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2007年4月21日 (土)

欧州水準に劣るクロアチアの走力レベル

最近のチャンピオンズ・リーグの試合放映において、選手の走行距離が表示されるようになりました。これは「AMISCO-PROシステム」呼ばれる、選手の動きを分析システムを使ったものです。1セット15万ユーロしますが、ヨーロッパのビッグクラブも保有していると言われています。
ちょっと前のスポルツケ・ノヴォスティ紙に欧州トップレベルのクラブとクロアチアのクラブの走行距離の興味深い比較記事がありました。
例えば、4月初めのチャンピオンズ・リーグ準々決勝「ローマvs.マンチェスター・ユナイテッド」戦では、ローマのデ・ロッシが11,260m、ペロッタが10,748m、マンチェスターのキャリックが10,624m、ルーニーが10,160mを走っています。
Modric_7 一方、4月4日のクロアチア・カップ準決勝「ハイドゥク・スプリトvs.ディナモ・ザグレブ」戦をザグレブ大学体育学部のシニーニャ・ヤリッチ教授が手計算で計測したところ、クロアチアではよく動くとされるディナモの司令塔モドリッチ(写真)が6,770m、ハイドゥクの司令塔ムサが6,080mに留まり、実に欧州トップレベルの60%しか走ってないことが明らかになりました。
ヤリッチ教授は
「チャンピオンズ・リーグはクロアチアの試合より、少なくとも10分間は多く動いている。クロアチアでは余りにもプレーが切れるし、ボールキープしたままの状態も多い。もちろん走力も減ってくる。45分間のハーフタイムにおいて、20分以上のアクティブなプレーがないことも頻繁にあるのだ。」
とコメント。ちなみにモドリッチは前半、オフェンシブハーフのポジションで動きが制限されて2,990mしか走らなかったものの、後半はボランチで3,780m走っています。本人もこの試合ではいつもより走力が少なかったことを認めていますが、彼の名誉のために言及しますと、よりモダンなサッカーをしているクロアチア代表の試合となるとモドリッチは10,000mは走っており、それがビッグクラブでも彼が通用すると言われる所以です。
ヤリッチ教授は
「モドリッチは非常にクレバーかつ合理的に走っていることを強調したい。彼はこの点、非常に進歩しており、必要がない時には余り力を無駄に使っていない。彼の世代の多くの選手は、何が無意味な走りで、何が必要な走りかをよく分かっていない。」
と、モドリッチを高く評価しております。ただ、このままスローテンポなクロアチア・リーグに染まってしまうのは良くないのでしょうが……。かつてはイヴァン・レコがスペインのマラガに移籍した際には動きの違いで慣れるのに苦労しましたし、クラニチャールがプレミアで苦戦しているのも走力の脆弱さが一因と言えます。
走力が選手における最低条件とするオシムのような指導者が90年代初めに旧ユーゴから去ってしまったのは、旧ユーゴのサッカーの最大の損失かもしれません。彼が監督として指導してきた選手たちが現在、クロアチアのクラブでも監督を務めるようになりましたが、誰一人とも走力をベースにしたサッカーを植えつけられないのが現実です
現代サッカーの方向性は明らかに走力が必要とされているデータの一つに、1960年代に一人の平均走行距離が平均2.5~3kmだったのが、80~90年代には6~8km、21世紀になってからは8~10kmと飛躍的に伸びています。トップレベルのクラブにおいては、1試合で11人の走行距離が100~105kmと標準とされ、バイエルン戦のミランが107km、うち25%がスプリントでありました。
ちなみに、70~80年にバイエルンやレアル・マドリッドで活躍したパウロ・ブライトナーは11,400mと驚異的な運動量を持った一方で、同じくバイエルンで活躍したFWカール・ハインツ・ルンメニゲは4,700mに留まっております。60年代ではディスティファーノが4,300m、マリオ・ザガロが3,900mと計測されています。

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コメント

クロアチアリーグの問題点が良く理解できました。クラニチャルがプレミアリーグで活躍するにはやはり最大のネックである走力とスピードが必要なんですね。

投稿: ボクシッチ | 2007年4月22日 (日) 22時47分

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