« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »

2007年8月31日 (金)

ディナモ、またしてチャンピオンズリーグ予備戦で敗退

29日、チャンピオンズリーグ予備戦三回戦「ディナモ・ザグレブvs.ヴェルダー・ブレーメン」の第2戦が、35000人の超満員で膨れ上がるマクシミール・スタディオンで行われました。

Ssimgp5266初戦では前半の幾度にも渡るチャンスを活かせず、1-2で敗れたディナモ。とはいえ、状況は10年前の予備戦三回戦、ニューキャッスル・ユナイテッド戦と同じで、この時は延長までもつれ込む好試合を演じました(私が初めてクロアチアで観た試合でもあります)。2000/2001シーズン以来、チャンピオンズ・リーグ本戦とは縁がないだけに、アップセットに賭ける思いは大きいものであります。イヴァンコヴィッチ監督は、バラバンとマンジュキッチを縦に並べた布陣(4-2-3-1)を敷きました。
GKコッホ-(右から)DFエトー、ドゥルピッチ、シルデンフェルト、カルロス-MFヴコイェヴィッチ、ポクリヴァチュ-サミール、マンジュキッチ、モドリッチ-FWバラバン

ヴェルダーは先のニュルンベルク戦にようやく勝利したものの、フリングス、フリッツ、ウォメ、ボロウスキら怪我人は回復せず、更にカルロス・アルベルトが離脱。シャーフ監督は、MFヴラニェシュとFWアルメイダを新たに先発起用し、以下の布陣(4-3-1-2)で挑みました。
GKヴィーゼ-DFパサネン、メルテザッカー、ナウド、シュルツ-MFヴラニェシュ、バウマン、イェンセン-ディエゴ-FWサノゴ、アルメイダ

Ssimgp5344 勝ち抜けるためには「1-0」で充分なディナモ。ゲームをコントロールすべきはずが、ヴェルダーのプレッシングに苦しみ、パスミスが続出。第一戦と打って変わって動きが鋭いディエゴ(写真中央)を中心に、2~3本のパスで一気に攻め込まれます。それに加えて、ハウゲ主審(写真左)をはじめとするフィンランド審判陣の不可解なジャッジに、選手たちが神経質になってしまいました。
もっとも酷かったのは12分、ディエゴが右FKでペナルティエリアへとクロスを入れた際、落下地点とは離れたところでアルメイダが交錯して倒れたのですが、ハウゲ主審はPKをヴェルダーに進呈。試合後にヴェルダー関係者も口を紡ぐほどの誤審であり、観ている誰もが一瞬何が起こったのかが理解できないほどのレベルのジャッジでありました。キッカーのディエゴは左下隅に蹴り込んで、ヴェルダーが先制。ディナモのゲームプランは狂ってしまいます。20分にはディナモが右CKを得たのですが、落下地点のマンジュキッチがディエゴに引きずり倒されたのにもかかわらず、こちらにはPKのジャッジがなかったため、スタンドは更に怒りが充満してしまいました。
しかし、その直後、カルロスの左クロスをバウマンがクリアし損ねると、ペナルティエリア手前のヴコイェヴィッチが転がってきたボールを振り抜き、ボールはネット右隅に吸い込まれ、ディナモが同点に追いつきます。
息を吹き返したディナモは、28分、モドリッチの右FKからファーポストのバラバンがヘディングシュート。しかし、GKヴィーゼが好反応をみせ、追加点を奪うことができません。33分には、早いリスタートからペナルティエリアに走り込むバラバンへボールが渡り、滑り込みながらシュートをするものの、ボールは枠の右上隅に弾かれてしまいました。
Ssprekrsaj_nad_balabanom_za_penar_d 勢いと共に前係りになってきたディナモに対し、ヴェルダーは38分、クロスをカットしたメルテザッカーから前線に残るディエゴへロングパス。3対3によるカウンターの形を形成し、ディエゴはシルデンフェルドのタックルをかわすと左のアルメイダへ。アルメイダのシュートはGKコッホが弾いたものの、こぼれ球が右のサノゴに渡ってしまい、あっさりと決められて、2-1とリードを広げられてしまいました。
とはいえ、ディナモは41分、サミールの縦パスにバラバンがペナルティエリアに突っ込んだところをシュルツが倒し、多少はダイブ気味だったとはいえ、PKの判定(写真)。キッカーのモドリッチは左にきちっと決めて、再び同点に追いつきます。

Ssimgp5484  ディナモが勝ち抜くためにはあと2点必要。しかしながら、後半になるとパタッとリズムが落ちてしまいます。ヴェルダーのシャーフ監督は"土曜のブンデスの試合のために、余りに力を無駄にしないよう"(ヴラニェシュ談)、選手に指示することで守備に徹底します。中央から攻め込もうにも今日のモドリッチは幾らか精細に欠け、また両サイドから崩そうにもメルテザッカーとナウドの197cmCBコンビによる壁に弾かれてしまいます。ヴグリネツ、ミキッチ、グエラを次々に投入しても効果はなし。
膠着した状態に陥った70分、左サイドからディエゴが突破を図ったところを、エトーが接触。ディエゴも綺麗に倒れて、みたびPKの判定。ディエゴは右上にシュートを叩き込み、3-2と再び勝ち越します。
望みを絶たれたディナモは90分、バラバンのスルーパスに縦へと抜けたグエラが決定機を迎えたものの、シュートはポスト左に逸れてしまい、そのまま敗北。トータルスコア3-5で敗退が決定し、今年もチャンピオンズ・リーグ本戦出場はお預けとなってしまいました。

試合後、イヴァンコヴィッチ監督は
Schaaf 「残念ながら我々は成功しなかったよ。ヴェルダーには経験とクオリティがあるにもかかわらず、我々の方が勝利に近かった。客観的に見ても、90分間は我々が支配し、ゲームのリズムを作り、そしてプレッシャーを相手に掛けようと試みた。リスクを背負ったわけだが、ヴェルダーのようなチームに対しては危険に陥る可能性があることも知っていた。(2失点目のような)3対3の形でゴールを奪われることが起きないように、リスクをコントロールすべきだったのだが……。」
とコメント。一方、シャーフ監督(写真)は
「チームとして我々は優れていると考えている。強い相手に対してしっかりとプレーすることができた。ディエゴが全ての危険なアクションに絡んだことは賞賛に値する。
(最初のPKのファウルは)私の場所からは見えなかった。審判のジャッジに関していえば、ヴェルダーもあらゆることを経験している。それもサッカーだ。」
と語っています。

Ssdiego_i_modric ディナモのキャプテン、モドリッチ(写真右)は
「僕たちは持っているもの全てを出したと思う。しかし、残念ながら夢を実現させることは成功しなかった。最初のPKが僕たちをくじかせたが、ファウルがあったどうかは分からない。とはいえ、ヴァルダーは勝ち抜けに値したと思うし、僕たちはブレーメンでの初戦でチャンスを台無しにしてしまった。」
また、この日のMOMのディエゴ(写真左)は
「ディナモは良いチームであるが、今は審判のジャッジについてやたらと言及していると耳にしている。ジャッジについて触れることよりも、僕たちが優れたプレーしたから勝ち抜けたのだと強調をしたいよ。モドリッチはとても良い選手だが、ディエゴかモドリッチのどっちが優れているか、なんとインテリジェンスに欠けた話を持ち出した彼の監督に問題がある。ディナモの監督は相手に対してリスペクトを示さなかった。余りにもそのテーマを話しすぎたのは明らかだ。」
と、試合前に自分に批判を浴びせたイヴァンコヴィッチをやり返しています。

ディナモはUEFAカップ一回戦へと回り、そこを乗り越えてのリーグ戦で欧州路線の活路を見出すことになります。

| | コメント (3)

2007年8月28日 (火)

クロアチア・リーグ第6節

24・25日にクロアチア・リーグ第6節が行われました。

首位ディナモは、ホームにムヂムリエを迎えてました。この試合は入場無料となったことから、マクシミール・スタディオンは1万8000人の観客が集まりました。
司令塔のモドリッチは怪我明けということで無理をさせずにベンチスタート。またバラバンは先のオシエク戦の終了間際にレッドカードを貰ったことで欠場。タディッチをワントップにして、セカンドトップにマンジュキッチ、両サイドの攻撃的MFにグエラとサミールといった攻撃陣を配置しました。
Ssmandzkic この試合でキレていたのはマンジュキッチ(写真・中央)。14分にサミールが左クロスを上げると、エリア中央でチャレがヘディングで右に流し、最後はマンジュキッチがトラップ後にシュートを叩き込んで、先制に成功します。
31分には、オフサイドトラップをかいくぐったマンジュキッチにタディッチから縦パスが通り、最後は中央へと走り込んだポクリヴァチュへとボールを流します。ポクリヴァチュは滑り込みながら、シュートを決めて2-0とリードを広げます。
最近は安易にゴールを奪われがちなディナモDFですが、55分、エリオマールの左からのロングクロスに誰もケアすることなく、シャラノヴィッチがヘディングシュートを決め、メヂムリエも1点取り返しました。
その後は怪我から復帰したヴグリネツを含めての総攻撃を見せるものの、シュートはメヂムリエのGKチョンカシュにことごとく弾かれ、84分、ミキッチの右サイド突破の折り返しにヴコイェヴィッチがシュートを右隅に決めて、ようやく安全圏に。3-1でディナモが勝利。開幕6連勝を果たしています。

4位ハイドゥク・スプリトはホーム、ポリュウド・スタディオンでNKザグレブを迎えました。
前節のメヂムリエ戦のちプダール監督が解任。クレシッチが新監督に就任したものの、この試合はアシスタントコーチのチュトゥクが指揮を取りました。
Ssbartolovic この試合のハイドゥクは、カリニッチ、バルトゥロヴィッチ、ルカビナによる3トップ。先制は14分、ツェルナトからボールをもらったバルトゥロヴィッチ(写真)が、20mのグラウンダーによるミドルシュートをゴール左下に決めます。
ザグレブも19分、イブリッチがミドルシュートを放つものの、これはゴールポストに嫌われます。
追加点は27分、アンドリッチからボールがルカビナに渡り、ルカビナはペナルティエリアで3人に囲まれるものの、最後はボールがカリニッチに。カリニッチが叩き込んで、ハイドゥクが2-0とリードを広げます。
しかし後半直ぐ、ザグレブもパルロヴが右サイドをすり抜け、エリア内でフリーのロヴレクに。ロヴレクのシュートは、DFブリャトの足に当たって方向が変わってゴールに吸い込まれ、2-1と点差を縮めます。
その後はハイドゥクが圧倒するものの、次々とチャンスをフイにしてしまい、その一方でザグレブも終了間際にムイジャのミドルシュートをGKバリッチがファンブル。こぼれ球を左から突っ込んだシュチッチがシュートするものの、ボールは左ポストに叩かれ、2-1のままハイドゥクが勝利しました。

今節でテレビ中継されたのは、3位リエカと2位スラヴェン・ベルーポの対決。それぞれ、ダリッチとユルチェヴィッチという若くて野心あふれる監督が率いており、ガチンコでぶつかる面白い試合となりました。
Ssdalic ダリッチ監督(写真)はヂャロヴィッチ、シュコーロ、ブーレ、イヴァノフの4人のFWを前線に菱形に配置し、シャルビーニとシャファリッチでゲームメイクさせながら、左サイドから俊足のSBパミッチを何度も突破させるという超攻撃的布陣で挑みます。
先制は7分、ブーレの右クロスにゴール前のヂャロヴィッチがボレーシュートを地面に叩き付け、ボールはワンバウンドしてゴールに吸い込まれ、リエカが先制に成功します。
試合序盤は押されまくりだったスラヴェンも次第に立て直すものの、ヴルチーナ、シェーヒッチの俊足ツートップが封じられ、二列目からヤヤロやソピッチがゴールを伺うものの得点に結びつきません。
リエカもなかなか攻めきれず、1点のリードを保ったまま勝利。2位へと順位を上げています。

全試合の結果はこちら。

Dinamo Zagreb - Medimurje 3:1
1:0 14' Mandzukic
2:0 31' Pokrivac
2:1 55' Saranovic
3:1 84' Vukojevic

Zadar - Osijek 5:1
1:0 21' Tomasov
2:0 26' Puljic
3:0 45' Parmakovic
4:0 54' Parmakovic
5:0 77' Zupan
5:1 88' Jukic

Sibenik - Varteks Varazdin 4:3
1:0  5' Zec
1:1  8' Vitaic (OG)
2:1 31' Vitaic
2:2 43' Prahic
3:2 72' Gabriel
4:2 84' Jambrusic
4:3 90' Novinic

Inter Zapresic - Cibalia Vinkovci 1:0
1:0 Saric (90.)

Hajduk Spllit - Zagreb 2:1
1:0 14' Bartolovic
2:0 27' Kalinic
2:1 47' Lovrek

Rijeka - Slaven Berupo 1:0
1: 7' Dalovic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点18)、2位…リエカ(14)、3位…スラヴェン・ベルーポ(12)、4位…ハイドゥク・スプリト(12)、5位…ザダール(11)、6位…ザグレブ(8)、7位…オシエク(7)、8位…シベニク(6)、9位…メヂムリエ(4)、10位…チバリア・ヴィンコヴチ(4)、11位…インテル・ザプレシッチ(4)、12位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(0)

【得点】
6ゴール…モドリッチ(ディナモ)
5ゴール…テルケズ(ザダール)、ロヴレク(ザグレブ)、シャラノヴィッチ(メヂムリエ)
4ゴール…マンジュキッチ(ディナモ)、カリニッチ(ハイドゥク)、ヂャロヴィッチ(リエカ)

【アシスト】
4アシスト…ジュパン(ザダール)
3アシスト…シャルビーニ(リエカ)、マンジュキッチ(ディナモ)、ムムレク(ヴァルテクス)

ハイドゥク・スプリトのFWアンテ・ルカビナ(21)に対し、ブンデスリーガのアイントラフト・フランクフルトが移籍金400万ユーロ、次の移籍における50%の移籍金配分という正式オファーをハイドゥクが受けました。一部報道でハイドゥクがルカビナ売却の姿勢と報じられたため、26日、定例記者会見の最中にサポーターグループ「トルツィダ」の6人が威嚇を含めた抗議行動を行い、会見が中止されるという騒ぎが起きています。

ちょっと古い情報になりますが、ディナモ・ザグレブのMFアンテ・トミッチ(24)が、ギリシャ一部のクサンシに今季末までのレンタルで移籍しております。クサンシには元チームメイトのGKイヴァン・トゥリーナが移籍しており、イヴァンコヴィッチ監督はトミッチをベンチで腐らすよりも、プレー機会を与え、大きくなってディナモに戻って欲しいと考えているそうです。

| | コメント (0)

2007年8月24日 (金)

クロアチア・リーグ第5節/ハイドゥク、プダール監督を解任

すっかり遅れてしまいましたが、17~19日に行われたクロアチア・リーグ第5節のレポートを。

首位ディナモ・ザグレブはアウェーで6位のオシエクと対戦。対抗心の強いサポーターを含め、毎回グラツキ・ヴルト・スタディオンで熱い戦いとなるこのカードには12000人の観客が集まりました。
Ssbalaban オシエクはディナモ相手にひるむことなく攻撃を仕掛けていきますが、試合が動いたのは14分、ここ最近はボランチとして覚醒の感があるポクリヴァチュからのロングパスがペナルティエリア手前のバラバンに通ると、左のマンジュキッチにボールを預け、素早くDFの裏へ。ワンツーでボールを貰ったバラバンはあっさりとゴールを決め、ディナモが先制しま(写真、Sport-netより)。
とはいえ、36分、ドゥルビッチの中途半端なバックパスにシルデンフェルドが対応に遅れ、背後からユキッチがボールをかっさらって同点弾を決められます。先のヴェルダー・ブレーメン戦と同様のミスであり、今季のディナモ守備陣の精細の無さが顕著に見られるシーンでありました。
しかしながら、その3分後、バラバンがペナルティエリアでヴィシェヴィッチに倒されてPKを得ると、モドリッチが左下隅に決めて、再び2-1とリードに成功します。
後半も同様のテンポで試合が進みますが、ディナモとオシエクそれぞれがチャンスを逃す中、86分にモドリッチが正面20mの位置からゴール左上に直接FKを決めて3-1。モドリッチは5節を終えて6ゴールと、ミッドフィルダーながら得点王に立っています。ディナモは開幕5連勝を決め、単独首位を走っております。

ハイドゥク・スプリトはアウェーでメヂムリエと対戦。
試合開始1分にチャリシュチャクの左クロスをファーポストに突っ込んだシャラノヴィッチが押し込んで、ホームのメヂムリエが先制に成功します。
UEFAカップのサンプドリア戦の疲れも手伝って、その後もメヂムリエがゲームを支配。ハイドゥクは防戦一方になります。
Sspudar しかしながら、84分にメヂムリエのGKバシッチがペナルティエリアを飛び出してルカビナを倒したことで一発退場。ロスタイムに入り、ペナルティエリア中央でボールを受けたルビールが同点シュートを決めて、ハイドゥクは辛うじて同点に追いついています。
この試合後、ハイドゥクのイヴァン・プダール監督(写真)の解任論がうずめき、22日に解任が決定。新監督にセルゲイ・クレシッチ(50)が就任することが決まりました。スプリト生まれのクレシッチは1986年に8ヶ月間ハイドゥクの監督を務めたのちスペインに渡り、ブルゴス(1987/89)、マルベーリャ(1989/1993)、ベティス(1993/94)、メリダ(1994/97)、ヴァリャドリッド(1997/99,2004/05)、ラスパルマス(1999/2001)、マジョルカ(2001/02,2004/05)、レクレティーヴォ・フエルヴァ(2002/2004)、ムルシア(2006)といったスペインのクラブで指揮を取っていました。

ユルチッチ監督率いる2位スラヴェン・ベルーポは、クジェ監督更迭後にドラジェン・ベセクが新監督となったヴァルテクス・ヴァラジディンと対戦。UEFAカップのガラタサライ戦の鬱憤を晴らすかのように、6ゴールを叩き込んで快勝しております。

Ssskoro また師弟対決となった、ブラジェヴィッチ監督率いるNKザグレブとダリッチ監督率いるリエカとの好カードは、元ボスニア代表のアレン・シュコーロ(写真)のゴールで二度に渡ってリエカがリードしたにもかかわらず、クロスボールからのロヴレク、パルロブのヘディングシュートでザグレブがドローに持ち込んでいます。

全試合の結果はこちら。

Inter Zapresic - Sibenik 2:2
1:0 29' Saric
2:0 59' Saric
2:1 70' Batur
2:2 81' Batur

Zagreb - Rijeka 2:2
0:1 47' Skoro
1:1 51' Lovrek
1:2 67' Skoro
2:2 85' Parlov

Cibalia Vinkovci - Zadar 0:2
0:1 21' Terkes
0:2 31' Zupan (PK)

Medimurje - Hajduk Split 1:1
1:0  1' Saranovic
1:1 90' Rubil

Slaven Belupo - Varteks Varazdin 6:0
1:0 14' Kristic
2:0 17' Poljak
3:0 32' Posavec
4:0 40' Sopic
5:0 47' Posavec (PK)
6:0 74' Vrucina

Osijek - Dinamo Zagreb 1:3
0:1 14' Balaban
1:1 36' Jukic
1:2 39' Modric (PK)
1:3 86' Modric

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点15)、2位…スラヴェン・ベルーポ(12)、3位…リエカ(11)、4位…ハイドゥク・スプリト(9)、5位…ザグレブ(8)、6位…ザダール(8)、7位…オシエク(7)、8位…メヂムリエ(4)、9位…チバリア・ヴィンコヴチ(4)、10位…シベニク(3)、11位…インテル・ザプレシッチ(1)、12位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(0)

【得点】
6ゴール…モドリッチ(ディナモ)
5ゴール…テルケズ(ザダール)
4ゴール…ロヴレク(ザグレブ)、シャラノヴィッチ(メヂムリエ)
3ゴール…マンジュキッチ(ディナモ)、ルカビナ(ハイドゥク)、カリニッチ(ハイドゥク)、バビッチ(オシエク)、シャルビーニ(リエカ)、ヂャロヴィッチ(リエカ)

【アシスト】
3アシスト…シャルビーニ(リエカ)
2アシスト…サミール(ディナモ)、パブリチッチ(オシエク)、シュトロク(リエカ)、チェリシュチャク(メヂムリエ)

昨季の不調を挽回するかのように、3位という好位置につけているリエカは新たに二人の中盤の選手を獲得。まずはディナモからMFダリオ・イェルテツ(22)を一年間のレンタルで獲得。イェルテツはヴァルテクス在籍時にダリッチ監督の信用を得ており、才能は高く認められながら出場機会に恵まれなかったディナモ時代の停滞を取り戻すチャンスといえます。
また、NKザグレブやCSKAソフィアで活躍した元ボスニア代表MFセルゲイ・ヤキロヴィッチ(29)も獲得。192cmという長身でありながら、エレガントなプレーが得意な選手であり、リエカの選手層は更に厚くなりました。

| | コメント (1)

クロアチア、ボスニアとのゴールラッシュの末に勝利

8月22日、サラエボのコシェボ・スタジディオン(正式名称アシーム・フェルハトヴィッチ・スタディオン)で、親善試合「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.クロアチア」が行われました。
ユーゴ崩壊後、両国が対戦するのは4度目。ボスニア・ヘルツェゴビナ(以降ボスニア)で試合が行われるのは初めてであります。

クロアチア代表はクラニチャール、レコ、モドリッチと中盤の選手が相次いで怪我で離脱し、初召集のMFラキティッチまでもFIFAから代表変更の許可通達が届かず出場が見送り。GKのプレティコサも怪我で欠場。よってペトリッチとエドゥアルドを引き気味にし、中央にブダンを初スタメンで組ませた3トップを形成、ボランチにはヴラニェシュが起用されました。
GKルニェ-(右から)DFチョルルカ、シミッチ、コヴァチ弟、シムニッチ-MFスルナ、ヴラニェシュ、コヴァチ兄-FWエドゥアルド、ブダン、ペトリッチ

一方、ボスニア代表は情勢が落ち着くと共に国際的にも結果を残し始め、短期間ながらセレッソ大阪を指導したフアド・ムズロヴィッチ監督が率いるチームはユーロ予選でノルウェー、トルコを撃破。まだ本大会出場に望みを繋いでおり、FIFAランクも27位まで上げております。
また現代表にはクロアチア・リーグでプレーする選手が6人おり(フルゴヴィッチ、ダムヤノヴィッチ、ナダレヴィッチ、イブリチッチ、バルトロヴィッチ、ラデリッチ)、この試合には特別なモチベーションを持って挑んでおります。スタメン(4-4-1-1)は以下のよう。
GKグーショ-DFベルベロヴィッチ、ラデリッチ、バイッチ、フルゴヴィッチ-MFラヒミッチ、チュストゥヴィッチ、ダムヤノヴィッチ、ゼーバ-ミシモヴィッチ-FWムスリモヴィッチ

クロアチア代表がタレント面で上回るとはいえ、旧ユーゴ・サッカーの系譜を引き継ぐボスニア代表も個々の選手がテクニックとフィジカルを併せ持っています。ボスニア代表にクロアチア人が何人もいる一方で、クロアチア代表にもボスニア生まれや両親の出身がボスニアという選手がいることから、親善試合には似つかない高いモチベーションを持っての試合となりました。お互いアグレッシブな守備によるファウルの多い試合となりましたが、同時にゴールも多い試合となりました。
17分、ミシモヴィッチからの縦パスからチュストヴィッチが抜け出し、ペナルティエリア手前でシミッチに倒されたものの、ファウルの判定はなし。その1分後、左コーナー付近でブダンがキープしたのち、左サイドで引いていたペトリッチへパスを送ると、ペナルティエリア中央へアーリークロス。エドゥアルドがピタリでヘディングで合わせて、クロアチアが先制に成功します。
Sssrna 追加点は35分。左サイドから再びペトリッチが相手守備の手薄な右サイドにロングクロスを通すと、スルナ(写真)はトラップでボールを中央へと叩いてフルゴヴィッチをかわし、アウトサイドでシュートを流し込んで、2-0とリードを広げます。
しかし、ボスニアも負けじと40分、ムスリモヴィッチがバイタルエリアで3人に囲まれながらも右足を振り抜くと、ボールはゴール左上に吸い込まれて1点差に縮めます。
その1分後、エドゥアルドのパスから左スペースを突いたペトリッチがGKと一対一になりますが、シュートは決められず。前半は2-1で、クロアチア・リードで折り返します。

ハーフタイムにボスニアはMFイブリッチッチ、DFナダレヴィッチのNKザグレブ所属の2人を含めた3人を交替。クロアチアは前半と同じスタメンのまま、後半を迎えました。
48分、スルナの右CKからファーポストでフリーのエドゥアルドがヘディングシュートを試みますが、ボールはクロスバーを大きく越えていきます。
56分には予想された通り、荒れ始めたクロアチア・サポーター(約1000人)と警察隊が衝突。試合が2分間中断します。ちなみに試合前にはサラエボ旧市街で両国のサポーターが喧嘩となり、10人以上が怪我をしております。
話を試合に戻しましょう。お互いの攻防がピッチで続く中、共にディフェンスで脆さをみせ始め、70分、ミシモヴィッチの左からの何でもないFKをクロアチアの守備陣誰一人がクリアできず、ファーサイドに一人立っていたムスリモヴィッチが押し込んで同点に追いつかれます。
しかし、その2分後、スルナの正面右のFKをコヴァチ兄がヘディングシュートを合わせ、再び1点差にリードを広げます。
更に2分後の74分、ブダンが左サイドからクロスを上げ、エリア内の逆サイドにいたスルナがワントラップののち、ボールを空中に上げてマーカーを外し、左足でボレーシュートを決めて4-2とします。
とはいえ、ボスニアもその3分後、最終ラインからのロングパスにコヴァチ弟がヘディングを空振り。彼の頭上を越えたボールを、ムスリモヴィッチ(アタランタ所属)が走りこんで押し込み、ハットトリックを達成。
大荒れとなった試合は更に動き、81分、コヴァチ兄が25mの位置からミドルシュートを放つと、回転の少ないボールはゴール右上に吸い込まれました。このまま試合は終わり、5-3でクロアチアが勝利しています。

試合後、クロアチアのビリッチ監督は
「あっさりと3ゴールを奪われることは決して許されることではない。私たちのプレーの土台はディフェンスなのだから。最初の2ゴールは守ることができないものだと甘んじたとしても、3ゴール目は許してはならないものだ。小学5年生のようなゴールの奪われ方だよ。起きてはならないものだし、寛容的にもなれないものだ。」
と厳しい意見を残しています。
一方、ボスニアのムズロヴィッチ監督は
「クロアチアはヨーロッパでも最高の代表チームの一つだと我々は知っていた。彼らのサッカーは人々を熱狂させるサッカーだ。残念ながら、我々は多くのミスを犯してしまった。選手たちには決められた課題をもっとこなせるものと期待していたが、クロアチアは我々にとっては強すぎる相手であることを繰り返して言わねばならない」
とコメントしています。

また同日にU-21代表の親善試合「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.クロアチア」もボスニアのクレシェヴォで行われ、A代表同様にゴールラッシュとなりました。
2分にアディロヴィッチのゴールで先制されるものの、14分にDFのミスを突いてマンジュキッチが、24分にはグラヴィナのアシストからブシッチがゴールを決めて逆転に成功。しかし、40分にあっさりとディフェンスが崩され、イェリッチに同点に追いつかれます。
後半はまたして早々と、シュトリリッチのゴールでボスニアに突き放されましたが、79分にボシュニャクのクロスにDFロヴレンがヘディングシュートで追いつき、3-3のドローで終わっています。

| | コメント (1)

2007年8月17日 (金)

欧州カップ、クロアチアのクラブはいずれも1点差負け

15日、チャンピオンズリーグ予備戦三回戦「ヴェルダー・ブレーメンvs.ディナモ・ザグレブ」の第1戦が、ブレーメンの本拠地ヴェッサー・スタディオンで行われました。

Svukojevic_i_diego 昨年はこのラウンドで強豪アーセナルに1-6で屈したディナモですが、次も強敵ヴェルダーとはいえ、悲願のチャンピオンズ・リーグ出場への意気込みは高く、イヴァンコヴィッチ監督はディフェンシブな布陣ではなく、いつもの攻撃的布陣を敷きました。現在、ブンデス最高のMFと謳われるブラジル代表ディエゴ(写真右)のマンマークにはヴコイェヴィッチ(写真左)を付けます。スタメン(4-2-3-1)はこちらです。
GKコッホ-(右から)DFエトー、ドゥルピッチ、シルデンフェルト、チャレ-MFヴコイェヴィッチ、ポクリヴァチュ-サミール、バラバン、モドリッチ-FWショコタ

一方のヴェルダーは怪我人が続出。フリングス、ウォメ、ボロウスキ、新加入のトシッチ、腎臓移植後のリハビリ中のクラスニッチも含めれば8人が離脱中であります。ドイツ・カップ一回戦、ブンデス・リーガ一節でも満足な戦いができなかったトーマス・シャーフ監督は、以下の布陣(4-4-2)で挑みました。
GKヴィーゼ-DFパサネン、メルテザッカー、ナウド、シュルツ-MFバウマン-カルロス・アウベルト、アンドレアセン-ディエゴ-FWシンドラー、サノゴ

最初はお互いが探りあう状況が続きますが、アウェーでも互角に戦える手応えを感じたディナモの選手たちは、相手に臆することなく果敢に攻めていきます。
Smodric 25分、ショコタが右サイドにてヘディングでボールを落とすと、そこにモドリッチ(写真)が突っ込んでのミドルシュート。ボールはゴール左下を襲いましたが、GKヴィーゼが好反応で逃れます。
ヴェルダーも30分、パサネンの右クロスに相手ディフェンダーに挟まれたサノゴがヘディングで叩きつけたものの、今度はGKコッホが好セーブ。
前半の終盤に入ると完全にディナモのペース。とりわけ左のモドリッチ、右のサミールが次々と守備陣をかわして攻撃を演出します。
34分、モドリッチからのスルーパスがバラバンに渡り、DFをかわしてのシュートを試みるも失敗。その1分後には、モドリッチが自らインターセプトしてドリブルで疾走。最後は左足でミドルシュートを放ったものの、利き足でなかった分、力が足らずにGKにキャッチされます。
40分、シルデンフェルドから崩れたDFラインの裏をとったバラバンへスルーパス。しかし、またしてバラバンはGKとの1対1を決められず、シュートは左へ。3分後にもサミールが演出したチャンスを、またしてバラバンがGKとの1対1を決められません。
次々とチャンスを台無しにしてきたバラバンですが、名誉回復したのは前半終了間際。ショコタの怪我によって途中交替で入ったマンジュキッチが右サイドを突破すると、バラバンはマーカーを惑わす動きをしてから、マンジュキッチからのアシストを相手ゴール左に流し込み、ディナモが先制に成功します。

後半頭からシャーフ監督が動き、FWウーゴ・アルメイダとMFイェンセンを投入します。この采配がズバリと当たると共に、いきなりディナモは経験不足を露呈しています。
Shugo 46分、右サイドでマンジュキッチの不用意なバックパスをサノゴに奪われ、ボールは更にウーゴ・アルメイダへ渡って、GKコッホとの1対1に。シュートはコッホが一度は止めたものの、弾いたボールをシルデンフェルドが綺麗にクリアすることなく、再びウーゴ・アルメイダに奪われて無人のゴールにシュートを決められます(写真)。
とはいえ、ディナモもショックから立ち直り、この後もお互いがチャンスを作る戦いに。55分にはモドリッチが右クロスからハーフボレーを放つものの、またしてGKヴィーゼが好セーブ。その直後にはモドリッチとのパス交換でチャレが左サイドを突破し、バラバンとマンジュキッチが詰めていたものの、チャレは意味なくシュートを試みてチャンスを台無しにしてしまいます。61分にはサミールが自ら持ち込んでミドルシュート。これもGKヴィーゼに防がれます。
ヴェルダーも64分、ウーゴ・アルメイダがロングシュートを放つもGKコッホがセーブ。続いて、バウマンが近距離からシュートをしますが、枠を捉えきれません。
試合が終わりに近づくとともに、国内リーグとは違う早いテンポで戦ってきたディナモの選手たちに疲れが見えてきます。
73分、イェンセンのミドルシュートはGKコッホが止めたものの、85分に再びイェンセンが放った強烈なミドルシュートがネット右上に突き刺さり、ヴェルダーが逆転に成功。
88分にはナウドが高さを活かしてのヘディングシュートを放ち、これはGKコッホがセーブ、こぼれ球はシルデンフェルドがクリア。
ディナモはロスタイム、マンジュキッチがクロスからタイミング良くヘディングシュートするも、ボールは枠を捉えられず。試合は1-2で終了、イヴァンコヴィッチが監督に就任して以来、35試合目にして初の敗北となりました。

試合後、記者会見にてイヴァンコヴィッチ監督は
「素晴らしい戦いぶりに自分の選手たちを褒めてやりたい。異なる環境ならば1-2という敗北にも満足するだろうが、今回はまったくもって満足していない。なぜなら、強豪相手に勝利するチャンスがあったからだ。
後半始まりにショッキングなゴールを食らったが、再び自分たちを取り戻すことに成功し、幾つかのチャンスを作った。しかし最後には敗北をもたらすゴールを食らってしまった。
希望と楽観主義をもたらす権利は私たちにもある。満員のマクシミールで大きな成功を成し遂げることを願っている。」
とコメント。一方のシャーフ監督は
「ザグレブでは多くが要求される試合となるだろう。しかし、私たちにアドバンテージがある。大きくはないが、意味があるアドバンテージだ。」
と語っています。
第2戦は8月29日、ディナモの本拠地マクシミール・スタディオン。今のようなヴェルダーの調子ならば29日のマクシミール決戦で十分に勝機があるかもしれません。

------------------------------------------------------

16日、ハイドゥク・スプリトはUEFAカップ予備戦二回戦で、イタリアのサンプドリアと対戦しました。国内でも注目度を集めただけにチケットはソールドアウト。ポリュウド・スタディオンは35000人の観客で膨れ上がりました。

ハイドゥクはFWヴェルパコヴスキスが怪我で欠場。スタメン(4-3-1-2)は以下のようになりました。
GKバリッチ-DFブリャト、ジヴコヴィッチ、サブリッチ、フルゴヴィッチ-MFルビール、ダムヤノヴィッチ、アンドリッチ-チェルナト-FWルカビナ、カリニッチ
一方、昨季のコパ・イタリアの優勝チーム、サンプドリアはモンテッラをベンチに置いての以下のスタメン(3-4-1-2)です。
GKカステッラッツィ-DFルッキーニ、サーラ、アッカルディ-MFゼノーニ、ピエーリ、ヴォルピ、サンマルコ-ベッルッチ、デルヴェッキオ-FWカラッチョロ

最初のチャンスは8分、ルビールが一人で右サイドから崩しに掛かり、放ったシュートは左ポストを逸れていきます。
Scernat ハイドゥクにとっての最大のチャンス10分。GKカステラッツィがバックパスの罰則を取られて、わずかゴールから数メートルの位置での間接FKを得ます。しかし、チェルナト(写真)の上に角度をつけたシュートはクロスバーを叩き、跳ね返りをアンドリッチがミドルシュートを放つものの、これもクロスバーを叩いてしまいます。14分にもチェルナトのミドルシュートが右ポストを叩き、ことごとく枠に泣かされます。
サンプドリアはセットプレーから好機を見出し、それが実ったのは44分、ヴォルピのFKを途中交替のカンパニャーロがヒールで流して先制点を奪います。
ハイドゥクのプダール監督は後半からFWバルトロヴィッチをルビールに代え、3トップの攻撃体勢を取ります。しかし66分、アンドリッチが右サイドからの好クロスを上げたのですが、中央のバルトロヴィッチのシュートはクロスバーを遥かに越えてしまいしまた。
その後もハイドゥクは規律だったサンプドリア守備陣を打ち破れないまま、ホームで0-1の痛い敗北を喫しました。

UEFAカップに挑んでいるクロアチアのもう一つのチーム、スラヴェン・ベルーポはトルコの強豪ガラタサライとホームで対決。
先制をしたのはベルーポ。15分、MFソピッチが右サイドでインターセプトをし、そのままドリブル。ペナルティエリアでセルヴェト・ツェティンに倒されてPKを得ます。これをポサヴェツが決めて1-0とします。
しかしながら42分、ハカン・シュクルのヘディングシュートを一度はGKイヴェシャがセーブするものの、こぼれ球をアクマン・アイハンにボレーシュートを叩きこまれ、同点に追いつかれます。
更に72分、ヴォルカン・ヤマンのグラウンダーのFKをGKイヴェシャがキャッチし損ね、ボールはネットに吸い込まれ、逆転されてしまいます。スコアはそのまま1-2で終了。二回戦突破の可能性は望み薄となっています。

(写真は全てSport-netより)

| | コメント (1)

2007年8月15日 (水)

クロアチア・リーグ第4節

8月10日・11日にクロアチア・リーグ第4節が行われました。

開幕3連勝で首位に立つディナモ・ザグレブは、7位チバリア・ヴィコヴチとホームのマクシミール・スタディオンで対戦しました。
Strojica_za_slobodan_udarac クラブ・ブルージュから帰還したFWボシュコ・バラバン(写真右)が先発出場。FWショコタ(写真左)と7年ぶりのコンビを組みます。イヴァンコヴィッチ監督は二枚のFWを横ではなく、縦に並べることから、ショコタがワントップとなり、バラバンがトップ下の位置へと入ります。またNKザグレブから獲得したヴルドリャクがボランチとして初出場しました。
90分間、激しい雨が降る悪天候の中、両チームは闘争心をむき出しに戦いますが、ボールが常に止まり、また滑りやすいピッチでは、まともにサッカーができない状態となります。
11分、モドリッチ(写真中央)は鋭い切り返しでマーカーを外し、そのままペナルティエリアに入ってシュートを放ちますが、これはGKブルツサがセーブ。更にモドリッチは29分、41分とシュートを放ちますが、GKに防がれてしまいます。
後半頭から右サイドバックに俊足のミキッチを入れることで活気を取り戻したディナモは、54分、サミールからの縦パスがショコタに通り、左のスペースに抜けてきたモドリッチにアシスト。今回はモドリッチが丁寧にシュートを決めて先制に成功します。
更に68分、モドリッチのシュートの跳ね返りを、バラバンがゴール左隅に決め、2-0とリードを広げます。
しかしながら、76分にチバリアもアンドリッチの左CKからファーポストのストゥデノヴィッチがヘディングで決め、点差を縮めます。88分にはケーリッチが左サイドを突破、エリア内に侵入してシュートを放ちますが、同点シュートとはならず、ボールはポストをわずかに逸れていきました。
厳しい条件下で苦しい戦いを強いられたディナモでしたが、開幕4連勝で首位に立ち続けております。

一方、開幕ダッシュに失敗したハイドゥク・スプリトは、ホームのポリュウド・スタディオンに3位オシエクを迎えての対決。ディナモ・キエフからレンタル移籍したDFサブリッチが初起用。またヴェルパコヴスキス、カリニッチ、ルカビナによる3トップが初めて先発で形成されました。
また、試合の2時間前に両親と兄弟が交通事故にあったことを知らされたハイドゥクのプダール監督にとっては、気が落ち着かないままチームを指揮することになりました。
9分、アンドリッチとフルゴヴィッチのコンビネーションで突破したのち、最後はカリニッチがシュートを決めてハイドゥクが先制に成功。13分にはCKから再びカリニッチがヘディングでオシエク・ゴールを襲いますが、これはGKスケンデルがセーブします。
しかし、その後はオシエクが幾度となくチャンスを作ります。18分にはショリッチのボレーシュートがわずかに枠を逸れ、29分のプリモラッツのシュートはGKバリッチが好反応で逃れます。
ハイドゥクは後半から、19歳のリュビチッチを外してダムヤノヴィッチをボランチに投入するとディフェンスが落ち着くことに。しかし、効果的な追加点は奪えることはなく、53分のカリニッチのシュートはGKスケンデルがセーブし、85分に数的優位の形からルカビナがチャンスを迎えるものの決められずに終わりました。試合はそのまま1-0で終了。ハイドゥクは4位に浮上しています。

その他の試合では、リエカが20歳の新キャプテン、アナス・シャルビーニの2ゴールで、メヂムリエ相手に3-1で勝利し、勝点10で2位をキープ。
またヴァルテクス・ヴァラジディンはホームでザグレブに0-1で敗北して4連敗。ヨシップ・クジェ監督は辞表を提出し、監督の辞任・解雇のもともと多いクロアチア・リーグでは今季最初の犠牲となっています。

全試合の結果はこちら。

Dinamo Zagreb - Cibalia Vinkovci 2:1
1:0 54' Modric
2:0 69' Balaban
2:1 75' Studenovic

Varteks Varazdin - Zagreb 0:1
0:1 34' Lovrek

Zadar - Inter Zapresic 3:0
1:0  8' Zupan
2:0 78' Terkes
3:0 82' Terkes

Sibenik - Slaven Belupo 0:2
0:1 47' Sopic
0:2 70' Sehic

Rijeka - Medimurje 3:1
0:1 32' Stefulj
1:1 75' Sharbini
2:1 89' Sharbini
3:1 90' Dalovic

Hajduk Split - Osijek 1:0
1:0  9' Kalinic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点12)、2位…リエカ(10)、3位…スラヴェン・ベルーポ(9)、4位…ハイドゥク・スプリト(8)、5位…ザグレブ(7)、6位…オシエク(7)、7位…ザダール(5)、8位…チバリア・ヴィンコヴチ(4)、9位…メヂムリエ(3)、10位…シベニク(2)、11位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(0)、12位…インテル・ザプレシッチ(0)

【得点】
4ゴール…マンジュキッチ(ディナモ)、モドリッチ(ディナモ)、テルケズ(ザダール)
3ゴール…ルカビナ(ハイドゥク)、カリニッチ(ハイドゥク)、シャラノヴィッチ(メヂムリエ)、バビッチ(オシエク)、ロヴレク(ザグレブ)、シャルビーニ(リエカ)、ヂャロヴィッチ(リエカ)

【アシスト】
2アシスト…サミール(ディナモ)、パブリチッチ(オシエク)、シャルビーニ(リエカ)、シュトロク(リエカ)

クロアチア元代表DFスティエパン・トマス(31)が、ガラタサライからロシア一部のルビン・カザンに移籍することになりました。ルビンはモスクワから一時間のところにあるカザンという町に本拠地を置くチームで、契約期間は2年半です。トマスは
「全てにおいて非常に早く合意をした。ロシアからのオファーは拒否するのが罪であるほどのものだったよ。ガラタサライとは契約破棄しなければならかったとはいえ、この移籍には誰もが非常に満足している。早ければ、友人であるスティペ・プレティコサのいるスパルタク・モスクワ戦でデビューすることだろう」
とコメントしています。ちなみにガラタサライは木曜日にスラヴェン・ベルーポとUEFAカップで対戦。ベルーポを率いるユルチッチ監督とトマスも親友関係であったわけですが、その対戦は実現しないままロシアへ渡ることになります。

| | コメント (0)

2007年8月10日 (金)

クロアチア代表メンバー発表/ディナモはCL予備戦三回戦へ

8日、スラヴェン・ビリッチ監督(写真)は、ボスニア・ヘルツェゴビナ代表との親善試合(8月22日・サラエボ)におけるクロアチア代表メンバー22名を発表しました。
Sbilic 注目となるのは初召集の19歳イヴァン・ラキティッチ。出身国のスイスと両親の祖国クロアチアの間における争奪戦の末にクロアチアを選択。これまでスイス・ユース代表のユニフォームを着ていた彼は、初めてクロアチア代表のユニフォームを着てのプレーとなります。
ニコ・クラニチャールは足首を捻って靭帯を損傷しまい(全治3週間)、今回の召集は見送り。ポーツマスではフレンドリーマッチで中心選手になっていただけに、ビリッチ監督も
「残念だ。ニコがサラエボに来ないのは非常にアンラッキーだ。最近、ハリー・レドナップ監督(ポーツマス)と話し合ったが、彼はニコをとても良いと語っていた。」
とコメントしています。
またミラン・ラパイッチはまだ所属クラブが決まっていないための見送りですが、彼についてもビリッチ監督は
「先日、彼とも話し合ったけが、幾つか興味深いオファーがあると言っていた。今はそのオファーを選んでいるところだ。間もなくラパイッチも所属クラブを見つけるだろうから、代表に戻ってくる。ミキの早い帰還を期待している」と
とコメントしています。
中盤の二人がいないことで、ラキティッチの先発起用の可能性については
「かなりある。二人の選手の予想してなかった不幸が、ラキティッチにとっては完全なチャンスとなった。しかし、まだ彼がサラエボでプレーできるかどうかは分からない」
とのこと。というのは、クロアチア・サッカー協会がFIFAに代表変更の書類を送っているものの、未だにFIFAからの手続き完了の連絡がないためであり、もしや間に合わない可能性もあるようです。

22名のメンバーこちら。

GK:
スティペ・プレティコサ (スパルタク・モスクワ)
ヴェドラン・ルニェ   (ランス)
DF:
ダリオ・シミッチ     (ACミラン)
ロベルト・コヴァチ    (ボルシア・ドルトムント)
ヨシップ・シムニッチ   (ヘルタ・ベルリン)
フルヴォイエ・ヴェイッチ (トムスク)
ヴェドラン・チョルルカ  (マンチェスター・シティ)
ダリオ・クネジェヴィッチ (リボルノ)
ディノ・ドゥルピッチ  (ディナモ・ザグレブ)
MF:
ニコ・コヴァチ         (レッドブル・ザルツブルク)
ダリヨ・スルナ       (シャフタール・ドネツク)
マルコ・バビッチ      (レアル・ベティス)
イェルコ・レコ         (ASモナコ)
ユーリツァ・ヴラニェシュ (ヴェルダー・ブレーメン)
ルカ・モドリッチ     (ディナモ・ザグレブ)
ダニエル・プラニッチ   (ヘーレンフェーン)
イヴァン・ラキティッチ  (シャルケ04)
FW:
ボシュコ・バラバン     (ディナモ・ザグレブ)
ムラデン・ペトリッチ    (ボルシア・ドルトムント)
イヴィツァ・オリッチ    (ハンブルガーSV)
エドゥアルド・ダ・シルヴァ (アーセナル)
イゴール・ブダン      (パルマ)

補欠:
GK マリオ・ガリノヴィッチ (パナシナイコス)

すっかり報告が遅れましたが、7日のチャンピオンズ・リーグ予備戦二回戦第2戦「ディナモ・ザグレブvs.ドムジャレ」戦のレポートを。
ディナモは初戦のアウェーマッチを2-1と勝利。通過の確率は高いとはいえ、ヨーロッパ挑戦は関心事であることから、ホームのマクシミール・スタディオンは25000人もの観客が集まりました。
ディナモのスタメン(4-2-3-1)は以下のよう。
GKコッホ-(右から)DFエトー、シルデンフェルド、カルロス、チャレ-MFヴコイェヴィッチ、モドリッチ-サミール、マンジュキッチ、グエラ-FWショコタ
一方のドムジャレのスタメン(4-4-2)は、
GKネメツ-DFアパティッチ、エルスネール、ヴァルガ、アリャンチッチ-MFヤンコヴィッチ、キルム、ブレジッチ、ジンコ-FWリュビヤンキッチ、ザホラ

初戦のドムジャレは3トップ気味だったのですが、今回は完全に2トップにして中盤からアグレッシブにボールを奪いに来ます。アドバンテージのあるディナモとはいえ、初戦よりもSsammir 動きのいいドムジャレにてこずりました。
11分、ブレジッチが左から放った鋭いシュートをGKコッホが素早く反応してスーパーセーブ。これを決められていたら、試合の行方は分かりませんでした。
ディナモは18分、エトーが左サイドを突破し、マイナスに折り返したところをヴコイェヴィッチが強烈なミドルシュート。ボールはクロスバーを叩き、地面に跳ね返ってからゴール枠を出ましたが、ボールはゴールラインを超えたことでゴールが認められます。
22分にはエトーの右からのロングクロスに、ペナルティエリア内のショコタがゴール左隅にヘディングシュートを決めて、リードを2-0と広げます。
しかし、ドムジャレも27分に左サイドを崩すと、ディナモからレンタル中のFWザホラがGKの手が届かない右側にシュートを決めて点差を縮めます。
後半から危ういプレーの多いグエラを外してボランチにチャゴを入れ、モドリッチを攻撃的MFに戻しました。クロアチア代表ではボランチを務めるモドリッチですが、この試合後、彼はディナモにいる間はボランチでプレーしたくないと発言しています。
試合を完全に決めたのは60分、中央でボールを受けたサミール(写真)が、絶妙のスピードアップを絡めたドリブルでDFラインを突破。そのままGKとの一対一を決めて、試合は3-1となります。
その後はドムジャレが優勢に試合を進めるも、差を縮めることはなく、トータルスコア5-2でディナモが三回戦のヴェルダー・ブレーメン戦へとコマを進めました。
第1戦は8月15日にブレーメン、第2戦は8月29日にザグレブで行われます。
(写真はSport-netより)

ハイドゥク・スプリトのMFイゴール・ムサ(34)が、キプロスのAELリマソールに移籍。2年契約を結ぶことになりました。昨季は7アシスト、7ゴールとハイドゥクの中盤では最も活躍した選手だったのにもかかわらず、プダール監督がスタメンから外したために退団を希望しておりました。
またハイドゥクからは昨季のレギュラーだったDFイゴール・ガル(24)も、トルコのリゼシュポールに移籍。移籍金は30万ドルとされ、2年契約(+1年オプション)を結びました。

| | コメント (0)

オシムのロングインタビュー(その2)

8月7日付のSportske Novosti紙に掲載された、イヴィツァ・オシム日本代表監督のロングインタビューの第2弾を紹介します(写真)。アジアカップの内容が中心で、カタール戦後の真相にも触れた興味深い内容になっています。

Sosim -アジアカップで貴方は決勝トーナメントに進んだが、三連覇に到ることは成功しなかった。日本人は不満を抱いているのか?
「期待が満たされなかった場合、それがどんな期待なのか、現実的な期待か非現実的な期待かどうかには関わらず、誰もが不満を抱くものだ。イラクと同様、私たちは6試合を戦った。しかし、イラクは優勝し、私の日本は4位だ。もちろん、批判を耳にするが、それは承知している。舞い上がった埃が少し落ち着くのを待っている。それから協会の人たちと話し合うつもりだ。」

-何について話すつもりなのか?
「日本は決してブラジルのようにプレーすることはないし、ドイツのようにプレーすることはない。日本はヨーロッパ化することもできなければ、南米化することもできないのだ。日本は何年間もそれを試してきたとはいえね。日本は自分の起源へと帰らなければならないのだよ。
日本人は特別なサッカー的価値を持っているのだ。持久力があり、アグレッシブさがあり、機敏さがあり、規律を持ち、平均以上の個人技を持っている。日本は日本のサッカーをプレーしなければならないし、私はそれを強調していくつもりだ。」

-イラクがアジア王者になったことに、どれだけ驚いているか?
「イラクはサプライズではない。イラクはクオリティを持っており、アジアでは誰が相手であっても勝つことができる。イラクの選手たちは強靭だし、サッカーを知っている。しっかりと自覚を持ち、自信に満ち溢れている。彼らはアジアカップの準備期間を多く持っていたし、他のチームにない何かも持っていた。イラク国内における困難な状況が、彼らにとっては更に上をゆくモチベーションとなったのだよ。」

-現在のアジア・サッカーはどんなものか?
「ほんの7~8年前のアジアカップは、ようやく8~12ヶ国を集められるほどの大会だった。その頃は、どの国が決勝に勝ち進むかをとても簡単に予想できた。まるで、ワールドカップでどの国が予選を突破するかが分かっているかのようにね。実力差は大きかったのだよ。
しかし、非常に短い時代で、東方(アジア)の国々のサッカーはラディカルに変化した。今日のアジアでは、非常に優秀な代表チームが20ヶ国はないとしても16ヶ国はいる。ソ連の時にはまったくサッカーとの関連性に触れることはなかったにもかかわらず、現在では非常に優れた代表チームを持つウズベキスタンのような国が現れているのだ。」

-アジアカップでは再び、貴方のユーモアあるコメントに日本人が笑うことになった。日本の最後の試合(韓国戦)のあと、全てのメディアが貴方の最後のコメントを報道していた。
「ああ、日本がアジアカップで4位になったことを表現した際の、"私たちはお尻をさらけ出したままになった"というフレーズを誰もが気に入っているようだ。
残念ながら、私たちは誤った試合で負けてしまった。サウジアラビアとの準決勝だ。もし私たちが初戦で負けていたならば、全てがまったく異なり、あの試合には勝っていたかもしれない。初戦については、誰もが一言も触れることはしないだろうから。」

-準々決勝のオーストラリア戦でも、3位決定戦の韓国戦でも貴方はPK戦を見なかったことが注目されたが。
「1990年のワールドカップ準々決勝、ユーゴスラビアvs.アルゼンチン戦の時から私はPK戦を見ていない。既に"決して私はPK戦を見ることはしない"と自分に言い聞かせるほどのショックを当時に経験していたのだよ。だから私は見ないのだ。PKは明らかなギャンブル。心臓に悪いし、私は日本のベンチで死にたくはない。」

-カタール戦での1-1のあと、選手たちに"お前たちは普通のアマチュア選手の集団だ"と貴方が言ったというのは本当か?
「それはメディアが(勝手に)書いたことだ。報道されてはいない異なることを私は言った。
私のチームはカタール戦で非常に良いプレーをし、1-0でリードし、数多くのチャンスを作っていた。しかし、最後に意味のないゴールを食らってしまった。試合後、私たちはドレッシングルームへと入り、どのように選手たちがプレーしていたかを彼らに比喩で表現したかったのだよ。それを翻訳するように日本人通訳に頼んだあと、私はクロアチア語でこう言った。
"お前たちは100リットルのミルクを出す雌牛のようにプレーした。しかし、蹴られてしまって、全てのミルクをこぼしてしまった。"
通訳は考え込み、無言になってしまった。私は彼に尋ねた。
"お前はそれを訳せるのか?"
彼はそれで泣いてしまった。私が何を言ったか考えると、パッと(状況を)理解した。"お前たちは雌牛だ"と私が選手たちに言いたかったと、通訳は思っていたのだとね。彼はそれを翻訳したくなかった。なぜなら、選手を侮辱したくなかったからだ。
私もそれ(侮辱すること)は望んでいなかった。なぜなら、選手たちを侮辱する監督はいかなる監督でもないからだ。後になって、私が何を言いたかったのかを通訳に細かく説明した。彼は笑顔になったよ。とはいえ、理解したところでそれを訳してくれたかは疑わしいけどね。」

-------------------------------------------------

インタビュー記事にはもう一つ、オシムがジェリェズニチャールを指揮していた時のFWニコラ・ニキッチ(現ボスニア・ヘルツェゴビナU-21代表監督)のエピソードも掲載されていました。他でも紹介される有名な話だけに翻訳してみました。

オシムはある試合で私をベンチに置いた。サポーターは試合が始まると直ぐにコールを始めたよ。
"俺たちゃニコラを望んでいる!"
オシムは私にウォーミングアップするよう指示した。私は70分も(ウォーミングアップで)走り続け、沸騰したような状態だった。サポーターは叫んだ。
"ニコラ! ニコラ!"
オシムは終了5分前に私をベンチに呼び寄せ、私もトレーニングウェアを脱ぎ始めた。しかし、彼はこう言う。
"脱がなくていい。お前がピッチに行くことはない"
私は言った。
"監督、ならば私は何を?"
"お前は上(スタンド)に行け"
"上(スタンド)で私が何を?"
そう尋ねると、オシムはこう言ったのだよ。
"ほら、(サポーターが)お前を求めているのを、お前も知っているだろう"
私はトレーニングウェアを着て、サポーターの間に向かった。汚い言葉を吐きながらね……。

| | コメント (0)

2007年8月 8日 (水)

オシムのロングインタビュー(その1)

8月7日付のSportske Novosti紙に、イヴィツァ・オシム日本代表監督のロングインタビューが掲載されました。
インタビュアーはオシムとの親しい関係にあるアントゥン・サモヴォイスカ氏。ちなみに私が翻訳を担当したオシム手記「日本人よ!」制作の際に、私がサモヴォイスカ氏と知り合いであることをオシムに伝えたら、「彼に手土産を持っていってくれ」と彼に気を使っていました(私が手土産のアイデアを出し、その運び役になったわけですが...)。メディア批判をしばしばする彼とはいえ、本物のジャーナリストとは友人関係になるのがオシムです。
サモヴォイスカ氏から聞いた話ですが、ユーゴ代表の対キプロス戦でオシム采配を記事で批判した翌日、オシムがサモヴォイスカ氏に近づいて記事の内容を褒めてくれ、それ以降は友人として付き合いがあるとのことです。
長いインタビュー記事でありますので、二度に分けて掲載します。

イヴィツァ・オシムはザグレブからの電話に喜んでくれた。
「日本は最高だ。しかし、"故郷は故郷"だよ。」-"ドバル・ダン"(こんにちは)の挨拶を聞いたあと、日本の監督はそう語った。
日本がアジアカップ3連覇に成功しなかったのを聞くことだけに、私たちが連絡をしたのではないと、オシムはもちろんのこと知っていた。メニューの中には違うテーマが少しあることを知っていたのだ。

-イヴィツァ、世界の果てにおいても、引き続きヨーロッパ・サッカーとの身近なコンタクトに成功しているのか?
「もちろん、成功しているよ。」

-ディナモの動向は追っている?
「なぜ、私が追わないというのだね。見られるものは全て見ているよ。」

-今季のディナモのチームを気に入ってるか?
「ドムジャレの試合におけるディナモを見た。イヴァンコヴィッチ監督のチームにスピードのある選手がいること、ディナモのプレースピードの速さを私は気に入っているよ。ディナモはチャンピオンズ・リーグ予備戦三回戦に勝ち進むことを確信している。
けれども、注意する必要はある。不運は決して眠らないものだからだ。もし、偶然にも不運が眠っているとしても、いかなるケースにおいて道の下に不運が存在する。注意が決して事足りるものでないのがサッカーだ。」

-ディナモはチャンピオンズ・リーグ本戦まで進めるか?
「もしドムジャレを倒したら、私はそうなると信じているが、次はディナモの前にヴェルダー・ブレーメンが現れる。ディナモにチャンスがないわけではない。対決においては全てが起こりえるものだよ。
しかし、比較した際のプレーの価値だけが私を苦しめることは決してない。サッカーのプレーは"11対11"であり、誰にとっても競技するスペースは同じ大きさである。とはいえ、サッカーの"ピッチ"(立場)は誰にとっても同じではないのだ。強者と弱者の関係がいつも私を苦しめる。そこにおいては、公平さというものがとりわけないのだ。西欧は明らかな商業主義を持っており、それは豊かな人たちの基準によって作られたものだ。貧しい者が豊かな人たちの度量に到ることはできない。
ほら、ウクライナのシャフタール(・ドネツク)が数シーズン前に素晴らしいメンツを揃え、本物の監督も購入した。シャフタールは全てを手にし、良いプレーをする。シャフタールはチャンピオンズ・リーグ本戦まで到達するが、グループリーグを勝ち抜けることは非常に困難であり続けるだろう。
ヨーロッパにおいては投資した分が返ってくる。物事を決める最初のものがお金だ。しかし、時には偶然が決めることがある。もしくは運だ。けれども、人々の多くにおいて、運とラッキーな偶然がどれだけあるというのだね? 少し、ほんの少しだ。だから、大きなサッカーの大会の終盤において驚きが起こるのが稀なのは、何ら変わったことではないのだよ。」

-もしエドゥアルドとチョルルカを売却しなければ、ディナモはヴェルダーに対してもっとチャンスはあったのだろうか?
「その質問に答えるのは難しい。答えはこうだ。
"もしかしたらda(イエス)、しかし、もしかしたらne(ノー)でもある。"
間違いないのは、エドゥアルドとチョルルカの売却はディナモにとって素晴らしい仕事であったことだけだ。エドゥアルドとチョルルカに対してとても少ない投資をしたのにもかかわらず、ディナモは彼らを2500万ユーロで売却した。それは莫大なお金だ。もしエドゥアルドとチョルルカの売却でそれだけお金を得たならば、ディナモはルカ・モドリッチの売却で2000万ユーロ以上のお金を間違いなく得ることだろう。
もちろん、売却は常に困難を伴う。あのような選手を売却した時、同じ価値のある選手を購入することは不可能だからだ。同じ額を出したとしてもね。マミッチがあれだけのお金をどうするのかは私は知らない。けれども、2500万ユーロあれば多くのことを始めることができる。」

-8月22日にサラエボで行われるボスニア・ヘルツェゴビナvs.クロアチア戦には訪れるのか?
「生でその試合を見たいものだけど、同時期に日本はカメルーンと対戦する。とはいえ、テレビで試合を見ようと思う。私がヨーロッパに来るのは9月5日、来年の欧州選手権の会場となるクラーゲンフルトのスタジアムの柿落としとして、日本がオーストリアと対戦するためだ。
クロアチアvs.ボスニア・ヘルツェゴビナ戦について? 興味深い試合となるだろう。クロアチアは非常に興味深いチームを持っている。強くない国内リーグにおいても代表チームが形成できることを示したことは素晴らしいね。しかし、クロアチア・リーグは他のリーグにはない恩恵がある。それは、選手を生み出す時間というものだ。
クロアチアは欧州選手権の予選で素晴らしい位置にいる。これからの終盤においては、気の持ち方、試合の入り方、ルーティンぶりだけが課題だ。ビリッチのチームはしっかりと若返りを図っているとはいえ、その全てを持っている。大きな大会の終盤まで勝ち進むためには、それは大きな事柄なのだよ。」

続きはアジアカップに関する話題です。

| | コメント (0)

2007年8月 7日 (火)

モドリッチ、バイエルンへ?/クロアチア・リーグ第3節

まずは移籍のニュースから。

ディナモ・ザグレブとバイエルン・ミュンヘンの両チームの間で、クロアチア代表MFルカ・モドリッチ(21)の移籍に合意したと一部のメディアが報じています。移籍金はクロアチア過去最高の3000万ユーロ、ディナモの欧州カップ敗退が決まったのちに移籍するとされています。
モドリッチの獲得に関しては、アーセナルとバイエルンの競争と以前より報じられていたのですが、ディナモのマミッチ副会長が最低ラインとしていた2500万ユーロを500万ユーロ超えたバイエルンが口説き落としたことになります。ただ、このニュースの裏は取れていないため、信憑性にはまだ欠けるようです。

6日、クロアチア代表FWボシュコ・バラバン(28)が、ディナモ・ザグレブと3年契約を結びました。背番号は9番。イヴァンコヴィッチ監督はリエカを指揮していた11年前、バラバンをユースからトップチームに引き上げたという縁があります。
記者会見でバラバンは
「ディナモの加入が3度目ということで嬉しいよ。過去の2度を越える成功を願っている。再びマクシミールにやってきたことで心地良い気分だね。かつてここにいた時と比べると、ディナモは異なる次元にいる。素晴らしいプレーをしているし、結果やチームの雰囲気も素晴らしいよ。」
とコメントしています。
記者会見にて、スポーツディレクターのゾラン・マミッチはMF/DFイゴール・ビシュチャンを口説き落とそうとしたものの、上手くいかなったことを明らかにしています。ビシュチャンは今年夏にパナシナイコスとの契約が切れ、現役生活には未練がないと報じられていました。このまま引退する可能性が十分に出ています。

続いて8月4日と5日に行われたクロアチア・リーグ第3節の結果を。

開幕二連勝のディナモ・ザグレブは、開幕二連敗のインテル・ザプレシッチとアウェーにて対戦しました。
疲れのあるショコタではなく、ワントップにはタディッチを起用。トップ下に先のドムジャレ戦では累積警告のため出場できなかったマンジュキッチを置きます。
7分、インテルの右SBクェディの足元にあるボールをディナモの左SBチャレがチェックし、ボールは中央のMFグエラへ。グエラはヒールキックで相手ゴールにより近いマンジュキッチに流すと、彼はGKヴラニッチの頭上を打ち破るシュートを決めて、ディナモが先制に成功します。
20分にはディナモがカウンターを仕掛け、左サイドをタディッチがドリブルでボールを運び、最後は中央へ飛び込んできたモドリッチに。モドリッチはトラップすることなく、正確にゴール右にシュートを決めて、早くも2-0とリードを広げます。膝が本調子ではないモドリッチは、大事を取って30分にはベンチに下がります。
前半ロスタイムにはモドリッチに代わって入ったイェルテツが、グエラのシュートがGKに弾かれたボールを拾い、GKを左にかわしてシュートを決めて3-0。実力差は明らかで、試合が決まってしまいました。
後半は随分と緩い試合内容となり、66分、マンジュキッチがタディッチのワンツーから左サイドを突破。放ったシュートは枠を外していたものの、インテルのDFスクリッチの足に当たって方向が変わってゴールに吸い込まれて4-0(記録上はマンジュキッチのゴール)。マンジュキッチにとっては3試合で4ゴール目となり、現在単独で得点王になっています。
エドゥアルドがいなくなったとはいえ、ディナモは3試合で14得点(1失点)とリーグでは別次元の強さを誇っています。

その一方で、ライバルのハイドゥク・スプリトはリーグで煮え切らない戦いをしております。
チバリア・ヴィンコヴチとのアウェー戦では、ラトビア代表FWヴェルパコヴスキスが初出場で初スタメン。バルトロヴィッチ、ルカビナと共に3トップを形成しました。
両チームともチャンスを作るものの、それを逃す展開が続きます。39分、ヴェルパコヴスキスがペナルティエリアに侵入したところをDFストゥデノヴィッチに思い切り倒されたものの、ベベク主審はPKの笛を吹かず。またチバリアも前半、GKが弾いたボールを新加入のFWドディクがシュートを決めたものの、オフサイドの判定で取り消されてしまいます。
後半もお互いが攻めたところでも、チャンスを潰していきました。55分にルカビナがお膳立てした5mの近距離シュートをハイドゥクMFリュビチッチが外すと、62分にはバガリッチの左クロスからチバリアFWヴカが3mの近距離シュートを外します。
ハイドゥクは65分、バルトロヴィッチに代えFWカリニッチを投入したものの流れは変わらず。逆にチバリアは80分、FWバラバンが得点を決めたものの、ベベク主審はシュートの前のバラバンへのファウルを優先してしまい、得点を取り消されることに。チバリアが勝ってもおかしく試合でしたが、ハイドゥクはスコアレスドローで終えております。

全試合の結果はこちら。

Zadar - Sibenik 2:2
0:1 50' Batkoski (OG)
0:2 70' Zec
1:2 81' Terkes
2:2 90' Terkes

Medimurje - Varteks Varazdin 4:1
1:0 41' Saranovic
1:1 48' Semler
2:1 49' Piskor
3:1 75' Saranovic
4:1 87' Saranovic

Osijek - Rijeka 2:2
0:1 19' Dalovic
0:2 54' Budicin
1:2 78' Jukic
2:2 88' Babic

Inter Zapresic - Dinamo Zagreb 0:4
0:1  7' Mandzukic
0:2 20' Modric
0:3 45' Jertec
0:4 66' Mandzkic

Cibalia Vinkovci - Hajduk 0:0

Zagreb - Slaven Belupo 0:2
0:1 38' Jajalo
0:2 71' Sehic

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点9)、2位…リエカ(7)、3位…オシエク(7)、4位…スラヴェン・ベルーポ(6)、5位…ハイドゥク・スプリト(5)、6位…ザグレブ(4)、7位…チバリア・ヴィンコヴチ(4)、8位…メヂムリエ(3)、9位…ザダール(2)、10位…シベニク(2)、11位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(0)、12位…インテル・ザプレシッチ(0)

【得点】
4ゴール…マンジュキッチ(ディナモ)
3ゴール…ルカビナ(ハイドゥク)、シャラノヴィッチ(メヂムリエ)、バビッチ(オシエク)、モドリッチ(ディナモ)

【アシスト】
2アシスト…サミール(ディナモ)、パブリチッチ(オシエク)、シャルビーニ(リエカ)

| | コメント (0)

2007年8月 3日 (金)

ディナモはヴェルダー・ブレーメン、ハイドゥクはサンプドリアと対戦

8月3日、ニヨンにてUEFAチャンピオンズ・リーグ予備戦三回戦と、UEFAカップ予備戦二回戦の抽選会が行われました。
チャンピオンズ・リーグに参戦中のディナモ・ザグレブはヴェルダー・ブレーメン(ドイツ)と、UEFAカップに参戦中のハイドゥク・スプリトはサンプドリア(イタリア)、スラヴェン・ベルーポはガラタサライ(トルコ)と、いずれも難しい相手を引いてしまいました。

Berder ディナモのイヴァンコヴィッチ監督は定例記者会見でヴェルダーについて聞かれたものの、
「抽選については何も話すつもりはない。なぜなら、ヴェルダーについて考えるようになれるのは、まずドムジャレ戦を乗り越えてからだからだ。貴方たち誰もがヴェルダーがどんなチームか知っている。バイエルンと共にこの20年間、ブンデスリーガで最高のチームだ。ヨーロッパでも素晴らしい結果を残しているし、どんなコメントも今は余計なだけだ。
抽選にどんな願望を持っていたか、って? 私の唯一の願望はドムジャレを倒すことだ。ドムジャレを倒さない限り、ヴェルダーについては何も話さない。」
と、控えめに語っています。
ヴェルダーには二人のクロアチア人がいますが、MFユーリツァ・ヴラニェシュは
「ディナモと対戦するものとほぼ確信していたし、それには喜んでいる。祖国でプレーするのは常に特別な気分だからね。ディナモ、そしてどの選手についてもよく知っている。強いチームだけど、恐れる必要はない。2年前に戦ったバーゼルの方が難しい相手だったと思う。代表では一緒にプレーしている相手の10番、ルカ・モドリッチをマークしなければならない。ディナモはエドゥアルドとチョルルカを売却した後だけに、彼はチームにおいてとりわけ最高の選手だ。
とコメント。またリハビリ中で出場は難しいとはいえ、FWイヴァン・クラスニッチは
「この試合には喜んで出場をしたいものだよ。ディナモはクロアチアにおいて絶対的に最高のチームである。チームには何人かの最高クラスの選手がある。例えばモドリッチは、我々の代表でもゲームメーカーだ。GKのゲオルグ・コッホもそのクラスに入るだろう。」
とコメントしています。
初戦は8月14日or15日にブレーメン、第2戦は8月28日or29日にザグレブで行われます。

Sanp メンツの中でも一、二を争う難敵を引いてしまったハイドゥクでありますが、プダール監督は
「最高だね。アトラクティブな対戦相手を私たちは引いた。観客にとってサンプドリアは本物の"餌"となるだろう。間違いなくチケットは完売する。サポーターたちも本当のサッカーのスペクタルを見る機会になるはずだ。
恐れることは何もない。サンプドリアは難しい相手であるのは間違いないが、次のラウンドに進めるために全力を尽くす立場に私たちはある。もし私たちの方にアドバンテージを探そうならば、サンプドリアはまだ本調子にないことだ。まだ準備を始めたばかりだろうしね。」
とコメントしています。
初戦は8月16日にスプリトにて、第2戦は8月30日にジェノアで行われます。

| | コメント (2)

UEFAカップ予備戦一回戦/ハイドゥク、ベルーポ共に通過

2日、UEFAカップ予備戦一回戦の第2戦が行われました。

初戦はアウェーで「1-1」というまずまずの結果で終えたハイドゥク・スプリトは、ホームにブドゥチノスト(モンテネグロ)を迎えての第2戦。両国が90年代に戦争した関係であることと、先のリーグ戦の対インテル・ザプレシッチで7ゴールを決めて快勝しただけに、この試合における注目度は格段に高く、ポリュウド・スタディオンは3万人の観客で満員となりました。

第1戦では選手登録から漏れていたMFガブリッチが出場していたことから、最悪は「0-3で負け」というペナルティを食らう可能性がありますが(ひとまずは罰金で済む模様)、8月7日のUEFAの最終判断待ちとはいえ、この試合ではガブリッチは起用できず。ハイドゥクの布陣は先のインテル戦と同じです(4-3-1-2)。
GKバリッチ-(右から)DFペライッチ、パンジャ、ジヴコヴィッチ、フルゴヴィッチ-MFアンドリッチ、ダムヤノヴィッチ、ルビール-チェルナト-FWカリニッチ、ルカビナ
一方のブドゥチノストは、ワントップだけが替わった以下の布陣でした(4-2-3-1)。
GKヴヤディノヴィッチ-DFラキッチ、ヴクチェヴィッチ、ペリシッチ、ヴコヴィッチ-MFライチェヴィッチ、ヴラホヴィッチ-ヂュリシッチ、ムゴシャ、デリッチ-FWミリッチ

Scernat 試合はトルツィダ(ハイドゥク・サポーター)の後押しを受けて、ハイドゥクが押し込みます。ただし、ブドゥチノストがゴール前を固めたことで、俊足のカリニッチやルカビナが活きるようなスペースがなく、足元にパスを繋ぐだけでシュートチャンスがなかなか生まれません。トルツィダもお約束通り、発炎筒をピッチへと投げ込み、試合がしばし中断となります。
25分、空中のボールに競り勝ったカリニッチがペナルティエリア手前からシュートを放ちますが、GKの正面。また31分にはチェルナト(写真)から左のルカビナへボールが渡り、ルカビナがエリア内でドリブルでDF陣を引きつけてからチェルナトへ。しかし、チェルナトのシュートの弾道はGKの頭上だったため、パンチングで逃れられます。
34分、エリア手前でチェルナトが直接FKを放ち、ボールは一度は壁に弾かれるものの、再びチェルナトがシュート。ボールはネットをゆらしますが、線審にオフサイドを取られてしまいます。

Sdamjanovic けれども後半開始48分、左のショートコーナーからチェルナトがファーサイドにクロスを放り込むと、ボール目掛けて突進したダムヤノヴィッチ(写真)がヘディングで叩き込み、ハイドゥクが先制に成功します。ボスニア代表MFであるダムヤノヴィッチは、ドイツで行われた夏のキャンプでビザがおりずに入国できず、まったくキャンプに参加できなかったのですが、大事な試合で起用されて貴重なゴールを挙げました。
トータルスコアでも優位に立ったハイドゥクは54分にはカリニッチ、62分にはルカビナのシュートを弾いたところをカリニッチが決められず。
ブドゥチノストも68分、ペナルティエリアでのこぼれ球をシュチェパノヴィッチがほぼフリーでシュートを放つものの、ボールはポストの左を逸れていきます。
その後はハイドゥクがチャンスを潰すシーンのオンパレード。72分にはカリニッチとルビール、75分にはルカビナ、83分にはバルトロヴィッチ、87分にはアンドリッチ、90分にはルカビナが決められるシュートを決められずに終わります。21本のシュート(枠内11本)を放ちながら1点しか取れないハイドゥクでありましたが、それでも一回戦通過をしっかりと決めております。
(写真はSport-netより)

クロアチアからはもう一チーム、スラヴェン・ベルーポがUEFAカップに参加。初戦のホームでは相手選手の早い退場もあって「6-2」でテウタ(アルバニア)を一蹴。とはいえ、ユルチッチ監督は第2戦のアウェーでも、怪我人を除けばベストメンバーで挑みました。
ベルーポが主導権を握ったとはいえ、前半のロスタイムにヴィラのアシストを受けたクリが決めてテウタが先制に成功します。ベルーポは65分、途中交替で入った19歳のMFヤヤロを基点に、ボールはFWヴルチナからFWクレシンゲルへ。そのクレシンゲルが同点ゴールを決めます。
更にその5分後、DFクリスティッチのロングボールを受けたヴルチナがドリブルからそのまま決めて逆転に成功。
しかし、テウタも75分、オフサイドポジションながら再びクリがゴールを決めて2-2に。トータルスコア8-4で、ベルーポが予備戦二回戦へと駒を進めています。

| | コメント (0)

チョルルカ、マンチェスター・シティに正式移籍

クロアチア代表DFヴェドラン・チョルルカ(21)が、ディナモ・ザグレブからマンチェスター・シティの移籍手続きが完了。現地にて入団発表が行われました。背番号は24。移籍金はマミッチ・ディナモ副会長の証言によると1300万ユーロ、年俸300万ユーロの5年契約になります。
Scorluka ディナモとの契約更新を拒否し、移籍を希望していたチョルルカ(写真)は
「とても満足している。これ以上に落ち着くことはありえないよ。クラブを訪れ、スタジアムを訪れたけど、全く僕にとっては新しいものだ。上手く適応できるものと確信しているよ。
エリクソンのような監督が僕をチームに欲してくれたことに満足している。チームは優秀な選手がたくさんいるし、更に補強もすることだろう。今季のマンチェスター・シティは大きな結果を残そうとしてるし、そのチームの一員になれることをうれしく思う。
移籍に関しては、全てがあっという間に行われた。ほとんど一晩のうちに、僕が拒否できないほどのチャンスが巡ってきた。そしてイングランドへと渡ったのさ。これは全ての選手とっての夢であるし、今、僕にもその夢が実現したんだ。
8年間過ごしてきたディナモを去ることは間違いなく単純ではなかったけど、違う場所でも試す時がやってきた。ディナモは僕に多くのものを与えてくれただけに感謝している。しかし、これはプロフェッショナリズムだ。新たな目標を定めなくてはならない。ディナモは選手を売らないという主義を通してきたけど、僕が受けたこのオファーとチャンスはその主義すらを通せないものだったわけさ。」
とコメントしています。
またゴラン・エリクソン監督は
「ヴェドランは若い上に、センターバックと右サイドバックという幾つものポジションでプレーできるのが長所だ。上背もあるし、肝も座っている。21歳にして国際経験も豊富にあることも、私たちにとってはプラスだ。トップチームにおける選手が更に一人加わった。彼が大きな成功を収めることを願っているよ。」
と語っています。

クロアチア代表FWボシュコ・バラバン(28・写真)が、クラブ・ブルージュからディナモ・ザグレブの移籍に大筋で合意しました。移籍金は150万ユーロ、年俸は40万ユーロの3年契約と言われており、40万ユーロとはいえ、ディナモにとっては一番の高給取りとなります。ブルージュでの身辺整理をしたのちザグレブへと戻り、それから契約にサインする運びです。
Sbalaban クラブ・ブルージュは来年夏にバラバンとの契約が切れ、レッドスター・ベオグラードからFWドゥシャン・ヂョキッチを獲得(移籍金150万ユーロ)したことから、この時期がバラバン売却のタイミングと考えたようです。
バラバンは2000年にリエカからディナモに移籍。ショコタとのコンビで27試合14得点の活躍を見せたのち、2001年にアストン・ヴィラに移籍したものの失敗。2002年にレンタルでディナモに戻り、そこではオリッチとのコンビで24試合15得点を決め、2003年からクラブ・ブルージュに移籍しました。クラブ・ブルージュでは116試合58得点を決めており、エドゥアルドに代わるゴールゲッターとしてディナモ幹部は期待を寄せています。

イングランドの労働ビザがなかなか認可されなかったアーセナル所属のクロアチア代表FWエドゥアルド・ダ・シルヴァですが、移籍してからちょうど一ヶ月たった8月2日、ようやく労働ビザが認可されました。
先のエミレーツ・カップでは労働ビザのために出場できなかったエドゥアルドですが、2日、ラツィオとの試合にフル出場。26分、CKからのヘディングシュートはクロスバーを越えたものの、55分、今度はCKからヘディングシュートを決めて、アーセナルのユニフォームを着ての最初のゴールを記録しております。
アーセン・ヴェンゲル監督も
「エドゥアルドは良いプレーをしたし、ゴールを決めたことで自ら労働ビザの認可を素晴らしい形で祝ったよ。チームプレーにおける彼の吸収ぶりは非常にいいね。」
とコメントしております。

| | コメント (3)

2007年8月 2日 (木)

オシム、アジアカップ後のクロアチア紙インタビュー

日本代表監督に就任以来、クロアチアのメディアに対してなかなか口の開くことがなかったイヴィツァ・オシムですが、Jutarnji-list紙の重鎮記者トミスラフ・ジダクの電話インタビューに答えております。以下、ネット版の記事の翻訳になります。

日本代表監督イヴィツァ・オシムはアジアカップから帰国した。時差から起こる眠気に"勝利"した彼は、中欧での出来事にとても好奇心を持っている。ディナモがアゼルバイジャンのチームとの試合に苦しんだと聞いて驚いたが、サッカーの世界において完全なアウトサイダーはもういないことをオシムは昔から知っている。

「ディナモにはスロベニアで多くの幸運を願っている」-オシムはメッセージを残した。

-アジアカップでは日本に何が起こったのか?

「決勝まで到達するには6試合を要するのだが、その中にいわゆる"黒い日"がどのチームにもある。グループリーグにおいて起こったならば敗退の憂き目に遭うし、ノックアウトラウンドの決勝トーナメントでその黒い日がやってきたならば死んでしまう……」

-日本のサッカーは失望させたのか?

「インドネシアに渡る前に、私たちが"チャンピオン"であるという雰囲気が作られていた。私たちは悪いプレーはしなかったが、サウジアラビアが4度シュートを放ったうち、3ゴールを決めた。私たちは"百万"もの決定機があったのだが、頭の中ではその雰囲気が私たちを"殴って"いた。」

-PK戦というものに貴方は憤慨しているのか?

「旧国家(ユーゴスラビア)においてもPK戦が私をいらいらさせた。ミリャニッチ(当時のユーゴ・サッカー協会会長)が(リーグ戦の)引分けの際に"PK戦"を蹴るというルールを創造した時はね。そのルールを私は忍んだし、イタリアでのワールドカップでもそうだ。私が神経を失うのは当たり前だよ。"PK戦"にもつれた時に、私の心臓が異常な鼓動を始めるのだ。ベンチにおいて"生クリーム"(※ケーキの上の生クリーム→"おまけの部分"という意味)が私を襲うなんて嫌だ。だから私は去るのだよ……」

-南アフリカ・ワールドカップまでも日本のベンチに留まるのか?

「問題となるのは、そのプレッシャーに私が耐えられるかどうかだ。もし(プレッシャーが)途絶えたとしても、それは正しいことではない。しかし(プレッシャーに)慣れてしまっては危険になってしまう! 分からない。はっきりはしない……」

イヴィツァ・オシムにとって休暇はなく、8月18日、エトーを含めたフルメンバーで東京にやってくるカメルーンと対戦する。9月初めにはクラーゲンフルトにやってきて、オーストリアが対戦相手となる。

「ボスニア・ヘルツェゴビナvs.クロアチア戦のある8月22日、できることならサラエボにいたいね。」

彼の声からはノスタルジーを感じる……

| | コメント (0)

CL予備戦二回戦/ディナモ、アウェーでドムジャレに勝利

8月1日、チャンピオンズ・リーグ予備戦二回戦第1戦「ドムジャレ(スロベニア)vs.ディナモ・ザグレブ」が、ドムジャレの本拠地シュポルトニ・パルク・スタディオン(収容3212人)で行われました。

一回戦ではハザール(アゼルバイジャン)を延長の末、やっとの思いで倒したディナモ・ザグレブ。スロベニアのチームと相性がいいとはいえ、ドムジャレはこの夏の練習試合でハイドゥクとリエカを下したこともあって警戒すべき相手です。
Smagic_2 前のハザール戦でイヴァンコヴィッチ監督(写真・右)が審判にクレームをつけて退場したため、この試合ではマギッチ・アシスタントコーチ(写真・左)が指揮を取ります。またFWマンジュキッチは累積警告で欠場。先のザダール戦でポテンシャルを見せたコートジボアールのMFグエラが先発起用されます。スタメン(4-2-3-1)は以下のよう。
GKコッホ-(右から)DFエトー、シルデンフェルド、カルロス、チャレ-MFヴコイェヴィッチ、パクリヴァチュ-サミール、モドリッチ、グエラ-FWショコタ

一方、昨季にスロベニア・リーグ初優勝を果たしたドムジャレは、首都リュブリャナの郊外にある小さなクラブ。2002年にスラヴィシャ・ストヤノヴィッチ氏を監督に迎えてから一部に昇格し、2005/06シーズンにはUEFAカップ一回戦でシュトゥットガルトを下したこともあります。エースは一回戦・ティラナ戦で決勝ゴールを決めたFWリュビヤンキッチ。また、この夏にレンタルでディナモから移籍したFWザホラにとっては、6シーズンを過ごした古巣との対決となります。スタメン(4-4-2)は以下のとおり。
GKネメツ-DFジンコ、エルスネール、ヴァルガ、アリャンチッチ-MFヤンコヴィッチ、キルム、ブレジッチ、グラビッチ-FWリュビヤンキッチ、ザホラ

開始早々からボールを自在に回そうとするディナモを相手に、ドムジャレはボールホルダーに対してのアグレッシブな守備で対応します。しかし、モドリッチ(写真)やサミールにボールが渡ると、2人、3人と囲んだところでも奪うことができません。
Smodric 7分、モドリッチが右サイドでディフェンダー2人をかわすと、そのままゴール前のショコタ目掛けての折り返し。一旦、DFの足にボールが触れてからショコタの足元にボールが渡ったことでDFエルスネールとGKネメツが振られてしまい、ショコタは冷静にゴール左にシュートを決めて、ディナモが先制に成功します。
危険な場面を迎えたのは13分、ドムジャレの前方へのロングボールにGKコッホがペナルティエリアを飛び出してヘディングでクリアを試みるも、ボールは空中に舞い上がり、そのルーズボールをFWリュビヤンキッチと競り合い。サイドまでお互いが流れて、最後には両方とも倒れたことで難を逃れます。
ドムジャレは28分、縦へのロングパスをリュビヤンキッチがヘディングで落とし、左サイドからザホラがクロス。ゴール前へと飛び込んだリュビヤンキッチの頭にピタリと合うものの、ヘディングシュートは右へと逸れます。
前半のディナモはボールをキープし、ゴール前へと攻め込んでも、分厚い相手のディフェンスに攻め手を欠きました。ドムジャレもアイデアに欠けるとはいえ、よく訓練された好チームであることを示しました。

とはいえ、後半早々、ディナモは効果的な追加点を決めます。49分、楔に入ったショコタが、右サイドからDFの背後のスペースを突くモドリッチへと展開。モドリッチは胸トラップからそのままペナルティエリアに侵入したところ、エルスネールが背後から倒してしまってPK。モドリッチは中央上にしっかりとPKを決め、2-0とリードを広げます。
もう後のないドムジャレは前掛かりとなり、それによってスペースが広がったものの、ディナモは手数だけが多い攻撃に終始。66分、ヴコイェヴィッチがミドルシュートを放つもののGKに防がれ、こぼれ球を更にヴコイェヴィッチがシュートを狙うも、これもDFヴラガにクリアされます。79分にはサミールがコースを狙ってミドルシュートを放ちましたが、これもGKネメツが好セーブを見せます。
ディナモはこのまま収束させていけば良かったのですが、87分、クリアボールをバイタルエリアで拾ったモドリッチがドリブルを下手に仕掛けたところをブレジッチに奪われ、ゴール前がぽっかり空いたところを繋がれ、最後はジェジェリにゴールを奪われます。
89分には、ザホラの左足からのミドルシュートを狙われましたが、ボールはわずかに左ポストに逸れました。
最後は集中力が切れて失点を許したとはいえ、アウェーで2-1というアドバンテージを持って、8月7日のホームでの第2戦を迎えます。

1日、ディナモの副会長ズドラヴコ・マミッチ氏が、DFヴェドラン・チョルルカ(21)をマンチェスター・シティに売却することを認めました。移籍金は1300万ユーロ、年俸3万ユーロの5年契約という破格の条件だそうです。
ちなみにディナモ・ザグレブの公式サイトにおけるチョルルカのプロフィールの中で「プレーしたい国外のクラブ」という質問があるのですが、以前はマンチェスター・ユナイテッドだったのが、今ではマンチェスター・シティに書き換えられています。
これでディナモが抱える3人のクロアチア代表レギュラーのうち2人を売却することになりますが、残るMFルカ・モドリッチに関しては直ぐに売却する考えはないとはいえ、価格を2500万ユーロ以上に設定しているそうです(現時点では2000万ユーロのオファーあり)。
ちなみに秘密とされていたエドゥアルド・ダ・シルヴァの移籍金に関していえば、クロアチア・サッカー協会へ移籍金の3%を収める規則をマミッチが批判した際に"48万ユーロ"と具体的な数字を口にしたことから、総額1600万ユーロであったとされています。

更にマミッチ副会長はドムジャレとの試合ののち、クロアチア代表FWボシュコ・バラバン(28)を獲得することを明らかにしています。クラブ・ブルージュに所属するバラバンには、グラスゴー・レンジャースやレッドブル・ザルツブルクが関心を示していたものの移籍は実現しませんでした。ベルギーからの情報では、移籍金200万ユーロ、3年契約とされています。もし実現したならば、バラバンにとっては二度目のディナモ復帰になります。

| | コメント (1)

2007年8月 1日 (水)

労働ビザ取得に苦しむエドゥアルド

この夏、アーセナルに移籍したクロアチア代表FWエドゥアルド・ダ・シルヴァ(24・写真)ですが、未だに労働ビザが下りず、ディナモに戻る可能性も出てきました。
Sdudu 「FIFAランク70位以上の代表チームで、ここ2年間に75%以上の公式戦に出場」というのがEU圏外選手の労働ビザ取得の条件でありますが、実際には代表歴もない選手ですら取得しているのが事実。エドゥアルドは75%の基準を満たしていないとはいえ、ここ一年間は代表でレギュラーとしてプレーしており、アーセナル側は問題なく取得できると考えていました。
しかし、思いのほか労働局が頑な態度を取っており、最終的には8月2日に労働ビザが取得できるかできないかを知ることになっています。契約には「ビザが取得できない場合は、自動的に契約を打ち切る」という条項が盛り込まれており、もしビザが下りなければ、契約はなかったこととしてザグレブに戻ることになるとヴェンゲル監督はレキップ紙のインタビューに答えています。
過去にクロアチアの選手でおりなかったケースとして1996年にミドルズブラが獲得するはずだったイゴール・ツビタノヴィッチがおり、最近で有名なところだと2004年にチェルシーが獲得したブラジル人DFアレックス(現在までPSVにレンタル)、逆に基準を満たしてないのに労働ビザを取得したケースとしては、ハテム・トラベルシ(チュニジア/マンチェスター・シティ)、パク・チソン(韓国/マンチェスター・ユナイテッド)、一試合もセレソンでプレーしていないアンデルソン(マンチェスター・ユナイテッド)などがおります。

Scorluka クロアチア代表DFでディナモ・ザグレブ所属のヴェドラン・チョルルカ(21・写真)に、マンチェスター・シティ移籍の話がまとまったとイングランドのメディアが報じています。
ディナモ側は現時点では否定も肯定もしておらず、スポーツ・ディレクターのゾラン・マミッチも雲隠れしている状態。移籍金680万ポンド、4年契約という未確認情報すら流れております。現在、チョルルカはアキレス腱を痛めており、復帰は未定とされているものの、ディナモでの更新条件を不服として国外移籍を希望しております。

ディナモ・キエフ所属のDFゴラン・サブリッチ(27)が、古巣のハイドゥク・スプリトに1年契約でレンタル移籍することがまとまりました。長きに渡って復帰するのかしないのか話題になっているうちに、チームメイトだったMFチェルナトやFWヴェルパコヴスキスのレンタル移籍のサポート役に回り、最終的には彼自身も話がまとまりました。サブリッチは昨季に膝の手術をして棒に振ったものの、今は完全に回復してプレーできる状態だそうです。

| | コメント (1)

« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »