・スプリトはアウェーでヴァルテクス・ヴァラジディンと対戦。ユース育ちの若手中心のヴァルテクスに対し、ベテランがずらりと揃うハイドゥクが巧みな試合運びをします。
31分、ムサが空中に浮いたボールを前方のスペースへとはたくと、バルトゥロヴィッチがドリブルで運び、最後は右サイドに飛び込んできたツァレヴィッチにラストパス。これを押し込んでハイドゥクが先制に成功します。
後半からは自陣に引いたハイドゥク相手にヴァルテクスがゲームを支配するものの、58分のFWマホロヴィッチのシュートは枠をそれ、87分のシャファリッチのロングクロスをFWノヴィニッチが合わせられず、また89分のシャファリッチのFKはGKバリッチが止めて、1-0でハイドゥクが勝利。
ハイドゥクは18節を終えて14勝2敗2分(得失点差22)。2位に甘んじているとはいえ、ウィンターブレーク前では過去最高の戦績であります。

今季、2部から昇格したシベニクは最下位カメン・イングラッドを4-1と一蹴。GK出身のプダール監督(1982年W杯のユーゴ代表で第3GK)のもと攻撃的サッカーをリーグを席巻、18節全試合でゴールを決める戦いぶりで4位まで上り詰めています。注目株のFWルカビナを視察するべく、現在はリヨンのスカウトを務めているソニー・アンデルソンが試合に訪れています。またマルセイユとアーセナルのスカウトもルカビナの視察に来ています。

全試合の結果はこちらです。

Slaven Belupo - Medimurje 1:0
1:0 29' Poljak

Pula - Cibalia Vinkovci 0:0

Varteks - Hajduk 0:1
0:1 31' Carevic

Sibenik - Kamen Ingrad 4:1
1:0  8' Kartelo
1:1 38' Sivonjic
2:1 40' Kartelo (PK)
3:1 45' Rukavina
4:1 73' Kartelo

Osijek - Rijeka 1:0
1:0 70' Pavlicic (PK)

Dinamo Zagreb - Zagreb 2:1
1:0 60' Eduardo
2:0 85' Modric
3:0 90' Mandzukic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点44,-1試合)、2位…ハイドゥク・スプリト(44)、3位…ザグレブ(31)、4位…シベニク(30)、5位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(27)、6位…メヂムリエ(25,-1試合)、7位…リエカ(23)、8位…スラヴェン・ベルーポ(23)、9位…オシエク(22)、10位…プーラ(18)、11位…チバリア・ヴィンコヴチ(11)、12位…カメン・イングラッド(7)

【得点】
17ゴール…エドゥアルド(ディナモ)
12ゴール…シャルビーニ(リエカ)
10ゴール…ノヴィニッチ(ヴァルテクス)、ゼキッチ(チバリア)
9ゴール…ヴグリネツ(ディナモ)、ロヴレク(ザグレブ)、カルテロ(シベニク)
8ゴール…ルカビナ(シベニク)

ちなみにシーズン前半の平均観客数は3189人。これは昨年比1%増に留まっています。ディナモとハイドゥクが絡まない試合ですと、平均観客は1749人まで落ちます。
またゴール数は一試合辺り2.8点。これは昨年比5%増。また引分けは昨年から27%減っており、レッドカードも昨年から24%減っています。

私個人としてはディナモとザグレブを中心に今季のリーグ戦を13試合撮影もしくは観戦しました。相変わらず閑古鳥が鳴いているスタジアムではありますが、ディナモとハイドゥクの優勝争いも興味深いですし、その他のチームでも新たなタレント(とりわけFW)が出ているので面白いシーズンであります。ウィンターブレーク後のリーグ再開は来年2月17日に予定されています。

私は12月7日から来年2月16日まで日本に帰国します。しばらくはクロアチア発ではなく、日本からネットを見ながらのニュース配信になります。

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