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2007年9月27日 (木)

クロアチア・カップ/続くディナモの不振

25日と26日、クロアチア・カップが行われ、ベスト16を掛けての戦いが行われました。この試合からクロアチア一部リーグのクラブが加わるわけですが、基本はアウェーでの一発勝負となります。

ヴァルテクスに敗れてリーグ連勝記録がストップした失意のディナモ・ザグレブは、三部リーグのヴィロヴィティツァと対戦。ヴィロヴィティツァはかつて「ムラドスト127」という名前で一部リーグにも参戦していたのですが(三浦和良のディナモ・デビュー戦の相手)、チームは破産に追い込まれ、現在は地元の名前を取ってNKヴィロヴィティツァと呼ばれています。
何人かの主力選手は外れたとはいえ、名が知れた選手ばかりが出場したディナモですが、ショックを引きずったのがありありで、三部相手でもピリッとしません。
前半にGKロンチャリッチが相手選手と交錯し、膝を負傷して退場。その後は第3GKのケラヴァがゴールを守ります。後半48分、ブリャトのCKからバラバンのヘディングシュートでようやくディナモが先制しますが、55分にヴァツラヴェクがミドルシュートを決めて同点に追いつかれます。
Sivankovic 埒が開かないディナモは、63分に休ませるはずのモドリッチを投入。チャンスを作り出すものの、75分にチャレがシュートをポストに当て、終了間際にはチャゴがミドルシュートを同じくポストに当てます。
とうとう後半に突入しましたが、96分に右CKからバラバンが、107分にはマンジュキッチがボレーシュートを決めて3-1と突き放し、危うく勝利を収めました。
この試合の会見後、イヴァンコヴィッチ監督(写真)は
「監督の中には、解雇されてしまった人物と、解雇されてしまう人物という二種が存在するが、私に関していえば解雇されることは間違いなくない。もし私が問題というならば、自分から話し合って去るつもりだ。」
と語りました。これから9日間でリエカ戦、アヤックス戦、ハイドゥク戦と厳しい戦いが続くだけに、イヴァンコヴィッチ監督にはイバラの道が待ち構えています。

グルギッチ会長辞任でチームが揺れているハイドゥク・スプリトは4部のムラドスト・モルヴェとアウェーで対戦。
走らない司令塔として批判を浴びているルーマニア人MFツェルナトをベンチに置き、20歳のFWマカリンを左アウトサイド、ラトビア代表FWヴェルパコヴスキスを右アウトサイドのMFに置いた4-4-2システムを採用。
前半でカリニッチがハットトリックを達成し、マカリンは前半と後半それぞれ2ゴールを決める活躍で9-0にて圧勝しています。

全試合の結果はこちら。順調に一部リーグのクラブが勝ち進む中、二部セゲスタに敗れたザダールと一部対決となったメヂムリエが敗退しています。

Virovitica - Dinamo Zagreb 1:3
Mladost Molve - Hajduk Split 1:9
Slavonac - Slaven Belupo 0:1
Dakovo - Kamen Ingrad 2:1
Medimurje - Sibenik 2:2 (PK 4:5)
Zelina - Rijeka 0:4
Trogir - Varteks 1:2
Ogulin - Osijek 2:3
Oriolik - Cibalia Vinkovci 1:4
Granicar - Zagreb 1:3
Slavonija - Pomorac 1:4
Croatia Sesvete - HASK 2:0
Segesta - Zadar 1:0
(太文字が勝ち抜け)

27日、クロアチア代表監督のスラヴェン・ビリッチは、欧州選手権予選のイスラエル戦(10月13日・ザグレブ)と親善試合のスロバキア戦(10月17日・リエカ)に出場するクロアチア代表メンバー23名を発表しました。
パルマ所属のFWイゴール・ブダンが怪我が完治せずに外れた以外は前回と同じメンバー。ただ、ディナモのMFオグニェン・ヴコイェヴィッチが今回は追加召集ではなく、最初から選ばれております。ただし、FWムラデン・ペトリッチ、MFニコ・コヴァチは所属クラブでそれぞれ怪我しており、メンバーから外れる可能性も出ております。全メンバーは以下の通りです。

GK:
スティペ・プレティコサ (スパルタク・モスクワ)
ヴェドラン・ルニェ    (ランス)
マリオ・ガリノヴィッチ  (パナシナイコス)
DF:
ダリオ・シミッチ      (ACミラン)
ロベルト・コヴァチ    (ボルシア・ドルトムント)
ヨシップ・シムニッチ   (ヘルタ・ベルリン)
ヴェドラン・チョルルカ  (マンチェスター・シティ)
ダリオ・クネジェヴィッチ (リボルノ)
ディノ・ドゥルピッチ      (ディナモ・ザグレブ)
MF:
ニコ・コヴァチ          (レッドブル・ザルツブルク)
ダリヨ・スルナ        (シャフタール・ドネツク)
マルコ・バビッチ      (レアル・ベティス)
イェルコ・レコ           (ASモナコ)
ニコ・クラニチャール   (ポーツマス)
ユーリツァ・ヴラニェシュ (ヴェルダー・ブレーメン)
ルカ・モドリッチ        (ディナモ・ザグレブ)
ダニエル・プラニッチ   (ヘーレンフェーン)
イヴァン・ラキティッチ    (シャルケ04)
オグニェン・ヴコイェヴィッチ (ディナモ・ザグレブ)
FW:
ボシュコ・バラバン     (ディナモ・ザグレブ)
ムラデン・ペトリッチ    (ボルシア・ドルトムント)
イヴィツァ・オリッチ      (ハンブルガーSV)
エドゥアルド・ダ・シルヴァ (アーセナル)

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2007年9月26日 (水)

クロアチア・リーグ第8節/ディナモ連勝ストップ、ハイドゥク会長辞任

9月22日・23日にクロアチア・リーグ第9節が行われました。
ディナモとハイドゥクにとっては厳しい節目となる大荒れの週末となりました。

Sarmada 4位ハイドゥク・スプリトは2位リエカと対戦。試合はリエカのホーム、カントリーダ・スタディオン。ユーゴ時代を通して101回目となる「アドリア海ダービー」(Jadanski derbi)は、試合前からリエカが優勢とされていましたが、実力差がはっきりと出た内容かつ結果となりました。
昨季は不振を極めたリエカですが、今季はヴァルテクスから引き抜いたダリッチ新監督のもと超攻撃的なチームへと変身(システムは4-1-3-2)。メンバーも勝利を重ねる度に固定化されてきました。
ツートップには新加入のヂャロヴィッチ(モンテネグロ人、元セルビア・モンテネグロ代表)とシュコーロ(元ボスニア代表)。中盤の二列目には3人を並べ、右サイドに元ガンバのブーレ(元クロアチア代表)、トップ下には本来センターフォワードのイヴァノフ(元ブルガリア代表)、左サイドは20歳でキャプテンマークをつけるシャルビーニ(クロアチアU-21代表)。そしてワンボランチにはダリッチを慕ってヴァルテクスからやってきたシャファリッチ。最終ラインは元ハイドゥクの長身センターバックコンビ、ヴチュコとブドゥチン。左SBは俊足のパミッチ(クロアチアU-21代表)、右SBはボランチからコンバートされた元ハイドゥクのマルチッチ、そしてGKはジリッチ(セルビア人、元セルビア・モンテネグロ代表)です。
一方のハイドゥクのクレシッチ監督は、ルカビナとカリニッチのツートップ体制を諦め、カリニッチをトップに置き、両サイドに俊足のヴェルパコヴスキスとバルトロヴィッチを置く4-5-1。ただ奇策として、本来センターバックのパンジャをボランチに置きました。
リエカの積極的な攻撃を前にハイドゥクは次第に押されていく展開に。先制点は24分、ヂャロヴィッチが3人のマーカーに囲まれながら、ヒールキックで左サイドを上がるパミッチにパスを通すと、そのまま速いクロス。中央でノーマークのシュコーロがヘディングで合わせます。
ハイドゥクも反撃として28分、カリニッチがGKジリッチと一対一になりますが、これはジリッチが好タイミングで相手へと飛び込み、ピンチを逃れました。
Ssharbini 後半に入ると、更にリエカの厚みのある攻撃にハイドゥクは防戦一方になっていきます。51分、ヂャロヴィッチがポストになってシャルビーニ(写真)がバイタルエリアでボールをもらうと右足を一閃。ボールはGKトミッチの腕を弾き、そのままゴール左上隅に突き刺さり、2点目を奪います。シャルビーニはドリブルやパスで危険な形を常時作り出し、新たなファンタジスタとして今季はクローズアップされている選手です。
3点目は73分、ヂャロヴィッチがペナルティエリアでDFブリャトに倒されてPK。ヂャロヴィッチは自ら蹴ることを懇願するものの、チーム内の取り決め通りにイヴァノフが担当し、きちっと右下隅にシュートを蹴り込んで3-0とします。
ガッツ溢れるプレーからモンテネグロ人とはいえサポーターから愛される存在のヂャロヴィッチが報われたのはロスタイム。シャルビーニがイヴァノフとのワンツーで左サイドを抜け、最後もワンタッチでアウトサイドキックからセンタリング。それをヂャロヴィッチがヘディングで叩き込み、4-0。
完膚なきまでライバルのハイドゥクを叩きのめしたリエカの選手たち、そしてダリッチ監督は、ゴール裏のサポーター「アルマダ」と勝利を祝福しました。私もリエカまで赴き試合を観戦しましたが、熱狂的なサポーターと魅力あるサッカーが結びついた至福を堪能してきました。試合後にアルマダが集うスタジアム近くのバーで、年配のアルマダに「日本だろうが、中国だろうが、うちらにとっては敵ではない」と言われたのには苦笑いしましたが。
(2枚目の写真はSport-netより)

Grgic その翌日、ハイドゥク・スプリトのブランコ・グルギッチ会長(写真はSport-netより)が辞任を表明しました。かつてよりサポーターのトルツィダはグルギッチが去ることを願望し、試合の度に「Uprava odlazi!」(フロント、出て行け!)のコールを繰り返し、スプリトの街中にも同様のフレーズの落書きが目立つほど。7年間の任期のうち3度のリーグ優勝、1度のカップ戦優勝を果たしているものの、15度に渡って監督を更迭し、チャンピオンズリーグ予備戦ではシェルブーン(アイルランド)、デブレチェン(ハンガリー)という格下に敗北を喫するなど、サポーターの信用を勝ち取ることができなかった人物でありました。
「リエカとのハイドゥクの恥ずべき試合のあと、モラル的な理由で辞任を提出した。サポーターからの圧力で辞任を出したのではない。彼らの要求に屈したように誰かが思うことは、私自身としても望むべく形ではない。」
とグルギッチ会長はコメント。副会長のボクシッチ以下、経営委員会の全員が退陣することになっています。

国内リーグでは連勝記録を28まで伸ばし、安泰かと思われたディナモ・ザグレブも厳しい事情に立たされています。
木曜日にアヤックス戦をディフェンス陣の凡ミスで敗れたディナモは23日、8戦全敗のヴァルテクス・ヴァラジディンとアウェーで対戦しました。チーム全体の士気が失墜してしまったディナモは、モチベーション高いヴァルテクスのイレブンにあっさりと攻略されます。
開始5分、バライッチの左からのミドルシュートをGKコッホがパンチング。右にこぼれたボールをパパが押し込むものの、これまたGKコッホが足を使ってクリア。しかし、ルーズボールをパパがヘディングで中央に折り返すと、ブラジル人FWファビオが右下隅にシュートを叩き込み、ヴァルテクスが先制します。
ヴァルテクスのアグレッシブぶりに成す術のないディナモは、立て続けにシュートを浴びせられますが、GKコッホの好セーブによって新たな失点を許しません。ディナモは23分、バラバンが左サイドから正確なFKをゴール右上に突き刺し、同点に追いつきます。
しかし、その2分後、ムヤノヴィッチの右クロスをニアポストで合わせられないようディナモSBのエトーが飛び込むものの、誤ってオウンゴールを生み出してしまい、ヴァルテクスが再びリードをします。この日はアヤックス戦でパスミスをしたセンターバックのシルデンフェルドが外され、ヴルドリャクが起用されたものの、コンビを組むドゥルピッチともどもミスを繰り返し、左SBのチャレは32分に交替させられる始末でした。
後半は渇を入れられたディナモが滑り出し良く、バラバンのお膳立てからポクリヴァチュが中央から同点シュートを決めます(51分)。しかし61分、ムムレクの右からのクロスがペナルティエリアで全くノーマークのプラヒッチに通り、これをきっちり右上に決めてヴァルテクスがみたびリード。
とはいえ、ディナモは89分、カルロスの横パスをバラバンがスルーし、それまでピッチで目立たなかったモドリッチがミドルシュートを右下隅に決めて同点。
Ssokota ドラマティックな展開はロスタイムまで続きます。ムムレクが右サイドからの直接FKをコッホの読みとは全く逆のサイドに蹴り込んで4-3。これでヴァルテクスは今季初勝利どころか初勝点。ディナモはベンフィカが持つ国内リーグ29連勝まであと勝利一つとしながら、まさかの敗北を喫してしまいました。
この試合を前後して、先発起用されないことに不満を持つ元クロアチア代表FWトミスラフ・ショコタ(写真)がマスコミを通してイヴァンコヴィッチ監督を批判。ここ2試合は痛い敗北を喫したとはいえ、イヴァンコヴィッチ監督を全面支持するフロントは、ショコタを出場停止処分にすることに決めました。ショコタは契約を破棄し、退団することが濃厚とされています。

次の第10節は首位ディナモと2位リエカが直接対決。勝点差はまだ4あるとはいえ、今季の行方を占う対決となりそうです。

全試合の結果はこちら。

Zagreb - Inter Zapresic 3:0
1:0 19' Brkljaca
2:0 50' Lovrek
3:0 52' Mujdza

Medimurje - Cibalia Vinkovci 0:1
0:1 11' Keric

Slaven Belupo - Zadar 4:2
0:1  7' Zupan
1:1 15' Radeljic
2:1 22' Poljak (PK)
3:1 30' Poldrugac
4:1 32' Caval
4:2 75' Terkes (PK)

Osijek - Sibenik 1:1
1:0 32' Niksic
1:1 37' Lopes (OG)

Rijeka - Hajduk Split 4:0
1:0 24' Skoro
2:0 51' Sharbini
3:0 74' Ivanov (PK)
4:0 90' Dalovic

Varteks Varazdin - Dinamo Zagreb 4:3
1:0  5' Fabio
1:1 23' Balaban
2:1 27' Etto (OG)
2:2 52' Pokrivac
3:2 61' Prahic
3:3 89' Modric
4:3 90' Mumlek

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点24)、2位…リエカ(20)、3位…ザダール(17)、4位…スラヴェン・ベルーポ(16)、5位…ハイドゥク・スプリト(16)、6位…ザグレブ(11)、7位…チバリア・ヴィンコヴチ(11)、8位…シベニク(11)、9位…オシエク(11)、10位…インテル・ザプレシッチ(7)、11位…メヂムリエ(4)、12位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(3)

【得点】
8ゴール…モドリッチ(ディナモ)
7ゴール…ヂャロヴィッチ(リエカ)
6ゴール…シャラノヴィッチ(メヂムリエ)、マンジュキッチ(ディナモ)、カリニッチ(ハイドゥク)、テルケシュ(ザダール)、ロヴレク(ザグレブ)
5ゴール…ゼッツ(シベニク)、ヴィタイッチ(シベニク)、ジュパン(ザダール)、バラバン(ディナモ)

【アシスト】
4アシスト…ジュパン(ザダール)ムムレク(ヴァルテクス)、モドリッチ(ディナモ)、シャルビーニ(リエカ)
3アシスト…マンジュキッチ(ディナモ)、バラバン(ディナモ)、ブーレ(リエカ)、ヂャロヴィッチ(リエカ)、ツェルナト(ハイドゥク)、ポリャーク(スラヴェン)、ヴルチーナ(スラヴェン)

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2007年9月21日 (金)

UEFAカップ一回戦/ディナモ、アヤックスに惨敗

9月20日、UEFAカップ一回戦第一戦「ディナモ・ザグレブvs.アヤックス・アムステルダム」が、ディナモの本拠地マクシミール・スタディオンで行われました。チャンピオンズリーグ予備戦のヴェルダー・ブレーメン戦には及ばないとはいえ、27,000人のサポーターがスタジアムに駆けつけました。

Huntelaar ディナモとアヤックスが欧州の舞台で戦うのは初めてではなく、1998/99シーズンのチャンピオンズ・リーグのグループリーグで対戦しています。ホーム(1998年9月16日)では、クラニチャール監督率いるディナモが主導権を握るものの、プロシネツキのミドルシュートがGKファン・デル・サールに止められ、またヴィドカが決定機を外してスコアレスドロー。3節が終わってクラニチャール監督が解任され、ヴラジミール・ザイエッツが監督に就任。
アウェーのアヤックス・アリーナの試合(11月25日)ではスタメンにフォワードを置かない守備的な布陣で挑み、68分、ビシュチャンのドリブル突破でファン・デル・サールが飛び出したところ、途中交替のヨシップ・シミッチが68分にループシュートを決めて1-0の大金星を挙げたという歴史があります。
またアヤックスのテン・カテ監督は、MTKブダペストを率いていた時代にディナモとチャンピオンズ・リーグ予備戦で戦ったことがあり、昨季36ゴールのエースストライカー、フンテラール(写真)はヘーレンフェーン在籍時代にUEFAカップ、同様に主将のスタムもミラン在籍時にチャンピオンズ・リーグ予備戦でディナモと対戦しております。

今季は欧州を視野に入れながら、ヴェルダーに引き続いて強豪を引いてしまったディナモ。国内リーグでは無敵とはいえ、それが仇となって欧州にも通じる競争力と経験を詰めないのが問題です。昨季はこのラウンドで勝算が十分にあると見ていたオーゼールに敗退しています。
この試合ではマンジュキッチが累積警告で欠場。代わってトップ下には怪我から復帰したヴグリネツを起用しました。また拳の手術をしたばかりの右SBエトーが間に合い、以下の布陣となりました。
GKコッホ-(右から)DFエトー、ドゥルピッチ、シルデンフェルド、チャレ-MFヴコイェヴィッチ、ポクリヴァチュ-サミール、ヴグリネツ、モドリッチ-FWバラバン

アヤックスはこの夏、MFスナイデルやFWバッベルなど主力を次々と売却。チャンピオンズリーグ予備戦三回戦では、圧倒的にチャンスを演出しながらもスラヴィア・プラハ相手にまさかの敗退。今季のエールディビジでも不安定な戦いを続けています。テン・カテ監督もクビが掛かっているだけに、選択した布陣は超守備的(4-4-1-1)なものでありました。普段はサイドバックのエマヌエルソンとオガラルをMFのポジションに上げ、ストッパーには19歳のファン・デル・ヴィールを抜擢。ウルグアイ代表MFスアレスや今季加入のルケとウルサイスはベンチスタートとなりました。
GKステケレンブルフ-DFハイティンハ、ファン・デル・ウィール、スタム、フェルメーレン-MFオガラル、マドゥロ、ガブリ、エマヌエルソン-ロンメダール-FWフンテラール

Smodric アヤックスは厳しいマークでゲームメイカーのモドリッチ(写真)をチームメイトから寸断しようと図ります(アヤックスは以前にモドリッチ獲得を考えたものの、高すぎて断念した経緯あり)。
モドリッチ同様に個人技に優れたサミールがフリーとなり、彼やエトーが突破する場面も出てきますが、クロスやラストパスはスタムを中心とするアヤックスの壁に跳ね返されます。
最初のディナモのチャンスは5分、モドリッチの左CKにシルデンフェルドがニアでヘディングシュート。GKステケレンブルフが止めてこぼれたボールにヴコイェヴィッチが飛び込むも、シュートは枠を捕らえ切れません。
アヤックスは組織的な守備はしっかりしているものの、攻撃に転じるとボールを運べる選手はエマヌエルソンぐらいで、後はロングパスをフンテラールに当てる程度。15分にそのフンテラールが25mのロングシュートを試みますが、これはGKコッホがセーブします。
16分にはヴグリネツがペナルティエリア中央外からグラウンダーのシュートを狙いますが、ボールはGKステケレンブルフの正面に留まります。
Sstam 32分、ディナモはセットプレーのクリアボールをポクリヴァチュがミドルシュート。ボールはゴール前のヴコイェヴィッチに届き、右下隅を狙って近距離のシュートを放ちますが、GKステケレンブルフの好反応で先制点を奪えずに終わります。
38分にはモドリッチが左サイドからミドルシュートを狙うものの、これもGKの正面。前半は常に攻撃しながらも、牙城を崩せずに終わってしまいました。
(写真はスタムにしっかり捕まれるバラバン)

Ssammir 後半、ディナモはヴグリネツを代えてFWショコタを投入し、バラバンをセカンドトップへと移します。最初のチャンスは49分、バラバンの左クロスにショコタが落とし、サミールがミドルシュートを狙いますが、惜しくもボールはポスト脇を逸れていきます(写真)。
前線のターゲットとしてショコタを入れた交替劇は、攻撃そのもののテンポが低下させた挙句、コンビネーションによる攻撃も簡単に封じられ、次第にパスミスが目立つようになったディナモはアヤックスのカウンター攻撃にさらされていきます。
Sdf そのツケは61分に訪れます。最終ラインでボールをキープしたドゥルビッチ(写真左)が、無意味に左のシルデンフェルド(写真右)に横パス。混乱したシルデンフェルドは前方にパスを出すも、あっさりロンメダールがカット。フンテラールに預けてDFの背後に抜けようとするロンメダールを左SBのチャレ(写真中央)がつくべきなのに、パスを貰い返したロンメダールの突破をあっさりと許してしまい、最後はGKコッホも抜かれてシュートを決められてしまいます。ディフェンス陣の凡ミスで失点してしまう癖は国内リーグで幾度も見られているのですが、このような大事な場面でもポカを犯してしまいました。
戦闘意欲をも失ったディナモは、これ以上チャンスを作ることはなく、主審の判定にもカリカリしながら時間が過ぎ、0-1で敗北してしまいました。リードは最小で、まだリーグ戦到達への希望があるとはいえ、このような惨めな試合を見せられた以上、ディナモの欧州挑戦は今季もこのラウンドで終えることになりそうです。

ディナモのイヴァンコヴィッチ監督は試合後の記者会見にて
「残念ながら、また敗北を経験してしまった。このようなハードで先が読めない試合を予想していたし、アヤックスのクオリティも分かっていた。前半は全ての面でゲームをコントロールし、多くのシュートを放ち、チャンスもつ食っていった。しかし、一つの初心者的な愚かなミスがアヤックスにアドバンテージを与えてしまった。アヤックスは経験あるチームだから、試合の最後までそのラッキーなアドバンテージを守ることに成功したのだ。
選手交替でリズムを変え、更にアグレッシブ面を強化しようとしたものの、残念ながら失敗に終わり、試合に敗れてしまった。とはいえ、まだ第二戦まで14日あるので、相手の力に関係なく、サプライズを起こす権利は私たちにもあると考えている。」
とコメント。一方、アヤックスのテン・カテ監督は
「ディナモは強いチームだと考えているので、この試合では戦術面が上手くいったと言うことだけができよう。力強いディフェンスが私たちのベースとなっており、これが安定したプレーと試合のコントロールを可能にしたのだ。まだ終わったとは決して思っていない。ヴェルダー・ホームのディナモの映像を見たが、ファンタスティックな戦いをしていた。もちろん、この試合の結果によって優位は私たちの方にあり、通過のチャンスは私たちの方がより大きい。しかし、二試合行われるので、まだ何も解決していないのは間違いない。」
と語っています。

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2007年9月19日 (水)

クロアチア・リーグ第8節

報告が遅れましたが、15・16日とクロアチア・リーグ第8節が行われました。

開幕から7連勝、昨季を含めたらリーグ27連勝と記録を更新中のディナモ・ザグレブは、4位スラヴェン・ベルーポをホームに迎えました。
今月、アドリア海のコルナーティ諸島で発生した山火事で多くの消防士が殉職したのですが、消防士たちの残された家族を経済的に助けるため、ディナモは入場料を無料にして募金箱を設置。15000人の観客の多くが普段のチケットの価格以上のお金を募金しました。また他のスタジアムにおいても収益を寄付。またハイドゥクも火曜日にかつての有名選手や芸能人などを集めたチャリティマッチを主催し、30000人の観客が集まり、収益を家族に寄付しました。
Sbalaban 話を試合レビューに戻しましょう。ユルチェヴィッチに率いられたスラヴェン・ベルーポは安定したチーム経営から次第に強豪の一角へと入りつつあり、ガラタサライに敗れたとはいえ、今季はUEFAカップを戦ったチーム。2分には右から流れてきたボールをシクリッチがミドルシュートを放ち、弾道はしっかりと枠に行っていましたが、ディナモのGKコッホが好反応で逃れます。
スラヴェンはディナモに抵抗できる数少ないチームと思われましたが、9分、中央のサミールから左サイドを抜けるモドリッチにパスが通ると、モドリッチは相手GKとDFの間に針を通すかのようなクロスボールを送ります。ボールは飛び込んだバラバン(写真)にピタリと合い、バラバンは滑り込みながらシュートを決めて先制に成功。ディナモはチバリア戦を除けば、今季全てのリーグ戦で15分以内に先制点を決めています。26分にはバラバンが25mの位置から直接FKを左に叩き込んでこの試合2得点目。リードを2-0と広げます。
スラヴェンは28分、元ディナモのユリッチが右サイドを突破し、ペナルティ中央へ折り返し。エースアタッカーのヴルチーナはマーカーを引き付けてから反転してのシュートを試みますが、またしてGKコッホの好反応でゴールが決められません。
続く36分、ディナモのセットプレーのシーンにおいて、ペナルティエリアでDFポルドゥルガチュがバラバンを押してしまってPKの判定。これをモドリッチが右に叩き込み、更にリードを広げます。
後半に入ると、ディナモは木曜日にUEFAカップ・対アヤックス戦が控えていることもあり、無駄に体力を消耗しない戦いに転じます。
一方のスラヴェンは66分、ポリャークの近距離のシュートを放つものの、またしてGKコッホの好反応で止められてしまいます。ディナモは怪我で離脱していたFWショコタを試すなど、余裕のある戦いを見せ、88分にはバラバンが胸トラップで落としたボールをショコタが左に展開。フリーで飛び込んだポクリヴァチュがシュートを決めて4-0と快勝しました。これでリーグ連勝記録を28と伸ばし、ベンフィカが37年前に作った欧州記録29にあと一つと近づいています。

5位に留まるハイドゥク・スプリトは、7戦全敗で最下位に甘んじるヴァルテクス・ヴァラジディンとホームで対戦しました。
ハイドゥクは4分、FWカリニッチの右からのシュートをGKマヂャリッチが一度は防ぐものの、空中に浮いたボールを再びカリニッチがゴールを背にしながら器用に流し込み、開始早々に先制します。
27分にはルカビナのラストパスにカリニッチが飛び込み、GKマヂャリッチが足でカリニッチを引っ掛けてしまってPK。これをカリニッチ本人が決めて2-0とします。
とはいえ、ヴァルテクスも後半開始早々、新外国人のブラジル人ファビオが右サイドをドリブルで突破すると、ディフェンスラインからオーバーラップしたツォニャールが左下隅にシュートを決めて、点差を縮めます。
「優れた選手はいるが、彼らはやれる力を出さないし、期待されている力も出さない」と試合後にクレシッチ監督が嘆いたように、後半もヴァルテクス相手に良い形が作れないハイドゥクでしたが、88分にようやくツェルナトがゲームを決める直接FKを叩き込み、3-1で勝利。4位へと浮上しています。

2位リエカはアウェーでシベニクと対戦。これまで負けなしで勝点を伸ばしてきたリエカでしたが、この試合は終始シベニクに押される展開になります。
Svitajic 12分にログリッチのラストパスから、MFヴィタイッチ(写真)がペナルティエリア手前かシュートを叩き込むと、30分にはFWゼッツのシュートが弾かれたところをヴィタイッチが押し込み、2-0とシベニクがリードを広げます。
リエカは52分、シュコーロのヒールパスからヂャロヴィッチがシュートを決めますが、69分、ペナルティエリアでリエカGKジリッチがゼッツを倒してPK。これをヴィタイッチが決め、ハットトリックを達成します。
リエカは73分、MFシャファリッチのFKを弾いたところをヂャロヴィッチが押し込みますが、それ以上は差が縮められず、シベニクが3-2で勝利しています。

また今季から二部に昇格したザダールがザグレブでホームに1-0で勝利。5連勝で2位へと浮上しました。ザダールのスタジアムは普通よりも極端に幅が狭く、ジュパンという優れたキッカーがいることからセットプレーに強いのが特徴です。

全試合の結果はこちらです。

Inter Zapresic - Medimurje 3:0
1:0  7' Gulic (PK)
2:0 27' Sivonjic
3:0 77' Sivonjic

Zadar - Zagreb 1:0
1:0 73' Surac

Cibalia Vinkovci - Osijek 2:0
1:0 73' Dodik
2:0 90' Dodik

Hajduk Zagreb - Varteks Varazdin 3:1
1:0  4' Kalinic
2:0 27' Kalinic (PK)
2:1 48' Conjar
3:1 89' Cernat

Sibenik - Rijeka 3:2
1:0 14' Vitaic
2:0 30' Vitaic
2:1 52' Dalovic
3:1 69' Vitaic (PK)
3:2 75' Dalovic

Dinamo Zagreb - Slaven Belupo 4:0
1:0  9' Balaban
2:0 26' Balaban
3:0 36' Modric (PK)
4:0 88' Pokrivac

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点24)、2位…ザダール(17)、3位…リエカ(17)、4位…ハイドゥク・スプリト(16)、5位…スラヴェン・ベルーポ(13)、6位…シベニク(10)、7位…オシエク(10)、8位…ザグレブ(8)、9位…チバリア・ヴィンコヴチ(8)、10位…インテル・ザプレシッチ(7)、11位…メヂムリエ(4)、12位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(0)

【得点】
7ゴール…モドリッチ(ディナモ)
6ゴール…シャラノヴィッチ(メヂムリエ)、マンジュキッチ(ディナモ)、カリニッチ(ハイドゥク)、ヂャロヴィッチ(リエカ)
5ゴール…テルケズ(ザダール)、ロヴレク(ザグレブ)、ゼッツ(シベニク)、ヴィタイッチ(シベニク)
4ゴール…ルカビナ(ハイドゥク)、ジュパン(ザダール)、バラバン(ディナモ)

【アシスト】
4アシスト…モドリッチ(ディナモ)、ジュパン(ザダール)
3アシスト…シャルビーニ(リエカ)、マンジュキッチ(ディナモ)、ムムレク(ヴァルテクス)、ブーレ(リエカ)、ツェルナト(ハイドゥク)

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2007年9月13日 (木)

クロアチア、アンドラに6-0で大勝

9月12日、アンドラの首都アンドラ・ラ・ベリャのコムナーレ・スタジアムで、欧州選手権予選「アンドラvs.クロアチア」が行われました。
グループリーグで8戦全敗、草刈場のアンドラとはいえ、イングランドもアウェーで60分近く先制点が奪えなかった侮れない相手であります。クロアチアとは昨年10月に戦っており、その時はペトリッチの4得点を含む7-0で大勝しています。

クロアチアはMFコヴァチ兄が背中の痛み、GKプレティコサが首の痛みを抱えていることから外され、代わりにMFレコとGKルニェが起用。またDFラインにはバビッチとクネジェヴィッチが新たに起用されました。
GKルニェ-(右から)DFチョルルカ、クネジェヴィッチ、コヴァチ弟、バビッチ-MFスルナ、レコ、モドリッチ、クラニチャール-FWエドゥアルド、ペトリッチ

一方のアンドラは6人の主力が怪我や累積警告で欠場。その中にはスペイン二部のペリ・エイードでプレーするFWベルナウス、アンドラ代表で最も得点を決めているセリエBのテリエスティーナ所属イルデフォンス・.リマも含まれています。スタメン(4-2-3-1)は以下のようです。
GKアルバレス-DFアヤラ、ソネイェー、リマ、ティマ-MFヴィエイラ、ルイス-ガルシア、ヒメネス、シヴェラ-FWシルバ

Skranjcar_3 いつものように自陣内を固め、ボールホルダーに対しては荒いチェックをしてくるアンドラ。標高900mの山岳地帯に位置するアンドラ・ラ・ベリャは風が強く、サイドチェンジやロングパスで打開しようにも正確性に欠けます。
最初のチャンスは10分、エドゥアルドが左サイドを突破し、中央へ折り返すものの、ペトリッチのボレーシュートはクロスバーを越えてしまいます。
22分にはクラニチャール(写真)のミドルシュートが右ポストを逸れ、24分にはバビッチの左からのクロスボールにエドゥアルドがヘディングシュートを試みますが、これまた枠を外します。
前回のW杯予選の対マルタ戦(1-1)のように、弱小国相手だとついつい気が抜ける「ユーゴ・シンドローム」をコーチ陣が口酸っぱく注意したこともあり、辛抱強く攻め続けたクロアチアはラッキーな先制点を奪います。
Spetric_2 34分、クラニチャールが倒され、正面25mの位置で直接FKを得たクロアチア。スルナが蹴ったボールはアンドラの人壁に当たり、そのままコースが変わってゴール右上に吸い込まれます。
38分、同じくクラニチャールが倒され、先ほどと同じ位置からの直接FKを今度はペトリッチ(写真)がGKの手が届かないゴール左に叩き込み、リードを2-0と広げます。
更に44分、左サイドのクラニチャールがワンタッチでペナルティエリアに飛び込むペトリッチに縦パスを通し、ペトリッチは利き足の左足で正確なシュートを決め、前半を3-0で折り返します。

Spranjic 後半頭からFWペトリッチを下げてバラバンを、モドリッチを下げて左MFにプラニッチを起用し、クラニチャールが左MFから中央へとシフトします。プラニッチ(写真)は先のエストニア戦ではベンチにも入れなかったわけですが、へーレンフェーンでの活躍ぶりを証明するようにタッチ&ゴーやドリブル突破で左サイドを切り裂きます(冬にはフェイエノールトに移籍とも)。
48分、スルナの右FKからバビッチがファーで折り返し、フリーのクネジェヴィッチが近距離でヘディングシュートを試みましたが、ボールはクロスバーに。
しかし、その直後、プラニッチが左サイドを突破し、中央のクラニチャールへ。クラニチャールは右足のトラップでマーカーをかわし、左足でゴール左にシュートを叩き込みます。ポーツマスではレギュラーに手が届く状況でありながら、足の怪我で開幕を出遅れた彼ですが、課題であったウエイトも落とし、この日は随分と軽い動きでプレーをこなしたことで、クロアチアの各メディアではマン・オブ・ザ・マッチに選ばれています。
Srakitic クロアチアのゴールラッシュは続き、56分、レコが右サイドから突破し、折り返しのパスからバラバンが放ったシュートはDFアヤラに当たるものの、エドゥアルドが反応良く左足を振り抜き、5-0とリードを広げます。
62分にはエドゥアルドに代えて、19歳のMFラキティッチ(写真)が交替出場。デビュー戦となるエストニア戦では左MFと右MFのポジションを試されたのですが、今回はセカンドトップで適正を試されます。わずか1分後、バラバンの直接FKがGKによって左に弾かれたところをプラニッチが中央へ折り返し、ゴール前のラキティッチが冷静に流し込んで6-0。2試合目にして早速、代表初ゴールを決めました。
ラキティッチはクラニチャールとの縦の連携も良く、77分にはラキティッチを背後から倒したガルシアが一発退場。怪我人や無駄なカードを出さず、かつテストを重ねながら、昨年のホームの試合同様にアンドラに大勝しています。

試合後、ビリッチ監督は
「エストニアとアンドラは実力の尺度を図る相手ではないとはいえ、リラックスするな、単純な戦いではないぞ、というコーチ陣の注意を選手たちが常に心得ていたことがとても重要だった。ボールが常に相手陣内にあることは分かっていたし、90分全てを予定通りに戦えた。もちろん、全員が神経質になっていたよ。最初のゴールが生まれるまで、なんて時間が早く進むのだと私は脅えながら、ついつい5度に渡って電光掲示板を目にやってしまったよ。
段々と試合数も減ってきたが、私たちには十分にガソリンがある。本物のタイヤもある。オーストリアとスイスへの道は開かれており、私たちが立ち止まることはないと確信している。対戦相手は強豪かつ困難であるとはいえね。」
とポジティブなコメントを残しています。

クロアチアが属するグループリーグEでは、イングランドがホームでロシアを3-0と完勝。これでイングランドが勝点20で2位に浮上してきましたが、クロアチアは勝点23で首位をキープ。残る3試合で勝点4を稼げば、2位以上が確実となりグループリーグを突破します。来月のロシアとイングランドの直接対決の結果次第では更にノルマは低くなる上、クロアチアはイスラエル(ホーム)、マケドニア(アウェー)と楽なカードであるため、最終戦のイングランド(アウェー)を待たずして決まりそうです。

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2007年9月12日 (水)

モラルの低下に苦しむU-21代表

A代表の欧州選手権予選と並行して、U-21代表の欧州選手権予選(本大会は2009年スウェーデン開催)が行われています。
クロアチアはイタリア、ギリシャ、アルバニア、アゼルバイジャン、フェロー諸島が同居するグループ1に所属。10のグループに分かれており、1位10ヶ国と2位で上位成績4ヶ国の計14ヶ国がプレーオフに進出、勝利した7ヶ国+開催国スウェーデンが本大会で戦います。
Ladic クロアチア代表の守護神として活躍したドラジェン・ラディッチ監督(写真)が率いるU-21クロアチア代表は、これまでフェロー諸島に2-0(ホーム)、ギリシャに3-2(ホーム)と勝利してグループリーグ首位。とはいえ、親善試合では首脳陣を満足させる戦いはできず、その上に選手たちのモラルが低く、ラディッチ監督を悩ませています。
リエカでキャプテンとして活躍するMFアナス・シャルビーニは、前回の合宿で控え選手という待遇に不満を持ち、荷物をまとめて合宿地を脱走。またハイドゥクのツートップ、ルカビナとカリニッチは共に怪我。カリニッチは4度に渡って怪我を理由に召集を断り、ルカビナは今回怪我のためにスプリトに帰されると直ぐにハイドゥクの通常練習に参加したことから、ラディッチ監督がその態度に不満を口にしております。

9月8日、そのクロアチアU-21代表がアルバニアのエルバサンにて、アルバニアU-21代表と戦いました。クロアチアのスタメン(4-2-3-1)は
GKロンチャリッチ-DFグラヴィナ、イプシャ、ロヴレン、パミッチ-MFプラヒッチ、ディニャール-マンジュキッチ、イリチェヴィッチ、クーケッツ-FWブシッチ
前半のクロアチアは格下相手にほとんどチャンスを作ることができず、後半もパスミスが目立ちます。ボランチのプラヒッチとディニャールは攻撃参加することなく、ドリブル突破に優れたイリチェヴィッチ(ボーフム所属)が孤軍奮闘するのみ。
アルバニアもこれといったチャンスがなかったわけですが、75分にロングボールを放り込むと、クロアチアのセンターバック、ロヴレンが目測を誤り、ボールは背後に入り込んだFWカニへ。そのままカニはドリブルを仕掛け、GKロンチャリッチをかわしてシュートを決めます。
クロアチアもイリチェヴィッチ、タディッチ、グラヴィナがシュートを放ちますが、GKコリキがセーブ。結局、クロアチアは0-1の敗北を喫してしまいました。

試合後の記者会見でラディッチ監督は
「私は大変失望している。負けたという事実以上に、その負け方や選手たちの振舞い方、プレーに対する取り組みに失望しているのだよ。この敗北は恥だ。我々は真剣な代表チームではなかった。」
とおかんむり。しかし、更にラディッチ監督を失望させることが翌日に起こります。

Sroncaric 試合を終え、チーム一行はザグレブ近郊の合宿地トゥヘリュに戻ってきたのですが、マンジュキッチ(写真右)とロンチャリッチ(写真左)がホテルの部屋で3時まで酒盛りをした上、そのまま友人の車で外出。ザグレブのクラブで一杯やって車でホテルに戻る際、スピード違反と無灯火で警察に捕まり、スキャンダルが明らかになりました。もちろん、ラディッチ監督は直ぐに二人を代表チームから追放しました。
マンジュキッチはドイツに住む姉が子供を出産したという知らせを聞き、そのお祝いで酒を飲んだと言い訳をし、ロンチャリッチはディナモのチームメイトということで酒に付き合ったとのこと。この二人は以前より問題児扱いされており、過去にロンチャリッチは前回のU-21代表合宿でカッとなってテレビを壊した前科がある上、ディナモでは遅刻の常習犯。ディナモの夏のキャンプでは練習をサボったために、合宿地から追放されました。マンジュキッチも直ぐにカッとなる性格で、欧州カップ戦では無駄にイエローカードを貰うことから罰金を科されています(5試合で4枚のイエロー)。

二人のハメを外した行動に怒り心頭のラディッチ監督は
「彼らの振舞いに対して、もう寛容になることはできない。余りにもやりすぎだ。心外だよ。あのような子供にとって良いことではない。アルバニア戦の前に彼らをチームから追放すべきだった。追放する際、彼らにはこう言った。
"私はお前たちに決して顔を向けることはしない。お前たちは私に対して好きなようにすればいい。"
もし代表でプレーすることが名誉ではなく、代表のプレーを望まないのならば、チームにとって必要ではないのだ。代表に召集されることを誇りにし、クロアチアのユニフォームを喜んで背負う若者たちがいるというのに…。
私の印象だが、クロアチア・サッカー界は試合への取組み方や仕事に対する考え方に問題を抱えている。私の選手たちは自分を高く買いかぶりすぎているのだ。」
と批判。また翌日にサッカー協会会長ヴラトコ・マルコヴィッチ氏が選手たちの前に現れ、
「カリスマ的なクロアチアのユニフォームを背負う準備のできてないものは、直ぐにでも去ってもいいぞ! (代表メンバーであることが)辛かったり、望まないのならば、お前たちは自由だ。扉はいつも開いている。クロアチア・サッカー協会がザグレブまでのタクシー代を払ってやる。」
と絞り上げました。サッカー協会も二人には罰金などの制裁を加える予定であります。

11日、クロアチアU-21代表は、ザグレブ郊外のザプレシッチでアゼルバイジャンU-21代表と対戦しました。スタメン(4-1-3-2)は以下のよう。
GKヴァルギッチ-DFバコヴィッチ、イプシャ、ロヴレン、パミッチ-MFディニャール-イリチェヴィッチ、ボシュニャク、クーケッツ-FWタディッチ、ブシッチ
一連の騒ぎで刺激を受けたのか、膿が十分に出されたのか、クロアチア・イレブンは前半から積極的なプレーをします。
13分、クーケッツからの縦パスを受けたタディッチ(ディナモ所属)が、チャンピオンズ・リーグでも対戦したGKアグハイェフ(ハザール所属)の股下を通すシュートを決め、先制に成功します。
更に21分、パミッチのミドルシュートがDFの足に当たって中に浮いたボールを、ペナルティエリア右にいたイリチェヴィッチがドライブをかけたボレーシュート。逆サイドのネットに突き刺さるビューティフル・ゴールで2-0とリードを広げます。
しかし、クロアチアの最終ラインは不安定で、次第にスピードあるアゼルバイジャンの攻撃に苦しみ始め、34分に左サイドから上げられたところをファーサイドのママドフがフリーでネットに押し込み、点差を縮めます。
とはいえ、前半ロスタイム、クーケッツの左クロスにブシッチがヘディングで合わせ、3-1と更にリードを広げました。
後半はペースが落ち、63分に1点目同様に左サイドを崩されて、中央への折り返しにママドフが決めて再び1点差。けれども、70分にユシフォフが二枚目のイエローで退場となって数的優位となり、終了間際にママドフの1対1のシュートをGKヴァルギッチがセーブして、3-2で何とか勝利を収めました。

試合後、ラディッチ監督は
「アルバニア戦の負けた後は困難な状況にあったが、勝点3を得ることに成功した上に自信を培うこともできた。もちろん、彼らは若い選手たちだし、彼らからルーティン的にプレーすることを期待することはできない。だから、問題が浮き彫りになったのだ。
アゼルバイジャンのようなチームを相手に、あのような2ゴールを奪われてはいけない。ヤル気と闘争心には拍手を送るが、まだ3人・4人はそれすら見せていなかった。次の試合では選手の変更があることだろう。」
とコメント。選手変更に関しては、謝罪を済ませたシャルビーニを復帰させることを明言してます。
これで3勝1敗のクロアチアは、3戦3勝のイタリアと勝点で並んでおり、10月12日にはアウェーでの直接対決を控えているとはいえ、モラルが低下した若い世代に対するラディッチの葛藤はまだまだ続くかもしれません。

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2007年9月10日 (月)

エドゥアルドの2ゴールでエストニアを一蹴/EURO2008予選

9月8日、欧州選手権予選「クロアチアvs.エストニア」戦が、ザグレブのマクシミール・スタディオンで行われました。9月に入って急に冷え込んでいたザグレブですが、この日は天候に恵まれ、20000人ほどの観客を集めました。

Simgp58938月のボスニアとの親善試合ではスタメン起用でアピールしたFWイゴール・ブダンが怪我のために外れたとはいえ、ブダン以外は代表のいつものメンバーがずらりと揃い、またFIFAから代表変更の許可が正式に下りた19歳のMFイヴァン・ラキティッチがベンチ入りスタートしました。またこの夏にアーセナルに移籍したエドゥアルド・ダ・シルヴァ、マンチェスター・シティに移籍したヴェドラン・チョルルカにとっては、ディナモを離れて初めてのマクシミール帰還となります。マイナス要素は二人のセンターバック、シミッチとコヴァチ弟がACミラン、ボルシア・ドルトムントで出場機会に恵まれいないことですが、それでも現時点のベストメンバー(4-4-2)で挑みました。
GKプレティコサ-(右から)DFチョルルカ、シミッチ、コヴァチ弟、シムニッチ-MFスルナ、コヴァチ兄、モドリッチ、クラニチャール-FWペトリッチ、エドゥアルド

一方のエストニアは、この夏にオランダ人監督のイエーレ・フース監督が解任。新たにデンマーク人のヴィグ・イェンセン監督が就任しました。ユーロ予選では6月のホームのクロアチア戦敗北(0-1)を含めて8連敗。8月にアンドラに2-1で勝利し、ようやく勝点3を得ました。しかしながら、その試合でMFクラヴァンとFWゼリンスキでレッドカードをもらって、この試合は欠場。更に今季にアーセナルからワトフォードに移籍したGKプーム、トップ下のMFヴァシリェフ、FWのヴォスコボイニコフが怪我のため欠場。数少ない国外選手のベテランFWオペル(ローダ所属)も怪我上がりという状態です。スタメン(4-3-1-2)は以下になります。
GKロンダク-DFアラス、ステパノフ、ピーロヤ、ローバ-MFドミトリイェフ、ラーン、クルグロフ-リンドペレ-FWキンク、オペル

6月のタリンでの試合では、サイド攻撃を封じた上に、中盤でも枚数をかけたエストニアの守備ブロックに苦戦を強いられましたが、この試合では開始早々からアグレッシブに攻撃を仕掛けるクロアチアが圧倒します。
Spk 5分、エドゥアルドが左からヘディングで折り返そうとした際、DFアラスがハンドを犯し、クロアチアがPKを得ます。キッカーはスルナでしたが、左ポストにぶち当ててしまい、ワールドカップの日本戦同様に先制チャンスを台無しにしてしまいます(写真)。
10分にはコヴァチ兄がロングシュート、14分にはペトリッチがFKを試みますが、共にクロスバーを越えていきました。
24分、右サイドでエドゥアルドがヒールパスでスルナに繋ぎ、そこから鋭いクロス。ファーのペトリッチが合わせたヘディングシュートに対してはDFピーロヤがゴールラインでクリア。その跳ね返りにクラニチャールがオーバーヘッドシュートを試みますが、これもクロスバーを越えてしまいます。
Seduardo_2_236分にはクラニチャールからボールをもらったモドリッチが対角線にシュートを放つものの、ボールは左ポスト脇を通過。支配しながらも時間だけが刻々と過ぎる中、貴重な先制弾を決めたのは6月のタリンでの試合と同じくエドゥアルド(写真)でありました。
39分、スルナの左FKからペナルティエリアにボールが放り込まれ、競り合いからボールを拾ったコヴァチ兄が再び中央へクロス。まずはペトリッチが競り合い、続いてシムニッチがゴール前のエドゥアルドにボールを繋ぐと、そのままオーバーヘッドキックでシュート。彼ならではの嗅覚と決定力で、クロアチアに先制点をもたらします。
エストニア相手ならば安全圏ともいえる2点目を決めたのもエドゥアルドでした。45分、スルナからのロングパスを受けたモドリッチが左からペナルティエリアに近づき、最後にはバイタルエリアに走り込んだエドゥアルドへラストパス。そのままゴール左上隅に正確なミドルシュートを叩き込みました。

水曜日にクロアチアはアウェーのアンドラ戦を控えていることもあり、後半は無理にエネルギーを浪費することなく試合を流していきます。
Srakitic そして62分、クラニチャールに代わってラキティッチ(写真)が登場。19歳6ヶ月はクロアチア代表の公式戦において最年少デビューとなります。シャルケで背番号10をつける新星ラキティッチに対してスタンドの観客の期待は大きく、彼がボールタッチする度に歓声が上がりますが、「ロケット」のニックネームに似つかわしい爆発力は鳴りをひそめ、若干は遠慮していた感がありました。それでも73分、ボールは左ポストを逸れていったとはいえ、押さえの利いたミドルシュートを放ちます。
エストニアも幾度かカウンターでクロアチア守備陣を脅かしますが、最終ラインに残るシミッチとコヴァチ弟がケア。2-0でクロアチアは手堅い勝利を収め、グループリーグ首位を堅持しました。

Sbilic試合後、ビリッチ監督は
「然るべき形でゲームの入ったことに満足している。またチーム全体の戦術の遂行ぶりにも満足しているよ。途中交替の選手たちもレベルを維持してくれたからね。相手にはチャンスになりそうな機会すら許さなかった。1対1の状況に持ち込んだ時の正確性にも満足はしているが、ある場面ではもう少し良くやれただろう。とはいえ、我々には縦への攻撃に力をみせた。ディフェンス面も素晴らしく機能していたというのが私の印象だ。」
と語り、エドゥアルドに関しては
「私とアリョーシャ(アシスタントのアサノヴィッチ)は3年前のユース代表の最初のトレーニングから、彼は世界のトップクラスのフォワードの一人になるだろうと言っていた。現在の彼はそのようになったと本当に思っているよ。人々は彼がゴールゲッターであると言うけど、彼においては全てのボールタッチが特別なものだ。彼は脅威だよ。」
と絶賛しました。
凱旋と2ゴールでザグレブのサポーターを喜ばせたエドゥアルドは
Sslavlja_prvog_gola 「僕にとっては再びマクシミールに来られたことが嬉しいね。ここは自分の家のように感じている。まるで僕がここから決して去っていないかのようにね。(マクシミールで行われる)イスラエル戦でここに戻ってくることを今から待っているよ。2ゴール目はアシストしてくれたモドリッチに感謝している。ディナモで一緒だった日々と同じようにピッチで僕たちは理解し合えるんだ。」
とコメント。ゴールの後、ディナモ・サポーターのBBB(バッド・ブルー・ボーイズ)が多く構える北スタンドから「マミッチのホモ野郎!」と、エドゥアルドを売却したディナモ副会長に対する抗議のコールが起きたのが印象的でした。

ライバルであるロシアがマケドニアに、イングランドがイスラエルにそれぞれ3-0で勝利しているとはいえ、直接対決が2試合残る両国よりもクロアチアは一つ頭が出ている状態です。その2試合の結果に影響されることなく、あと勝点7を取れば予選を突破。続くアンドラ戦(アウェー)、イスラエル戦(ホーム)で2連勝し、残るマケドニア戦(アウェー)、イングランド戦(アウェー)のどちらかでドローに持ち込めば本大会に出場できます。

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2007年9月 4日 (火)

クロアチア・リーグ第7節

9月1日・2日にクロアチア・リーグ第7節が行われました。

Ssmodric_i_bbb 首位ディナモ・ザグレブはアウェーでNKザグレブと対戦。
ブラジェヴィッチvs.イヴァンコヴィッチの師弟対決、ブラジェヴィッチvs.マミッチ副会長の恨み合い、FWマンジュキッチにとっては初めて古巣と対戦など、様々な因縁がある「ザグレブ・ダービー」でありますが、ディナモがヴェルダー戦で疲れが顕著とはいえ、両者の実力差が現れた試合でした。とりわけ、ザグレブはエースのFWロヴレクが出場停止の上、ラブドヴィッチ(出場停止)とイヴァンコヴィッチ(怪我)の二人のDFも欠場。本来は攻撃的MFのイブリチッチをDFとして起用するという厳しい台所事情をあらわにしました。
試合開始がゲームを支配するディナモは、14分にグエラとのワンツーで抜けたモドリッチが完璧な右クロスを上げ、それにマンジュキッチ(写真左)がヘディングで合わせて先制に成功します。
Ssprvi_gol_mandzkica その1分後にはオーバーラップしてボールをもらったポクリヴァチュがミドルシュート。GKストイキッチは左手で止めたものの、ボールを右手で掻いてしまい、そのままネットにボールが吸い込まれてオウンゴール。スコアが2-0と広がります。
この2点で気が抜けたディナモに対し、ザグレブが襲い掛かります。19分、GKロンチャリッチがシュートを弾いたところをブルクリャチャが押し込みますが、オフサイドの判定。25分にもロンチャリッチがファンブルしたところをグルギッチが押し込もうとしますが、今度はクロスバーに嫌われます。
ディナモは43分、モドリッチが左足からのピンポイントでペナルティエリアに侵入するロングパスをマンジュキッチに通すと、マンジュキッチは右足で対角線にシュートを決めて更にリードを広げます。
とはいえ、ザグレブも前半終了間際にムイジャの左クロスにファーポストのライトマンが合わせて3-1とします。
後半頭から疲れのみえるモドリッチに代えてヴグリネツを入れますが、ディナモはそれによってテンポを失います。ザグレブは60分にグルギッチ、ディナモは61分にバラバンがシュートチャンスを迎えますが、それぞれのGKが好反応をみせてゴールにならず。試合はそのまま3-1で終了。ディナモは開幕7連勝を果たしています。

2位リエカは最下位のヴァルテクス・ヴァラジディンとアウェーで対戦。
Ssjertec ここ数年はユース選手を次々と育てることで、ディナモとハイドゥクに次ぐ三番手グループに位置していたヴァルテクスですが、今季は開幕スタートに失敗。クジェ監督は早々と去り、新たにベセク監督を迎えたものの、未だに一勝どころか全試合に負けております。昨季までヴァルテクスを指揮していたダリッチ、ヴァルテクスの主将だったMFシャファリッチ、またヴァルテクス・ユース育ちでこのほどディナモからレンタルされたMFイェルテツ(写真)が、古巣を相手にして初めて指揮・出場しました。
36分、本来のモビリティを発揮したイェルテツが右サイドのブーレへと繋ぐと、ブーレはきっちりゴール正面へ走り込んだシュコーロに繋ぎ、ヘディングシュートでリエカが先制します。
57分にはイェルテツのクロスにブーレがヘディングシュートを決めて2-0。ヴァルテクスは終了間際にブレゾヴェッツのミドルシュートを1点返したものの、7連敗が決定。リエカは5勝2分の勝点17で、独走態勢のディナモを追っています。

日曜日には1試合だけ、UEFAカップ予備戦二回戦を共に敗れたスラヴェン・ベルーポとハイドゥク・スプリトが対戦しました。3日前にアウェーで試合をこなした両チームは肉体的・精神的な疲労が顕著で、TV放映されたとはいえ、好カードの割には見るべきもが少ない試合でありました。
Sskristic 先制したのはアウェーのハイドゥク。5分にツェルナトがヘディングで前方に何でもないボールを押し込んだところ、クリアすべきDFクリスティッチがバランスを崩し、ボールはルカビナにかっさられ、そのままゴール左上にシュートを決められます。
しかし、その3分後、名誉挽回とすべく、クリスティッチがショートコーナーからのヴルチーナのクロスに上手く足を合わせ、スラヴェンが同点に追いつきます。
更に40分、ヴルチーナが左25mの位置から低い弾道の直接FKを蹴り込み、ボールは誰にも触れることなく、ネット右隅へと突き刺さり、スラヴェンが逆転に成功します。
後半もお互いがチャンスを作れないお粗末な試合展開だったわけですが、76分、2分前に交替でピッチに送られ、これがプロデビュー戦となるハイドゥクのMFオレムシュ(18)が、相手のボールに詰めてインターセプトすると、最後はルカビナからアシストを受けて角度のないところから同点シュートを決めます。試合は2-2のドロー。お互い勝点13に留まり、昇格組のザダールに追い抜かれ、スラヴェンとハイドゥクはそれぞれ4位・5位に甘んじています。

全試合の結果はこちら。

Cibalia Vinkovci - Sibenik 3:3
1:0  5' Keric
1:1  9' Zec
1:2 27' Zec
2:2 37' Husic
3:2 75' Medvid
3:3 79' Vitaic

Medimurje - Zadar 2:4
0:1  8' Tomasov
0:2 11' Zupan
1:2 15' Milardovic
1:3 44' Surac
2:3 75' Saranovic
2:4 89' Stefancic

Zagreb - Dinamo Zagreb 1:3
0:1 14' Mandzukic
0:2 15' Stojkic (OG)
0:3 43' Mandzukic
1:3 45' Lajtman

Osijek - Inter Zapresic 1:0
1:0 89' Starcevic (OG)

Varteks Varazdin - Rijeka 1:2
0:1 37' Skoro
0:2 57' Bule
1:2 89' Brezovec

Slaven Belupo - Hajduk Split 2:2
0:1  5' Rukavina
1:1  8' Kristic
2:1 40' Vrucina
2:2 78' Oremus

【順位】
1位…ディナモ・ザグレブ(勝点21)、2位…リエカ(17)、3位…ザダール(14)、4位…スラヴェン・ベルーポ(13)、5位…ハイドゥク・スプリト(13)、6位…オシエク(10)、7位…ザグレブ(8)、8位…シベニク(7)、9位…チバリア・ヴィンコヴチ(5)、10位…メヂムリエ(4)、11位…インテル・ザプレシッチ(4)、12位…ヴァルテクス・ヴァラジディン(0)

【得点】
6ゴール…モドリッチ(ディナモ)、シャラノヴィッチ(メヂムリエ)、マンジュキッチ(ディナモ)
5ゴール…テルケズ(ザダール)、ロヴレク(ザグレブ)、ゼッツ(シベニク)
4ゴール…ルカビナ(ハイドゥク)、カリニッチ(ハイドゥク)、ヂャロヴィッチ(リエカ)、ジュパン(ザダール)

【アシスト】
4アシスト…ジュパン(ザダール)
3アシスト…シャルビーニ(リエカ)、マンジュキッチ(ディナモ)、ムムレク(ヴァルテクス)、モドリッチ(ディナモ)、ブーレ(リエカ)、ツェルナト(ハイドゥク)

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2007年9月 2日 (日)

UEFAカップ予備戦、クロアチアの二クラブが敗退

30日、ハイドゥク・スプリトはUEFAカップ予備戦二回戦で、イタリアのサンプドリアとジェノバのルイジ・フェラリス・スタジアムで対戦しました。初戦のホームでは優勢に進めながらも、カンパニャーロのゴールで0-1と敗れたハイドゥク。プダール監督更迭後に新監督に指名されたセルゲイ・クレシッチにとっては最初の指揮となります。

クレシッチはスペインで長らく指揮してきただけに、新たに4-2-3-1システムを採用しました。GKにはこの夏にメヂムリエから獲得したトミッチを新たに起用しています。
GKトミッチ-DFペライッチ、ブリャト、ジヴコヴィッチ、フルゴヴィッチ-MFリニッチ、ダムヤノヴィッチ-ルビール、チェルナト、バルトロヴィッチ-FWカリニッチ
一方のサンプドリアは以下の布陣(3-5-2)です。
GKミランテ-DFカンパニャーロ、サーラ、ルッキーニ-MFマッジョ、ヴォルピ、パロンボ、サンマルコ、ピエーリ-FWベッルッチ、モンテーラ

ハイドゥクは中盤を厚くしながら、左のバルトロヴィッチ(写真)、右のルビールを活かしたサイド攻撃で活路を見出したのに対し、サンプドリアはハイドゥクのミスをつけ込んでの反撃を狙います。
Samp ハイドゥクは3分、12分とカリニッチがシュートを狙うものの正確性に欠け、16分にリニッチのミドルシュート、25分にはチェルナトのCKからペライッチがヘディングシュートを狙いましたが、共に枠をわずかに逸れてしまいます。
サンプドリアも29分、カウンターからモンテーラがGKと一対一になりますが、シュートを打ち切れず。
34分、モンテーラの近距離のシュートをGKトミッチがセーブ。弾かれたボールをマッジョが持ったところにリュビチッチが不用意に倒してしまい、PKの判定。これをモンテーラにきちっと決められて、サンプドリアに先制されていまいます。
後半頭からハイドゥクはバルトロヴィッチに代え、ラトビア代表のヴェルパコヴスキスを投入するものの状況を好転させることはできず、67分、チェルナトがCKからカーブをかけて直接狙ったものの、GKミランテが好クリア。
その2分後、ジヴコヴィッチがペナルティエリアでボールのコントロールをミスし、モンテーラに奪われてシュートされますが、運良くボールはGK正面。
74分、ハイドゥクはCKからヴェルパヴスキスが近距離からシュートを放ったものの、これはゴールラインに立っていたヴォルピにクリアされてしまいます。
とはいえ、ハイドゥクは83分、フルゴヴィッチが右サイドから左足でグラウンダーの強いFKを蹴りこみ、これがネット左下隅に吸い込まれてゴール。1-1と同点に追いつきます。
ハイドゥクはあと1点奪えばアウェーゴール2倍ルールで突破が可能だったのですが、サンプドリアは相手にスペースを作らないようにカテナチオをかけ、1点のリードを守りきったまま試合は終了。ハイドゥクの敗退が決定しています。

もう一つクロアチアから予備予選を戦うチーム、スラヴェン・ベルーポはガラタサライとアウェーで対戦。トルコは元々熱狂的なサポーターとして知られていますが、ガラタサライは開幕以来、国内リーグでは無観客試合の制裁を受けているため、制裁とは無関係のこの試合ではアリミリイェン・スタジアムが満員に埋まりました。
ホームの初戦では1-2で敗れたスラヴェンですが、この試合では怪我人と疲労のため主力の半分が欠場。ガラタサライは巧みなパスワークでフィニッシュへと簡単に繋いでいきます。
Sukur 試合が動いたのは9分、ハサン・サスからのパスを受けたカランのシュートはポストを叩かれるものの、こぼれ球を拾ったリンコルンが再びカランへと繋いでシュート。ガラタサライが先制点を奪います。
しかし36分、クレシンゲルのロングボールが俊足のシェーヒッチに繋がり、ペナルティエリアに侵入したところをGKオルカンが倒してPK。これをポリャクが左上に決めて同点に追いつきます。
ただ、ガラタサライはその1分後、カランからの縦パスを貰ったエースのハカン・シュクル(写真左)が、DFラデリッチ(写真右)を背にしながら反転してのシュート。ボールはゴール左下隅に突き刺さり、逆転に成功します。
試合はそのまま1-2で終了。トータルスコア2-4で、同じく敗退が決まっています。
(写真は共にSport-netより)

チャンピオンズリーグ予備戦三回戦でヴェルダー・ブレーメンに屈したディナモ・ザグレブは、UEFAカップ一回戦でオランダの古豪アヤックスと対戦することが決まりました。
Ajaxamsterdam くじ運の悪さにディナモのイヴァンコヴィッチ監督は
「最も最悪な選択だ。(ブラックバーン、パレルモ、ブラガ、レンヌ、アヤックスという可能性ある5つの相手のうち)アヤックスは一番逃れたかった。世界で最も成功したクラブのうちの一つであるし、4度の欧州王者、2度の世界王者になっている。最も難しい相手を得てしまったよ。またマクシミールでスペクタルが見られることには喜んでいるけどね。」
とコメントしています。
ちなみにディナモとアヤックスは1998年にチャンピオンズリーグで対戦。ホームで0-0、アウェーで1-0(ヨシップ・シミッチのゴール)で勝利しています。また、アヤックスの現監督テン・カーテはMTKブダペストを指揮していた1999年、ディナモとチャンピオンズ・リーグ予備戦三回戦を戦い、ディナモに敗れたこともあり、歴史を紐解けばマイナスばかりでもないデータが残っております。

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クロアチア代表メンバー発表

8月30日、スラヴェン・ビリッチ監督は、欧州選手権予選の対エストニア戦(9月8日・ザグレブ)と対アンドラ戦(9月12日・アンドラ・ラ・ベリャ)における代表メンバー23名を発表しました。

先のボスニア・ヘルツェゴビナとの親善試合に初召集されながら、FIFAが代表変更の申請手続きに遅れたために見送りになったMFイヴァン・ラキティッチも、ようやく許可が下りました。
またボスニア戦では怪我で離脱したMFニコ・クラニチャールとMFイェルコ・レコが復帰。その一方で、DFフルヴォイエ・ヴェイッチが怪我のためリストから漏れ、代表発表後にFWイゴール・ブダンも怪我のため欠場することが決まっています。

スラヴェン・ビリッチ監督も
「これからの二試合は楽観的に迎えることになる。机上においては私たちが勝利の大本命であり、誰もが勝点6を期待している。もちろん、私たちも二連勝を期待しているが、最大限に力をまとめてその結果へと到達するつもりだ。」
とコメントしております。

とりあえずブダンも含めた23名のメンバーこちら。

GK:
スティペ・プレティコサ (スパルタク・モスクワ)
ヴェドラン・ルニェ   (ランス)
マリオ・ガリノヴィッチ (パナシナイコス)
DF:
ダリオ・シミッチ     (ACミラン)
ロベルト・コヴァチ    (ボルシア・ドルトムント)
ヨシップ・シムニッチ   (ヘルタ・ベルリン)
ヴェドラン・チョルルカ  (マンチェスター・シティ)
ダリオ・クネジェヴィッチ (リボルノ)
ディノ・ドゥルピッチ  (ディナモ・ザグレブ)
MF:
ニコ・コヴァチ         (レッドブル・ザルツブルク)
ダリヨ・スルナ       (シャフタール・ドネツク)
マルコ・バビッチ      (レアル・ベティス)
イェルコ・レコ         (ASモナコ)
ニコ・クラニチャール   (ポーツマス)
ユーリツァ・ヴラニェシュ (ヴェルダー・ブレーメン)
ルカ・モドリッチ     (ディナモ・ザグレブ)
ダニエル・プラニッチ   (ヘーレンフェーン)
イヴァン・ラキティッチ  (シャルケ04)
FW:
ボシュコ・バラバン     (ディナモ・ザグレブ)
ムラデン・ペトリッチ    (ボルシア・ドルトムント)
イヴィツァ・オリッチ    (ハンブルガーSV)
エドゥアルド・ダ・シルヴァ (アーセナル)
イゴール・ブダン      (パルマ)

補欠:
GK オグニェン・ヴコイェヴィッチ (ディナモ・ザグレブ)

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