クロアチア・リーグ最終節
報告が遅れましたが、5月19日、クロアチア・リーグ最終節が行われました。 既にディナモ・ザグレブの優勝が決まり、ホームのマクシミール・スタジアムにライバルのハイドゥク・スプリトを迎えての対決は、サポーターと市民が優勝を祝う一大フェスティバルの機会となりました。チケット購入者には優勝記念Tシャツが貰えるということで、ハイドゥク・サポーターに開放した南側スタンドを除けばほぼソールドアウト。青いTシャツを着た3万人の観客で埋め尽くされました。
試合前にはチーロ・ブラジェヴィッチ率いる1982年のユーゴリーグ優勝メンバーが並んで(クラニチャールら除く)、歓声を浴びたのち、試合直前には愛国歌手のトンプソンまでが登場。独特な雰囲気の中で、ディナモがゲームを支配していきました。
開始早々、モドリッチが20mの距離からミドルシュート、9分にはヴコイェヴィッチがミドルシュートを放ちますが、共にハイドゥクのGKルニェが好セーブ。しかし、13分、トミッチのロングパスからエドゥアルドに渡り、オフサイド気味とはいえ、そのままエドゥアルドはGKルニェとの一対一に持ち込んで冷静に決め1-0(写真)。
24分と30分にもエドゥアルドがシュートチャンスへ持ち込みますが、これらは決められず。けれども39分、チョルルカが右サイドをドリブルで走り抜け、モドリッチとの絶妙なワンツーでエリア内へと突破。最後は中央のエドゥアルドへ折り返し、あっさりと決めて2-0。クロアチア代表でもレギュラーを張る3人の競演で生まれたゴールでありました。 後半に入り、最初の15分はディナモが攻撃の形を作っていたものの、その後は流すかのようなプレーでリズムが落ちていきましたが、79分、モドリッチの左CKから中央でエドゥアルドが左足で合わせてハットトリック。ディナモvs.ハイドゥクのダービーでは初めてのハットトリック達成者となりました。今季、エドゥアルドはリーグ32試合に出場して34得点を達成。今後は破られそうにない記録を打ち立てました。
試合が終わる前からスタジアムは花火が打ち上げられ、ホイッスルが鳴ると選手たちはシャンペンを片手にピッチを回ってサポーターと歓喜しました。その後、選手たちはオープンバスに乗って中央広場まで移動。そこでもコンサートで深夜まで盛上りました。
今季はディナモの圧倒的支配で終わったリーグでありますが、ディナモは12チームの中でも平均年齢が最も若いチームであることを考えれば、これからの将来性に期待が持てるチームです。クジェが一年かけて世代交替を進めながら作り上げたチームを、イヴァンコヴィッチが完成度を高め、また冬に補強した選手たちも結果を残しました。もちろんのこと、ディナモが狙うのはヨーロッパ進出でありますが、国内で強いチームと対戦する機会が少なく、昨年のオーゼール戦のように目測を誤ったり、浮き足立ったりするケースがあるのが問題です。このオフに選手を売却する予定はなく、むしろ、更に補強へと向かうところを見れば、ディナモがいかに本気か分かってもらえるでしょう。
ここ数年間でクロアチアのクラブがヨーロッパで早期敗退したことにより、来季のチャンピオンズリーグは予備戦1回戦からの出場になってしまいました。3回戦まで勝ち進める確率は高いとはいえ、そこで強豪と当たるのは必至。そこからUEFAカップへと回り、1回戦を抜け、リーグ戦に入ることが現実的な目標といえますね。
全試合の結果はこちらです。
Varteks Varazdin - Zagreb 1:1
0:1 60' Lovrek
1:1 62' Golik
Rijeka - Kamen Ingrad 2:0
1:0 58' Bule
2:0 78' Sertic
Cibalia Vinkovci - Medimurje 3:0
1:0 14' Tadic
2:0 16' Krizanovic (PK)
3:0 34' Jukan
Pula - Slaven Belupo 0:0
Osijek - Sibenik 2:2
0:1 22' Govic
0:2 41' Grizelj
1:2 68' Jukic
2:2 90' Baricic
Dinamo Zagreb - Hajduk Split 3:0
1:0 13' Eduardo
2:0 39' Eduardo
3:0 79' Eduardo
【順位】…カッコ内の数字は勝ち点
優勝…ディナモ・ザグレブ (92)…チャンピオンズリーグ予備戦1回戦へ
2位…ハイドゥク・スプリト (72)…UEFAカップ予備戦へ
3位…ザグレブ (58)…インタートトカップへ
4位…シベニク (49)
5位…スラヴェン・ベルーポ (49)…UEFAカップ予備戦へ
6位…オシエク (43)
7位…リエカ (42)
8位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(42)
9位…メヂムリエ (37)
10位…チバリア・ヴィンコヴチ(32)
11位…プーラ (29)…入れ替え戦へ
12位…カメン・イングラッド(13)…二部降格
【得点】
34ゴール…エドゥアルド(ディナモ)
21ゴール…シャルビーニ(リエカ)
18ゴール…ロヴレク(ザグレブ)
15ゴール…ノヴィニッチ(ヴァルテクス)
12ゴール…ヴグリネツ(ディナモ)、ゼキッチ(チバリア)
11ゴール…マンジュキッチ(ハイドゥク)、バルトゥロヴィッチ(ハイドゥク)、ヴルチーナ(スラヴェン・ベルーポ)、ブシッチ(ハイドゥク)
10ゴール…カルテロ(シベニク)、ピシュコール(メヂュムリエ)
【アシスト】
12アシスト…エドゥアルド(ディナモ)、ムイジャ(ザグレブ)
9アシスト…モドリッチ(ディナモ)
8アシスト…ヴグリネツ(ディナモ)、バルトゥロヴィッチ(ハイドゥク)、ゴヴィッチ(シベニク)
7アシスト…ピシュコール(メヂュムリエ)、イェルテツ(ディナモ)、ムムレク(スラヴェン)、パパ(ヴァルテクス)
6アシスト…モスタルリッチ(オシエク)、チャバル(シベニク)、フルゴヴィッチ(ハイドゥク)
また二部で1位となったインテル・ザプレシッチが来季から1部へ返り咲き。11位のプーラが二部2位のザダールと入れ替え戦を行います。
今季は21得点で得点ランク2位となったリエカのFWアフマド・シャルビーニ(23)が、アラブ首長国連邦のドバイにあるアル・ワドハと1年契約を結びました。移籍金は80万ドル、年俸は55万ドルです。リエカにとっても過去最高の移籍金であり、またシャルビーニの父親はシリア出身ということもあって、大きな抵抗もなく中東のクラブへの移籍が実現しました。
またリエカのイェジッチ会長は、監督のクジェ監督とディレクターのコリャニン氏との契約を来季に結ばないことを決めました。新監督の候補にはヴァルテクスのダリッチ監督が候補に挙がっています。
5月18日、クロアチア代表のビリッチ監督は6月2日のエストニア戦、6月6日のロシア戦の代表メンバー25人を発表しました。とりたててサプライズはなく、補欠には初めてディナモのDFディノ・ドゥルピッチが選ばれています。
GK:
スティペ・プレティコサ (スパルタク・モスクワ)
ヴェドラン・ルニェ (ベジクタシュ)
マリオ・ガリノヴィッチ (パナシナイコス)
DF:
ダリオ・シミッチ (ACミラン)
ロベルト・コヴァチ (ユヴェントス)
ヨシップ・シムニッチ (ヘルタ・ベルリン)
フルヴォイエ・ヴェイッチ (トムスク)
ヴェドラン・チョルルカ (ディナモ・ザグレブ)
ダリオ・クネジェヴィッチ (リボルノ)
ボリス・ジヴコヴィッチ (ハイドゥク・スプリト)
アンソニー・シェーリッチ (パナシナイコス)
MF:
ニコ・コヴァチ (レッドブル・ザルツブルク)
ミラン・ラパイッチ (スタンダール・リエージュ)
ダリヨ・スルナ (シャフタール・ドネツク)
マルコ・バビッチ (バイヤー・レバークーゼン)
イェルコ・レコ (ASモナコ)
ユーリツァ・ヴラニェシュ (ヴェルダー・ブレーメン)
ニコ・クラニチャール (ポーツマス)
ルカ・モドリッチ (ディナモ・ザグレブ)
ダニエル・プラニッチ (ヘーレンフェーン)
FW:
ボシュコ・バラバン (クラブ・ブルージュ)
イヴィツァ・オリッチ (ハンブルガーSV)
ムラデン・ペトリッチ (バーゼル)
エドゥアルド・ダ・シルヴァ (ディナモ・ザグレブ)
イゴール・ブダン (パルマ)
補欠:
DF ディノ・ドゥルピッチ (ディナモ・ザグレブ)
GK マリン・スケンデル (オシエク)
最近のコメント