クロアチア、アンドラに6-0で大勝
9月12日、アンドラの首都アンドラ・ラ・ベリャのコムナーレ・スタジアムで、欧州選手権予選「アンドラvs.クロアチア」が行われました。
グループリーグで8戦全敗、草刈場のアンドラとはいえ、イングランドもアウェーで60分近く先制点が奪えなかった侮れない相手であります。クロアチアとは昨年10月に戦っており、その時はペトリッチの4得点を含む7-0で大勝しています。
クロアチアはMFコヴァチ兄が背中の痛み、GKプレティコサが首の痛みを抱えていることから外され、代わりにMFレコとGKルニェが起用。またDFラインにはバビッチとクネジェヴィッチが新たに起用されました。
GKルニェ-(右から)DFチョルルカ、クネジェヴィッチ、コヴァチ弟、バビッチ-MFスルナ、レコ、モドリッチ、クラニチャール-FWエドゥアルド、ペトリッチ
一方のアンドラは6人の主力が怪我や累積警告で欠場。その中にはスペイン二部のペリ・エイードでプレーするFWベルナウス、アンドラ代表で最も得点を決めているセリエBのテリエスティーナ所属イルデフォンス・.リマも含まれています。スタメン(4-2-3-1)は以下のようです。
GKアルバレス-DFアヤラ、ソネイェー、リマ、ティマ-MFヴィエイラ、ルイス-ガルシア、ヒメネス、シヴェラ-FWシルバ
いつものように自陣内を固め、ボールホルダーに対しては荒いチェックをしてくるアンドラ。標高900mの山岳地帯に位置するアンドラ・ラ・ベリャは風が強く、サイドチェンジやロングパスで打開しようにも正確性に欠けます。
最初のチャンスは10分、エドゥアルドが左サイドを突破し、中央へ折り返すものの、ペトリッチのボレーシュートはクロスバーを越えてしまいます。
22分にはクラニチャール(写真)のミドルシュートが右ポストを逸れ、24分にはバビッチの左からのクロスボールにエドゥアルドがヘディングシュートを試みますが、これまた枠を外します。
前回のW杯予選の対マルタ戦(1-1)のように、弱小国相手だとついつい気が抜ける「ユーゴ・シンドローム」をコーチ陣が口酸っぱく注意したこともあり、辛抱強く攻め続けたクロアチアはラッキーな先制点を奪います。 34分、クラニチャールが倒され、正面25mの位置で直接FKを得たクロアチア。スルナが蹴ったボールはアンドラの人壁に当たり、そのままコースが変わってゴール右上に吸い込まれます。
38分、同じくクラニチャールが倒され、先ほどと同じ位置からの直接FKを今度はペトリッチ(写真)がGKの手が届かないゴール左に叩き込み、リードを2-0と広げます。
更に44分、左サイドのクラニチャールがワンタッチでペナルティエリアに飛び込むペトリッチに縦パスを通し、ペトリッチは利き足の左足で正確なシュートを決め、前半を3-0で折り返します。
後半頭からFWペトリッチを下げてバラバンを、モドリッチを下げて左MFにプラニッチを起用し、クラニチャールが左MFから中央へとシフトします。プラニッチ(写真)は先のエストニア戦ではベンチにも入れなかったわけですが、へーレンフェーンでの活躍ぶりを証明するようにタッチ&ゴーやドリブル突破で左サイドを切り裂きます(冬にはフェイエノールトに移籍とも)。
48分、スルナの右FKからバビッチがファーで折り返し、フリーのクネジェヴィッチが近距離でヘディングシュートを試みましたが、ボールはクロスバーに。
しかし、その直後、プラニッチが左サイドを突破し、中央のクラニチャールへ。クラニチャールは右足のトラップでマーカーをかわし、左足でゴール左にシュートを叩き込みます。ポーツマスではレギュラーに手が届く状況でありながら、足の怪我で開幕を出遅れた彼ですが、課題であったウエイトも落とし、この日は随分と軽い動きでプレーをこなしたことで、クロアチアの各メディアではマン・オブ・ザ・マッチに選ばれています。 クロアチアのゴールラッシュは続き、56分、レコが右サイドから突破し、折り返しのパスからバラバンが放ったシュートはDFアヤラに当たるものの、エドゥアルドが反応良く左足を振り抜き、5-0とリードを広げます。
62分にはエドゥアルドに代えて、19歳のMFラキティッチ(写真)が交替出場。デビュー戦となるエストニア戦では左MFと右MFのポジションを試されたのですが、今回はセカンドトップで適正を試されます。わずか1分後、バラバンの直接FKがGKによって左に弾かれたところをプラニッチが中央へ折り返し、ゴール前のラキティッチが冷静に流し込んで6-0。2試合目にして早速、代表初ゴールを決めました。
ラキティッチはクラニチャールとの縦の連携も良く、77分にはラキティッチを背後から倒したガルシアが一発退場。怪我人や無駄なカードを出さず、かつテストを重ねながら、昨年のホームの試合同様にアンドラに大勝しています。
試合後、ビリッチ監督は
「エストニアとアンドラは実力の尺度を図る相手ではないとはいえ、リラックスするな、単純な戦いではないぞ、というコーチ陣の注意を選手たちが常に心得ていたことがとても重要だった。ボールが常に相手陣内にあることは分かっていたし、90分全てを予定通りに戦えた。もちろん、全員が神経質になっていたよ。最初のゴールが生まれるまで、なんて時間が早く進むのだと私は脅えながら、ついつい5度に渡って電光掲示板を目にやってしまったよ。
段々と試合数も減ってきたが、私たちには十分にガソリンがある。本物のタイヤもある。オーストリアとスイスへの道は開かれており、私たちが立ち止まることはないと確信している。対戦相手は強豪かつ困難であるとはいえね。」
とポジティブなコメントを残しています。
クロアチアが属するグループリーグEでは、イングランドがホームでロシアを3-0と完勝。これでイングランドが勝点20で2位に浮上してきましたが、クロアチアは勝点23で首位をキープ。残る3試合で勝点4を稼げば、2位以上が確実となりグループリーグを突破します。来月のロシアとイングランドの直接対決の結果次第では更にノルマは低くなる上、クロアチアはイスラエル(ホーム)、マケドニア(アウェー)と楽なカードであるため、最終戦のイングランド(アウェー)を待たずして決まりそうです。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
別件で申し訳ありません!
オーストリア紙に掲載されたオシム御大のインタビューの翻訳をお願いします。
投稿: HY | 2007年9月19日 (水) 15時16分
私はクロアチア語翻訳なので、ドイツ語は翻訳できません。
投稿: 長束恭行 | 2007年9月19日 (水) 16時45分
一つお聞きしたいのですが、ラパイッチは結局どこへ移籍したのでしょうか?
投稿: ボバン | 2007年9月25日 (火) 21時51分
ハイドゥク・スプリトに復帰、という話があったのですが、リエカ戦の敗北後にフロント総退陣となったため、それも宙ぶらりん状態です。
本人はイタリアに何かしらビジネスをしているそうで、向こうに行き来をしているようですよ。
投稿: 長束恭行 | 2007年9月25日 (火) 22時11分
ハイドゥク復帰はなしですか!!!彼にはベテラン選手として代表でもまだまだ頑張って欲しいものです。
投稿: ボバン | 2007年9月27日 (木) 17時28分