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2007年9月21日 (金)

UEFAカップ一回戦/ディナモ、アヤックスに惨敗

9月20日、UEFAカップ一回戦第一戦「ディナモ・ザグレブvs.アヤックス・アムステルダム」が、ディナモの本拠地マクシミール・スタディオンで行われました。チャンピオンズリーグ予備戦のヴェルダー・ブレーメン戦には及ばないとはいえ、27,000人のサポーターがスタジアムに駆けつけました。

Huntelaar ディナモとアヤックスが欧州の舞台で戦うのは初めてではなく、1998/99シーズンのチャンピオンズ・リーグのグループリーグで対戦しています。ホーム(1998年9月16日)では、クラニチャール監督率いるディナモが主導権を握るものの、プロシネツキのミドルシュートがGKファン・デル・サールに止められ、またヴィドカが決定機を外してスコアレスドロー。3節が終わってクラニチャール監督が解任され、ヴラジミール・ザイエッツが監督に就任。
アウェーのアヤックス・アリーナの試合(11月25日)ではスタメンにフォワードを置かない守備的な布陣で挑み、68分、ビシュチャンのドリブル突破でファン・デル・サールが飛び出したところ、途中交替のヨシップ・シミッチが68分にループシュートを決めて1-0の大金星を挙げたという歴史があります。
またアヤックスのテン・カテ監督は、MTKブダペストを率いていた時代にディナモとチャンピオンズ・リーグ予備戦で戦ったことがあり、昨季36ゴールのエースストライカー、フンテラール(写真)はヘーレンフェーン在籍時代にUEFAカップ、同様に主将のスタムもミラン在籍時にチャンピオンズ・リーグ予備戦でディナモと対戦しております。

今季は欧州を視野に入れながら、ヴェルダーに引き続いて強豪を引いてしまったディナモ。国内リーグでは無敵とはいえ、それが仇となって欧州にも通じる競争力と経験を詰めないのが問題です。昨季はこのラウンドで勝算が十分にあると見ていたオーゼールに敗退しています。
この試合ではマンジュキッチが累積警告で欠場。代わってトップ下には怪我から復帰したヴグリネツを起用しました。また拳の手術をしたばかりの右SBエトーが間に合い、以下の布陣となりました。
GKコッホ-(右から)DFエトー、ドゥルピッチ、シルデンフェルド、チャレ-MFヴコイェヴィッチ、ポクリヴァチュ-サミール、ヴグリネツ、モドリッチ-FWバラバン

アヤックスはこの夏、MFスナイデルやFWバッベルなど主力を次々と売却。チャンピオンズリーグ予備戦三回戦では、圧倒的にチャンスを演出しながらもスラヴィア・プラハ相手にまさかの敗退。今季のエールディビジでも不安定な戦いを続けています。テン・カテ監督もクビが掛かっているだけに、選択した布陣は超守備的(4-4-1-1)なものでありました。普段はサイドバックのエマヌエルソンとオガラルをMFのポジションに上げ、ストッパーには19歳のファン・デル・ヴィールを抜擢。ウルグアイ代表MFスアレスや今季加入のルケとウルサイスはベンチスタートとなりました。
GKステケレンブルフ-DFハイティンハ、ファン・デル・ウィール、スタム、フェルメーレン-MFオガラル、マドゥロ、ガブリ、エマヌエルソン-ロンメダール-FWフンテラール

Smodric アヤックスは厳しいマークでゲームメイカーのモドリッチ(写真)をチームメイトから寸断しようと図ります(アヤックスは以前にモドリッチ獲得を考えたものの、高すぎて断念した経緯あり)。
モドリッチ同様に個人技に優れたサミールがフリーとなり、彼やエトーが突破する場面も出てきますが、クロスやラストパスはスタムを中心とするアヤックスの壁に跳ね返されます。
最初のディナモのチャンスは5分、モドリッチの左CKにシルデンフェルドがニアでヘディングシュート。GKステケレンブルフが止めてこぼれたボールにヴコイェヴィッチが飛び込むも、シュートは枠を捕らえ切れません。
アヤックスは組織的な守備はしっかりしているものの、攻撃に転じるとボールを運べる選手はエマヌエルソンぐらいで、後はロングパスをフンテラールに当てる程度。15分にそのフンテラールが25mのロングシュートを試みますが、これはGKコッホがセーブします。
16分にはヴグリネツがペナルティエリア中央外からグラウンダーのシュートを狙いますが、ボールはGKステケレンブルフの正面に留まります。
Sstam 32分、ディナモはセットプレーのクリアボールをポクリヴァチュがミドルシュート。ボールはゴール前のヴコイェヴィッチに届き、右下隅を狙って近距離のシュートを放ちますが、GKステケレンブルフの好反応で先制点を奪えずに終わります。
38分にはモドリッチが左サイドからミドルシュートを狙うものの、これもGKの正面。前半は常に攻撃しながらも、牙城を崩せずに終わってしまいました。
(写真はスタムにしっかり捕まれるバラバン)

Ssammir 後半、ディナモはヴグリネツを代えてFWショコタを投入し、バラバンをセカンドトップへと移します。最初のチャンスは49分、バラバンの左クロスにショコタが落とし、サミールがミドルシュートを狙いますが、惜しくもボールはポスト脇を逸れていきます(写真)。
前線のターゲットとしてショコタを入れた交替劇は、攻撃そのもののテンポが低下させた挙句、コンビネーションによる攻撃も簡単に封じられ、次第にパスミスが目立つようになったディナモはアヤックスのカウンター攻撃にさらされていきます。
Sdf そのツケは61分に訪れます。最終ラインでボールをキープしたドゥルビッチ(写真左)が、無意味に左のシルデンフェルド(写真右)に横パス。混乱したシルデンフェルドは前方にパスを出すも、あっさりロンメダールがカット。フンテラールに預けてDFの背後に抜けようとするロンメダールを左SBのチャレ(写真中央)がつくべきなのに、パスを貰い返したロンメダールの突破をあっさりと許してしまい、最後はGKコッホも抜かれてシュートを決められてしまいます。ディフェンス陣の凡ミスで失点してしまう癖は国内リーグで幾度も見られているのですが、このような大事な場面でもポカを犯してしまいました。
戦闘意欲をも失ったディナモは、これ以上チャンスを作ることはなく、主審の判定にもカリカリしながら時間が過ぎ、0-1で敗北してしまいました。リードは最小で、まだリーグ戦到達への希望があるとはいえ、このような惨めな試合を見せられた以上、ディナモの欧州挑戦は今季もこのラウンドで終えることになりそうです。

ディナモのイヴァンコヴィッチ監督は試合後の記者会見にて
「残念ながら、また敗北を経験してしまった。このようなハードで先が読めない試合を予想していたし、アヤックスのクオリティも分かっていた。前半は全ての面でゲームをコントロールし、多くのシュートを放ち、チャンスもつ食っていった。しかし、一つの初心者的な愚かなミスがアヤックスにアドバンテージを与えてしまった。アヤックスは経験あるチームだから、試合の最後までそのラッキーなアドバンテージを守ることに成功したのだ。
選手交替でリズムを変え、更にアグレッシブ面を強化しようとしたものの、残念ながら失敗に終わり、試合に敗れてしまった。とはいえ、まだ第二戦まで14日あるので、相手の力に関係なく、サプライズを起こす権利は私たちにもあると考えている。」
とコメント。一方、アヤックスのテン・カテ監督は
「ディナモは強いチームだと考えているので、この試合では戦術面が上手くいったと言うことだけができよう。力強いディフェンスが私たちのベースとなっており、これが安定したプレーと試合のコントロールを可能にしたのだ。まだ終わったとは決して思っていない。ヴェルダー・ホームのディナモの映像を見たが、ファンタスティックな戦いをしていた。もちろん、この試合の結果によって優位は私たちの方にあり、通過のチャンスは私たちの方がより大きい。しかし、二試合行われるので、まだ何も解決していないのは間違いない。」
と語っています。

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