ディナモ、またしてチャンピオンズリーグ予備戦で敗退
29日、チャンピオンズリーグ予備戦三回戦「ディナモ・ザグレブvs.ヴェルダー・ブレーメン」の第2戦が、35000人の超満員で膨れ上がるマクシミール・スタディオンで行われました。
初戦では前半の幾度にも渡るチャンスを活かせず、1-2で敗れたディナモ。とはいえ、状況は10年前の予備戦三回戦、ニューキャッスル・ユナイテッド戦と同じで、この時は延長までもつれ込む好試合を演じました(私が初めてクロアチアで観た試合でもあります)。2000/2001シーズン以来、チャンピオンズ・リーグ本戦とは縁がないだけに、アップセットに賭ける思いは大きいものであります。イヴァンコヴィッチ監督は、バラバンとマンジュキッチを縦に並べた布陣(4-2-3-1)を敷きました。
GKコッホ-(右から)DFエトー、ドゥルピッチ、シルデンフェルト、カルロス-MFヴコイェヴィッチ、ポクリヴァチュ-サミール、マンジュキッチ、モドリッチ-FWバラバン
ヴェルダーは先のニュルンベルク戦にようやく勝利したものの、フリングス、フリッツ、ウォメ、ボロウスキら怪我人は回復せず、更にカルロス・アルベルトが離脱。シャーフ監督は、MFヴラニェシュとFWアルメイダを新たに先発起用し、以下の布陣(4-3-1-2)で挑みました。
GKヴィーゼ-DFパサネン、メルテザッカー、ナウド、シュルツ-MFヴラニェシュ、バウマン、イェンセン-ディエゴ-FWサノゴ、アルメイダ
勝ち抜けるためには「1-0」で充分なディナモ。ゲームをコントロールすべきはずが、ヴェルダーのプレッシングに苦しみ、パスミスが続出。第一戦と打って変わって動きが鋭いディエゴ(写真中央)を中心に、2~3本のパスで一気に攻め込まれます。それに加えて、ハウゲ主審(写真左)をはじめとするフィンランド審判陣の不可解なジャッジに、選手たちが神経質になってしまいました。
もっとも酷かったのは12分、ディエゴが右FKでペナルティエリアへとクロスを入れた際、落下地点とは離れたところでアルメイダが交錯して倒れたのですが、ハウゲ主審はPKをヴェルダーに進呈。試合後にヴェルダー関係者も口を紡ぐほどの誤審であり、観ている誰もが一瞬何が起こったのかが理解できないほどのレベルのジャッジでありました。キッカーのディエゴは左下隅に蹴り込んで、ヴェルダーが先制。ディナモのゲームプランは狂ってしまいます。20分にはディナモが右CKを得たのですが、落下地点のマンジュキッチがディエゴに引きずり倒されたのにもかかわらず、こちらにはPKのジャッジがなかったため、スタンドは更に怒りが充満してしまいました。
しかし、その直後、カルロスの左クロスをバウマンがクリアし損ねると、ペナルティエリア手前のヴコイェヴィッチが転がってきたボールを振り抜き、ボールはネット右隅に吸い込まれ、ディナモが同点に追いつきます。
息を吹き返したディナモは、28分、モドリッチの右FKからファーポストのバラバンがヘディングシュート。しかし、GKヴィーゼが好反応をみせ、追加点を奪うことができません。33分には、早いリスタートからペナルティエリアに走り込むバラバンへボールが渡り、滑り込みながらシュートをするものの、ボールは枠の右上隅に弾かれてしまいました。 勢いと共に前係りになってきたディナモに対し、ヴェルダーは38分、クロスをカットしたメルテザッカーから前線に残るディエゴへロングパス。3対3によるカウンターの形を形成し、ディエゴはシルデンフェルドのタックルをかわすと左のアルメイダへ。アルメイダのシュートはGKコッホが弾いたものの、こぼれ球が右のサノゴに渡ってしまい、あっさりと決められて、2-1とリードを広げられてしまいました。
とはいえ、ディナモは41分、サミールの縦パスにバラバンがペナルティエリアに突っ込んだところをシュルツが倒し、多少はダイブ気味だったとはいえ、PKの判定(写真)。キッカーのモドリッチは左にきちっと決めて、再び同点に追いつきます。
ディナモが勝ち抜くためにはあと2点必要。しかしながら、後半になるとパタッとリズムが落ちてしまいます。ヴェルダーのシャーフ監督は"土曜のブンデスの試合のために、余りに力を無駄にしないよう"(ヴラニェシュ談)、選手に指示することで守備に徹底します。中央から攻め込もうにも今日のモドリッチは幾らか精細に欠け、また両サイドから崩そうにもメルテザッカーとナウドの197cmCBコンビによる壁に弾かれてしまいます。ヴグリネツ、ミキッチ、グエラを次々に投入しても効果はなし。
膠着した状態に陥った70分、左サイドからディエゴが突破を図ったところを、エトーが接触。ディエゴも綺麗に倒れて、みたびPKの判定。ディエゴは右上にシュートを叩き込み、3-2と再び勝ち越します。
望みを絶たれたディナモは90分、バラバンのスルーパスに縦へと抜けたグエラが決定機を迎えたものの、シュートはポスト左に逸れてしまい、そのまま敗北。トータルスコア3-5で敗退が決定し、今年もチャンピオンズ・リーグ本戦出場はお預けとなってしまいました。
試合後、イヴァンコヴィッチ監督は 「残念ながら我々は成功しなかったよ。ヴェルダーには経験とクオリティがあるにもかかわらず、我々の方が勝利に近かった。客観的に見ても、90分間は我々が支配し、ゲームのリズムを作り、そしてプレッシャーを相手に掛けようと試みた。リスクを背負ったわけだが、ヴェルダーのようなチームに対しては危険に陥る可能性があることも知っていた。(2失点目のような)3対3の形でゴールを奪われることが起きないように、リスクをコントロールすべきだったのだが……。」
とコメント。一方、シャーフ監督(写真)は
「チームとして我々は優れていると考えている。強い相手に対してしっかりとプレーすることができた。ディエゴが全ての危険なアクションに絡んだことは賞賛に値する。
(最初のPKのファウルは)私の場所からは見えなかった。審判のジャッジに関していえば、ヴェルダーもあらゆることを経験している。それもサッカーだ。」
と語っています。
ディナモのキャプテン、モドリッチ(写真右)は
「僕たちは持っているもの全てを出したと思う。しかし、残念ながら夢を実現させることは成功しなかった。最初のPKが僕たちをくじかせたが、ファウルがあったどうかは分からない。とはいえ、ヴァルダーは勝ち抜けに値したと思うし、僕たちはブレーメンでの初戦でチャンスを台無しにしてしまった。」
また、この日のMOMのディエゴ(写真左)は
「ディナモは良いチームであるが、今は審判のジャッジについてやたらと言及していると耳にしている。ジャッジについて触れることよりも、僕たちが優れたプレーしたから勝ち抜けたのだと強調をしたいよ。モドリッチはとても良い選手だが、ディエゴかモドリッチのどっちが優れているか、なんとインテリジェンスに欠けた話を持ち出した彼の監督に問題がある。ディナモの監督は相手に対してリスペクトを示さなかった。余りにもそのテーマを話しすぎたのは明らかだ。」
と、試合前に自分に批判を浴びせたイヴァンコヴィッチをやり返しています。
ディナモはUEFAカップ一回戦へと回り、そこを乗り越えてのリーグ戦で欧州路線の活路を見出すことになります。
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