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2007年8月10日 (金)

オシムのロングインタビュー(その2)

8月7日付のSportske Novosti紙に掲載された、イヴィツァ・オシム日本代表監督のロングインタビューの第2弾を紹介します(写真)。アジアカップの内容が中心で、カタール戦後の真相にも触れた興味深い内容になっています。

Sosim -アジアカップで貴方は決勝トーナメントに進んだが、三連覇に到ることは成功しなかった。日本人は不満を抱いているのか?
「期待が満たされなかった場合、それがどんな期待なのか、現実的な期待か非現実的な期待かどうかには関わらず、誰もが不満を抱くものだ。イラクと同様、私たちは6試合を戦った。しかし、イラクは優勝し、私の日本は4位だ。もちろん、批判を耳にするが、それは承知している。舞い上がった埃が少し落ち着くのを待っている。それから協会の人たちと話し合うつもりだ。」

-何について話すつもりなのか?
「日本は決してブラジルのようにプレーすることはないし、ドイツのようにプレーすることはない。日本はヨーロッパ化することもできなければ、南米化することもできないのだ。日本は何年間もそれを試してきたとはいえね。日本は自分の起源へと帰らなければならないのだよ。
日本人は特別なサッカー的価値を持っているのだ。持久力があり、アグレッシブさがあり、機敏さがあり、規律を持ち、平均以上の個人技を持っている。日本は日本のサッカーをプレーしなければならないし、私はそれを強調していくつもりだ。」

-イラクがアジア王者になったことに、どれだけ驚いているか?
「イラクはサプライズではない。イラクはクオリティを持っており、アジアでは誰が相手であっても勝つことができる。イラクの選手たちは強靭だし、サッカーを知っている。しっかりと自覚を持ち、自信に満ち溢れている。彼らはアジアカップの準備期間を多く持っていたし、他のチームにない何かも持っていた。イラク国内における困難な状況が、彼らにとっては更に上をゆくモチベーションとなったのだよ。」

-現在のアジア・サッカーはどんなものか?
「ほんの7~8年前のアジアカップは、ようやく8~12ヶ国を集められるほどの大会だった。その頃は、どの国が決勝に勝ち進むかをとても簡単に予想できた。まるで、ワールドカップでどの国が予選を突破するかが分かっているかのようにね。実力差は大きかったのだよ。
しかし、非常に短い時代で、東方(アジア)の国々のサッカーはラディカルに変化した。今日のアジアでは、非常に優秀な代表チームが20ヶ国はないとしても16ヶ国はいる。ソ連の時にはまったくサッカーとの関連性に触れることはなかったにもかかわらず、現在では非常に優れた代表チームを持つウズベキスタンのような国が現れているのだ。」

-アジアカップでは再び、貴方のユーモアあるコメントに日本人が笑うことになった。日本の最後の試合(韓国戦)のあと、全てのメディアが貴方の最後のコメントを報道していた。
「ああ、日本がアジアカップで4位になったことを表現した際の、"私たちはお尻をさらけ出したままになった"というフレーズを誰もが気に入っているようだ。
残念ながら、私たちは誤った試合で負けてしまった。サウジアラビアとの準決勝だ。もし私たちが初戦で負けていたならば、全てがまったく異なり、あの試合には勝っていたかもしれない。初戦については、誰もが一言も触れることはしないだろうから。」

-準々決勝のオーストラリア戦でも、3位決定戦の韓国戦でも貴方はPK戦を見なかったことが注目されたが。
「1990年のワールドカップ準々決勝、ユーゴスラビアvs.アルゼンチン戦の時から私はPK戦を見ていない。既に"決して私はPK戦を見ることはしない"と自分に言い聞かせるほどのショックを当時に経験していたのだよ。だから私は見ないのだ。PKは明らかなギャンブル。心臓に悪いし、私は日本のベンチで死にたくはない。」

-カタール戦での1-1のあと、選手たちに"お前たちは普通のアマチュア選手の集団だ"と貴方が言ったというのは本当か?
「それはメディアが(勝手に)書いたことだ。報道されてはいない異なることを私は言った。
私のチームはカタール戦で非常に良いプレーをし、1-0でリードし、数多くのチャンスを作っていた。しかし、最後に意味のないゴールを食らってしまった。試合後、私たちはドレッシングルームへと入り、どのように選手たちがプレーしていたかを彼らに比喩で表現したかったのだよ。それを翻訳するように日本人通訳に頼んだあと、私はクロアチア語でこう言った。
"お前たちは100リットルのミルクを出す雌牛のようにプレーした。しかし、蹴られてしまって、全てのミルクをこぼしてしまった。"
通訳は考え込み、無言になってしまった。私は彼に尋ねた。
"お前はそれを訳せるのか?"
彼はそれで泣いてしまった。私が何を言ったか考えると、パッと(状況を)理解した。"お前たちは雌牛だ"と私が選手たちに言いたかったと、通訳は思っていたのだとね。彼はそれを翻訳したくなかった。なぜなら、選手を侮辱したくなかったからだ。
私もそれ(侮辱すること)は望んでいなかった。なぜなら、選手たちを侮辱する監督はいかなる監督でもないからだ。後になって、私が何を言いたかったのかを通訳に細かく説明した。彼は笑顔になったよ。とはいえ、理解したところでそれを訳してくれたかは疑わしいけどね。」

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インタビュー記事にはもう一つ、オシムがジェリェズニチャールを指揮していた時のFWニコラ・ニキッチ(現ボスニア・ヘルツェゴビナU-21代表監督)のエピソードも掲載されていました。他でも紹介される有名な話だけに翻訳してみました。

オシムはある試合で私をベンチに置いた。サポーターは試合が始まると直ぐにコールを始めたよ。
"俺たちゃニコラを望んでいる!"
オシムは私にウォーミングアップするよう指示した。私は70分も(ウォーミングアップで)走り続け、沸騰したような状態だった。サポーターは叫んだ。
"ニコラ! ニコラ!"
オシムは終了5分前に私をベンチに呼び寄せ、私もトレーニングウェアを脱ぎ始めた。しかし、彼はこう言う。
"脱がなくていい。お前がピッチに行くことはない"
私は言った。
"監督、ならば私は何を?"
"お前は上(スタンド)に行け"
"上(スタンド)で私が何を?"
そう尋ねると、オシムはこう言ったのだよ。
"ほら、(サポーターが)お前を求めているのを、お前も知っているだろう"
私はトレーニングウェアを着て、サポーターの間に向かった。汚い言葉を吐きながらね……。

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