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2007年7月29日 (日)

クロアチア・リーグ第2節

28日、クロアチア・リーグ第2節が行われました。
今節ではディナモ、ハイドゥクの二強それぞれがゴールラッシュを見せております。

Ssokotin_sut ディナモ・ザグレブは、前節にハイドゥクと引き分けたザダールをホームに迎えました。24日のチャンピオンズリーグ予備戦・対ハザールで素晴らしい応援をした御礼に、ということで、クラブ側がこの試合の入場料を無料にしました。マクシミール・スタディオンのキャパシティは38,000人ですが、無料というサービスは思ったより効果がなく、観客は12,000人に留まっていります。
しかしながら、試合においてのディナモは序盤から効率的にゴールを決めていきます。この試合ではワントップに怪我から復帰したショコタ(写真)を起用。ハザール戦(アウェー)ではセカンドトップに起用され、満足な働きができなかったのですが、本来のポジションに入ってポストプレーの役割をしっかりと果たします。
まずは10分、モドリッチの右FKからシルデンフェルドがヘディングシュートを決めて先制。その2分後には、マンジュキッチの縦パスを左サイドで受けたモドリッチが、フェイントを加えてのドリブルでえぐり、最後はゴール正面のショコタへラストパス。最初のボレーシュートはGKスバシッチが止めるものの、そのままショコタが押し込み、スコアを2-0とします。
21分、テクニックではモドリッチと双璧のサミールが、ペナルティエリアで2人マーカーをあっさりと外し、最後はゴール右下隅にシュートを決めて3-0。既に試合を決めてしまいました。
Smangin_debu 後半からは、怪我をしたチャレに代えてチャゴを入れ、チャゴがボランチに、前半ボランチのポクリヴァチュが左SBへと入ります。59分にはサミールに代え、新加入のコートジボアール人MFグエラ(写真)がディナモ・デビュー。スピードと足技を活かしたプレーを披露し、彼がボールを持つたびにスタンドが湧きます。
続く4点目を決めたのは、ここ最近でレギュラーの座を収めつつあるマンジュキッチ。ミキッチがモドリッチとのコンビネーションで右サイドを突破すると、中央のマンジュキッチへパス。マンジュキッチはゴールを背にしながらトラップでボールを浮かすと、そのままオーバーヘッドシュートを決めます。
終了間際には、同じくミキッチが右サイトを突破し、折り返しからヴコイェヴィッチがミドルシュートを決めて5-0。その後、ザダールのチュスティッチもゴールを決めてスコアは5-1となりますが、ディナモは国内で無敵の存在であることを見せつけました。

ハイドゥク・スプリトは、ホームのポリュウド・スタディオンに昇格組のインテル・ザプレシッチを迎えました。第1節の対ザダール、UEFAカップ予備戦の対ブドゥチノストでは、共に決定力の無さを露呈してしまって勝ちきれずに終わったわけですが、この試合ではカリニッチとルカビナの若いツートップ、そして司令塔のルーマニア人チェルナトの攻撃力が爆発します。
Skalinic まずは14分、チェルナトからルカビナに縦パスが通ると、ルカビナは踵を使って前方へスルーパス。飛び出したカリニッチ(写真)がGKヴラニッチと一対一の形を作り、右へと丁寧に流し込んで先制に成功します。
32分にはGKバリッチのロングキックを、前線のカリニッチが上手くコントロールしてペナルティエリアへ。DFロヴレンに倒されてPKを得ます。これをルカビナが決めて、2-0とリードを広げます。
後半から更に攻撃力は加速。48分、アンドリッチの直接FKをGKが弾いたところを、カリニッチが反応してシュートを押し込んで3-0。
インテルも64分、クーケッツが直接FKを決め、1点を跳ね返します。けれども、ハイドゥクは69分、カリニッチに代わって入ったFWバルトロヴィッチが、ツェルナトのワンツーをサポートし、一対一の形を作ったツェルナトが冷静に決めて4-1。その3分後にはツェルナトがペナルティエリア手前からの直接FKを放り込んで、5-1とリードを広げます。
更に84分、ガブリッチの左サイド突破からゴール前のルカビナにラストパス。ルカビナは足元で何度もボールを持ち替えながらマーカーを外し、最後はゴール左に流し込んで6-1。その2分後にはツェルナトのパスが右サイドをフリーで上がるルカビナへと通り、ドリブルしたのち、最後は飛び出したGKを超えるシュートを決め、ハットトリックを達成しました。今年頭にハイドゥクに移籍して以来、一向にゴールマシンから程遠いパフォーマンスだったルカビナですが、ようやく本領発揮といったところでしょうか。

その他の試合では、リエカが新加入のモンテネグロ人FWヂャロヴィッチの初ゴールや、ブーレのゴールもあって、チバリア・ヴィンコヴチを3-0と一蹴して2連勝。
ディナモ、リエカと共にオシエクも2連勝していますが、前節のスラヴェン・ベルーポ戦に続いて今節のヴァルテクス戦でも、審判の誤審も手伝ってのPKを得て、勝利をしております。逆にヴァルテクスは2試合連続で誤審のせいで負けており、クジェ監督も怒りも頂点に達しております。

全試合の結果はこちら。

Sibenik - Zagreb 0:0

Rijeka - Cibalia Vinkovci 3:0
1:0 47' Ivanov (PK)
2:0 56' Djalovic
3:0 90' Bule

Slaven Belupo - Medimurje 2:0
1:0 50' Vrucina
2:0 86' Poljak

Varteks Varazdin - Osijek 1:2
0:1 45' Babic (PK)
1:1 66' Mumlek
1:2 80' Primorac

Dinamo Zagreb - Zadar 5:1
1:0 10' Schildenfeld
2:0 12' Sokota
3:0 21' Sammir
4:0 66' Mandzkic
5:0 90' Vukojevic
5:1 90' Custic

Hajduk Split - Inter Zapresic 7:1
1:0 14' Kalinic
2:0 32' Rukavina (PK)
3:0 47' Kalinic
3:1 64' Kukec
4:1 69' Cernat
5:1 72' Cernat
6:1 85' Rukavina
7:1 86' Rukavina

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2007年7月27日 (金)

ディナモ、かろうじて予備戦一回戦突破

24日、チャンピオンズ・リーグ予備戦一回戦第2戦「ディナモ・ザグレブvs.ハザール・レンコラン(アゼルバイジャン)」が、ディナモの本拠地マクシミール・スタディオンで行われました。
バクーで行われた第1戦では苦しい戦いの上で1-1のドロー。第2戦では嵐のような天候の中、更に苦しい戦いを強いられました。

Modric ディナモは昨シーズンを怪我で棒に振ったエトーとチャゴをそれぞれスタメン起用。また、踵の怪我で長く戦列を離れているヴグリネツを完治してないながらもベンチに置きます。
GKコッホ-(右から)DFエトー、ドゥルピッチ、シルデンフェルド、カルロス-MFヴコイェヴィッチ、チャゴ-サミール、マンジュキッチ、モドリッチ(写真右)-FWタディッチ
一方、ハザールは前の試合で退場したキャプテンのグリエフがはずれ、前の試合とは違って4バックの布陣になりました。
GKアガイェフ-DFママドフ(写真左)、ジュタウタス、ジョンバゾフ、トドロフ-MFアブドゥラエフ、ジュニオール、バフシイェフ、アミルギリイェフ-FWラマザノフ、ヌティモア

1万人のサポーターに押され、開始早々から点を奪おうとするディナモに対し、ハザールも負けじとラマザノフを活かした早い攻撃で活路を見出します。
6分、ハザールのブラジル人ジュニオールが30mの強烈なFKを見舞うと、GKコッホは飛びついてパンチング。その際に膝から落ちてしまいます。その影響もあってか、16分、35mの位置から再びジュニオールがFKを放つと、弾道が読めるボールにもかかわらず、GKコッホは最初の一歩が踏み出せずにあっさりゴールを割らせて先制点を許してしまいます。
先制点を奪ったハザールはサイドにしっかり蓋をして、ディナモの波状攻撃を食い止めようとします。21分、ディナモはモドリッチの左サイドのFKから、タディッチがヘディングシュートを狙うものの、ボールはGKアガイェフの正面に。その後のディナモは攻めきれないまま、前半を終えました。
Vugrinec後半頭、イヴァンコヴィッチ監督が動きます。ドルピッチが怪我をしたことでチャレを入れ(カルロスが左SBからCBへ)、チャゴの代わりにヴグリネツを投入しました。ヴグリネツ(写真右)は昨季後半は怪我でまったく試合に出場できなかったとはいえ、昨季の得点数はエドゥアルドエドゥアルドに次いで2位。その優れた得点感覚に賭けました。
47分にモドリッチのパスからヴグリネツが放ったシュートはGKに止められたものの、56分、マンジュキッチ(写真中央)の右クロスにヴグリネツがドンピシャリに飛び込んでのヘディングシュート。ボールはゴール右下に突き刺さり、同点に追いつきます。しかし、ヴグリネツは踵の怪我が再発。27分間の出場だけでMFトミッチに代わります。
この試合ではタディッチが何度もチャンスを迎えるものの一向に決められず、サミールやモドリッチなどがミドルシュートを放ってもことごとくGKアガイェフに弾かれてしまいます。80分には二枚目のイエローをもらったハザールFWヌティモアが退場。一人優勢になっても、第1戦と同様に90分で試合を決められませんでした。

試合は1997年のチャンピオンズリーグ予備戦・対ニューカッスル戦以来の延長に持ち込まれます。
Mandzkic 常にプレッシャーを掛け続けたディナモが報われたのは99分、モドリッチの左CKに中央にいたカルロスがボレーで合わせたシュートはGKに弾かれたものの、こぼれ球を右からマンジュキッチが倒れこみながら叩き込み、初めてリードに成功します(写真)。
その直後、線審に文句を言ったイヴァンコヴィッチ監督が退場。1点奪い返されればハザールが勝利という状態の中、116分、再びモドリッチの左CKからシルデンフェルドがヘディングシュートを狙い、そのボールがゴール前のタディッチに当たってネットに吸い込まれて3-1。トータルスコア4-1とはいえ、難産での一回戦突破となりました。

試合後、イヴァンコヴィッチ監督は
「目標を達成したということで私は満足している。ハザールはアグレッシブで良いチームというのは分かっている。リードされたとはいえ、私の選手たちは振り出すに戻すための十分な力とキャパシティを見出してくれた。」
とコメント。またモドリッチは
「以前にこれほど困難な試合がいつあったか記憶にないよ。とはいえ、僕たちの方が優れたチームだし、勝利に値したと思う。ヴグリネツは信じられない。彼のために記念碑を建立すべきだ。同点弾は神様が僕たちに授けてくれたんだよ。」
と語っています。
二回戦の相手は、ティラナ(アルバニア)をトータルスコア3-1で下したスロベニアのドムジャレ。ドムジャレはこの夏のキャンプ期間でリエカとハイドゥクを倒しているだけに警戒すべき相手です。第1戦は7月31日か8月1日、第2戦は8月7日か8日に行われます。

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2007年7月26日 (木)

エドゥアルドとヴェンゲルのインタビュー

20日付のSportske Novosti紙になりますが、アーセナルに移籍したクロアチア代表FWエドゥアルド・ダ・シルヴァのインタビューが掲載されたので紹介します。
Sdudu1クロアチアのジャーナリスト陣もエドゥアルド目当てでロンドン、そして合宿地のバート・ヴァルタースドルフ(オーストリア)に訪れているものの、アーセナル側のガードが固く、広報を通さずしてインタビューできないために苦しんでいるようです。普段は誰に対してもオープンかつ真面目なエドゥアルドも、規制に関してはジャーナリストに理解を示すよう振舞っております。
先週にはゲンツレルビルリギ(トルコ)との練習試合に20分だけ出場。首脳陣を納得させるプレーをしたそうです。

以下がエドゥアルドのインタビューです。

-アーセナルでのキャンプについて。
「最初の印象としては順調以上のものだよ。毎日のトレーニングに疲れてはいるし、暑さに気絶しそうとはいえね。でも、試合に出場できて嬉しいよ。アーセナルの世界的なスターたちともやっていけると確信できた。全てが上手くいっているし、楽しめる理由がここにはあるからね。」

-競争には恐れているか? 競争は本当に厳しいものか?
「いや、誰も恐れてはいないよ。なぜ僕が恐れるのかい? 全員がサッカーを分かっているし、僕も分かっている。僕にとっても、他の選手にとっても競争は大変だ。しかし、私たちが強いチームだと知るならば、競争だって心地良いものだ。重要なのは唯一、健康であることだよ。」

-ディナモのチャンピオンズリーグ予備戦に関して。
「ディナモが予備戦一回戦の相手を退けると信じているよ。もちろん、二回戦の相手も。それは成し遂げなければならないし、その力は十分にあるはず。」

-ルームメイトはいる?
「いない。どのアーセナルの選手も一人で部屋を使っている。」

-イングランドのサッカースタイルにどう慣れていっている?
「全てが順調にいっているよ。(イングランドでは)ずっとハードなプレーをすることと、ミスが少ないこと以外には、何か特別なことがあるとは気づかない。」

-言語(英語)においては?
「幾つかのフレーズは学んだけど、ジャーナリストと英語を使って話し合うほどには至っていない。しかし、それも解決するつもりだ。僕に英語教師を雇ってくれたし、ロンドンにいる何日間もレッスンをした。オーストリアにいる間はレッスンが休止中だけどね。ロンドンに戻るや否や、レッスンを続けていくよ。」

Sdudu2 -ヴェンゲルとはどうやってコミュニケーションをしている?
「限られた単語を僕は使っているけど、直ぐに理解しあっているよ。(アシスタントコーチの)プリモラッツとは頻繁にクロアチア語で話している。しかし、プリモラッツも僕が英語をできる限り早くにマスターするよう、英語を無理して使っているような感じだね。」

-練習はディナモの時よりもハードか?
「いや、そうでもないよ。ここではボールを使った練習をたくさんやる。もちろん、どの選手も全力でやっているし、リーグ戦に入れば完全に準備できた状態でなければと言われている。極限まで自分の力を使い果たさねばならない。なぜなら、要求は特別に大きいのだからね。」

-個人的にはどのチームメートのプレーが気に入っている?
「ファン・ペルシーがワールドクラスであることに疑いはない。どの状況でも素晴らしく適応している。他の選手たちもその実力を証明しているよ。」

-誰とよくつるんでいる?
「ブラジル人のデニウソン、そしてエブエ、センデロス、ファブリガス、フレブ。ロシツキもフレンドリーだよ。」

-家族はどこに?
「妻は僕と一緒にロンドンにいて、それから住まいを選んでからザグレブへと戻った。なぜなら、ザグレブに娘のロレーナを残していたからね。オーストリアでのキャンプが終わったら、再びロンドンで再会する予定だよ。」

-ロンドンではどこに泊まっていたのか?
「練習場に程近いホテルに。あの巨大都市(ロンドン)を知る機会はまだなかった。練習場から町の中心は遠かったし。」

-9月2日にクラニチャールのいるポーツマスと対戦することは頭にあるか? また11月21日にはイングランドvs.クロアチア戦もあるが。
「代表戦は4ヶ月のことだから、気にかける必要はないよ。それ以前に多くの義務もある。エストニアやアンドラ、イスラエルに勝たねばならないし、スコピエでのマケドニア戦も負けるわけにいかない。
ポーツマス、そしてクラニチャールとの対決について? それに関して専念することはなく、一試合一試合進んでいくだけ。今重要なのは次の試合、水曜日(7/25)のレッドブル・ザルツブルク戦だよ。ニコ・コヴァチと会えることに喜んでいるよ。」

-マクシミール(ディナモの本拠地)から親友がアーセナルに加わって欲しいと思うか? 例えば、ルカ・モドリッチとか。
「何よりもそうなって欲しいね。ルカの名前が挙がっていることを嬉しく思うよ。しかし、そうなるかどうかは誰が知るものだろうか。でも、モドリッチもアーセナルに問題なく適応できると確信しているよ。」

続いて翌日のSportske Novosti紙に掲載された、練習試合のエドゥアルド見てのヴェンゲル監督のインタビューを。

Swenger「(練習試合の)20分間で、エドゥアルドはアーセナルのためのクオリティがあることを示した。彼は非常に良かった。もちろん、私はとても満足しているよ。私が彼について知っていることの証明以外に、何か特別なことを彼には期待してはいなかった。今は、私たちスタッフがあっさりと見出した彼の価値に関して、サポーターとイングランドの世論を納得させることが大事だ。彼が偉大な選手であることは既に見えているけどね!」

-移籍に際して、ヴェンゲルは何度に渡って彼を調査した?
「観察は余りにやりすぎるのも、余りに長すぎるのも私は好きではない。もし最初の印象が悪かったら、普通は調査を続けていくものだ。けれども、エドゥアルドの最初の印象はソリッド以上のものだった。直ぐに彼は私たちのための選手だと理解したし、そう私が信じることを止めることもしなかった。」

-本物の補強選手を買ったものと今は確信しているのか? そして、もちろん試合に出るのか?
「トップチームで彼にチャンスがない上で、これだけのお金を私たちが使うものと貴方は思っているのかね!?」

-エドゥアルドの獲得に関して、スラヴェン・ビリッチ(クロアチア代表監督)と直で話し合ったのか?
「いや、私は。私のアシスタントが彼と話し合った。」

-スタメンの一番の選択はアデバヨールとファン・ペルシーなのか?
「私において"一番の選択"などは存在しないよ!」

-練習試合のプレーののち、エドゥアルドはスタメンにどれだけ近づいたのか?
「彼は私が評価し、計算に入れている選手だ。他の選手たちも同様にね。欠点がないサッカーなどいないことを言及しておく。」

-ピッチ外のエドゥアルドの印象は?
「目立つことはないが、素晴らしく馴染んでいる。ただ、かなりおとなしく、少ししか話さないね。」

-ルカ・モドリッチについては?
「彼も良い選手だ。興味深いね。」

-オグニェン・ヴコイェヴィッチにも関心があるとクロアチアでは報じられているが。
「ああ、彼についても聞いている。でもチームのスカウトは多くの選手を追っているからね。彼もその枠にあるだろうが、私はモドリッチをもっと気に入っている。でも、彼を買うという意味ではない。現時点では誰も獲得するつもりはない。」

-アネルカは?
「私たちは今いる選手たちで、全ての目標において十分だ。まずはプレミアシップのタイトル。選手たちは若いかもしれないが、力はある。」

唯一のエドゥアルドの懸念は、いまだにイングランドでの労働ビザが下りていないこと。彼はここ2年間の公式戦の出場が75%に満たないとはいえ、この1年間はビリッチ監督のもとレギュラーとしてプレーしていることから、何とか認知して貰おうとアーセナル側が働きかけているそうです。

p.s.
チャンピオンズリーグ一回戦の記事はしばしお待ちを。

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2007年7月22日 (日)

クロアチア・リーグ2007/08シーズン開幕

7月20日、17シーズン目となるクロアチア・リーグ2007/2008シーズンが開幕しました。
今季は通信会社のT-COMがメインスポンサーとなったことから「T-COMクロアチア一部リーグ」という正式名称となります。全クラブが年金生活者とその孫は入場無料にし、またディナモは従来のチケットを半額にす るなど、観客拡大を狙っております。

Skukec_i_bule 開幕戦の中でも皮切りとなったのは、インテル・ザプレシッチvs.リエカとのナイトゲーム。インテルの試合取材は一年以上ぶりですが、今季はディナモやNKザグレブと日程が重ならないよう、ホームの試合は金曜日に前倒しされます。リエカ・サポーターのアルマダも含め、2500人の観客が集まりました。(写真はクーケッツ[左]とニーノ・ブーレ[右])
初代クロアチア・カップ王者でもあり、2004/05シーズンには2位になったインテルは、2005/06シーズンに不振を極めて二部に落ちてしまったものの、わずか一年で一部に戻ってきました。
ザグレブ郊外にあるインテル・ザプレシッチは過去にもエドゥアルドやモドリッチ、チョルルカ、チャレ、トミッチらがディナモからレンタルされ、そこで経験を培ったのですが、今季もFWパンデフ、MFシャリッチ、MFグルグロヴィッチ、DFクウェディ、DFロヴレン、GKシャルリヤ、GKヴラニッチらがディナモからレンタル。
一方のリエカは、金も出すけど口も出すイェジッチ会長がチームをテコ入れ。昨季までヴァルテクスを指揮したダリッチ新監督を迎え、FWヂャロヴィッチ、MFシャファリッチ、MFシュコーロ、DFマルチッチらを補強しました。
Ssharbini 前半はタレントで上回るリエカが主導権を握るものの、U-21代表のクーケッツとシャリッチのインテル・コンビがチャンスを演出。8分、19分、42分とチャンスを迎えますが、ゴールに至りません。
リエカのプレーメーカーは、20歳でキャプテンを任されたMFアナス・シャルビーニ(写真左・昨季のリーグ得点ランク2位のアフマド・シャルビーニの弟)。前半は幾度となく厳しいチェックに倒された彼でありますが、63分、シャファリッチがFKでボールを放り込むことなく、グラウンダーでシャルビーニへ縦パスを通すと、シャルビーニはDF陣をすり抜けてコールを探りミドルシュート。これがズバリとゴール左隅に決まり、リエカが先制に成功します。
それからはインテルが攻め、リエカが守る図式となり、70分にスクリッチがヘディングシュートを試みるも、GKジリッチが好セーブ。85分にもスクリッチがヘディングシュートをしますが、クロスボーを超えていきました。プレーそのものは印象的ではなかったとはいえ、リエカが1-0で手堅い勝利を収めています。

一日明けて21日、昨季の王者ディナモ・ザグレブがホームのマクシミール・スタディオンでシベニクを迎えての開幕戦を行いました。17日のチャンピオンズ・リーグ予備戦一回戦・対ハザール(アゼルバイジャン)戦ではお粗末な戦いをしましたが、この試合はショコタに代えてマンジュキッチをセカンドトップに、シルデンフェルドをセンターバックに戻し、アキレス腱に怪我を抱えるチョルルカに代えてエトーを右サイドバックに入れました。
Smodric_3 昨季は一部昇格したばかりにかかわらず、ディナモに唯一の土をつけ、リーグ4位と躍進したシベニクですが、昨季のチームから11人もの選手が離脱し、今季は無名の選手中心で戦わざるえません。監督もボスニア・ヘルツェゴビナのシロキ・ブリイェグを指揮したカリニッチに代わっております。
ディナモとアウェーで戦うチームは、比較的ゴール前を固めることが多いのですが、今日のシベニクは攻撃にも重きを置いた分、サミールやモドリッチ、マンジュキッチといったドリブルが得意なディナモの選手にスペースを突かれてしまいます。
10分、サミールがペナルティエリアに侵入したところをボナチッチに倒されてPKを得ると、今季からキャプテンマークをつけるモドリッチ(写真)が左にしっかりと決め、ディナモが先制します。
29分にはサミールがダイアゴナル・パスをペナルティエリアへ飛び込むマンジュキッチに通し、胸トラップで落としてから、飛び込むGKスラヴィツァを超えるループシュートを決めます。ザグレブに150万ユーロの移籍金を払ってまで獲得したマンジュキッチですが、マクシミールの本拠地デビューでいきなり得点を決めただけでなく、前線での積極的な守備参加をするなど、首脳陣やサポーターを満足される働きをしました。
シベニクも31分、ヴィタイッチの強烈なFKを放つものの、新加入のドイツ人GKコッホがパンチング。こぼれ弾をヤムブルシッチが押し込もうとするも、これもコッホが素晴らしい反応でセーブします。
Ssammir 後半もディナモのペース。47分、マンジュキッチとのワンツーで縦へと抜けたエトーからマイナスの折り返しを、エリア内へと飛び込んできたモドリッチがそのままゴール左上にゴールを叩き込んで3-0。モドリッチにとってはプロになって初の一試合2ゴールとなりました。
67分、モドリッチとのワンツーで左サイドを突破したチャレの折り返しから、ペナルティエリアのサミール(写真右)がゴールを決めて4-0。イヴァンコヴィッチ監督が溺愛する20歳のブラジル人MFサミールは、この試合でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれました。
締め括りはロスタイム、マンジュキッチとのワンツーからボールをもらったヴコイェヴィッチが、ディフェンス陣に囲まれながらもミドルシュートを決めて5-0。
エドゥアルドがアーセナルに移籍したために決定力不足が心配されたディナモですが、この試合でその心配を払拭した感があります。

22日、昨季2位のハイドゥク・スプリトは、同じく一部昇格のザダールとアウェーで対戦しました。
ラストパスを送れる前ルーマニア代表MFチェルナトを加えたとはいえ、この試合では決定力不足を露呈。ザダールのボランチ二枚と最終ラインで形成された守備ブロックに、チェルナトとツートップのルカビナ、カリニッチを止められてしまいます。
それでもハイドゥクは4分、ルカビナのアシストからカリニッチがシュート。しかし、ボールはポストを左ポストをわずかに逸れます。11分にはルカビナのヘディングシュートを試みるものの、GKスバシッチが好反応でパンチングします。
後半のハイドゥクは更に攻撃的になるもののチャンスは前半よりも乏しく、57分にはアンドリッチが決定機を外し、63分のチェルナトのシュートもチームメートのカリニッチに当たるなどチグハグ。
ザダールも65分にバトゥリナ、その2分後にはエレズがチャンスを決められず、スコアレスドローに終わりました。
ハイドゥクは先のUEFAカップ予備戦一回戦の対ブドゥチノスト戦で、選手登録したはずのMFガブリッチが、間に入ったクロアチア・サッカー協会の手違いにリストに掲載されず、レギュレーション違反で0-3で敗北という裁定をUEFAが下す可能性もあり、開幕早々、不穏なムードに包まれています。

昨季3位のザグレブはアウェーにてメヂュムリエと対戦。
インタートトカップではあっさりと一回戦で敗退し、FWマンジュキッチとDFヴルドリャクをディナモに引き抜かれたザグレブでありますが、ブラジェヴィッチ監督はMFカルテロを加えるなどチームの立て直しを図っています。
この試合では、昨季のリーグ3位の得点を決めた元セレッソのロヴレクが、33分、78分とゴールを決めて3-0と快勝しております。

全試合の結果はこちら。

(7/20)
Inter Zapresic - Rijeka 0:1
0:1 64' Sharbini

(7/21)
Cibalia Vinkovci - Varteks Varazdin 1:0
1:0 26' Bagaric (PK)

Medimurje - Zagreb 0:3
0:1 17' Topic (OG)
0:2 33' Lovrek
0:3 82' Lovrek

Dinamo Zagreb - Sibenik 5:0
1:0  9' Modric (PK)
2:0 28' Mandzukic
3:0 47' Modric
4:0 67' Sammir
5:0 90' Vukojevic

(7/22)
Zadar - Hajduk Split 0:0

Osijek - Slaven Belupo 1:0
1:0 61' Babic (PK)

Sivankovic ディナモvs.シベニク戦後のプレスコンファレンスののち、ディナモのイヴァンコヴィッチ監督(写真)とアジアカップに関して話す機会がありました。
イヴァンコヴィッチはイラン代表監督として2004年アジアカップ(3位)、2006年ワールドカップを指揮し、昨年5月のクロアチアvs.イランの親善試合でインタビューしたこともあって顔見知りなわけですが、アジアカップの動向を追っているか聞いたところ、「もちろん」との声が返ってきました。
ただ、日本vs.オーストラリア戦の結果は聞いておらず、1-1のあとPK戦で日本が勝利したことを伝えると、
「オーストラリアを倒したとなると、もう日本が最大の本命だね。」
と語ってくれました。今日のイランと韓国の戦いも気にしているようでした。

Sbule またインテルvs.リエカ戦の前にはニーノ・ブーレ(写真)が声を掛けてきました。彼も以前にインタビューをしたことから顔見知りであります。スタジアム隣接の喫茶店で雑談をしました。
昨シーズンはサポーターに喧嘩を売られ、チーム退団をほのめかしていた彼ですが、今ではすっかりサポーターとの関係は落ち着いたそうです。チームメイトのGKラドマンとMFマルキッチも一緒で、彼らに日本の想い出話を聞かせておりました。
試合ではベンチスタートだったものの、61分に途中交替で左ウィンガーとして出場。彼が入った2分後に決勝点が生まれました。コンディションも良いようで、もう一度、Jリーグでプレーしたいと言っておりました。

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2007年7月20日 (金)

UEFAカップ予備選一回戦第一戦

19日、UEFAカップ予備戦一回戦の第一戦が行われました。
クロアチアからは、リーグ2位のハイドゥク・スプリトとカップ戦準優勝のスラヴェン・ベルーポが出場しています。

ハイドゥク・スプリトはユーゴリーグ以来の対決となるモンテネグロのブドゥチノストと対戦。とりわけこの両者は1975年のユーゴカップ決勝で対戦、その時にはハイドゥクが延長で2-0と勝利しています。第一戦はブドゥチノストのホーム、ボドゴリツァで行われました。
ハイドゥクはFWヴェルパコヴスキスが登録に間に合わなかったものの、俊足の若手ツートップ、カリニッチとルカビナの背後に、ルーマニアの"ファンタジスタ"チェルナトを置いた4-3-1-2の布陣です。
GKバリッチ-(右から)DFブリャト、ガル、ジヴコヴィッチ、フルゴヴィッチ-MFペライッチ、アンドリッチ、ガブリッチ-チェルナト-FWルカビナ、カリニッチ
一方のブドゥチノストは以下の布陣でありました(4-2-3-1)。
GKヴヤディノヴィッチ-DFラキッチ、ヴクチェヴィッチ、ペリシッチ、ヴコヴィッチ-MFライチェヴィッチ、ヴラホヴィッチ-ヂュリシッチ、ムゴシャ、デリッチ-FWセクリッチ
客席にはモンテネグロ・サッカー協会会長のサヴィチェヴィッチ、ツルヴェナ・ズヴェズダ会長のストイコヴィッチ、ハイドゥク副会長のボクシッチ、ハイドゥク・マネージャーのシュリャクなど、かつてのユーゴサッカー界のスターがずらりと並びました。ハイドゥクは2004年以来、欧州カップの最初のカードでコケており、それなりの補強をした今季は挽回しなければなりません。

Shrgovic20時半キックオフながら、37度という高温の中で試合が行われたわけですが、両チームとも闘争心を持っての激しい戦いとなります。前半はお互いチャンスらしいチャンスを作れませんでしたが、28分、フルゴヴィッチ(写真・元ガンバ大阪)が30mの位置から放った直接FKのボールは無回転のままゴール左上隅を突き刺し、ハイドゥクが先制に成功します。
その後はハイドゥクがゲームをコントロールするも、35分、CKのボール処理にハイドゥクのGKバリッチが失敗し、ブドゥチノストのFWセクリッチが押し込むだけの場面を失敗します。
後半に入り、今度はブドゥチノストがゲームを支配していきます。59分、途中交代で入ったMFシュチェパノヴィッチが中央でボールをもらい、前方へとドリブル。ハイドゥク守備陣はずるずると後退し、シュートコースも遮ることすらせず、結局はシュチェパノヴィッチにペナルティエリア外からあっさりとシュートを決められ、同点に追いつかれます。
ハイドゥクは67分、ルカビナがマーカーを振り切り、後はシュートするだけにもかかわらず、最後は見当違いのパスをカリニッチに送って、チャンスを逸してしまいます。
ブドゥチノストも72分にデリッチ、84分にミリッチがシュートチャンスを迎えるも決められず、試合はそのまま1-1のドロー。ハイドゥクは内容と結果が釣り合わないとはいえ、アドバンテージを持ってホームに戻って第二戦(8月2日)を迎えることになります。

ちなみにこの試合に向けて厳戒体制が敷かれていたのにもかかわらず、ハイドゥクのサポーター「トルツィダ」とブドゥチノストのサポーター「ヴァルヴァリ」、そして援護に駆けつけたズヴェズダのサポーター「デリエ」が試合前からバトル。怪我人が出た上に、トルツィダが使用したバスや乗用車も破損してしまってます。

もう一試合、スラヴェン・ベルーポはアルバニアのテウタと、ホームのコプリヴニッツァで対戦しています。
クラブ創設100年を迎えたスラヴェンは、欧州カップとしては過去にインタートトカップだけ出場。17勝6分10敗とまずまずの成績を残しており、2002年にはシュトゥットガルト、2004年にはリールと対戦。また2001年にはアストン・ヴィラにホームで勝利しています。スラヴェンにとっては初のUEFAカップ挑戦となりました。
クルノスラフ・ユルチッチ新監督は、新補強選手を加えた4-3-3の布陣で挑みます。
GKイヴェシャ-DFポルドゥルガチュ、ラデリッチ、クリスティッチ、ボジャッツ-MFポサヴェツ、ソピッチ、チャヴァル-FWシェーヒッチ、クレシンゲル、ヴルチーナ

Svrucinaピッチ上の温度が52度(!)という灼熱の中で試合がスタートし、序盤はスラヴェンが次々と好機を見出したながらも、10分、テウタのFWクシャファイがエリア内でDFクリスティッチを振り切り、近距離からゴール左上隅にゴールを決め、スラヴェンは先制されてしまいます。
しかし、18分、ヴルチーナ(写真)がエリア内で倒されて得たPKをポサヴェツが決め、同点に追いつきます。22分にはテウタのDFカパイが早くも二度目のイエローで退場すると、その後は完全にスラヴェンのペースになりました。
28分、ポルドゥルガチュの右クロスにシェーヒッチが倒れこみながらのボレーシュートを叩き込み、逆転に成功。後半47分にも、ポサヴェツの左CKからシェーヒッチがヘディングで追加点を決め、3-1に。60分には相手の守備陣が集中が切れたところを俊足FWのヴルチーナが決め、更にリードを広げます。
66分、テウタも右CKからブラフサがヘディングを決めて2点差に追い詰めますが、83分にソピッチのパスを受けたヴルチーナが華麗なトラップから冷静に決め、ロスタイムにはチャヴァルの左クロスからボシュニャクがゴール前に飛び込んでシュートを決め、安全圏ともいえる6-2のスコアで終えました。

イヴァンコヴィッチ監督に干されていたディナモ・ザグレブ所属のGKイヴァン・トゥリーナ(26)が、ギリシャ一部リーグのスコダ・クサンシに移籍、4年契約を結びました。
ディナモ・ユースで育ち、恵まれた体格から将来を嘱望された彼でしたが、2003年以降に正GKを任されたのにもかかわらず、好不調の波が激しいために信頼を持たれませんでした。今季のシーズン前の合宿においては、新加入のドイツ人GKコッホを侮辱する発言をしたためにトップチームを追放。そのために移籍先を探しておりました。移籍の妨げにならないよう、クラブはクサンシから移籍金を要求しておりません。

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2007年7月19日 (木)

ディナモ、CL予備戦一回戦から苦戦

17日、チャンピオンズ・リーグ2007/2008シーズンが実質的な開幕。予備戦1回戦において、クロアチア王者のディナモ・ザグレブとアゼルバイジャン王者のハザール・レンコランが対戦しました。ハザールの本拠地が国際試合を行える環境にないため、第1戦はアゼルバイジャンの首都バクーのタフィク・バフラモラフ・スタジアムで行われました(スタジアム名は1966年のワールドカップ決勝"イングランドvs.ドイツ"の疑惑のゴールを生んだ線審にちなむ)。

ディナモは昨年に引き続き、4-2-3-1を採用。セカンドトップにショコタを置いた以下の布陣を敷きます。12日のヴォルフスブルクとの親善試合では、ゲームを支配した上に2-1で勝利したこともあり、今季最初の試合を前にしたチームを取り巻く雰囲気も高いものがあります。
GKコッホ-(右から)DFチョルルカ、ドゥルピッチ、カルロス、チャレ-MFヴコイェヴィッチ、ポクリヴァチュ-サミール、ショコタ、モドリッチ-FWタディッチ
一方、ハザールは3バックの以下の布陣でした。
GKアガイェフ-DFジュタウタス、ジョンバゾフ、トドロフ-MFアブドゥラエフ、アミルグリイェフ、グリイェフ、スルタノフ、グリイェフ、ジュニオール、バフシイェフ-FWラマザノフ

ディナモのアシスタントコーチ、ライコ・マギッチ氏がハザールの練習試合を視察した際は、スピードに欠ける組みやすい相手だと分析したのですが、実際に対戦したハザールは速攻堅守の好チームでありました。とりわけ俊足FWラマザノフにディナモ守備陣が振り回される場面が何度も見られました。
ディナモは連携に欠けた上にパスミスが続出。常に平均点以上のプレーをするモドリッチですら、この日は精細に欠けます。23分、ハザールはスルタノフのシュートが弾かれたところを、ラマザノフが右隅を狙いすましてシュートしますが、新守護神のGKコッホが好セーブを見せます。
ディナモも32分、チョルルカの右クロスからタディッチがジャンピングボレーを試みますが、ボールはゴールバーの上に。37分にはサミールが右サイドをドリブルで突破し、そのままペナルティエリアに侵入してシュートしますが、枠を捉えきれません。
42分、ラマザノフが細かいステップからマーカーのカルロスを振り切り、ドゥルピッチまでもかわしてシュート。近距離のシュートをGKコッホが防ぎ、弾いたところをジュニオールが単に押し込むだけのところを失敗。この場面でもディナモは救われました。
後半頭からタディッチに代えて、新加入のFWマンジュキッチを投入します。しかしながら、55分にモドリッチが不用意に蹴ったボールが後方へと行き、最後列のドゥルピッチが反応に遅れてしまい、ボールは詰めていたラマザノフへ。そのまま俊足を飛ばして、最後は一対一を冷静に決められて、ハザールが先制します。
とはいえ、ディナモはその8分後、モドリッチから中央のマンジュキッチにボールが渡ると、サミールと途中交替で入った怪我上がりのエトー(写真)が右サイドから爆走し、彼へとパス。クリアに入るべきDFトドロフのミスも手伝い、エトーがシュートを決めて同点に追いつきます。
72分、マンジュキッチと交錯したMFグリイェフが、立ち上がろうとしたマンジュキッチの足を引っ掛けて一発退場。ディナモが人数的に優位に立ちます。しかし、4分後にはハザールのジュニオールがバイタルエリアから正確なミドルシュートを放たれ、これもGKコッホの好セーブで逃れます。
ディナモの決定機は82分、ヴコイェヴィッチの右クロスに中央フリーのショコタがヘディングで押し込むだけにもかかわらず、GKの正面を突いてしまいます。試合感がないショコタとはいえ、エドゥアルドだったならば、ほぼ決めていたシーンでありました。
結果は1-1のドロー。ディナモにアドバンテージがあるとはいえ、予想外の結果にマスコミやサポーターの批判が集まっております。第2戦は24日、ディナモの本拠地、マクシミール・スタディオンで行われます。

ディナモ・ザグレブは、ブラジル人FWオスマール・フェレイラ・ジュニオール(20)と5年契約を結びました。オスマールはフルミネンセ・ユースの出身で、U-18ブラジル代表歴もあり、ディナモのテストをしばらく受けた上での獲得となりました。オスマールはそのままインテル・ザプレシッチにレンタルされることになっています。ちなみに移籍金は発生しません。

ディナモ・ザグレブのユニフォーム・サプライヤーが、これまでのアンブロに代わり、ディアドラとなり、このほど6年契約を結びました。11日には新たなユニフォームが紹介され、ホーム用のこれまでのブルーのほかに、欧州カップ用アウェーの紺、また国内用アウェーとして初めてオレンジが採用されています。

11日、ディナモ・キエフが、ラトビア代表FWマリス・ヴェルパコヴスキス(27)のハイドゥク・スプリトへのレンタル移籍に最終合意しました。ヴェルパコヴスキスはレンタル移籍に伴ってディナモ・キエフとの契約を1年延長(2009年まで)。ハイドゥクが支払う年俸は30万ユーロとされています。

昨季はハイドゥクにレンタルされていたMFマリオ・ツァレヴィッチ(25)が、シュトゥットガルトとの2008年までの契約を破棄し、ベルギーのロケレンに移籍することが決まりました。シュトゥットガルトには2005年に移籍したものの、わずか6試合の出場に終わり、親友のダリヨ・スルナとは明暗が分かれつつあります。

ディナモ・ユース出身で、NKザグレブを経たのち2005~2007年までギリシャのエゲアロでプレーしていたMFマルコ・マリッチ(23)が、フランスの強豪クラブの一つ、リールに移籍することが決まりました。リヨンに移籍したボドメールの代わりとして期待されているようです。

FWマンジュキッチとMF/DFヴルドリャクの売却で資金を得たNKザグレブが、昨季のシベニクで司令塔を務めていたMFマルコ・カルテロ(26)を獲得。チーム史上最高額の10万ユーロの年俸で3年契約を結んでいます。既にシベニクとの契約は切れ、移籍金は発生しなかったため、外国のクラブやスラヴェン・ベルーポが関心を示していました。

チバリア・ヴィンコヴチが、スラヴェン・ベルーポを戦力外となったFWマリオ・ドディク(33)と一年契約を結んでいます。ドディクはポストプレーに優れたFWで、長きに渡ってスラヴェンの大黒柱でありましたが、昨季は干された状態でありました。

13日の午後20時15分、NKザグレブの本拠地クラニチェヴィチェヴ・スタディオン内のディレクター室で火災が発生。午後のトレーニングを終えて出てきたミロスラフ・ブラジェヴィッチ監督が、二階から煙が出ているのに気づき、上へと駆け上がり、廊下にある消火器を手にして鎮火させました。今年で72歳となるブラジェヴィッチの早い対応で、大事には至らずに済みました。原因はタバコの吸殻とされています。

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2007年7月10日 (火)

グループリーグ初戦ののち~17年前のオシムの発言を振り返る

アジアカップが開幕し、日本は初戦のカタールに引き分け。こちらからメディアやネットをチェックしていると、随分と世論でパニックが起きているように思えます。
6月29日に私が翻訳を手掛けたオシムの手記「日本人よ!」(新潮社)が発売されましたが、その制作を前に過去の新聞資料を色々と当たりました。

Sosim2_1  振り返ること17年前。1990年にイタリアで開催されたFIFAワールドカップで、オシム率いるユーゴスラビア代表はベスト8まで勝ち進みました。準々決勝のアルゼンチン戦でPK戦に負けてしまいましたが、民族対立のために国情が不安定で、かつ大会前からメディアに対しては四面楚歌だったにもかかわらずで、チームを戦う集団としてまとめ上げたのが紛れもないオシムでありました。
そのユーゴスラビア、グループリーグ初戦のドイツ戦ではサヴィチェヴィッチ、スシッチ、ストイコヴィッチら攻撃的MFをずらり並べ、後半55分にはプロシネツキまでも投入したものの、マテウスの2ゴールをはじめ、クリンスマン、ブレーメにシュートを決められて1-4と完敗。
しかしながら、次の難敵コロンビア相手には3人の新たな選手を加え、76分にヨジッチのゴールで1-0と勝利、以後チームは波にのることになります。
アジアカップとは状況が違うとはいえ、一つのスタディケースとして、ドイツ戦とコロンビア戦の2試合間におけるオシムの発言を取り上げてみようと思います。

(ドイツ戦直後の記者会見 [1990年6月11日])
「長きに渡って記憶するだろう然るべきレッスンを我々は受けた。誤った時期に、我々は強すぎる相手に飛び込んでいったのだ。我々の"芸術家"たちは、コンプリートな選手をも加えた労働者相手(ドイツ)に通用しないことが示されたのだよ。
我々の選手とドイツの選手の考え方は全く逆だ。自分たちが最高だと思い、同等に戦おうとしたけれども、相手はしっかりとチームを形成し、更に良くて強かったということだ。
現時点は非常にデリケートな状況だ。なぜなら、待ち構えているコロンビアの試合は、"全てか、あるいは無か"という戦いをせねばならないからだ。我に戻る必要がある。全ての敗北から本当の結論をももたらす必要があり、間違いなく変化をももたらすだろう。まずは正直になろう。今夜はまだ上手く切り抜けたほうだと。」

(ドイツ戦から一日開けて)
「誰もが初戦で多くを期待していたが、今の彼らでは無理であると誰もが目にすることになった。だから誰もが失望し、"ノックアウト"されてしまったのだよ。
私たちは選手を叩き起こし、積極性とスピードに向かわせなければならない。走る必要があるのだ。エンターテイメントとは何か、エレガントととは何かなどと根拠なしに論じるのではなく。ここでは、生きるか死ぬかの戦いをしているのだ!」

(試合前日)
「(スタメンの変更を聞かれ)
それは君たちで予想してくれ! 私は完全に決定を下していない。決定は単純ではないのだよ。これまで非難を浴びることはないと思っていたレギュラー陣に緊張感が漂っているのは良いことだ。
Sosim コロンビア戦は第一に勝たねばならない試合であり、また負けることが許されない試合だ。グループの他の試合に関連して、この先は勝点3だけでなく、勝点2で抜ける可能性がある(※当時は勝って勝点2、引分で勝点1)。なぜ自分たちに対してバルカンの頑固ぶりを押し付けなくてはいけなのだのね!?
流動性があり、スピードがあり、犠牲の準備ができ、"死ぬ"準備ができた布陣が私たちにはまさしく必要だ。もしかしたら、アトラクティブに機能しないかもしれないが、アトラクティブさは二次的なものだ。重要なのは、私たちが静まり返るのではなく、眠っているのではなく、麻痺しないことなのだよ。
そんな仕事に向いているのは、ここ数日に名前が挙がってきた選手たち(サバナゾヴィッチ、スタノイコヴィッチ、ブルノヴィッチ)だ。今までプレーしてきた選手たちの方が客観的に良いかもしれないが、彼らは紳士的に振る舞い始めたような印象がある。パッションを失い、"手袋"を見につけているかのような振る舞いをね。
命令する側の仕事には、もっと"人間臭い"ものがある。一度の敗北のあとは全てが人間臭く変わってしまうものだか、なぜ選手たちや、そして自分を疑わなくてはいけないのだね? それはパニックの兆候となりえてしまう。パニックは最悪の"協力者"なのだ……。」

「もっとリスクを持って戦うつもりだ。それは"愚か"という意味ではない。個々がアクションをシンプルにする必要があるし、より大きなコレクティブさが個々には必要だ。ワールドカップにおいて、私たち以外に"ボールと戯れる"ような国があるというのかね? 
つまり、守備と攻撃と両極面で更に効果的になるという意味だ。あっさりとゴールを食らうだけではなく、頭が痛くなるようなギミックにこだわるのではなくてね! 
カメルーンやコスタリカ、エジプトの選手たちは、必要ならば力強い犠牲心や疲労からでも燃え上がろうとする。足元が崩れたとしても、頭で相手のスパイクやゴールポスト、全てに向かっていく。しかし、我々の選手たちは? 背中を向けて、隠れているだけじゃないか!」

(コロンビア戦後のコメント [1990年6月15日])
「難しい試合だった。プレーはもっと難しかった。ドイツとの大敗ののち、我々は攻撃せねばならないと同時に、最大限の注意を払わねばならなかった。何とかその両方を結びつけることに成功したのだよ。私たちの勝利に批判はないと思う。
試合前は選手たちを落ち着ける必要があった。ある選手は興奮から一晩中、目を閉じることができなかった。とはいえ、大事なことは初戦のミスを繰り返さないことだ。この試合は最後における最難関のテストだった。そのテストに合格することに我々は成功したのだよ。
(布陣を変更したことについて)
以前のようでは無理だった。全員がどれだけ走ったのか、どれだけ戦ったのか見てやってくれ。この試合では全員が第一に結果のためにプレーした。芸術的な印象というのは"演奏における最後の穴"なのだよ。つまり、"芸術家"が多すぎることは、ここにおいて求めるものは無い。それが誰かにとって、正しいか正しくないかということだった。
いつも通り、選手個々の成果については話すつもりはない。前半においては、選手がお互いに要求をしっかりと交わしていたということは言及しておく。それは理解しえることだ。なぜなら、今まで一緒にやったことがなかった布陣だったからね。」

ちなみにユーゴスラビアのグループリーグ第3戦は奇しくも、次の日本の対戦相手と同じUAE戦であります。結果は4-1で圧勝。布陣では第2戦のコロンビア戦と同様に、労働者タイプのサバナゾヴィッチ、スタノイコヴィッチ、ブルノヴィッチが起用されています。

(インタビュー・写真はいずれもSportske Novosti紙)

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ディナモがFWマンジュキッチとDF/MFヴルドリャクを獲得

Svrdoljak ディナモ・ザグレブが、お隣のNKザグレブからFWマリオ・マンジュキッチ(21)とDF/MFイヴィツァ・ヴルドリャク(24・写真左)を引き抜くことに成功し、9日に公式サイトで獲得が発表されました。それぞれ5年契約を結び、移籍金は二人で250万ユーロとされています。
しなやかさと優れたゴール嗅覚を持つマンジュキッチは昨季11ゴールで注目を集めたU-21代表FWで、エドゥアルドが抜けたのち、ショコタ、タディッチしかいないFW層を埋める役割を期待されています。一方、ヴルドリャクはザグレブでボランチとして昨季31試合に出場。ただし、イヴァンコヴィッチ監督は本来のストッパーのバックアッパーとして彼に期待を寄せています。
二人ともビリッチ代表監督が将来的な代表候補としてA代表に招集したことがあり、ディナモは将来を見据えた効果的な補強をしたといえるでしょう。

クロアチア・リーグ新シーズンは7月21日に開幕。それぞれチームのおおよその戦力が固まってきました。主な選手の動きを紹介します。

【ディナモ・ザグレブ】
(加入)
GKゲオルグ・コッホ       (←デュイスブルグ[ドイツ])…ドイツ国籍
DFイヴィツァ・ヴルドリャク    (←ザグレブ)
MFフランク・マンガ・グエラ   (←ケルキラ[ギリシャ])…コートジボアール国籍
FWマリオ・マンジュキッチ   (←ザグレブ)
(放出)
GKトミスラフ・ヴラニッチ    (→インテル)…レンタル
GKマルコ・シャルリヤ     (→インテル)…レンタル
FWエドゥアルド・ダ・シルヴァ (→アーセナル[イングランド])
FWサシュコ・パンデフ     (→インテル)…レンタル、マケドニア国籍
FWアンデルソン・コスタ    (→アリス[ギリシャ])…ブラジル国籍

【ハイドゥク・スプリト】
(加入)
GKヴィエコスラフ・トミッチ   (←メヂュムリエ)
DFイゴール・トゥドール     (←ユベントス[イタリア])
MFフローリン・チェルナト   (←ディナモ・キエフ[ウクライナ])…レンタル、ルーマニア国籍
MFシニーニャ・リニッチ    (←リエカ)
MFスルヂャン・アンドリッチ (←パナシナイコス[ギリシャ])
FWニコラ・カリニッチ      (←シベニク)…レンタルから帰還
(放出)
GKズラトコ・ルニェ        (→ヴァルテクス)
MFフィリップ・マルチッチ    (→リエカ)
MFマリオ・ツァレヴィッチ    (→シュトゥットガルト[ドイツ])…レンタルから返却
FWトミスラフ・ブシッチ      (→ディナモ・キエフ[ウクライナ])…レンタル
FWニキッツァ・イェラヴィッチ (→ヴァレゲム[ベルギー])

【リエカ】
(加入)
GKゼディ・ラマダニ      (←プーラ)
DFイヴァン・ボジッチ     (←ベフェーレン[ベルギー])
DFイゴール・チャガリ     (←シベニク)
MFニコラ・シャファリッチ   (←ヴァルテクス)
MFフィリップ・マルチッチ   (←ハイドゥク)
FWラドミール・ヂャロヴィッチ (←エルチエシュポール[トルコ])…モンテネグロ国籍
FWアレン・シュコーロ     (←グラーツァAK[オーストリア])…ボスニア国籍
(放出)
MFシニーシャ・リニッチ    (→ハイドゥク)
MFイゴール・ノヴァコヴィッチ (→トムスク[ロシア])…レンタルから返却
MFドゥシャン・ケルケズ    (→AELリマソール[キプロス])…ボスニア国籍
FWアフマド・シャルビーニ   (→アル・ワフダ[UAE])

【ヴァルテクス・ヴァラジディン】
(加入)
GKズラトコ・ルニェ    (←ハイドゥク)
MFミリエンコ・ムムレク (←スラヴェン)
(放出)
DFクリスティアン・イプシャ (→エネルギー・コットブス[ドイツ])
MFニコラ・シャファリッチ  (→リエカ)
FWテオ・カルドゥム     (→リブールヌ[フランス])

【チバリア・ヴィンコヴチ】
(加入)
MFクレシミール・ブルキッチ (←カメン・イングラッド)
FWマリヤン・ヴカ         (←クーバン[ロシア])
(放出)
FWディノ・クレシンゲル   (→スラヴェン)

【インテル・ザプレシッチ】
(加入)
GKトミスラフ・ヴラニッチ     (→ディナモ)…レンタル
GKマルコ・シャルリヤ      (→ディナモ)…レンタル
DFパトリック・クウェディ      (→プーラ)…ディナモからレンタル、カメルーン国籍
MFマリオ・グルグロヴィッチ  (→プーラ)…ディナモからレンタル
FWサシュコ・パンデフ      (→ディナモ)…レンタル、マケドニア国籍
(放出)
FWぺタール・クルパン     (フリー)
FWヴェルディン・カーリッチ   (フリー)

【スラヴェン・ベルーポ】
(加入)
GKヴーニャ・イヴェシャ    (←プーラ)
MFクリスティアン・チャバル (←シベニク)
MFマリオ・ユリッチ       (←シベニク)
FWディノ・クレシンゲル    (←チバリア)
FWアシム・シェーヒッチ    (←ザマザ[スイス])…ボスニア国籍
(放出)
GKヤネ・ニコロスキ    (→アポエル[キプロス])…マケドニア国籍
MFミリエンコ・ムムレク  (→ヴァルテクス)
FWダリオ・ザホーラ    (→ドムジャレ[スロベニア])…ディナモからレンタル

【シベニク】
(加入)
MFウィリアム・タビ (←ポスシェ[ボスニア])…カメルーン国籍
(放出)
GKシルヴィエ・チャヴリナ  (→LASKリンツ[オーストリア])
DFパトリック・クウェディ   (→インテル)…ディナモからレンタル、カメルーン国籍
DFイゴール・チャガリ     (→リエカ)
MFクリスティヤン・チャバル (→スラヴェン)
MFマリオ・ユリッチ      (→スラヴェン)
MFドラジェン・ゴヴィッチ   (→ムスクロン[ベルギー])
FWニコラ・カリニッチ     (→ハイドゥク)…レンタルから返却

【ザグレブ】
(放出)
DFイヴィツァ・ヴルドリャク     (→ディナモ)
FWフルヴェイエ・チュスティッチ (→メヂムリェ)
FWマリオ・マンジュキッチ     (→ディナモ)

【ザダール】
(加入)
FWマテ・バトゥリナ (←ブネイ・イェフダ[イスラエル])

【メヂムリェ】
(加入)
MFマルコ・ヤニェトヴィッチ    (←フルヴァツキ・ドラゴヴォリャッツ)
MFヨシップ・ミラルドヴィッチ   (←オシエク)
FWフルヴォイェ・チュスティッチ (←ザグレブ)
(放出)
GKヴィエコスラフ・トミッチ   (→ハイドゥク)

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2007年7月 9日 (月)

移籍情報

Smamic_1 7日のスポルツケ・ノヴォスティ紙でのディナモのスポーツディレクター、ゾラン・マミッチ氏(写真)のインタビューが掲載され、アーセナルのヴェンゲル監督がMFルカ・モドリッチ(22)の獲得を考えていることを明らかにしました。マミッチはインタビューにて
「ヴェンゲルはモドリッチをとても欲している。昨日は電話で、"今は彼を買うつもりはない。チームに不和を生じさせたくないからだ。冬が来たら、真剣に話し合おう"と言った。ただ、アーセナルに行くというわけではない。もしバイエルンや他のビッククラブが信じられないようなオファーを出してきたならば、どうなるかは分からないよ。」
と語っています。

ディナモ・ザグレブはアーセナルに移籍したエドゥアルドしたのを受け、FW層を厚くするような選手を探しておりますが、NKザグレブのマリオ・マンジュキッチ(21)に100万ユーロのオファーを出す準備があることをズドラヴコ・マミッチ副会長が口にしています。DF/MFイヴィツァ・ヴルドリャク(24)も含めて計150万ユーロでオファーを出す、と口にしていますが、ザグレブのドラジェン・メディッチ会長は
「そんなお金は、ツヴィタノヴィッチやプロシネツキといった、名誉を持ってディナモのユニフォームを着た選手に使った方がいい。(※彼ら二人とラディッチ、イェリチッチらは給与未払いでディナモと係争中)」
とオファーを拒否しております。
Scaval また昨季はリーグ3位の得点を決めた、元セレッソで現ザグレブのFWクルノスラフ・ロヴレク(28・写真中)ですが、スイス、ベルギー、ロシア、中東といったクラブからオファーが届いており、近いうちに移籍が実現化するのが濃厚とされてまいす。

今季はUEFAカップに挑戦するスラヴェン・ベルーポが玄人好みな補強を進めています。
プーラからは205cmとリーグで最も背が高いGKヴァーニャ・イヴェシャ(30)。シベニクからは左サイドから好クロスを配球するMFクリスティヤン・チャバル(29・写真左)と、FWからSBまでプレーできるマリオ・ユリッチ(31)。スイスのザマザからは俊足の元ボスニア代表FWアシーム・シェーヒッチ(26)、何チームが競合した上でチバリアからFWディノ・クレシンゲル(25)を獲得しました。
クルノスラフ・ユルチッチ新監督は
「クオリティを高めるために適材適所かつ目的に見合った補強選手をつれてきたかった。10人の選手がチームを離れたのは好ましくないが、新たに5人の選手がやってきた。大きな仕事を成し遂げたし、近い将来はこれなど大きな変化をする必要性はないと思う。」
とコメントしています。ちなみに放出した主な選手はGKヤネ・ニコロスキ(マケドニア代表・→アポエル[キプロス])、MFミリエンコ・ムムレク(→ヴァルテクス)ぐらいで、実質的な戦力はプラスに傾いているといえるでしょう。

ハイドゥク・スプリトと交渉していた前オーストラリア代表DFトニー・ポポヴィッチ(34)ですが、条件面で折り合わず、最終的にはFCシドニーに行くことになりました。サンフレッチェ広島やクリスタル・パレスでもプレーしたポポヴィッチはオーストラリア生まれのクロアチア移民であり、またハイドゥク・ファンだったわけですが、希望した年俸が40万ユーロに対して、ハイドゥクの提示額は20万ユーロと開きがありました。また一度合意した条件を、翌日には変更する"クロアチア仕事"に不信感を抱いたのも決裂の理由となったとされています。

6日、クロアチア一部リーグ協会で話合いが行われ、新会長のイゴール・シュティマッツのもと、2008/09シーズンから現行の12チームから16チームへとチーム数を増加を希望するという声明を発表しました。クロアチア・サッカー協会との話合いが必要で、チーム増加に反対するマルコヴィッチ協会長とシュティマッツが話合いを持つことになります。チーム増加を希望する理由としては、現行の12チームでは降格争いのプレッシャーが大きく、自然と若手が起用される機会が少なくなることが挙げられます。ちなみにディナモは一部リーグ協会の会合にボイコットしております。

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2007年7月 5日 (木)

モドリッチ、シャフタールの総額2500万ユーロの移籍を拒否

Sdinamo ディナモ・ザグレブにシャフタール・ドネツクが、MFルカ・モドリッチ(21・写真右)に対して総額2500万ユーロ(ディナモに1500万ユーロ、モドリッチに1000万ユーロ)のオファーを書面にて送ってきたものの、モドリッチ本人がこのオファーを拒否しました。マミッチ副会長は
「シャフタールからの最新オファーがあったことを伝えるためにモドリッチと話し合った。彼はこの時期にディナモを離れることはないと決心し、(エドゥアルドに続いて)二人目の放出をすることはせず、シャフタールには感謝だけをしておいた。モドリッチがこのように決めてくれたことはクラブの誰もが喜んでいる。」
とコメント。一方、モドリッチは
「オファーは名誉だけど、少なくとももう半年はディナモに残りたい。まだまだオファーはあるだろう。」
と語っています。モドリッチはエドゥアルドに代わる新キャプテンにも指名されております。
またマミッチ副会長はエドゥアルドの移籍にも触れ、税金や年俸を含めた総額では2400万ユーロ(アンリの移籍金)を超えることも口にしています。

またDFヴェドラン・チョルルカ(21・写真中央)に対しては、トッテナム・ホットスパーとエバートンがオファーを送っているものの、500万ユーロほどの移籍金では手放すことがないことをマミッチ副会長は言明しています。
それに加えて、アーセナルが守備的MFオグニェン・ヴコイェヴィッチ(24・写真左)にも関心を示しており、既に何ヶ月もチェックしているとのこと。ヴェンゲルは彼の運動量に注目しているそうで、その報道を聞いたヴコイェヴィッチも新たなモチベーションとしているそうです。本当かどうかは怪しいですが、アーセナルが準備している移籍金は500万ポンドとも言われています。
またディナモはパナシナイコスと契約が切れたMFイゴール・ビシュツァンの説得を図るとされており、年俸80万ユーロを準備しているそうです。

MFニコ・クラニチャール(22)が、このほどポーツマスとこれまでの契約を破棄し、条件を上げての3年契約を結び直しました。クラニチャールにはハイドゥク時代からオファーを送り続けているレンヌがレンタルの申し入れをしていたものの、ポーツマスが断っております。

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2007年7月 4日 (水)

エドゥアルド、アーセナルへ移籍

クロアチア代表であり、ディナモ・ザグレブの主将でもあるブラジル人FWエドゥアルド・ダ・シルヴァ(24・写真)がアーセナルに移籍、4年契約を結ぶことになりました。
Sdudu_4 7月1日にロンドンに呼ばれたディナモのマミッチ兄弟がアーセナルと合意。エドゥアルドは3日にロンドンへと渡って、メディカルチェックにもパスしました。あとは労働許可がおりれば最終契約となります。背番号は9番。移籍金に関しては伏せられており、イングランドのメディアは移籍金を800~1000万ユーロだと推測、一方、クロアチアのメディアは欧州を視野に入れたディナモが1000万ユーロ程度で売ることは考えられず、移籍金が1500万ユーロ、4年間の年俸を含めての2400万ユーロではないかと推測しています。
昨季のエドゥアルドはリーグ32試合で34ゴールでシーズン最高得点を記録しただけでなく、10アシストは2シーズン連続トップ。クロアチア代表における7ゴールやカップ戦での得点も含めれば、一年間で公式戦54ゴールを叩き出しました。昨年のチャンピオンズリーグ予備戦3回戦の第2戦ではアーセナル相手に開始早々にゴールを決め、以降、ヴェンゲルとアーセナルのスカウトが常にエドゥアルドのプレーぶりをチェックしていたそうです。イタリア戦やイングランド戦でもゴールを決めるなど、強豪相手でも遜色なく結果を出したことで彼の評価は絶対的なものとなりました。
もちろんのこと、この移籍はクロアチア国内でセンセーショナルに報じられ、同時にクロアチアでサクセス・ストーリーを築いたエドゥアルドへの賞賛とサポーターの感謝の声が上がっております。アーセナルへの移籍を聞かれたエドゥアルドは
「興奮しているよ。嬉しいし、誇りを感じている。アーセナルというビッグクラブに移籍するのだから。けれども一方では、悲しさも感じている。だって8年間も僕はディナモで過ごし、ここで順応したのだし。(ディナモを離れるために)最初は少し辛いだろう。もしかしたら、キャリアの最後にディナモへと戻ってくるかもしれない。僕の移籍によって、ディナモの選手も世界で最高のチームでプレーできることが分かり、誰もディナモを過小評価することは許されないことだろう。
10歳の時にはバルセロナやレアル・マドリッド、マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルでプレーすることを考えていた。しかし、年を重ねていくうちに、サッカー選手であること、子供の夢を叶えることは簡単ではないと理解したんだ。5大リーグのチームでプレーしたいとは思っていたけど、正直、世界最高のチームの一つであるアーセナルに落ち着くものとは希望すらもしてなかった。
だから、ゾラン・マミッチからアーセナルに行くか?と聞かれた瞬間の私の表情を想像してごらんよ。あとはメディカル・チェックと契約書のサインでロンドンに行くだけ、と聞かされた夜は穏やかではなかった。目を閉じることすらも簡単ではなかったよ。でも驚きがたくさんあるのが人生というもの。自分は一晩で変わってしまったのさ。アーセナルでは更に成長したいし、チャンスを得て、最高の形で結果を出すことを願っている。震えは感じてないし、新たな大きな挑戦を冷静に受け入れている。偉大な選手の誰だって血と肉体だけで成り立っているのだからね。」
とコメントをしております。
Sdudu2_5 またアーセナルから色々とエドゥアルドに関して質問されていたというビリッチ代表監督は
「私にとっては、これはクロアチア・サッカーが素晴らしく認識されたと考えている。"エドゥアルド、アーセナルへ移籍"というニュースは、クロアチア・リーグからでもアーセナルに行けるという美しいメッセージだ。クロアチア・リーグが世界の果てで行われるリーグではない、という明らかな兆候だ。エドゥアルドがアーセナルでプレーできるか?と質問することは野暮なほど、彼はクオリティを持っている選手だ。アーセナルは彼にとって完璧なクラブだろう。なぜなら、ヴェンゲルのサッカーの哲学は「プレー」することだからだ。」
と語っています。
アンリがバルセロナに移籍してしまったアーセナルですが、エドゥアルドはペナルティエリア内での嗅覚と落ち着きぶりに優れるだけでなく、連携や守備ではコレクティブにも機能することから、MFとしても起用できる彼はヴェンゲルにとっても重宝する存在でしょう。

エドゥアルドの移籍の一方で、ディナモにとっては明るくない事件も起きております。
6月30日、ディナモ・ザグレブとラピッド・ウィーンの練習試合が、ディナモの合宿地であるオーストリアのカプフェンベルクで行われました。
試合そのものは13分にラピッドに先制されるものの、その後は押し気味に試合を進めて、77分にタディッチのゴールで同点に追いついて1-1。しかし、試合終了5分前にディナモのサポーター「バッド・ブルー・ボーイズ(BBB)」がスタンドから出て行く際に地元警察官と衝突。BBB約250人にラピッド・ウィーンのサポーターも加わり、合わせて計300人近いサポーターが、50人ほどの警官隊と52分に渡って衝突しました。静かな町が一転して暴動の場となり、近場にあった自動車や自転車などが被害に遭った上、警官30人が怪我をして9人が逮捕。この事件も機にディナモはオーストリアでの残りの練習試合を中止せざるえなくなっています。
またディナモは新たなGKとしてドイツ人のゲオルグ・コッホ(35)を獲得したものの、第2GKのイヴァン・トゥリーナがが練習中や新聞のインタビューでコッホを侮辱する発言をしたことで、イヴァンコヴィッチ監督が合宿地から追放しました。それに加えて第1GKのフィリップ・ロンチャリッチもドクターの指示を誤って受け取り、練習を休んだためにトゥリーナと共に一緒に追放。ただでさえ、GKのクオリティが弱点のディナモだけに窮地に置かれています。

またハイドゥク・スプリトが、ラトビア代表FWマリス・ヴェルパコヴスキス(27)と1年間のレンタル契約を結ぶことになりました。年俸は30万ユーロとされています。
ヴェルパコヴスキスはディナモ・キエフでのチームメイトであり、親友であるイェルコ・レコとアドリア海のクルージングを楽しんだのち、29日にハイドゥクの首脳陣とクロアチアのヴォディーチェで話合いを持ち、条件に合意しました。
2004年ユーロでも注目されたヴェルパコヴスキスはディナモ・キエフに所属し、昨年はヘタフェにレンタルされていました。ハイドゥクにとってはルーマニアのフローリン・チェルナトに続き、二人目のディナモ・キエフからのレンタル選手になります。

6月30日、インタートトカップ一回戦第2戦が行われ、ザグレブはアルバニアのヴラズニアに0-1で敗北。トータルスコア2-2で、アウェーゴール2倍ルールが適用され、早くも敗退が決まっております。ブラジェヴィッチ監督の進退が注目されていますが、チームとしては彼を更迭する考えはないことを明らかにしています。

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