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2007年3月25日 (日)

クロアチア、マケドニアに逆転勝利

Eduardo_zagrlja_srnu_koji_je_zabio 3月24日、欧州選手権予選「クロアチアvs.マケドニア」戦がザグレブのマクシミール・スタジアムで行われました。観客はマケドニア・サポーター約1000人を含む約3万人。試合の時間帯にはやんだものの、前夜から降る雨でピッチは重い状態でありました。

ユーゴスラビア時代は同じ国家だったクロアチアとマケドニアと過去4度に渡って対戦。クロアチアの2勝2分であるものの、そのうち1つの引き分けはユーロ2000予選におけるスコピエの1-1(1999年6月5日)。この試合で勝てなかった誤算がのちのち響き、最終節で新ユーゴスラビア(セルビア・モンテネグロ)に引き分けて本大会出場を逃しました。クロアチア人は過小評価をするとよく失敗する国民性だけに、試合前からスラヴェン・ビリッチ監督はマケドニアへの警戒を常に口をしていました。

ペトリッチ、コヴァチ弟が足首の怪我のために欠場。木曜日の練習で同じく足首を怪我したシミッチは間に合いました。クロアチアのスタメン(4-4-2)は以下のよう。
GKプレティコサ-(右から)DFチョルルカ、シミッチ、シムニッチ、バビッチ-MFラパイッチ、コヴァチ兄、モドリッチ、クラニチャール-FWバラバン、エドゥアルド

マケドニアを率いるのは両親がクロアチア出身でスロベニア国籍のスレチコ・カタネッツ。2004年にクロアチア代表監督の候補に挙がるものの、嫌スロベニアのネガティブ・キャンペーンを張られ、自ら辞退した経緯があります。
Kovac_i_pondev 現マケドニア最大のタレントであるFWゴラン・パンデフ(ラツィオ・写真右)のほか、主将は元ディナモで元ベガルタ仙台のDFゴツェ・セドロスキ(メテルスブルク)、トッテナムやエバートンが関心を示すDFノヴェスキ(マインツ)、ケルンでプレーするセントラルハーフのアレクサンドル・ミトレスキ、クロアチアのスラヴェン・ベルーポでゴールを守るGKヤネ・ニコロスキらがプレー。イングランドのホームで充分に苦しめるなど(結果は0-0)、侮れないチームに仕上がりました。スタメン(3-4-1-2)は以下のようです。
GKニコロスキ-DFヴァソスキ、セドロスキ、ノヴェスキ-MFポポフ、シュムリコスキ、A.ミトレスキ、ラザレフスキ-FWパンデフ-マズノフ、ナウモスキ

コンパクトなラインからコンビネーションを重視したサッカーが信条のクロアチアですが、マケドニアはDFの3人とMFの4人が中心となってスペースを潰し、そこからパンデフに預けてのカウンター攻撃が有効。コンセプトは違えど、足元のプレーが共に優れたチームであり、前半はほぼ互角の戦いを見せます。
お互いチャンスが作れぬまま時間が過ぎていきますが、最初の決定機はマケドニアに訪れます。20分、パンデフの右CKからファーでヴァソスキが繋ぎ、ゴール前のナウモスキがシュートチャンスを迎えますが、かろうじてクリア。
Modric_na_prvom_poluvremenuクロアチアは25分、この日何度も右サイドをドリブルで突破したチョルルカがマイナス方向に折り返し、モドリッチ(写真)がグラウンダーのシュートを放ちますが、ゴール前に立つDFの足元に当たってしまいます。その1分後にはバビッチが突破しての右クロスに、ファーに走りこんだラパイッチが飛びつきますが、ヘディングはさほど得意ではなく、上手くヒットできませんでした。
クロアチアがゲームをコントロールできない中、先制点はマケドニアに生まれます。正面20mの位置でシミッチがパンデフを倒してファウル。セドロスキがグラウンダーで強く蹴り込んだFKは人の壁をすり抜け、GKプレティコサの方向へ。普通ならばキャッチせねばならないボールをプレティコサはつかみ損ねてしまい、手元を弾いたボールはゴールに吸い込まれます。
44分、クラニチャールの強烈なミドルシュートが枠を捕らえたものの、GKニコロスキが好反応でクリア。マケドニアのリードで前半を終えました。

Srna_3 後半からビリッチ監督は、右MFの位置で頑張るものの結果が残せなかったラパイッチに代えて、突破力とクロスボールがあるスルナ(写真)を投入。この采配がズバリと当たります。ズルズルと後退するマケドニアに対して、アグレッシブとなったクロアチアは一方的に攻め込みました。
あっさりとペナルティエリアに侵入するクロアチアは、51分にクラニチャール、56分にはエドゥアルドがエリア内で倒されるものの、オーストリアの主審プラウツは笛を吹かず。しかし、58分にはオーバーラップしたシムニッチがエリア左外で倒されてFKを得ます。
キッカーはスルナ。角度がさほどない位置からゴール右上を狙いすましたボールに、GKニコロスキだけでなく、味方・相手の誰一人も一歩も動けないまま、完璧な弾道でボールがネットに収まります。これでクロアチアは同点に追いつきました。
Sedloski_dobije_crveniその後も手を緩めることない攻撃を仕掛けるクロアチアにマケドニアは防戦一方。68分、スルナに対してセドロスキ(写真)が意図的なタックルを仕掛けて2枚目のイエローで退場。形勢は更にクロアチアに傾きます。
マケドニアは何とか持ちこたえる中、80分、ビリッチ監督はバラバンに代え、高さのあるブダンを投入。この采配も当たりました。88分、空中のルーズボールをブダンが右サイドでフリーのスルナに繋ぐと、スルナはそのままドリブル。低いアーリークロスにGKニコロスキの目の前で合わせたのはエドゥアルド。ボールは股間を抜けて、逆転に成功。ちなみにエドゥアルドはクロアチア・リーグにおいてニコロスキからゴールを決めたことがありません。その後もクロアチアは攻め続け、2-1で苦しみながらも貴重な勝利をモノにしました。

喉を枯らして記者会見にやってきたビリッチ監督(写真)は
Bilic_5「選手たちを祝福したい。これは彼らの勝利だ。特別な相手を倒したのだから。注意をしていた通り、マケドニアはクオリティあるチームだったが、我々の方がクオリティで上回った。ファンタスティックに我々を応援してくれた観客にも感謝している。またこの試合が大事だと正しい方向で報じてくれていたメディアにも、この勝利は値するよ。
コメンテーターはテレビで"我々にゴールが必要だ。なぜなら、闘志を燃やすことなく試合に入ったからだ"と言っていた。私が思うに、余りにも闘志を燃やしすぎて入ったために、その点で力をやたらと力を浪費してしまったんだよ。ラインも作れず、コンパクトさも無かった。マケドニアは2度ほど危険な状況を作ったとはいえ、何もないところからゴールを決めてしまった。退場選手が出るまでは3トップでプレーし、世界クラスのパンデフをはじめ、3人ともが中盤が攻撃に加わるまでボールキープすることを知っていたんだ。
ハーフタイムに私は選手に、負けているとはいえ忍耐強くプレーせねばならないと言った。そして、ゆっくりとプレーし、センターまで全体を上げようと言った。組織的に相手陣へと攻め込んだならば、彼らのブロックを打ち破ることに問題はなかった。クラニチャールやモドリッチらのショートパスや正確性をもってすればね。
ゴールチャンスは作れるものだと予想していたが、退場選手が出るまではマケドニアもカウンターを仕掛ける可能性が存在していた。その後は一方的になり、努力が結実した。キャラクターを持ってして、我々は試合をものにしたのだ。けれども、第一にクオリティが私たちにあったから勝利したんだよ。組織だって常に攻撃し、チャンスを作っていったのさ。」
とコメント。またスルナを後半から起用しのは計画通りであり、彼が入ることで更なる力をもたらす狙いがあったことを述べています。

一方、マケドニア代表監督のカタネッツ(写真)は
Katanec 「まずはクロアチアの勝利を祝福する。私たちはクロアチアは少しでも苦しめたし、面白い試合だったとと思う。クロアチアは結局のところ、より優れたチームである。それが事実だよ。とりわけ後半は殆ど自陣に張り付くことになってしまった。前へと何もトライしようとしなかったことが、試合を決めてしまった。またピッチで起きた幾つかの事柄も影響した。"素晴らしい"審判のようなものがね。ジャッジの基準はおかしなもので、とりわけ2枚目のイエローカードについてはそうだ。一方のチームにはジャッジし、もう一方はしない。とはいえ、それがクロアチアの勝利の価値を下げるものではない。
鍵となるディテールは退場ではない。後半においては、やるべき入り方をしなかった。私はそれに怒っている。間違ったメンタリティであったが、それはそれだ。ボールをキープし、何も起こそうとしなかったために、自陣25mまであっさりと来ることをクロアチアに許してしまった。」
と述べています。また、クロアチアのベンチにいたプロシネチュキがマケドニアの選手を侮辱したことに怒りを示し、最後に一言「クラスニッチができる限り早く回復し、ピッチに戻ることを願っている」と語ると、会見の場から拍手が送られました。

Eduardo_na_drugom_poluvremenu_2 この試合もカメラマンとして取材しました。マケドニア戦というカードでここまでの観客が入り、素晴らしい応援が繰り返されたのは、ビリッチの新生クロアチアへの期待が大きい表れでありましょう。先制点を許す苦しい試合展開でありましたが、「絶対に試合をひっくり返すんだ」というマインドとチームの勢いがヒシヒシと伝わってきました。もしこの先に本大会出場を決めた後に、振り返ってキーとなった試合は?と聞かれたら、間違いなくこの試合が挙がると思います。(写真はエドゥアルド)

予選グループEでは、イングランドがイスラエル相手にスコアレスドロー。イスラエルは昨年11月にクロアチアに敗れるまで、7年間に渡って公式戦13試合ホーム無敗記録を作ったの国なので、イングランドは押し気味の内容ながらのドローしか持ち込めなかったのはさほどサプライズではないでしょう。これでイングランドは黄色信号が点灯した感があります。
尻上がりに調子を上げているロシアは、エースのケルジャコフが2ゴールを決めてエストニアに2-0と勝利しています。それぞれ5試合を消化して、クロアチアが勝点13で首位。ロシアが勝点11で続き、イングランドはイスラエルと共に勝点8となっています。クロアチアは6月2日にエストニア(アウェー)、6月6日にロシア(ホーム)と対戦します。

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コメント

インターネットでHRTのラジオを聞いていましたが、正直引き分けは覚悟しました。本当に勝ってくれて良かったです。クラスニッチも復帰してくれたら、FWの層も厚くなりますし、良いですね!

投稿: ボクシッチ | 2007年3月27日 (火) 22時58分

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